Trademark Appeal Case
称呼類似と取引実情
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900139(T2013−900139/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5556518号商標(以下「本件商標」という。)は、「韓単」の漢字を標準文字により表してなり、平成24年9月19日に登録出願、第29類「食用油脂,食肉,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「茶,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,食用粉類」を指定商品として、同年12月27日に登録査定、同25年2月8日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5425406号商標(以下「引用商標」という。)は、「韓湯」の漢字を標準文字により表してなり、第29類「カレー・シチュー又はスープのもと,即席スープ,お茶漬けのり,ふりかけ,肉製品,加工水産物」及び第30類「調味料,香辛料,穀物の加工品,べんとう」を指定商品として、平成23年7月15日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標と引用商標の類否
商標の類否判断においては、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならず、称呼、外観及び観念のいずれかが類似する関係にある場合には、対比する商標は、類似するとの判断が一般的である。
そこで、商標の有する外観、称呼及び観念により、本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標及び引用商標は、標準文字をもって「韓単」及び「韓湯」と一連の横書きで表示した構成からなり、本件商標は、「カンタン」の称呼を唯一生じ、引用商標は、「カンタン」及び「カンユ」の称呼が生じる。
したがって、対比する商標からは、共通する「カンタン」の称呼が生じる。
また、本件商標と引用商標とは、ともに造語からなるものであって、特定の観念を生じるものではないから、観念上大きく異なるということはできない。さらに、いずれも商標の語頭に「韓」の文字を配してなるものであることからすれば、外観上も明らかに相違するというほどのものではない。
よって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念を総合して考察すれば、類似と判断すべきである。
なお、本件商標と引用商標との類否判断において、称呼における共通性を看過すべき取引の実情は存在しないことからすれば、上記申立人の主張には、理由がある。
2 類否判断にあたり考慮すべき取引の実情
本件商標と引用商標とは、飲食料品の分野で使用されるものであって、実際に使用されている(甲第3号証及び甲第4号証)。
両商標は、その指定商品の販売促進(広告)活動の一環として行われる、飲食料品のレシピ(本件商標と引用商標の権利者の提供に係る商品を用いたもの)を紹介するインターネット上のウェブサイトで使用されているところ、これらのウェブサイトを見る需要者、取引者は、該サイトでの標章の表示の態様より、これらのウェブサイトを「カンタン」又は「カンタンレシピ」と称呼し、かつ、認識することは明らかである。
また、ともに「韓国」の食材や料理を紹介するウェブサイトであり、その内容の共通性からしても、このようなウェブサイトにて同一の称呼をもって認識される本件商標と引用商標が使用された場合には、需要者、取引者において、出所の混同のおそれを招来することは明白である。
さらに、申立人は、本件商標と引用商標の指定商品中、同一又は類似の関係にある商品の分野において、標章の外観や観念のみに注目し取引を行うといった「普遍的・固定的な取引実情」ついて、不知である。換言すれば、該商品分野において、称呼を用いずに商品取引を行うといった事実は存在しない。
この点、これらの指定商品の需要者、取引者が広く世間一般であることに鑑みれば、商標を称呼して取引にあたることが一般的な取引の方法であり、商標の類否判断において、標章から生じる称呼の共通性を軽微な事情として看過する積極的な事情及び理由は見あたらない。
したがって、裁判例(最高裁 昭和33年(オ)1104号「橘正宗事件」及び最高裁 昭和39年(行ツ)110号「しょうざん事件」)に基づき本件を考察すれば、本件商標と引用商標の類否判断における考慮すべき取引の実情において、商標から生じる称呼の同一性を凌駕し、外観及び観念のみに依拠して商標を認識すべき実情は存在しない。
また、仮に、そのような取引の実情が存在するとしても、商標の類否判断で考慮されるべき取引の実情は、普遍的であり、また、固定的であることが必要であることは、上記裁判例の示すところである。
3 引用商標の使用状況
引用商標は、現在まで申立人の商品「韓湯美味」シリーズにおいて、使用されている。
また、インターネット上で、「韓湯」を検索すると、申立人の商品「韓湯美味」シリーズの専用ウェブサイトが検索でき、その他「韓湯美味」シリーズに関する情報が数多くヒットする(甲第5号証)。
さらに、引用商標が使用される商品について、活発な宣伝広告活動が行われており、その結果、相当数の販売実績を挙げ、また、雑誌でも頻繁に取り上げられている(甲第6号証ないし甲第14号証)。
したがって、同一の商品分野において、先行して商標登録、使用される引用商標「韓湯」とその称呼「カンタン」において、完全に同一の本件商標が市場で使用された場合には、本件商標及び引用商標の権利者の提供に係る各商品の間で出所の混同を生じるおそれがある。
4 審判決例からの考察
特許庁においては、称呼を同一とし、外観及び観念において構成を異とする商標について、非類似の商標と認定すべき取引の実情がないために、結局は称呼の共通性を理由として登録を拒絶したと思しき審査例が枚挙にいとまがなく存在する。
このような審決例からしても、称呼における共通性を看過して商標を非類似と認定することは認められるべきでない。
よって、引用商標との関係及び指定商品の分野において、考慮すべき取引の実情が示されない本件商標についても同様の判断がなされるべきであり、本件商標は、引用商標に類似すると判断すべきを相当とする。
5 商品の類否
本件商標の指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」と引用商標の全指定商品とは、同一又は類似するものである(甲第15号証)。
したがって、本件商標の指定商品のうち、少なくともこれらの商品についての商標登録は、取り消されるべきである。
6 結語
以上より、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、「韓単」の漢字を標準文字により表してなるものである。
そして、該「韓単」の文字は、辞書等に熟語としての用例が見あたらないことからすれば、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然であり、漢字を2字結合した時には、それぞれの漢字を音読みされることが一般的であるところ、本件商標を構成する「韓」及び「単」の各文字は、いずれも常用漢字とされるものであって、前者は、「カン」の音読み及び「中国古代の国名。朝鮮の国名。」などの意味を、後者は、「タン」の音読み及び「ただ一つ。一様で変化がない。」などの意味(広辞苑第六版)をそれぞれ有するものとして一般に知られているものである。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「カンタン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
2 引用商標
引用商標は、「韓湯」の漢字を標準文字により表してなるものである。
そして、該「韓湯」の文字は、辞書等に熟語としての用例が見あたらないことからすれば、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然であって、本件商標と同様に、引用商標を構成する「韓」及び「湯」の各文字は、いずれも常用漢字とされるものであって、前者は、「カン」の音読み及び「中国古代の国名。朝鮮の国名。」などの意味を、後者は、「トウ」の音読み及び「熱を加えて、あつくした水。ゆ。」などの意味(広辞苑第六版)をそれぞれ有するものとして一般に知られているものである。
してみれば、引用商標は、その構成文字に相応して、「カントウ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
3 本件商標と引用商標との類否
(1)外観
本件商標及び引用商標は、上記1及び2のとおりの構成からなるところ、両商標は、「韓」の文字を共通にするとしても、それに続く「単」及び「湯」の文字において相違し、外観上、区別できる差異を有するものであるから、これらが互いに紛れるおそれはない。
(2)称呼
本件商標から生ずる「カンタン」の称呼と引用商標から生ずる「カントウ」の称呼とは、前半において「カン」の音を共通にするとしても、後半において「タン」及び「トウ」の音を異にするものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合には、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。
(3)観念
本件商標及び引用商標は、ともに特定の意味を有することのない造語からなるものであるから、観念上、両商標を比較することができない。
(4)考慮すべき取引の実情
申立人は、その指定商品の販売促進(広告)活動の一環として行われる、飲食料品のレシピ(本件商標と引用商標の権利者の提供に係る商品を用いたもの)を紹介するインターネット上のウェブサイトで使用されているところ、これらのウェブサイトを見る需要者、取引者は、該サイトでの標章の表示の態様より、これらのウェブサイトを「カンタン」又は「カンタンレシピ」と称呼し、かつ、認識することは明らかであって、また、ともに「韓国」の食材や料理を紹介するウェブサイトであり、その内容の共通性からしても、このようなウェブサイトにて同一の称呼をもって認識される本件商標と引用商標が使用された場合には、需要者、取引者において、出所の混同のおそれを招来することは明白である旨主張する。
しかしながら、申立人は、本件商標と引用商標とは、同一の称呼を生じることを前提としているところ、本件商標は、「韓単」の文字であり、引用商標は、「韓湯」の文字であって、引用商標について、その読みを特定する「カンタン」の文字が付されているものではないから、その称呼は、一般的に音読みにした「カントウ」の称呼が自然であるとするのが相当である。
そうとすると、引用商標から「カンタン」の称呼を生じるとする申立人の主張は、その前提において当を得ておらず、採用することができない。
また、申立人は、本件商標の使用に係る「韓単レシピ」及び引用商標に係るとする「韓湯美味/カンタンビミ」などについて「かんたんレシピ」を使用していると述べているものであるから、申立人主張のこれらの実情は、本件商標及び引用商標とは相違する文字の使用についてであって、本件商標及び引用商標の考慮すべき取引の実情とはいい難い。
(5)以上によれば、本件商標と引用商標とは、観念においては、比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものであって、考慮すべき取引の実情も見いだせないから、両商標は、非類似の商標というべきである。
(6)したがって、本件商標と引用商標とは、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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