Trademark Appeal Case
地名・釣法と熟達者の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900110(T2013−900110/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5551335号商標(以下「本件商標」という。)は、「Skagit Master」の欧文字と「スカジットマスター」の片仮名を上下二段に書してなり、平成24年7月27日に登録出願、同年12月21日に登録査定され、第28類「釣り具」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定商品及び指定役務として、同25年1月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第28類「釣り具」についてその商標登録を取り消すべきであるとして、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第36号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号について
本件商標は、「Skagit Master」及びこれを片仮名で表した「スカジットマスター」を上下二段に併記してなるところ、「Skagit」、「スカジット」は、アメリカ合衆国ワシントン州の西海岸部に位置する郡を示す語であり、同郡を流れるスカジットリバー(スカジット川)の釣りに適したキャスティング方法の名称としても、多くの釣り愛好家の間で広く知られている。他方、「Master」、「マスター」は、「名人、達人」の意を有する他、「〜を修得する」の意も有する英単語として広く知られている。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標の構成より、「スカジット上級者用の釣り具」、「スカジットを修得するための釣り具」程度の意味を直接的に把握、認識するということができる。
してみれば、本件商標をその指定商品中「スカジットに用いる釣り具」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品の品質、内容を記述的に表したものと理解するにとどまり、本件商標を以って自他商品の識別標識と認識することはできない。
したがって、本件商標は、前記商品の内容を記述的に表すものであって、何人もその使用を欲するものであるから、これを一私人に独占させることは適当ではなく、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当することは明らかである。
また、仮に、本件商標が、「スカジット(キャスト)」とは全く無関係のキャスティング(釣り)方法に用いられる釣り具に使用された場合、該商品が恰も「スカジット」用の釣り具であるかの如く、需要者において該商品の品質について誤認される可能性があることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4第1項第16号に該当することは明らかである。
(2)まとめ
本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、上記1のとおり、「Skagit Master」の欧文字と「スカジットマスター」の片仮名よりなるものであり、下段の片仮名部分は、上段の欧文字部分の読みを表しているものと無理なく理解できるものである。
そして、「Skagit」及び「スカジット」の文字は、「スカジット郡(アメリカ合衆国ワシントン州の西海岸部に位置する郡)、スカジット川」の意味合いとして理解されるものである(甲2)。
ところで、申立人の提出に係る証拠によれば、釣りに関する雑誌やインターネット情報によれば、釣りに関して、「スカジット」、「スカジットキャスト」及び「スカジットシステム」等の言葉が多数使用されていることが認められるものであって、「スカジット(Skagit)」の文字は、スカジット郡に流れるスカジット川の名前に由来する釣りの方法の一つの名称として理解されるものである。
また、「Master」及び「マスター」の文字は、「師匠、親方、熟達者、所有者、雇い主、主人」等の意味を有するものである。
そうとすれば、本件商標は、異議申立てに係る指定商品「釣り具」との関係においては、「スカジット釣りの名人」程の意味合いを理解させるものというのが相当である。
(2)ところで、申立人は、本件商標からは、「構成全体から『スカジット上級者用の釣り具』又は『スカジットを修得するための釣り具』との観念を生じさせるに過ぎない本件商標を前記商品について使用したとしても、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識として機能を果たし得ない。」旨の主張をしているが、上記したとおり、本件商標からは、「スカジット上級者用」又は「スカジットを修得するため」というような意味合いを認識するものとはいえず、「スカジット釣りの名人」程の意味合いを理解させるものとしても、具体的な品質を表示するものではない。また、該「Skagit Master」、「スカジットマスター」の文字が使用されている事実は、提出された証拠からは見いだせず、さらに、職権による調査によっても、これらの文字が品質を表すものとして使用されている事実は発見できなかった。
(3)そうとすれば、本件商標は、その指定商品との関係において、直ちに特定の商品の品質を直接的、かつ、具体的に表示するものとして一般に認識、把握されているものではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、いずれの指定商品に使用しても、商品の品質を表示するものではなく、かつ、その構成中に、「Skagit」及び「スカジット」の文字が含まれているとしても、上記意味合いを理解させる本件商標においては、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないものである。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第28類「釣り具」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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