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Trademark Appeal Case

著名商標と傘マークの類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900004(T2013−900004/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5526660号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5526660号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年4月18日に登録出願され、第14類「身飾品,キーホルダー」、第16類「印刷物,文房具類」、第18類「かばん類,袋物,傘」、第24類「布製身の回り品」、第25類「被服」、第36類「福祉活動を目的とした慈善のための募金」及び第41類「育児又は教育に関するセミナー又はイベントの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定商品及び指定役務として、同年8月28日に登録査定、同年10月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

なお、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。

(1)登録第5353981号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成21年7月14日に登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年9月17日に設定登録されたものである。

(2)登録第5353980号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成21年7月14日に登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年9月17日に設定登録されたものである。

(3)登録第5426866号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成21年7月14日に登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年7月22日に設定登録されたものである。

(4)登録第5353979商標(以下「引用商標4」という。)は、「IT’S BETTER UNDER THE UMBRELLA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年7月14日に登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年9月17日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)引用商標の著名性について

申立人の親会社であるザ・トラベラーズ・インシュアランス・カンパニーは、1864年にアメリカ合衆国で設立され、1865年に生命保険業の提供サービスを開始しており、今日のアメリカ合衆国では、営利損害保険及び代理店を通しての個人保険のいずれについても、2番目に位置する大手の売り手であって、従業員数は3万人に及び、直接的及び間接的にアメリカ合衆国及び世界各国の個人、法人、団体に保険、金融サービスを提供し続けており、申立人関連業者は、世界90カ国以上にネットワークを有し、アメリカ合衆国内だけでも1万3千もの代理店がある。申立人関連会社の資産は、2009年12月31日現在、合計で約1兆米ドル(約80兆円)であり、合計歳入は約250億米ドル(約20兆円)である。

引用商標を含む傘のロゴマークは、1960年に正式に申立人及びその関連会社のコーポレート・シンボルとして採用されて以来、日本その他の国において、継続的かつ広範囲に使用されている。

以上のとおり、引用商標は、長年にわたり世界各国で、申立人に係るものとして、保険業務を中心に使用された結果、本件商標の登録日前に、世界的に著名な商標となっていることから、少なくとも保険業務に関連する商品、役務について、一般需要者は、引用商標が申立人に係る商品、役務を指し示すものと理解する可能性が非常に高い。そして、保険・金融における一般需要者が、本件商標の指定商品・指定役務の需要者になる可能性は十分にある。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲1のとおり、「ChildOne」の欧文字と、該「Child」と「One」との間に位置する傘とで構成される商標であるから、「チャイルドワン」及び「カサ」の称呼並びに「1人の子供」及び「傘」というような観念が生ずる。

他方、引用商標1及び引用商標2は、別掲の2及び3のとおりの構成からなり、一見して「傘」を表したものと認識できるから、「カサ」の称呼及び「傘」の観念が生ずるものである。

また、引用商標3は、別掲4のとおり、「TRAVELERS」の欧文字と「傘」の図形とから構成されるものと認識できるから、その図形部分に相応して、「カサ」の称呼及び「傘」の観念を生ずるものである。

さらに、引用商標4は、「IT’S BETTER UNDER THE UMBRELLA」の欧文字からなるものであり、「傘の下で」あるいは「傘」という語が強く意識に残る。

そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念において類似するものであり、また、本件商標と引用商標3とは、称呼及び観念において類似するものであり、さらに、本件商標と引用商標4とは、観念において類似する。

また、本件商標に係る指定商品及び指定役務中の「印刷物,文房具類,技芸・スポーツ又は知識の教授」は、引用商標に係る指定商品及び指定役務と類似するものであることに加え、上述のとおり、引用商標が、申立人に係る商品、役務を表示するものとして、我が国の需要者に定着していることが明らかであることからすれば、申立人の主要な事業の一である保険・金融に関する役務が属する第36類の「福祉活動を目的とした慈善のための募金」についても、同一又は類似する商標を使用した場合には、出所混同を生ずるおそれは高く、類似する商品・役務といえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について

上記(1)及び(2)において述べたとおり、引用商標は、保険及び金融関連の商品及び役務の分野においては、申立人に係る商品及び役務を指し示すものと理解されているというのが実情であり、また、本件商標と引用商標とは、類似するものであることからすれば、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用した場合、該商品又は役務が申立人の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について誤認混同されるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号に該当する。

(4)まとめ

上記(2)及び(3)のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号又は同項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、「Child」の文字と「One」の文字との間を貫通するようにピンク色の彩色を施してなる傘様の図形を配し、さらに、該各文字及び図形の組合せからなるものの周囲を、該図形と同色の彩色を施してなる線をもって、横長略五角形状に囲ってなるものであるところ、その構成態様に照らせば、上記文字及び図形等からなる構成全体が一体的なまとまりあるものとして看取、把握されるとみるのが相当である。

そうとすると、本件商標は、その構成中、慣れ親しまれた英単語である「Child」及び「One」の文字部分に相応して、「チャイルドワン」の称呼を生じ、「子供1人」程の意味合いを想起させるものであり、ほかに特定の称呼及び観念を生ずるとまではいい難いものである。

イ 引用商標1及び引用商標2

引用商標1及び引用商標2は、それぞれ別掲2及び3のとおり、上向き略半円形の下線部を3つの等長の上向き弧線で表してなるものと、その下方の該上向き弧線の中央部に近接した位置に欧文字の「J」のように表してなる細線を配してなるものであって、前者は、その構成全体について赤色の彩色を施してなる一方、後者は、その構成全体について黒色の彩色を施してなるところ、その構成態様に照らせば、「傘」を図案化したものとして看取、把握される場合があるとみるのが相当である。

そうとすると、引用商標1及び引用商標2は、それぞれ図案化してなる赤色の傘及び図案化してなる黒色の傘を表したものとして認識され得るものであるが、特定の称呼及び観念を生ずるとまではいい難いものである。

ウ 引用商標3

引用商標3は、別掲4のとおり、「TRAVELERS」の欧文字の右方に近接して、引用商標2と同一の標章を配してなるところ、その構成中の欧文字部分は、「トラベラー」の読み及び「旅行者」の意味を有する英語として一般に広く知られている「traveler」の複数形を表したものとして容易に理解されるものであることからすれば、引用商標3は、上記意味を有する既成の英単語と図案化してなる黒色の傘を表したものとして認識され得る図形とを組み合わせてなるものとして看取、把握されるとみるのが相当である。

そうとすると、引用商標3は、その構成中の「TRAVELERS」の文字部分から、「トラベラーズ」の称呼及び「旅行者」の観念を生ずるものであり、ほかに特定の称呼及び観念を生ずるとまではいい難いものである。

エ 引用商標4

引用商標4は、前記2(4)のとおり、「IT’S BETTER UNDER THE UMBRELLA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字を構成する各英単語は、いずれも慣れ親しまれたものであって、その構成全体をもって一連の英文を表したものとして看取、理解されるとみるのが相当であるから、その構成文字全体に相応して、「イッツベターアンダージアンブレラ」の称呼を生じ、「傘の下がより良い」程の意味合いを想起させるものである。

オ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とは、それぞれ上記アないしエにおいて述べたとおりの構成からなるものであって、外観において明らかな差異を有するものであるから、容易に区別し得るものである。

また、本件商標は、上記アにおいて述べたとおり、その構成中の「Child」及び「One」の文字部分に相応する「チャイルドワン」の称呼を生ずるのに対し、引用商標1ないし引用商標4は、上記イないしエにおいて述べたとおり、それぞれの構成態様に相応して、特定の称呼及び観念を生ずることがないか、又はその構成中の「TRAVELERS」の文字に相応する「トラベラーズ」の称呼及び「旅行者」の観念を生ずる若しくはその構成全体に相応する「イッツベターアンダージアンブレラ」の称呼を生じ、「傘の下がより良い」程の意味合いを想起させるものであるから、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において、互いに紛れるおそれのないものである。

なお、申立人は、本件商標から「カサ」の称呼及び「傘」の観念を生ずる一方、引用商標1ないし引用商標3から「カサ」の称呼及び「傘」の観念を生じ、また、引用商標4から「傘」の観念を生ずることを前提に、本件商標と引用商標とが類似する旨主張するが、仮に引用商標から申立人の主張する称呼及び観念が生ずるとしても、本件商標は、上記アのとおり、その構成全体が一体的なまとまりあるものとして看取、把握されるものであって、その構成中の傘様の図形部分のみが分離、抽出されるものではなく、該図形部分に相応する称呼及び観念を生ずるものではないから、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念上、相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者、需要者に広く認識されている旨主張しているが、申立人の提出に係る甲各号証からは、引用商標が、USPTO(アメリカ特許商標庁)やOHIM(欧州共同体商標意匠庁)において、第36類に属する役務について登録されていることや、自らのホームページにおいて、引用商標3(ただし、その構成中の図形部分には赤色の彩色が施されている。)を使用していること等をうかがい知ることはできるものの、本件商標の登録出願日前に、引用商標が申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。

そうすると、引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務(特に保険業務に関連するもの)について使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められない。

そして、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標又は申立人を連想、想起するようなことはなく、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものとはいえない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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