Trademark Appeal Case
称呼観念同一と商標類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−5395(T2013−5395/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「八兵衛」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成24年6月21日に登録出願されたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第5041023号商標(以下「引用商標」という。)は、「はちべえ」の文字を標準文字で表してなり、平成18年9月1日に登録出願、第43類「みそラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成19年4月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、前記第1に記載の構成よりなるところ、「八兵衛」の文字に相応して「ハチベエ」の称呼を生ずるものである。
そして、「八兵衛」の文字は、「昔の人の名前の一つ」として認識され、また、「田舎者、気のきかない者をあざけっていう称。」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)の意を有することから、本願商標は、「昔の人の名」、「田舎者」、「気のきかない者」の観念を生ずるものである。
2 引用商標について
引用商標は、前記第2に記載の構成よりなるところ、「はちべえ」の文字に相応して「ハチベエ」の称呼を生ずるものである。
そして、前記1の記載と同様に、引用商標は、「昔の人の名」、「田舎者」、「気のきかない者」の観念を生ずるものである。
この点について、請求人は、引用商標「はちべえ」の文字からは、「はちべえトマト」の「八平」を想起させ、「八代平野」なる観念や、児童文学「ズッコケ三人組」の登場人物の通称「ハチベエ」を想起させ、「八谷良平」なる観念を生ずることもあるため、本願商標と引用商標の観念は必ずしも共通しない旨述べている。
しかし、「はちべえ」の文字から、「八平」や「ハチベエ」を想起する場合があるとしても、「はちべえ」は、一般的には、昔の人の名前の一つとして知られ、その他に知られている意味もないことから、一般的な需要者は、「はちべえ」から「八兵衛」を想起し、「昔の人の名」、「田舎者」、「気のきかない者」との観念を生ずるというのが自然である。
よって、かかる請求人の主張は、採用することができない。
3 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、両商標はそれぞれ前記のとおりであるから、異なるものである。
次に、称呼においては、両商標は「ハチベエ」の称呼を同一にするものである。
さらに、観念においては、両商標は「昔の人の名」、「田舎者」、「気のきかない者」の観念を同一にするものである。
してみれば、前記のとおり、本願商標と引用商標は、外観において異なるとしても、称呼と観念を共通にする、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といえる。
また、本願商標の指定役務「飲食物の提供」は、引用商標の指定役務「みそラーメンを主とする飲食物の提供」を包含するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 請求人の主張について
(1)取引の実情について
請求人は、参考資料2ないし9を提出し、本願商標が永年使用された結果、請求人のレストランブランドとして周知されており、本願商標や引用商標の指定役務における取引者、使用者が本願商標と引用商標を混同するおそれはない旨主張している。
そこで、提出された参考資料について検討する。
ア 請求人が代表取締役を務める有限会社肉の八島(以下、同社を含めて「請求人」という場合がある。)は、1983年7月に福岡県前原市に飲食店「焼きとりの八兵衛 前原本店」を出店し、その後、2000年5月に同県福岡市に同「天神店」、2004年8月に同市内に同「上人橋通り店」、2008年12月に東京都港区に同「六本木店」、2011年12月に同区内に同「六本木ヒルズ店」を出店し、また、2006年11月に福岡市中央区に「もつ鍋八兵衛」を出店したことが認められる(参考資料2)。
イ そして、それらの各店について雑誌に掲載されたことや、飲食店情報のウェブサイトなどに掲載されたことが認められる。また、請求人である矢島氏に着目した雑誌等の記事に前記店舗が紹介されていることが認められる(資料3〜5)。
ウ 以上によれば、請求人は、1983年から「焼きとりの八兵衛」として飲食物の提供を継続して行い、広告や取材記事等が雑誌等に掲載されたことは認められる。
しかしながら、その店舗は、福岡県内に3店舗(「もつ鍋八兵衛」を含めると4店舗。)と東京都内に2店舗の合わせて5店舗にすぎず、また、雑誌等の掲載回数もそれほど多いとはいえず、その掲載された雑誌やウェブサイトもその多くが地域の飲食店情報に関するものであって、さらに、これらにおいて、請求人の店舗は、多数の店舗の内の一店舗として掲載されているものがほとんどである。
そして、「八兵衛」を印影のように表示して前記店舗名と共に使用しているものがごく一部にあるものの、それらの記事、広告においては、いずれも「焼きとりの八兵衛」(なお、一部に「焼きとり八兵衛」と紹介されているものがある。)、「もつ鍋八兵衛」と紹介されているものであり、「八兵衛」の文字のみで紹介されているものはない。また、「もつ鍋八兵衛」と「焼きとりの八兵衛」の経営者が同一であることについての記載がないものも多い。
そうとすると、「焼きとりの八兵衛」が福岡県においてある程度知られているといえても、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く知られているとまではいえないし、「八兵衛」は、前述のとおり、単に昔の人の名前の一つとして知られている独創性の低い語であることを考慮すると、「八兵衛」が、請求人又は請求人の業務に係る役務を表示するものとして認識されるということができない。
したがって、請求人が「焼きとりの八兵衛」の商標を飲食物の提供において使用しているとしても、本願商標と引用商標とは、前記のとおり類似の商標というべきであり、本願商標をその指定役務に使用した場合に、その役務の出所について混同のおそれがないとはいうことができない。
よって、請求人の前記主張は採用できない。
(2)過去の登録事例について
請求人は、本願商標と引用商標が類似であるとの判断は、過去の登録事例の判断と矛盾しており、公平性の観点に欠ける旨主張している。
しかし、請求人が意見書に記載した過去の登録例は、査定時には出願人が同一人であった事例(設定登録後に商標権が移転)や、指定商品が類似していない事例(指定商品の書換登録がなされた結果、類似する指定商品を含むこととなった)や、商標の構成及び指定商品との関係において本願とは事案を異にする事例であり、これらの過去の登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
よって、請求人の前記主張は採用できない。
5 まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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