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Trademark Appeal Case

結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2012−20726(T2012−20726/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲Aのとおりの構成からなり、第29類「長野県に展開する高原で放し飼いにして育てた豚の豚肉,長野県に展開する高原で放し飼いにして育てた豚の豚肉製品」を指定商品として、平成24年1月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は「本願商標は、『信州高原放牧豚』の文字を書してなるところ、『信州』は、長野県の旧国名『信濃』の別称であって、現在においても、同県を指すものとしてしばしば使用されているものであり、『信州高原』の文字部分は、『長野県に展開する高原』の意味合いを認識させ、実際に、同県の高原を指すものとして用いられている実情も見受けられる。また、『放牧豚』の文字部分は、豚舎を使わずに放牧飼育される豚といった意味合いで、様々な産地において、また、農家、事業者によって使用されている実情をうかがうことができる。そうとすれば、本願商標は、全体として『長野県に展開する高原で放牧によって育った豚』といった意味合いを認識させるので、これを、その指定商品に使用をしても、これに接する需要者は、本願商標を、上記意味合いの産地及び品質を表示したものと理解するにすぎず、これを特定の事業者の業務に係る商品であることを表すための識別標識とは認識し得ないというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲Bに示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成25年5月22日付け証拠調べ通知書によって、当該事実を通知し意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要旨

請求人は、「証拠調べの結果をみても、本願商標を拒絶とする理由は何ら存在しないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。」旨主張し、その理由を要旨次のように述べた。

(1)本願商標の「信州高原放牧豚」は、同大及び同一字体の漢字7文字を一体に書したものであり、「信州」、「高原」、「放牧」及び「豚」をそれぞれ分離して取引する蓋然性はなく、「放牧豚」の語が一般に用いられている普通名称の度合いが強く、平地の牧場のみならず高原で放牧する事例も見受けられるから、あえて分離観察するとすれば、「信州高原」と「放牧豚」を組み合わせた結合商標と見ることが自然であり、「信州高原」の位置づけが商標の要部として最も大きなポイントとなる。

(2)証拠調べ通知で挙げられた証拠のうち、「信州高原トレッキングガイド」と「信州高原ドライブ」は、信州(長野)の高原を総称した意味として単なる観光ガイドのフレーズとして用いており、産地としての使用ではない。また、「信州高原野菜ジュース」、「信州高原ぶどう」、「信州高原蕎麦」は、信州高原の名称を使用するも、その使用する物品は、「野菜ジュース」、「ぶどう」、「蕎麦」であり、「信州の高原で採れた」野菜や果実というイメージアップを図る狙いがあるから、特定の産地を表示するというよりも「信州高原」のイメージを利用する意図が大きい。

(3)「信州高原」の語は、あくまでも信州の高原全体をイメージ、すなわち、一定の観念を想起させるための「造語」であって、産地として普通に使用される名称ではない。

5 当審の判断

本願商標は、別掲Aのとおり、「信州高原放牧豚」の文字を横書きにしてなるところ、その構成文字に照らせば、「信州」、「高原」、「放牧」及び「豚」の各文字を結合してなるものと容易に看取され得るものである。

ところで、「信州」の文字が「信濃(しなの)国の異称」、「高原」の文字が「山地のある、海抜高度の高い平原。」、「放牧」の文字が「馬・牛などの家畜を放し飼いにすること。」(いずれも、「大辞泉」、株式会社小学館発行)をそれぞれ意味する語であり、いずれも広く親しまれた平易な語と認められるから、これらの語と「豚」の語を結合して表された「信州高原放牧豚」の文字全体からは、それを構成する各単語の語義から、「信州(長野県)の高原で放し飼いされた豚」の意味合いを容易に理解させるものである。

そして、本願の指定商品の分野においては、別掲Bの2の(1)ないし(8)の新聞記事によれば、長野県を始め、他県においても、高原で放し飼いにした豚の飼育が普通に行われており、また、同じく2の(9)ないし(12)の新聞記事及び3の(3)ないし(5)のインターネットのホームページにおける記載によれば、放牧された豚の豚肉製品も製造・販売されている実情がうかがえる。

そうすると、「信州高原放牧豚」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「信州(長野県)の高原で放し飼いされた豚の豚肉又は豚肉製品」であることを理解するに止まり、単に、商品の品質を表示するものであると理解、認識するといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

なお、請求人は、「放牧豚」の文字は、普通に使用され、放牧された豚という普通名称と判断されるが、「信州高原」の文字は、信州の高原全体をイメージさせ、一定の観念を想起させる「造語」であって、産地として普通に使用される名称ではない旨主張する。

しかしながら、本願商標の「信州高原放牧豚」の文字全体からは、それを構成する各単語の意味から「信州(長野県)の高原で放し飼いされた豚」の意味合いを容易に理解、認識させるものであること、上記認定のとおりであり、「放牧豚」の文字が一連に普通に使用されていることをもって、「信州高原」の文字を本願商標の要部となる一連の造語として認識しなければならないというような実情は見いだすことができないから、請求人の上記主張は採用できない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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