1 本願商標
本願商標は、「味わいの里」の文字を標準文字により表してなり、第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」を指定商品として、平成24年6月22日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4774325号商標(以下「引用商標」という。)は、「あじさいの里」の文字を横書きしてなり、平成15年10月2日に登録出願され、第30類「菓子及びパン,穀物の加工品」を指定商品として、同16年5月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、「味わいの里」の文字を表してなるところ、その構成文字に相応して「アジワイノサト」の称呼を生じるものである。そして、その構成中「味わい」は、「食物のあじ。うまみ。」を意味する語で、本願商標の指定商品との関係では、非常に親しまれた語であり、「里」の文字は、「人家のある所。ひとざと。」を意味する語(共に広辞苑第六版)であるが、これらを組み合わせた「味わいの里」の文字は、全体として特定の観念を生じるものではない。
他方、引用商標は、「あじさいの里」の文字を表してなるところ、その構成文字に相応し「アジサイノサト」の称呼を生じ、その構成中「あじさい」の文字は、「紫陽花(ユキノシタ科の観賞用落葉低木)」(広辞苑第六版)の語を容易に理解させ、「里」の文字は、「人家のある所。ひとざと。」を意味する語であるから、全体として「紫陽花が咲く場所・地域」程の意味合いを認識させるものである。
そこで、本願商標と引用商標の類否について検討すると、本願商標と引用商標とは、上記のとおりの構成よりなり、外観においては、その構成中最後の三文字「いの里」を共通にするものの、その他の構成文字が異なっていることから、外観上区別し得るものである。
そして、両商標より生じる「アジワイノサト」と「アジサイノサト」の称呼は、ともに7音の構成よりなり、3音目の「ワ」と「サ」の音の差異を有するところ、該差異音は、母音[a]を共通にするものの、子音においては、[w]は調音点が後舌と軟口蓋が関与する音である軟口蓋音、調音法が舌の中央部にやや広い隙間を作り、そこから呼気を出すことによって産み出される音である中央接近音であるのに対し、[s]は調音点が舌先と上の歯茎が関与する音である歯茎音、調音法が口腔内に狭い隙間をつくり、その間を通る呼気の摩擦により産み出される音である摩擦音であることから、それぞれの調音において大きく相違するものである。
してみれば、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、その語感、語調が異なり、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
また、観念においては、本願商標は、特定の観念を生じないものであることから、比較し得ないものであるが、上記のとおり、本願商標の「味わい」の文字部分及び引用商標の「あじさい」の文字部分は、共に親しまれた意味合いを容易に理解させることから、明らかに異なる印象を与えるものといえる。
そうとすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標と引用商標が類似するとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。