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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名性による混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900043(T2013−900043/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5534954号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5534954号商標(以下「本件商標」という。)は、「グリーアドバタイジング」の片仮名及び「GREE Advertising」の欧文字を上下二段に表してなり、平成24年3月7日に登録出願、別掲のとおり、第9類の商品並びに第35類、第36類及び第42類の役務を指定商品又は指定役務として、同年10月22日に登録査定、同年11月9日に設定登録されたものである。

2 登録申立人の引用する商標

異議申立人「グレイ グローバル グループ インコーポレイテッド」(以下「申立人」という。)が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4386716号商標(以下「引用商標」という。)は、「GREY」の欧文字を表してなり、平成7年5月2日に登録出願、第35類「広告」を指定役務として、同12年5月26日に設定登録、その後、同22年4月13日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)

(1)申立人は、1917年、アメリカ合衆国ニューヨーク州に設立された広告代理店「Grey Studios」(グレイスタジオ)を前身とする広告代理業者である。

グレイスタジオは、1925年、その名称を「Grey Advertising Inc.」(以下「グレイアドバタイジング社」という。)へ変更したが、その後2000年に申立人となるまで、永年継続して、「グレイアドバタイジング」の名で業務を行っていた。

(2)現在、申立人は「Grey Advertising」や「グレイアドバタイジング」を前面に出すことはしていない。

しかし、同人が有名な広告代理店であり、50年以上もの永きに亘り「Grey Advertising」や「グレイアドバタイジング」として知られてきたことを勘案すると、「グレイアドバタイジング」の呼び名を以てすれば、申立人、あるいは申立人に関連する広告代理業者を連想するのが自然である。

また、「Advertising/アドバタイジング」の語は「広告業」の記述的標章であることから、申立人及びその旧名称である「グレイアドバタイジング社」は、さらに「グレイ」と略称されることもある。

すなわち広告業界で「グレイ」といえば、申立人あるいはグレイアドバタイジング社を想起させる状況にある。

(3)本件商標からは、その片仮名に相応した「グリーアドバタイジング」の自然的称呼が生じる。

そしてこの「グリーアドバタイジング」と、申立人の名称変更前の略称である「グレイアドバタイジング」とを比較すると、両称呼の実質的な差異は、第二音目を「リ」とするか「レ」とするかの僅かな違いにしかなく、これらを「グリーアドバタイジング」「グレイアドバタイジング」と一気に発音した場合、称呼上極めて相紛らわしく混同を生じるおそれがある。

よって、申立人を指称していた商標「グレイアドバタイジング」と本件商標とは、称呼上の類似関係にある。

そして上述のように、広告業との関係では、申立人を指称していた「グレイアドバタイジング」あるいは「グレイ」に、未だ多大なる業務上の信用が残存している。

しかも広告業界は、大手の合併や外国資本の参入により、会社の統廃合・再編が顕著な分野であった。このような情況の下で本件商標から生じる「グリーアドバタイジング」の称呼に接する需要者・取引者は、これを「グレイアドバタイジング社」のことであると聞き間違えたり、誤って記憶したり、いずれにしても広告業の役務提供について混同を生じるおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号あるいは同第15号に該当する。

(4)本件商標の第35類の指定役務「広告業,トレーディングスタンプの発行,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,広告用具の貸与」といった「広告代理店の行うサービス」との関係における「Advertising/アドバタイジング」が記述的であること上述のとおりであり、本件商標からは「グリー」の称呼若しくは観念も生じると解されるところ、この「グリー」は、申立人を指称するための略称「グレイ」とも相紛らわしい。

そして申立人は、引用商標を有しており、少なくともその指定役務である「広告」との関係で、本件商標は、引用商標に称呼上類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(5)以上述べたように、本件商標は、広告業との関係で、申立人の旧名称の略称「グレイアドバタイジング」に類似するから商標法第4条第1項第10号に該当し、指定役務「広告」と抵触する範囲では引用商標と類似の関係にあるから同第11号に該当し、さらに、申立人が広告業について永年培ってきた業務上の信用との関係では出所の混同を生じるおそれもあるから同第15号に該当し、いずれにしても登録を受け得ないものである。

よって、商標法第43条の3の規定に基づき、本件商標の商標登録を取り消すべき旨の決定がされることを求める。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第10号又は同第15号について

申立人は、「グレイアドバタイジング」又は「グレイ」が申立人の過去の社名である「グレイアドバタイジング社」を想起させるものであるとし、それを前提に本件商標が商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当すると主張する。

そこで申立人の提出した証拠をみると、申立人の我が国における社歴を概観したウェブサイトとする証拠(甲2)によれば、「会社名 株式会社グレイワールドワイド」の「沿革」の欄に「1963年10月に米国グレイアドバタイジング社と株式会社大広が合併会社として株式会社グレイ大広を設立」及び「1999年7月 株式会社大広との合併を解消 米国グレイアドバタイジング社の100%出資会社となる」との表示がある。

しかしながら、これにより、申立人の社名が「グレイアドバタイジング社」であったことは推認し得るものの、申立人が「グレイアドバタイジング」又は「グレイ」を商標として使用した事実は確認できない。

そして、他に「グレイアドバタイジング」又は「グレイ」の使用の事実を立証する証拠の提出はない。

してみれば、「グレイアドバタイジング」又は「グレイ」は、本件商標の出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていた商標とはいえず、かつ、著名な商標と認めることはできない。

よって、申立人の主張は、前提を欠くものであって採用することができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標について

本件商標は、「グリーアドバタイジング」の片仮名及び「GREE Advertising」の欧文字を上下二段に表してなるから、それぞれの構成文字に相応し、「グリーアドバタイジング」の称呼を生じるものである。

また、本件商標の構成中「Advertising」の文字は、「広告業、広告」の意味を有し、「アドバタイジング」の文字は、これを片仮名で表示したものと認められるから、その指定役務中「広告業」との関係において、識別力がないか極めて弱い語ということができる。

してみれば、本件商標の構成中、「グリー」及び「GREE」の文字が自他役務の識別標識としての機能を果たす部分といえるものである。

そうとすれば、本件商標は、「グリー」の称呼をも生じる。

そして、構成中の「グリー」及び「GREE」の文字は、造語と認められるから、本件商標よりは特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標について

引用商標は、「GREY」の欧文字を表してなるところ、これは、「灰色。ねずみ色。」を意味する英語の「GRAY」と同義語であるから、「グレー」の称呼を生じ、「灰色」の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

(ア)外観について

本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標は、「グリーアドバタイジング」の片仮名及び「GREE Advertising」の欧文字を上下二段に表してなるのに対し、引用商標は、「GREY」の欧文字を表してなるものであって、両商標の構成・態様は明らかに異なるものであるから、外観において相違するものである。

(イ)称呼について

本件商標から生じる「グリーアドバタイジング」の称呼と引用商標から生じる「グレー」の称呼を比較すると、その構成音数及び音構成を異にするから、互いに相紛れるおそれのないものである。

次に、本件商標から生じる「グリー」の称呼と引用商標から生じる「グレー」の称呼を比較すると、いずれも第2音の「リ」と「レ」の差異を有するものである。そして、これら差異音の「リ」と「レ」は共にラ行に属するものの、母音を異にし、かつ、ラ行音は有声音で弾音でもあり、明瞭に発音され聴取され得るものであるから、これらの差異が、3音と、共に短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、その音調、音感が異なり、相紛れるおそれはないものというべきである。

(ウ)観念について

引用商標は、「灰色」の観念を生じるものであるから、特定の観念を生じない本件商標とは、相紛れるおそれのないものである。

エ 小活

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号又は第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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