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Trademark Appeal Case

周知商標の悪意登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900010(T2013−900010/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5528631号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5528631号商標(以下「本件商標」という。)は、「遊穂」の文字を標準文字で表してなり、平成24年5月14日に登録出願、同年9月5日、第33類「日本酒」を指定商品として登録査定、同年10月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)商標法第3条第1項柱書について

商標権者は、酒販店を営業していた時期がある可能性が存在するから、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の醸造販売する日本酒「遊穂」(以下「申立人商品」といい、当該商標を「引用商標」という。)は、需要者の間で広く認識を得ていることを十分に知っていたことは歴然としている。

また、商標権者は、本件商標の登録直後に申立人に対して金銭の請求を行ってきている。

商標権者が経営していたと思われる酒販店「酒のはすい」は、既に実質的な営業を行っていない可能性が極めて高く、かつ、そもそも酒販店では、自己の商品として日本酒の「遊穂」という商標を使用する合理的必要性は全く存在しない。

かかる事実を総合的に勘案するならば、商標権者は、現在及び将来において本件商標を使用する意思を全く有していないにもかかわらず、既に周知・認識を得ていた引用商標が商標登録をしていなかった事実を知り、これを奇貨として、申立人から登録料名下にて金銭を請求するためだけに商標の登録を実施したものである。

かかる本件商標の登録出願は、商標法第3条第1項柱書に規定する「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当しない出願であることは明白である。

(2)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、商標を「遊穂」とし、第33類「日本酒」を指定商品とするものであるが、需要者間において、日本酒の「遊穂」とは、申立人商品を意味するものとして広く認識されている。

仮に、商標権者において本件商標について使用の意思が存在していたと仮定しても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由

商標権者に対して、平成25年5月15日付けで通知した取消理由は、次のとおりである。

(1)申立人及びその取り扱いに係る商品「日本酒」に使用されている商標「遊穂」について

ア 申立人が提出した甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を総合すれば、申立人は、石川県羽咋市において酒造業を営んでいるところ、同人は明治30年に酒造業として創業され、大正10年より株式会社化し、平成17年に製造を始めた申立人商品に「遊穂」(引用商標)との名称を採択し、以降、申立人商品は、今日まで24都道府県に販路を広げ、また、これが、日刊新聞紙、日本酒や飲食物の専門誌及び地域案内誌などの雑誌に取り上げられ、申立人の取り扱いに係る、日本酒「遊穂」として紹介されてきたことが認められるものである。

なお、申立人の主張によれば、「遊穂」という名称は、申立人が所在する石川県羽咋市においてUFOの目撃情報が多いことにちなんで付けられたものとのことであり(甲第2号証も参照)、この語自体は既成語ではないことから、創造性の程度は高いものというべきである。

イ 以上によれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品「日本酒」を表示するものとして、本件商標登録出願前に、北陸地方、関東地方、関西地方における日本酒の取扱業者、販売業である取引者のみならず、日本酒を好む需要者の間で広く認識され周知となっていたといえるものである。

(2)商標法第4条第1項第7号について

ア 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録を受けることができないと規定しているが、ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合であるばかりではなく、当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合や当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日知財高裁判決言渡し 参照)。

イ 前記(1)で認定した事実によれば、申立人商品は、平成17年より販売が開始され、本件商標が登録出願された平成24年5月14日においては、地元石川県を中心に24都道府県に販路があり、そして、これが、日刊新聞紙、日本酒や飲食物の専門誌及び地域案内誌などの雑誌に取り上げられてきたことが認められ、それに使用されている引用商標」は、少なくとも、北陸地方、関東地方、関西地方における日本酒の取扱業者、販売業である取引者のみならず、日本酒を好む需要者の間で広く認識され周知となっていたということができるものである。

加えて、甲第23号証によれば、商標権者は、申立人と同県である、石川県加賀市において酒販店「酒のはすい」を営業していたことから、申立人商品を知悉していたと優に推認できるものである。

また、甲第25号証によれば、商標権者は、本件商標が設定登録されると同時に申立人に対して、「登録商標料」なる金員を請求していることが認められる。そして、商標権者は、同人の請求を拒否する趣旨の申立人による回答書に対して返答・連絡をしていない(甲第26号証(枝番を含む。))。

そうとすれば、商標権者は、すでに周知となっていた引用商標について、申立人が商標登録をしていないことを奇貨として、申立人に金員を請求するという不正な目的のもと、申立人が使用する商標について剽窃的に出願したものというべきである。

このような、申立人による本件商標の登録出願の経緯には、社会的相当性を欠くものがあるといえ、その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものというべきである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものといわなければならない。

(3)商標法第4条第1項第10号について

前記(1)で認定した事実によれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品「日本酒」を表示するものとして、本件商標登録出願前に、北陸地方、関東地方、関西地方における日本酒の取扱業者、販売業である取引者のみならず、日本酒を好む需要者の間で広く認識され周知となっていたといえるところ、本件商標は、引用商標「遊穂」と類似する商標であつて、その商品と同じ「日本酒」について登録されたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

(4)結語

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第10号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。

5 当審の判断

本件商標について通知した上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第10号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、これを取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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