sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の僅差と類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900051(T2013−900051/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5536565号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5536565号商標(以下「本件商標」という。)は、「AEROVENT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年6月11日に登録出願、第5類「薬剤(人用のもの),有害動物駆除剤,殺菌剤,除草剤,その他の薬剤」を指定商品として、同年10月15日に登録査定、同年11月16日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

ア 登録第1219117号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ATROVENT」の欧文字を横書きしてなり、昭和47年12月5日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同51年9月16日に設定登録されたものである。その後、平成20年3月26日に、上記指定商品を、第5類「呼吸器官用薬剤,その他の薬剤」とする書換登録がされたものである。

イ 登録第1376170号商標(以下「引用商標2」という。)は、「アトロベント」の片仮名を横書きしてなり、昭和50年11月5日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同54年3月23日に設定登録されたものである。その後、平成22年4月7日に、上記指定商品を、第5類「薬剤」とする書換登録がされたものである。

(以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、「引用商標」という。)

(2)理由の要点

本件商標は欧文字で「AEROVENT」と書してなるのに対し、引用商標1は欧文字で「ATROVENT」と書してなり、両商標は、2文字目を除く7文字「A」、「R」、「O」、「V」、「E」、「N」及び「T」が、並び順を含め一致する相紛らわしい外観上類似の商標である。

また、本件商標からは「アエロベント」の称呼が生ずるのに対し、引用商標1及び2からは「アトロベント」の称呼を生ずるので、両者は、相紛らわしい称呼上類似の商標である。

さらに、引用商標1及び2は、1975年の発売以来、40ケ国以上で販売されている代表的な呼吸器疾患用治療薬であり、英語辞典を含む複数の辞典に掲載されている申立人の周知・著名商標である。

そして、本件商標と引用商標とは、それぞれの指定商品が互いに類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の3第2項により、その登録は取消しを免れない。

3 当審の判断

(1)本件商標

本件商標は、「AEROVENT」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、特定の語義を有しない造語と認められるものであり、英語又はローマ字の読みに倣って「アエロベント」又は「エアロベント」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標

引用商標1は、「ATROVENT」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、特定の語義を有しない造語と認められるものであり、英語又はローマ字の読みに倣って「アトロベント」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

また、引用商標2は、「アトロベント」の片仮名を横書きしてなるところ、該文字は、特定の語義を有しない造語と認められるものであり、その構成文字に相応して「アトロベント」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否

ア 本件商標と引用商標1の類否

本件商標と引用商標1とは、いずれも欧文字8文字からなり、2文字目において「E」と「T」が相違し、それ以外の7文字を共通にするものであるから、外観上近似した印象を与えるものである。

次に、本件商標から生ずる「アエロベント」の称呼と引用商標1から生ずる「アトロベント」の称呼とを比較するに、両称呼は、2音目において「エ」と「ト」の差異を有するところ、「エ」の音は、調音の位置を前舌とし、顎を半開きとして発する母音であるのに対し、「ト」の音は、調音の位置を上歯茎とし、呼気を破裂させて発する子音「t」と、顎を半開きとして発する母音「o」とからなる音であって、両音は、調音の位置及び方法において明確に相違し、容易に聞き分けられるものであるから、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語感、語調が異なり、相紛れることなく区別し得るものである。また、本件商標から生ずる「エアロベント」の称呼と引用商標1から生ずる「アトロベント」の称呼とを比較すると、両称呼は、語頭部における「エ」と「ア」及び2音目における「ア」と「ト」の差異を有するものであって、これらの音の差異は称呼全体に明らかな影響を及ぼすものといえるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、容易に聞き分けることができるものである。

さらに、本件商標と引用商標1とは、上記(1)及び(2)のとおり、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において類似するということはできない。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観において近似した印象を与え得るものであるとしても、称呼及び観念において類似するものではないから、これらを総合勘案すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

イ 本件商標と引用商標2の類否

本件商標と引用商標2とは、欧文字と片仮名というそれぞれ異なる文字種により表されたものであり、外観を明らかに異にするものである。

また、本件商標から生ずる称呼「アエロベント」又は「エアロベント」と、引用商標2から生ずる称呼「アトロベント」とは、上記アのとおり、相紛れることなく区別し得るもの、あるいは明らかに相違するものである。

さらに、本件商標と引用商標2とは、上記(1)及び(2)のとおり、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において類似するということはできない。

してみれば、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

(4)申立人の主張について

申立人は、引用商標を付した呼吸器疾患用の薬剤は、40ケ国以上で販売されており、また、引用商標は英語辞書等に掲載されている周知・著名な商標である旨述べているが、提出に係る証拠からは、慢性閉塞性肺疾患用治療薬「アトロベント」が1975年に発売されたことは確認できるものの、我が国における使用期間、範囲、販売数量、売上金額等の具体的な販売実績は明らかでなく、また、辞書類への掲載の基準は、通常、編集する側ごとに差異があるものであるから、そのような辞書への掲載の事実をもって、直ちに著名な商標ということはできない。

したがって、提出に係る証拠をもってしては、引用商標が、本件商標の登録査定時において、我が国の需要者の間で広く認識されていたものとはいえず、本件商標と引用商標との類否の判断に影響を与えるものともいえない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。