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Trademark Appeal Case

商標の類似性と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−685007(T2013−685007/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第1115208号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第115208号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2012年1月6日フランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2012年(平成24年)3月30日に国際商標登録出願され、第25類「Clothing,footwear,headgear for men,women and children;leather or imitation leather clothing;coats,jackets,raincoats,shirts,tee−shirts,polo shirts,jumpers,dresses,skirts,trousers,Bermuda shorts,underwear,socks,bathing suits,fur (clothing),dressing gowns,gloves [clothing],belts [clothing],scarves,fur stoles,sashes for wear,neckties,hosiery,caps.」を指定商品として、平成24年11月9日に登録査定、平成25年1月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

ア 登録第748123号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成 A&F

出願日 昭和40年12月9日

登録日 昭和42年7月24日

指定商品 第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」

イ 登録第5194953号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成 A&F

出願日 平成19年9月28日

登録日 平成21年1月9日

指定商品 第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」

(2)引用商標の著名性

ア 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、引用商標1及び2の権利者であり、各商標「A&F」は、その高品質商品の提供と魅力的なライフスタイルを提案するブランドであるとして、世界中で需要者に広く知られ、その著名な商標として認知されている。

イ 申立人による日本への自社商品の輸入は、2001年より前から行っていた。

日本国内の店舗での販売は、2009年12月15日に1号店として東京中央区銀座に開店し、2010年11月11日に福岡市中央区にも店舗を構えている。2012年3月29日までの引用商標を含むブランドの店舗の売上げは、107,226,186.63米ドルであり(甲8)、約2年3か月の期間でこれだけの顕著な数字を残している。

2001年から2012年3月29日までの日本国内でのウェブサイトを介した商品の販売(申立人の製品全般)に係る売上高は、86,300,709.86米ドルである(甲9)。

日本での広告費は、2009年に526,133米ドル、2010年に129,763米ドルを費やしている(甲10)。

ウ 申立人の親会社であるアバクロンビー アンド フィッチは、少なくとも1902年よりその社名の要部である「ABERCROMBIE & FITCH」を男性及び女性の衣服ないし靴の商標として使用を開始し(甲11)、その後も110年以上もの長期間にわたって使用し続けている。現在は、衣料用装飾品、宝石、かばん、パーソナルケア製品などにも使用されている。

商標「A&F」は、1978年より米国において、スポーツ用品の分野にて使用されてきた。商標「A&F」は、著名商標「ABERCROMBIE & FITCH」の頭文字であり、かつ、「ABERCROMBIE & FITCH」を指し示す語として使用されている(甲13、甲14)。

現在では、米国のほか、カナダ、ベルギー、デンマーク、フランス、独、イタリア、日本、スペイン、シンガポール、英国の小売店にて使用され、インターネット販売に関連してそのウェブサイトにおいても使用されている。

「ABERCROMBIE & FITCH」と「A&F」を含むブランドの世界での純売上高は、順調に伸び、2011年は20,630億米ドルである。

Famecout (www.famecount.com)では、アバクロンビー アンド フィッチは、トップ有名100ブランドの内、12位に位置し、世界に数あるブランドのトップクラスに属している。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、エンブレムの縁を想起させる図形と、その中に、中央に大きく、欧文字の「A」と「F」とが「A」の縦の右辺と「F」の縦の辺とが結合したようにデザインされたものであり、これを看取する需要者は、欧文字「A」と「F」からなるものと容易に理解することができる。そして、「『A』と『F』」つまり「『A』『&(アンド)』『F』」と構成文字から容易に想起することができるものである。また、称呼の面では、「エイ・エフ」ないし「エーとエフ」若しくは「エー・アンド・エフ」と称呼してしかるべきものである。

一方、引用商標1及び2は、その構成より「エイ・アンド・エフ」と称呼するのが自然である。

上述したように引用商標1及び2の商標権者であるアバクロンビー アンド フィッチ ヨーロッパ エスアーの要部「ABERCROMBIE & FITCH」が世界的に著名であることから、引用商標1及び2の標章は、この商標権者名の頭文字を組み合わせたものであると、外観及び称呼の共通性からこれを看取した需要者をして容易に想起せしめるものである。

また、引用商標1及び2の「&」は、その左右に記載された文字を結びつける機能を有するものであるから、引用商標1及び2と本件商標は、観念上同一のものである。

引用商標1及び2が世界的に著名であることによって、当該商標及び指定商品の類似の範囲が全くの周知性を有さない商標に比べて拡大することにかんがみても、指定商品の属する服飾業界においては、欧文字の「A」と「F」が組み合わされたロゴは、需要者をして容易に各引用商標と類似する、つまり申立人か、若しくは少なくとも申立人と経済的つながりを持つものにより提供される商品についての商標であると認識される程類似しているといえる。

したがって、本件商標は、本規定に反して登録されたものと考える。

(4)商標法第4条第1項第15号違反

前述のとおり、各引用商標と本件商標とは、外観、称呼、観念のすべての面において相類似する商標であるほか、指定商品等も類似であることから、需要者をして出所の混同を生じせしめるおそれが存在する。その上、申立人も服飾業界に属しているばかりか、それぞれの商品のラインアップも実質的に競合関係にあるといえる。したがって、本件商標に接した需要者は、申立人の著名な各引用商標を容易に想起でき、更には経済的な関連性のある者により提供された商品であると思わせ、容易に出所の混同を生じさせる、又はその蓋然性が高いものといえる。

(5)商標法第4条第1項第19号違反

本件商標の登録出願日のみならず、その基礎出願の出願日より前から、各引用商標は著名であると、フランスを初め欧州各国で認定されたあとに、本件商標に係る国際登録が申請されている。また、商標権者は、申立人と同一業界である服飾業界に属しており、申立人の存在はおろか、その著名性を無視できない立場にある。商標は、選択物であるところ、欧文字の「A」と「F」の組合せを被服の分野で採用しようとする商標権者の意思は、申立人の各引用商標の著名性にフリーライドして、不正の利益を得る目的、その他の不正の目的を持って使用しようとしたものと言っても過言ではない。

(6)商標法第4条第1項第7号違反

本件商標は、前記のとおり、申立人の各引用商標に化体した名声・信用・評判にフリーライドする意図があって出願したものと言って過言ではなく、各引用商標の名声等を希釈化ないし著しく毀損するおそれがあるものである。したがって、本件商標の登録は、国内の商取引の規則を乱し、ひいては、国際信義則に反し、公序良俗を害するものであることは明らかである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、別掲のとおり、五角形の輪郭内に、縦線を太く端部をブラケットセリフで表した欧文字の「F」様の部分を配し、その縦線の上部左側セリフ部分から左下方向にブラケットセリフを有する欧文字「A」の左半分様の部分を一体的に配したモノグラムをまとまりよく配してなるものである。

そして、上記モノグラム部分が独立して看取されることがあるとしても、当該部分は、一見してその構成文字を明確に判読できない程、図案化した特異な図形であるというべきであるから、本件商標は、特定の称呼及び観念を生じるものとはいえない。

一方、引用商標1及び2は、いずれも「A&F」の文字を横書きしてなるものであるから、「エーアンドエフ」の称呼及び「AとF」の観念を生じる。

そこで、本件商標と引用商標1及び2の類否について検討するに、まず、外観については、本件商標と引用商標1及び2とは、外観上明らかに相違するものであり、本件商標のモノグラム部分についてみても何ら相紛れるおそれはない。

そして、本件商標は、格別の称呼及び観念を生じないから、引用商標1及び2とは、称呼及び観念において比較すべくもない。

してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人の提出した証拠によれば、申立人は「A&F」の商標(以下「引用商標」という。)を使用していることが認められる(甲13)としても、本件商標が、申立人の使用する上記商標と同一の構成よりなる引用商標1及び2に類似する商標と認められないことは前記(1)のとおりであり、さらに本件商標と引用商標とを関連付けてみるべき格別の理由は見いだせないから、結局、両者は別異の出所を表示するものとして看取されるといわざるを得ないものである。

そうすると、仮に引用商標が、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして、本件商標の登録出願前から、米国をはじめ、我が国においても、取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想するものということはできない。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして、該商品が申立人又はこれらと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号該当性について

本件商標と引用商標とが称呼、観念及び外観のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、前記(1)認定のとおりである。

そして、本件商標は、これに接する取引者・需要者が引用商標を想起するとはいえないから、引用商標の著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものとはいえず、また、本件商標を使用することが、国内の商取引の秩序を乱し、国際信義に反するものともいうことはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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