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Trademark Appeal Case

結合商標の外観類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2013−600017(T2013−600017/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「即席タコスのもと」に使用するイ号標章は、登録第4581331号商標の商標権の効力の範囲に属しない。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4581331号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成13年7月27日に登録出願、第29類「ご飯にのせる具としての牛・豚挽肉を主材料としてなる即席タコスのもと」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

第2 イ号標章

被請求人が、商品「即席タコスのもと」について使用をする標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲2のとおりの構成からなるものである。

第3 請求人の主張

1 請求人は、被請求人が商品「即席タコスのもと」について使用をするイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

2 請求の理由

本件商標は、即席タコライスのもとのパッケージを図形商標として登録したものであり、中央やや上部に大きく「TacoRice」の欧文字と、その下部にやや小さく「タコライス」の片仮名が表示され、これらの文字の上部に赤色の波模様の帯が表示され、それらの文字の下部に「タコライスを皿に盛り付けた状態を示す写真」が大きく表示されており、それらの文字を際立たせるように背景色は黒色となっている。また、「TacoRice」の欧文字と、「タコライスを皿に盛り付けた状態を示す写真」との間の左側には、赤色の楕円図形にキャッチフレーズの文字が白抜き文字で表示されている。

これに対して、イ号標章は、本件商標と同様に、中央やや上部に大きく「TACORICE」の欧文字と、その下部に小さく「タコライス」の片仮名及び「Hormel」のロゴマークが表示され、それらの文字を際立たせるように背景色は黒色となっている。それらの文字の下部に「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」が大きく表示されており、パッケージの上端部と下端部に赤色の模様の帯が表示され、また、「TACORICE」の欧文字と、「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」との間の左側には、緑色の周囲がギザギザ状の図形にキャッチフレーズの文字が白抜き文字で表示されている。

また、本件商標に係る指定商品「ご飯にのせる具としての牛・豚挽肉を主材料としてなる即席タコスのもと」は、イ号標章の使用商品「即席タコスのもと」と同じである。

ここで、本件商標は、中心より下部側に、「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」が配置され、その上部には、黒色の背景色に大きく「TacoRice」の欧文字が表記されていることが、その特徴と認識できるものである。背景色を黒色とすることも文字を浮き立たせる効果が大きく、その特徴として認識できる。

そして、イ号標章においても、中心より下部側に、「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」が配置され、その上部には、黒色の背景色に大きく「TACORICE」の欧文字が表記されており、本件商標と同様な特徴と認識できるものである。

需要者の観点から、上記の特徴が類似することは、容易に誤認され、出所を識別するのに非常に紛らわしい表示となっているものといわざるを得ないものである。

外観として、付属の図形部分に多少の相違はあるが、本件商標とイ号標章は、「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」、「TacoRice」の欧文字が共通した配置となっている。また、称呼として、両商標は、「タコライス」の共通の称呼を生じる。観念として、両商標は、「ご飯にのせる具としての牛・豚挽肉を主材料としてなる即席タコスのもとであるタコライス」を想起するものである。よって、外観、称呼、観念のいずれにおいて共通点を有し、本件商標に類似するものであり、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

請求人は、平成5年6月より、本件商標を使用した商品を販売しており(甲第5号証)、その後も継続して使用し、現在に至っている。同商品の売上数量、販売地域などは甲第6号証に示すとおりである。本件商標は、請求人が永年使用した結果、沖縄県はもとより、東京、大阪などの各都道府県においても、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったものである。

第4 被請求人の答弁

1 被請求人は、結論同旨の判定を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。

2 答弁の理由

(1)外観

本件商標とイ号標章をそれぞれの要素に分解して見たとき、まったく同じ要素は、1つもない。

請求人は、背景が黒いことが共通点であると主張するが、本件商標は、黄色の縦線が2本アクセントとして配されているのに対して、イ号標章は、中央にかなり大きく赤いギザギザ型(火炎型)の図形が配されていて、背景自体もそこから受ける印象も異なるものである。また、黒という色は、無彩色ですべての波長の光を吸収する最も基本的な色であり、本件商標における特徴的な色使いということはできない。

次に、本件商標もイ号標章も、その最も大きな面積部分を占めるのはタコライスの写真である点は共通するが、商品がタコライスの具材であることからすれば、そのこと自体は、一般的なものである。

両者の区別として、何より重要なのは、イ号標章における被請求人の「Hormel」を図案化したロゴの存在である。

以上より、両者の外観は、全く異なる。

(2)称呼

「タコライス」というのは、沖縄地方の名産料理としてすでに不動の地位を築いている料理の名前であるから、請求人が有する登録商標の称呼の一つとしてそのようなものがあるとしても、これを請求人が独占することは、許されない。

したがって、称呼は、類似でない。

(3)観念

本件商標からは、「タコライスの具材」以外に、特段の観念は生じない。

イ号標章からは、「タコライスの具材」以外に、「SPAM」で有名なホーメル社の商品などの観念が生じる。

そして、唯一の共通する観念である「タコライスの具材」というのは、沖縄地方の名産料理であるタコライスを調理するための具材を意味しているにすぎず、これを請求人が独占することは、許されない。

したがって、観念は、類似でない。

(4)タコライスとは

タコライスとは、メキシコ料理のタコスの具である挽肉やレタス、トマト、チーズをごはんの上にのせた料理であり、沖縄に駐留していた米兵が持ち込んだタコスをもとに、金武町で考案された。当初は沖縄本島中部の名物メニューだったが、現在では、沖縄県内の小中学校の給食にも取り入れられており、沖縄では、戦後生まれの新たな「郷土食」として普及している(乙第4号証)。

また、インターネット上で料理のレシピを投稿・配信するサービスであるクックパッドで、「タコライス」を検索すると、閲覧できるレシピの数は、1371件にも上る(乙第5号証)。

したがって、現在では、沖縄のみならず我が国全体において、手軽で楽しい料理として定着しているといえる。

以上の次第であるから、タコライスとは、料理の名前としてすでに一般に定着しており、何人もその名称を独占することは許されない(商標法3条1項1号、6号)。

したがって、本件商標とイ号標章について、それらの外観のうち「TACORICE」ないし「タコライス」の文字のみが共通であったり、称呼のうち「タコライス」のみが共通であったり、観念のうち「挽肉、レタス、トマト、チーズをごはんの上にのせた料理」ないし「タコライス」のみが共通であったとしても、需要者に誤認混同を生ぜしめるおそれはなく、類似の判断を受けるものではない。

(5)被請求人ロゴの周知性

沖縄県の名産品として名高いスパムポーク(SPAM)の缶詰は、被請求人が、米国ホーメルフーズ社から技術と商標の使用を許諾されて、沖縄県内向けに製造販売を行っている。このスパムポークは、沖縄県内や本土の米軍基地周辺のみならず、日本国内で沖縄の名産品として周知性を有しているが、これらの商品には、イ号標章と同じく、「Hormel」を図案化したロゴが付されている(乙第7号証)。したがって、沖縄県県内や本土の米軍基地周辺、あるいは本土で沖縄の食品に興味を持っている需要者の間では、該ロゴは、すでに周知のものである。

イ号標章においては、そのほぼ中央部に、該ロゴが目を引く大きさで記載されている。したがって、イ号標章を使用した商品に接した需要者は、該ロゴを目にすることにより、「SPAM」で有名なホーメル社ないしその関連会社である被請求人の商品であると直ちに認識するのである。

このように、該ロゴは周知性の高いものであるから、イ号標章を使用した商品に接した需要者は、その出所を、本件商標の付された商品の出所と混同するおそれは、全くない。

(6)結論

以上より、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属さない。

第5 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、2本の縦線を配した黒地の縦長長方形内において、上部に、星、コック帽、フォーク、ナイフ及び髭からなる図形と「Delicious and hot spicy」の欧文字を内部に白抜きで配した赤地の長方形、その左右に「TACO」及び「RICE」の欧文字、その下に帯状の図形と「ご飯で食べるタコスです」の文字をそれぞれ配し、中央部に、「TacoRice」の欧文字、「チャンプルー」の片仮名、「タコライス」の片仮名及びその背景に装飾模様の図形、「CHAMPLOO」及び「TACOS and RICE mix」の欧文字と下線を内部に白抜きで配した赤地の楕円形をそれぞれ配し、下部に、タコライスの写真、「2食分」「タコスミート120g」「ホットソース12g×2コ」の文字を内部に配した角丸横長長方形、「盛り付け例」の文字をそれぞれ配した構成からなるものである。

そして、本件商標の構成中、上部の「TACO RICE」、中央部の「TacoRice」及び「タコライス」の文字は、「メキシコ料理のタコスの具である挽肉やレタス、トマト、チーズをごはんの上にのせた料理」の名称であり、本件商標の指定商品との関係においては、商品の品質を表示するものである。また、その他の文字部分についても、本件商標の指定商品との関係においては、いずれも商品の品質等を表示するものと認められるから、これら文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

次に、本件商標の構成中、タコライスの写真については、調理例を表したものと認識されるものである。そして、「各種飲食料品のもと」のパッケージにおいては、その商品の調理例や盛り付け例などが表示されることが一般に行われていることからすると、該写真は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

さらに、本件商標の構成中、2本の縦線を配した黒地の縦長長方形や帯状の図形等については、これらは単なる背景や装飾と認識されるものであり、これらも自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

そうとすれば、本件商標は、その構成中、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、星、コック帽、フォーク、ナイフ及び髭からなる図形部分であるというのが相当であり、該図形部分が本件商標の要部といえる。

そして、該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものと認められる。

2 イ号標章について

イ号標章は、別掲2のとおり、上下の端に帯状の図形を配した黒地の背景の縦長長方形の袋の表面において、上部に、「タコライスやタコスが簡単にご家庭で作れるタコスの素!」及び「TACO RICE」の文字を配し、中央部に、「お得な3食分入り」の文字を内部に配した周囲がギザギザ状の図形、「タコライス」の片仮名及び植物の図形とともにロゴ化された「Hormel」の欧文字(以下「Hormel部分」という。)を内部に配した周囲がギザギザ状の図形、ギターを弾く男性の図形及び「オイシ〜イよ! カンタンよ!」の文字をそれぞれ配し、下部に、タコライスの写真、「要冷蔵」及び「調理例」の文字、「タコスミート65g×3袋入」及び「ホットソース6g×3袋入」の文字をそれぞれ配した構成からなるものである。

そして、イ号標章の構成中、「TACO RICE」及び「タコライス」の文字は、「メキシコ料理のタコスの具である挽肉やレタス、トマト、チーズをごはんの上にのせた料理」の名称であり、イ号標章の使用商品との関係においては、商品の品質を表示するものである。また、その他の文字部分(「Hormel」の欧文字を除く。)についても、イ号標章の使用商品との関係においては、いずれも商品の品質等を表示するものと認められるから、これら文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

次に、イ号標章の構成中、タコライスの写真については、調理例を表したものと認識されるものである。そして、「各種飲食料品のもと」のパッケージにおいては、その商品の調理例や盛り付け例などが表示されることが一般に行われていることからすると、該写真は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

さらに、イ号標章の構成中、地黒の背景や帯状の図形等については、これらは単なる背景や装飾と認識されるものであり、これらも自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

そうとすれば、イ号標章は、その構成中、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、「Hormel部分」であるというのが相当であり、該部分がイ号標章の要部といえる。

してみれば、イ号標章は、「Hormel部分」から「ホーメル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

3 本件商標とイ号標章との類否について

本件商標の要部と認められる星、コック帽、フォーク、ナイフ及び髭からなる図形部分と、イ号標章の要部と認められる「Hormel部分」とを比較すると、外観においては、両者は明らかな差異を有するものであるから、相紛れるおそれはないものである。また、称呼においては、本件商標は特定の称呼を生じないのに対し、イ号標章は「ホーメル」の称呼を生じるものであるから、相紛れるおそれはなく、さらに、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において相紛れるおそれはないものである。

そうとすれば、本件商標とイ号標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものというべきである。

4 請求人の主張について

請求人は、本件商標とイ号標章とは、外観において「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」及び「TacoRice」の欧文字を共通にし、「タコライス」の称呼及び「ご飯にのせる具としての牛・豚挽肉を主材料としてなる即席タコスのもとであるタコライス」の観念を共通にする類似のものである旨主張している。

しかしながら、両者の外観における共通点はいずれも自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない部分であるから、これらの共通点によって外観上類似するとはいえないものである。

また、「タコライス」は、「メキシコ料理のタコスの具である挽肉やレタス、トマト、チーズをごはんの上にのせた料理」の名称であり、本件商標の指定商品及びイ号標章の使用商品との関係においては、商品の品質を表示するものであるから、自他商品の識別標識としては、「タコライス」の称呼及び「ご飯にのせる具としての牛・豚挽肉を主材料としてなる即席タコスのもとであるタコライス」の観念を生じないものというべきである。

請求人は、本件商標は、請求人が永年使用した結果、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったものである旨主張し、証拠方法として甲第5号証及び甲第6号証を提出している。

そして、請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、請求人は、平成5年6月より、商品「タコライス」のパッケージ(箱)の前面に本件商標とほぼ同様の構成からなる商標を表示して販売し、該商品は近年においては年間30万ないし40万個が156店の販売店で販売されていることが認められる。

しかしながら、これらの販売実績のみでは、本件商標の構成中、イ号標章との共通点と主張する「タコライスを皿に盛りつけた状態を示す写真」及び「TacoRice」の欧文字部分が自他商品の識別標識として認識されるに至ったとは到底いえないばかりでなく、本件商標が需要者の間に広く認識されるに至ったものであるとも認めることはできない。

したがって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標とイ号標章とは非類似のものであるから、イ号標章は、本件商標の効力の範囲に属しないものである。

よって、結論のとおり判定する。

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