Trademark Appeal Case
語尾の微差による商標類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91334号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4282290号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年2月26日に登録出願され、「ユアーズ」の文字と「YOURS」の文字とを併記してなり、第18類「皮革,かばん類,袋物」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成11年6月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、昭和26年9月21日に登録出願され、「YOUR」の文字を横書きしてなり、第36類「被服、手巾、釦鈕及び装身用「ピン」の類」を指定商品として、昭和27年10月31日に設定登録されている登録第417781号商標(以下「引用商標」という。)と類似し、かつ、その指定商品中第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、その登録を取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由の要旨
本件商標は、その構成文字に相応して「ユアーズ」の称呼を、引用商標は、その構成文字に相応して「ユアー」の称呼を生ずるものである。
そして、両称呼は、明瞭には聴取され難い語尾において「ズ」の音の有無という微差にすぎないから、それぞれを一連に称呼するときは語調、語感が近似したものとなり相紛れるおそれのある称呼上、類似の商標といわなければならない。かつ、両商標は、欧文字部分において「S」の文字の有無という微差にすぎず、また、その意味合いも相似たものであって、外観及び観念において相紛れるおそれのある類似の商標といえるものである。
また、本件商標の指定商品中第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品と認められるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
本件商標の称呼「ユアーズ」は、「ユ」、「アー」、「ズ」の3音から、また、引用商標の称呼「ユアー」は「ユ」、「アー」の2音からなっていて、共に短いため、各1音の持つ意味は大きく、語尾といえども、1音の有無が両商標の称呼上の印象を大きく異ならしめている。
2音又は3音という非常に短い語においては、各音が、たとえ語尾であろうとも、明瞭に発音され、且つ聴取される。
なお、登録異議申立人はその引用商標につき、使用実績を揚げているが、それが周知であればある程、本件商標との違いが明瞭になってくる。このことは、「ランバン」と「ラーバン」とを非類似と認定した判例の判旨から言えるところである。
本件商標はあくまで願書に添付した見本の通りのものであって、引用商標と外観上非類似であることに疑いの余地はない。
また、本件商標の「YOURS」の文字部分は、英語上引用商標「YOUR」に関する語であることは否定しないが、両者の持つ意味は異なっているだけでなく、一般需要者が、外観及び称呼の異なる両商標に接した場合に、外観及び称呼上は混同を起こすことなく、観念上混同を起こすという事態は考えられない。従って、両商標の観念上の類似性を論じてみても意味がないということになる。
以上、本件商標と引用商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似とみることはできない。
5 当審の判断
(1)本件商標より生ずると認められる「ユアーズ」の称呼と引用商標よりようずると認められる「ユアー」の称呼を比較すると、本件商標は、英語の「YOURS」の音を「ユアーズ」と上段に表してなるものと容易に認識されるものであり、語尾に表された「S」の文字は「ズ」と発音されるものであるが、前音が開口音の母音「ア(a)」の長音であって余韻を持って発音されるため、語尾音「ズ」は構成音が短いからといって、明瞭に発音、聴取されるものとはいい得ないものであるから、引用商標より生ずる「ユアー」の称呼とにおいて語尾音「ズ」の音の有無は、微差というべきである。
そして、両称呼は、称呼識別上、印象の弱い語尾音における弱音の「ズ」音の微差にすぎず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合、該差異音の差が全体の称呼に及ぼす影響は小さく、その語調、語感が近似し、彼此相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
(2)本件商標は、その構成前記のとおりであって、上段「ユアーズ」の片仮名文字部分が、下段「YOURS」の欧文字部分の読みを表したものとして認識されるものであり、「YOURS」の文字部分が看者の注意を惹くものと認められ、本件商標の自他商品の識別標識としての機能を果たす要部として認識される場合も決して少なくないものというべきであり、本件商標に接する者は、「YOURS」の文字部分を独立して認識する場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。そして、本件商標の「YOURS」の文字部分と引用商標「YOUR」とは、その綴り文字において印象の弱い末尾に位置する「S」の文字の有無の差であり、対比観察及び時と所を異にした離隔観察において「S」の有無の差が外観の印象に及ぼす影響は小さく、その構成において相紛れるおそれがあるものというべきである。
(3)本件商標と引用商標とを構成する欧文字部分は、共に親しまれた英語で「あなた(がた)、きみ(たち)」の意味を有する「YOU」の所有格として親しまれている「YOUR」の文字部分を共通にするところからも、両商標の観念が相似たものとして把握、認識されるものというべきであって、商標を構成する語の意味合いの近似(観念の近似)は、当該両商標を互いに紛れる要素として重要な役割を果たすものであって、観念の類似性は意味がないという商標権者の主張は採用できない。
なお、著名商標「ランバン」と「ラーバン」が非類似とされたのは、著名商標の登録出願時に「ラーバン」商標が登録されていたところ、著名商標保護の観点からも、「ランバン」商標は、わが国において登録され保護されなければならないという本件とは事情を異にするものであり、この点についての主張は採用できない。
してみれば、本件商標は、引用商標とその外観、称呼及び観念の点を総合勘案すれば、類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品中第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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