Trademark Appeal Case
略称の著名性判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900178(T2013−900178/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5562855号商標(以下「本件商標」という。)は、「桜ミク」及び「SAKURA MIKU」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成24年8月30日に登録出願、第3類、第9類、第16類、第21類、第25類、第28類、第30類、第32類、第34類、第39類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年3月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
本件商標中に含まれる漢字「桜」及び欧文字「SAKURA」は、文具業界や紙業界において、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である株式会社サクラクレパスの著名な略称として認識されている「サクラ」と社会通念上同一であって、「サクラ」と同一視し得るものである。
したがって、本件商標は、申立人の著名な略称「サクラ」を含むものであり、また、本権商標権者は、申立人の承諾を受けていないから、商標法第4条第1項第8号に該当し、その指定商品中、第16類「紙類(包装用紙,トイレットペーパー,ちり紙を含む。),文房具類(手帳,ノートブック,便せん,封筒,ボールペン,シール,下敷き,筆箱を含む。)」について、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、「桜ミク」及び「SAKURA MIKU」の文字からなるものであるところ、「桜ミク」の文字部分は、漢字「桜」と片仮名「ミク」とを同じ書体、同じ大きさ、等間隔で、軽重の差や主従の関係なく、一体的に表したものであり、特定の観念を生じさせない一連の造語として看取されるものである。
また、「SAKURA MIKU」の文字部分は、「SAKURA」と「MIKU」との間に空白を有するものの、各構成文字を同じ書体、同じ大きさの文字で一連に表したものであり、上段「桜ミク」の表音を欧文字で表記したものとみてとれるものである。
そして、本件商標は、これら構成文字に相応して生じる「サクラミク」の称呼をもって取引に資されるというべきものである。
(2)申立人の略称について
申立人提出の証拠によれば、昭和46年1月10日現在版から2012年版に至る申立人の製品カタログには、いずれも申立人の名称と共に、「サクラ」が表示されていること、そして、申立人の社標には、その構成中に「SAKURA」の文字が表示されていることが認められる(甲100〜甲110)。
また、申立人の名称から法人であることを示す「株式会社」の部分を除いた「サクラクレパス」が、申立人の略称であることは明らかであるところ、平成20年から本件商標の出願時に至る間に発行された、文房具や事務用品に関連する複数の業界紙において、申立人「(株)サクラクレパス」あるいは「サクラクレパス」を主語とする内容の記事の小見出し中に、「サクラ」が表示されていることが認められる(甲2〜甲99)。さらに、同業他社が、そのウエブサイトで申立人を「サクラ社」と表記している事例が認められる(甲1)。
そうしてみると、文房具等の業界において、「サクラ」が、申立人及び同人に係る「サクラクレパス」の略称として表示されていることが認められるから、これに接する者が「サクラ」を申立人の略称として認識するということができる。
しかしながら、申立人の略称「サクラ」としての認識は、文房具等の業界においての範囲に止まるとみるのが相当であって、全証拠によってみても、本件商標の出願時及び査定時において、「サクラ」が、申立人を指称する略称として一般に認識されるに至っていたとまでは、認めることができないといわざるを得ない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
ア 本号の趣旨は、人の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護すること、すなわち、人(法人等を含む。)は、自らの承諾なしに、その氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護することにあるところ、問題となる商標に他人の略称等が存在すると客観的に把握できず、当該他人を想起させることができないのであれば、他人の人格的利益が毀損されるおそれはないから、他人の略称等を含む商標に該当するか否かを判断するに当たっては、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起させるものであることを要すると解される(平成21年(行ケ)第10074号判決参照)。そして、「著名な略称」に該当するか否かを判断する際には、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものである(最高栽・平成16年(行ヒ)第343号第二小法廷判決参照)。
イ これを本件についてみると、前記(2)のとおり、「サクラ」は申立人を指し示すものとして一般に受け入れられている「著名な略称」ということはできないものである。
そして、本件商標は、その構成中に「桜」及び「SAKURA」の文字部分を有するところ、「桜」及び「SAKURA」の文字は、我が国の国花であり、親しまれ愛されている花木(桜)を表現する語として広く一般に認識されているものである。
しかして、本件商標は、前記(1)のとおり、上下段の文字が一連に表された構成態様のものである上、前記(2)で認定した申立人の略称「サクラ」の周知性をもって、上記した「桜」等についての一般的な認識を凌駕して申立人を想起させるとは認め難いから、構成中の「桜」及び「SAKURA」の文字部分が、申立人の略称として認識させることはないとみるのが相当である。
ウ してみると、本件商標は、その構成中に「桜」及び「SAKURA」の文字部分を有するものの、当該部分が独立して申立人の略称として把握され、これより同人を想起させるとは認め難いものであるから、本号の「他人の著名な略称を含む商標」には当らないというべきである。
なお、申立人は、同人の略称「サクラ」と「桜」や「SAKURA」とが社会通念上同一のものであり同視し得るものであるとして、縷々述べているが、上記したとおり、「桜」及び「SAKURA」が申立人の略称として把握され、これより同人を想起させることがない以上、同人の略称「サクラ」と「桜」及び「SAKURA」とを同視することはできず、かかる申立人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものとはいえない。
(4)まとめ
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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