Trademark Appeal Case
図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900008(T2013−900008/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5528317号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成23年2月28日に登録出願され、第35類、第39類、第40類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成24年8月30日に登録査定、同年10月12日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第4057663号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:平成6年5月23日
設定登録日:平成9年9月19日
指定役務 :第39類「自動車の貸与,自動車の貸与の予約」
(2)登録第4139350号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(3)のとおり
登録出願日:平成7年9月20日
設定登録日:平成10年4月24日
指定役務 :第39類「自動車の貸与,軽車両の貸与,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,軽車両の貸与の契約の媒介又は取次ぎ」
(3)登録第4608223号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:平成13年8月28日
設定登録日:平成14年9月27日
指定役務 :第39類「自動車の貸与,軽車両の貸与,自動車の貸与の媒介又は取次ぎ,軽車両の貸与の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与に関する情報の提供」
(4)登録第4689323号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:平成14年11月29日
設定登録日:平成15年7月4日
指定商品 :第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,牽引車,乗物用盗難警報器」
(5)登録第4759234号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲(3)のとおり
登録出願日:平成7年9月20日
設定登録日:平成16年3月26日
指定役務 :第35類「企業に対する多数の業務用車両の貸与において同企業のために行う貸与した車両に関する管理・助言・情報の提供」
(6)登録第5056646号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲(5)のとおり
登録出願日:平成19年2月13日
優先権主張:2006年8月23日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成19年6月22日
指定役務 :第39類「乗物の貸与,乗物の貸与の予約の代行」
(7)登録第5366034号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲(5)のとおり
登録出願日:平成22年7月20日
設定登録日:平成22年11月5日
指定役務 :第39類「乗物の貸与,乗物の貸与の予約の代行」
引用商標1、2及び4ないし7は、現に有効に存続しているが、引用商標3は、存続期間の満了により、平成25年6月5日に商標権の登録の抹消登録がされている。以下、これらを一括して単に「引用商標」ということがある。
3 登録異議申立ての理由
(1)本件商標は、「eのロゴマーク」という観念を生じ、「eを肉太に表してなる」という外観において引用商標と共通するから、両者は相互に相紛らわしい類似の商標であり、また、本件商標の指定役務中の第35類及び第39類に属する全役務と引用商標の指定役務とは同一又は類似のものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)申立人は、米国の大手レンタカー会社の一つであり、「eを肉太に表してなるロゴマーク」(以下「使用商標」という。)を大々的に使用しているので、本件商標が上記指定役務、特に「自動車の貸与」に使用された場合には、申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)したがって、本件商標は、第35類及び第39類の役務について、その登録の取消しを免れない。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、別掲(1)のとおり、欧文字の「e」を肉太に表した如き形状の図形の下部に二つの小さな黒丸を配した構成からなるものであって、既成の親しまれた観念を有する事物・事象を表したものとはいえないから、特定の称呼及び観念を生ずるものとは認められず、上記特徴を有する一種の幾何図形として認識し把握されるものというべきである。
イ これに対し、引用商標1、6及び7は図形のみからなり、また、引用商標2ないし5は、引用商標1と略同一の図形と「Enterprise」の文字とからなるものであって、該図形部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たすものといえる。
そして、引用商標1ないし5の図形は、別掲(2)ないし(4)のとおりの構成からなるところ、黒地に白抜きで表された中央に細線を有する太い線が、恰もセンターラインを有する道路が左側中央から発出し立体交差して右側下に向かって抜けるような印象を与えるものといえる。
また、引用商標6及び7の図形は、別掲(5)のとおりの構成からなるところ、欧文字の「e」をモチーフとしたものであることが窺えるとしても、緑色地に白抜きで表された中央に細線を有する太い線は、「e」の横線部分が左側の弧状部分を突き抜け左方向に長く、しかも弧状部分に重ねて描かれていることから、もはや「e」を想起し得ない特異な形状として看取されるというべきである。
そうすると、引用商標の図形は、いずれも直ちに欧文字の「e」を想起するようなことはなく、むしろ上記構成からなる一種の幾何図形として認識し把握されるというべきであって、既成の親しまれた称呼及び観念を生じないものといえるから、該図形のみからなる引用商標1、6及び7は、特定の称呼及び観念を生ずるものとは認められない。もっとも、引用商標2ないし5は、その構成中に「Enterprise」の文字を有しており、これ自体が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たすものといえるから、これより「エンタープライズ」の称呼及び「企業、会社」の観念を生ずるものというべきである。
ウ そこで、本件商標と引用商標とを対比すると、上記ア及びイのとおり、両者はその構成において看者に全く別異の印象を与えるものであって、それぞれを時と処を別にして離隔的に観察しても、外観上相紛れるおそれはないものというべきである。
また、本件商標は、前示のとおり、特定の称呼及び観念を生ずるものでない以上、称呼及び観念について引用商標と比較することもできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
エ したがって、本件商標は、その指定役務中の第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,電気自動車・電気三輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第39類「電気自動車・電気三輪自動車・電気二輪自動車の貸与,電気自転車の貸与」が引用商標の指定役務と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人は、使用商標を大々的に使用しているとして証拠(甲8〜甲10)を提出しているので、該証拠について検討する。
(ア)甲第8号証及び甲第9号証は、申立人以外の第三者のウェブサイト(usatouist.com又はallabout.co.jp)の抜粋写しと認められるところ、これらには、アメリカのレンタカー会社の一つとして「エンタープライズ(Enterprise)」が存在することが記述されているのみであり、使用商標は一切表示されていないし、その説明もない。
(イ)甲第10号証は、「Enterprise Rent-A-Car-Rental Cars at Low Rates」と題する英文のウェブページの写し一葉と認められ、左上方に引用商標6及び7と同一の標章と「nterprise」の文字を組み合わせた標章が表示されていること、また、右上方にも引用商標6及び7と同一の標章が「Plus」の文字と共に表示されていることが認められるものの、訳文もなく詳細は不明である。
(ウ)他に、使用商標が使用されていることを示す証左は一切ない。
イ 以上のとおりであるから、申立人の提出に係る証拠によっては、使用商標が「自動車の貸与」について使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとは到底認められない。
ウ その他、使用商標が申立人の業務に係る役務を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証拠はない。
エ 申立人のいう使用商標は、甲第10号証に示された標章を指すものと解され、該標章は引用商標6及び7と同一といえるものである。そして、本件商標と引用商標6及び7とが相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、前示のとおりであるから、本件商標と使用商標とは非類似の商標といえる。
オ かかる事情の下において、本件商標をその指定役務中の第35類及び第39類に属する全役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が使用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
なお、申立人は、申立人と本件商標権者との間で米国における使用を含めた交渉が継続中につき、本件の審理を猶予して欲しい旨述べているが、相当の期間が経過するも、申立人からは交渉の進捗等につき何らの連絡もなく、本件について徒に審理を引き延ばすべきではないので、審理を進めた次第である。
よって、結論のとおり決定する。
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