Trademark Appeal Case
記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2012−6363(T2012−6363/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「富士山溶岩機能性せっけん」の文字を標準文字で表してなり、第3類「せっけん類」を指定商品とし、平成23年2月24日に登録出願され、その後、本願の指定商品は、原審における同年9月7日受付の手続補正書により、第3類「富士山近辺で採取される溶岩を配合したせっけん類」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『富士山溶岩機能性せっけん』の文字を標準文字で表してなるところ、指定商品の業界においては、近時、富士山の溶岩粉末を配合したせっけんが多く販売されており、そのような商品に『富士山溶岩石鹸』『富士山の溶岩石鹸』等の文字が使用されている実情があり、また、一般的に、特定の効果・効能を持つ商品に『機能性○○』という文字が広く使用され、せっけんの業界においても、『汚れを落とすだけではなく、特定の効果・効能を有するせっけん』程を認識させる語として『機能性せっけん』の文字が使用されている実情があるから、本願商標に接する取引者・需要者は、『富士山の溶岩を配合した機能性せっけん』程の意味合いを認識するにとどまるものとみるのが相当であって、本願商標を指定商品中、前記意味合いに対応する商品に使用した場合には、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「富士山溶岩機能性せっけん」の文字を標準文字で表してなり、第3類「富士山近辺で採取される溶岩を配合したせっけん類」を指定商品とするものである。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、「富士山溶岩機能性せっけん」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「富士山」の文字は、「静岡・山梨両県の境にそびえる日本第一の高山。史上たびたび噴火し、1707年(宝永4)爆裂して宝永山を南東中腹につくってから静止。」の意味、「溶岩」の文字は、「マグマが溶融体または半溶融体として地表に噴出したもの、また、それが冷却固結して生じた岩石。」の意味(いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行))を有し、また、「機能性」の文字は、「機械などの作用・働きの度合。」の意味(「大辞林第三版」(株式会社三省堂発行))を有し、その用法として、「生体活動を調節する機能をもつとされる成分を配合した清涼飲料水。」の意味を有する「機能性飲料」の語及び「生体活動を調節する機能をもつとされる食品。」の意味を有する「機能性食品」の語が載録され、いずれも一般的に良く知られている語である。
そして、「富士山溶岩」及び「溶岩」の語は、その指定商品を取り扱う分野において、別掲の1のとおり、せっけんの成分や原材料を表示するものとして使用されており、また、「機能性」及び「機能性せっけん」並びに「機能性石けん」の語は、別掲の2のとおり、成分による働き及び作用のあるせっけんを称するものとして使用されているといえる。
そうとすると、本願商標の構成全体の文字からは、「富士山の溶岩を原材料として該溶岩の成分による働き及び作用のあるせっけん」程の意味合いを容易に認識するものである。
(3)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
以上のとおり、本願商標の指定商品を取り扱う分野においては、「富士山の溶岩」を原材料とする商品が製造、販売されていることが認められ、本願商標の指定商品は、「富士山近辺で採取される溶岩を配合したせっけん類」であることから、本願商標がその指定商品に使用された場合、これに接する当該指定商品の取引者、需要者は、「富士山の溶岩を原材料とし、該成分による働き及び作用のある商品であることを理解し、これが当該商品の原材料及び品質を表しているものと認識するとみるのが相当である。
そして、本願商標は、「富士山溶岩機能性せっけん」という標準文字からなるものであるから、指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものといわざるを得ない。
(4) 請求人(出願人)の主張について
請求人(出願人)は、本願商標の構成中、「機能性」の語は、いずれの国語辞書においても掲載がなく(甲第1号証ないし甲第3号証)、固有の意味を持って広く一般に使用されていないため、その意味合いも多岐にわたり、特定、かつ、具体的な意味を需要者に想起させるとはいえない。また、本願商標は、一体のものとして認識され、特定の品質等を表示するものではなく、さらに、拒絶査定に示された使用例は、ほとんどの記事が請求人(出願人)自身の商品、事業を紹介したものであり、請求人が「富士山溶岩」について商標登録を受けていることから、自他商品識別標識としての機能を十分に果たし得るものである旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号が「その商品の産地,販売地,品質,原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによると解され(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日第三小法廷判決)、また、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号 平成12年9月4日判決)。
これらの説示に照らせば,判断時において,当該商標が指定商品の品質を表すものと取引者、需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、取引者、需要者にその商品の品質を表すものと認識される可能性があり、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当するものと解するのが相当である。
そうとすれば、「富士山溶岩機能性せっけん」の文字は、別掲の1及び2に示す当該指定商品の分野における取引の実情から、本願商標に接する取引者、需要者において、商品の原材料及び品質を記述的に表示するものと理解され、「富士山の溶岩を原材料として該溶岩の成分による働き及び作用のあるせっけん」程の意味合いを容易に認識するといい得るものであり、かつ、本願商標の指定商品は、「富士山近辺で採取される溶岩を配合したせっけん類」であるから、その指定商品との関係においても、自他商品の識別標識としての機能を有さないものである。
また、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるものであるから、「富士山溶岩」の文字からなる登録商標の存在によって、別掲に示す取引の実情が否定されるともいい得ないから、前記判断は何ら左右されないというべきである。
してみれば、本願商標については、上記のとおり判断すべきであるから、請求人の主張は、採用できない。
(5)結び
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。