Trademark Appeal Case
果物名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900102(T2013−900102/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5549621号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジューシィフルーツ」の片仮名及び「Juicy Fruits」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成24年6月26日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料,口臭用消臭剤,つけまつ毛」を指定商品として、同年11月6日に登録査定、同25年1月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の理由により、本件商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)「ジューシィフルーツ」から生じる観念について
本件商標の構成中、「ジューシィフルーツ」の文字部分は、柑橘類に属する河内晩柑の別名として知られる「ジューシーフルーツ」と同一の表音を表す語として知られる語である。
「ジューシーフルーツ」とは、大正時代の始めに、熊本県河内町で発見されたブンタンの血を引くといわれている「河内晩柑」のことを指す語として知られている(甲2ないし12)。
(2)指定商品分野における原材料・品質表示の手法について
以下に示すとおり、本件指定商品分野においては、商品の原材料、品質(香り)の内容を表示する際に、果物等の名称をそのまま表記する手法が一般的に用いられている。
甲第13号証ないし甲第18号証に示すとおり、本件指定商品「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料,口臭用消臭剤」が属する業界においては、品質(香り)内容を表示する際に、果物の名称を品質表示としてそのまま表記する手法が普通に用いられている。
甲第13号証ないし甲第15号証は、「香料」に係る香りの品質表示として「伊予柑」、「紅まどんな」、「甘夏」、「グリーンティ&レモン」、「バニラ&ライム」、「ザクロ&ラズベリー」、「ベルガモットとグレープフルーツ」、「オレンジとジンジャー」等の表示が使用されている事実を示すものである。特に「紅まどんな」とは、2005年に品種登録された愛媛のオリジナル品種であり(甲16)、地方の名産果物の名称が、ご当地商品(アロマオイル)の香りの品質表示として使用されている商慣行の存在が明らかである。
甲第17号証は、「薫料」に係る香りの品質表示として「ユズ」、「オレンジ」、「レモン・グレープフルーツ」、「ミックスフルーツ」、「プラム・桃」等の表示が使用されている事実を示すものである。
甲第18号証では、「口臭防臭剤」に係る香りの品質表示として「ミント」、「レモン」、「ピーチ」の表示が使用されている事実を示すものである。
甲第19号証は、「せっけん類」に係る香りの品質表示として「オレンジ」、「マスカット」、「ピンクグレープフルーツ」の表示が使用されている事実を示すものである。
甲第20号証及び甲第21号証は、「化粧品」の範疇に属するハンドクリームに係る香りの品質表示として「グレープフルーツ」、「オリーブラベンダー」、「ざくろとチェリー」等の表示が使用されている事実を示すものである。
甲第22号証は、「歯磨き」に係る香りの品質表示として「オレンジ」、「ストロベリー」、「グレープ」の表示が使用されている事実を示すものである。
さらには、異議決定の例においても「トロピカルフルーツ/TROPICAL FRUITS」や「ドラゴンフルーツ」といった果物の名称は、商品「せっけん類,ご香料類,化粧品,歯磨き」の原材料、品質(香り)を表すにすぎないものであり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じるおそれがあると認定している(甲23、24)。
(3)総合判断
以上の事実を総合すると、「ジューシーフルーツ」は、果物である河内晩柑の別称として使用されているものであり、指定商品分野においても原材料や品質(香り)を表示する際に果物の名称をそのまま表記する手法が一般的に用いられていることが明らかである。
また、現実に地域の特産果物を原材料や香りとして表示した二次製品的な特産品の原材料・品質表示として使用することにより地域産業の活性化が図られている状況下にあり、特定人による特産品名称の独占使用を認めることは公益上適当でないものと思料する。
このような取引の実情の下においては、本件商標「ジューシィフルーツ/Juicy Fruits」は、これをその指定商品中、「ジューシーフルーツを使用した商品」に使用するときは、商品の原材料、品質を表すにすぎないものであり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
本件商標は、「ジューシィフルーツ」の片仮名及び「Juicy Fruits」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、該「ジューシィフルーツ」の片仮名部分は、「Juicy Fruits」の欧文字の読みを表記したものと認められるものである。そして、該「Juicy Fruits」の欧文字は、「果汁が豊かな果物」程の意味合いを理解させるものである。
ところで、申立人は、「ジューシーフルーツ」は、果物である河内晩柑の別称として使用されているものであり、指定商品分野においても原材料や品質(香り)を表示する際に果物の名称をそのまま表記する手法が一般的に用いられていることが明らかである、旨の主張をしているものである。
確かに、本件の指定商品に係る業界においては、果物の名称を香りの名称として使用する場合があることは少なからず認められるところである。
しかしながら、提出された証拠においては、果物の名称が原材料として表示されているものは認められないものであって、また、本件の指定商品には、果物自体を原材料としていないものや、果物の名称を香りの名称としていないものもあるから、果物の名称であるからといって、直ちに品質表示として理解されるものとはいえないというべきである。
そして、その証拠(甲2〜12)によれば、果物である河内晩柑の別称として「ジューシーフルーツ」の文字が使用されているものであるとしても、河内晩柑が日本全国に広く販売されている事実は確認できず、一般に、柑橘類の果物の名称として、「河内晩柑」及びその別称としての「ジューシーフルーツ」の文字が広く需要者に知られているとは認め難いものというのが相当である。
また、その証拠中には、本件商標を構成する「ジューシィフルーツ」及び「Juicy Fruits」の文字が、その指定商品について、特定の商品の品質を表示する文字として使用されている事実は認められず、さらに、これらの文字が品質表示等として、取引上一般に使用されている事実も見いだせない。
そうすると、本件商標からは、その指定商品との関係において、直ちに、果物である「河内晩柑」及びその別称としての「ジューシーフルーツ」を想起させるものとはいえないというのが相当である。
以上よりすれば、本件商標は、その指定商品について、特定の商品の品質を表示するものとして認識されるとはいえないものである。
してみれば、本件商標の指定商品中、「河内晩柑(ジューシーフルーツ)を使用した商品」について、本件商標を使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
さらに、本件商標は、特定の商品の具体的な品質を表示するものとはいえないから、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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