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Trademark Appeal Case

「切り取る」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2013−890010(T2013−890010/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5530958号の指定商品中、第8類「手動利器,水中ナイフ」、第16類「事務用裁断機,文書裁断機,文房具類」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5530958号商標(以下「本件商標」という。)は、「きりと〜る」の平仮名及び記号(波線)を標準文字で表してなり、平成24年5月22日に登録出願され、第8類「ピンセット,組ひも機(手持ち工具に当たるものに限る。),手動利器,手動工具,護身棒,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,パレットナイフ」及び第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,事務用裁断機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,紙製包装用容器,紙類,文房具類,印刷物」を指定商品として、同年10月10日に登録査定、同年同月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第37号証を提出している。

2 請求の理由

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標「きりと〜る」は、平仮名の「きりと」と「る」の間に長音符号「〜」(波形記号)を挿入したものである。本来の言葉の意味を強調するため、語尾近くに長音符号を挿入することは一般的に行なわれている。

本件商標から長音符号を除くと、「きりとる」となり、商品の用途、機能を表示する「切り取る」を容易に想起するものである(甲3ないし甲6)。

特許庁が公表している「商標審査基準」においても、長音符号を除いて考察した場合において、商品の品質、用途、効能等又は役務の質、用途、効能等を表示するものと認められるときは、原則として、本号の規定に該当するものとすると記載されている。

被請求人は、本件商標の出願日後の2012年(平成24年)6月25日に、同社のホームページに「新発売!【切り取〜る】」の記事を掲載している(甲2)。この中で、封筒等に印刷された住所、氏名等を切り取るための個人情報保護カッターとして「切り取〜る」の品名で商品を紹介している。

商品説明として、「潰す、は危険。消す、も危ない。だから『切り取る』という答え。」「確実に切り取る!」といった表記をしており、切り取る機能を有する商品(個人情報保護カッター)の用途、機能を表示していることは明らかであるから、「きりと〜る」は、「切り取〜る」を意味している。

よって、本件商標をその指定商品中のはさみ、ナイフ等が属する第8類「手動利器」、第16類「事務用裁断機」、事務用ペーパーカッターが属する「文房具類」等の切り取る機能を有する商品について使用しても、需要者は、その商品が切り取る機能を有する商品を表示するものと認識するに止まる言葉であるから、本件商標によっては、自他商品を識別することができない。

したがって、本件商標は、商品の用途・機能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また前記商品以外の商品に使用するときは商品の用途・機能の誤認を生じさせるおそれがある商標として商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 引用商標

登録第5401239号商標(以下「引用商標」という。)は、「きりとれ......る」の平仮名を横書きしてなり、平成22年10月25日登録出願、第16類「事務用ミシン目加工用機械器具」を指定商品として、同23年3月25日に設定登録されたものである。

イ 商標の類否について

本件商標と引用商標は、比較的短い平仮名の後半部に、長音を看取する符号を配したもので外観は類似するといえる。

本件商標は、「キリトール」の称呼を生じ、引用商標は、「キリトレール」の称呼を生じる。したがって、前半部の語と語尾は共通であり、後半部に長音を有するものであるから、全体の音感は共通することになり、称呼は類似するといえる。

また、本件商標は、「切り取る」の観念を有し、引用商標は、「切り取れる」の観念を有するが、両者の相違は能動か受動かの助動詞の差にすぎないから、両者の観念は、類似するといえるのである。

ウ 商品の類否について

本件商標の指定商品中、第16類「あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,事務用裁断機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機」と引用商標の指定商品「事務用ミシン目加工用機械器具」(甲9)とは、互いに類似するものである。

本件商標の指定商品中、第8類「手動利器」の中の「手動利器(「刀剣)を除く。)」と引用商標の指定商品とは、特許庁が公表している「類似商品・役務審査基準」では、類似するものとされていない。

しかしながら、本件商標の指定商品中の「手動利器(「刀剣」を除く。)」と引用商標の指定商品を比較すると、共に紙に切れ目を入れるものであり、相違点は、手動式か機械式かである。また、商品の宣伝広告活動を行う媒体として、本件商標と引用商標の商標権者ともに後記する「旬刊ステイショナー」「ザ・トピックス」「関西文具時報」を利用する等、販売場所、販売態様は一致している。さらに、取引者は事務用品・事務機器販売店で一致しており、需要者は郵便物・宅配物を取り扱う事務職員であるから、これも一致している。

したがって、取引の実情を鑑みると、取引者及び需要者に出所の混同を生じさせるものであるから、商品は類似するものということができる。

エ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観・称呼・観念において類似し、また、引用商標の指定商品は、本件商標の指定商品のうち、第16類「あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,事務用裁断機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機」及び第8類「手動利器(「刀剣」を除く。)」と類似している。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

ア 請求人は、2010年1月の発売開始から、積極的な宣伝広告活動を行って、引用商標を使用している(甲8ないし甲33)。

本件商標の出願時には、既に事務用品・事務機器販売店等の取引業界において周知となっていたのである。

イ 一方、被請求人は、本件商標の標章態様とは異なる標章態様(切り取〜る+図形)で、個人情報を切り取る「個人情報保護カッター」なる商品の宣伝広告活動を行っている(甲34ないし甲37)。

ウ 以上のように、引用商標と本件商標は、共通の業界紙を媒体として宣伝広告活動を行っている。特に、「ザ・トピックス」第936号(甲35)、「関西文具時報」第1894号(甲37)では、請求人と被請求人の広告・記事が同時に掲載されている。また、引用商標と本件商標に係る商品の取引者は事務用品・事務機器販売店で、需要者は、郵便物・宅配物を扱う事務職員で、何れも共通している。

したがって、以上の取引の実情を鑑みると、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、「切り取る」の語を直感させるから、切り取る機能を有する商品について使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、これ以外の商品について使用するときは、商標法第4条第1項第16号に該当する。

また、本件商標は、引用商標と類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当し、仮に本件商標が引用商標と類似しないとしても、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。

第3 被請求人の主張

1 答弁の趣旨

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。

2 答弁の理由

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

ア 商標審査基準の「第1.五.5」を根拠とすることの不当性

請求人は、本件商標中の「〜」を長音符号とみなし、商標審査基準の標記項目を根拠として、本件商標は識別力を有しないと主張する。

しかしながら、一般的に「長音符号(長音符)」と称される記号は、「文字につけて、その直前の母音を長くのばすことを示す記号、「ー」、「^」、「 ̄」や「:」などであり、仮名文字にあっては「ー」で示される。また、商標審査基準の例示商標における長音符号は、全て「ー」である。

してみれば、「〜」という符号が本件商標の中に存在することを以って、商標審査基準の「第1.五.5」を本件に適用し、「識別力なし」と判断する請求人の主張は、当を得ていない。

イ 過去の判決例及び審決例を根拠とすることの不当性

請求人は、識別力を有しないと判断された商標に係る判決及び審決を証拠としてあげ、本件商標が識別力を有しないと主張する。

しかしながら、商標の識別力の有無は、現在の状態において判断すべきであるから、過去の識別性否定例を根拠に、本件の識別性を否定するのは誤りである。

ウ 商標審査基準「第1.五.4」が考慮されていないことの不当性

商標審査基準に、「指定商品の『品質』、『効能』、『用途』等又は指定役務の『質』、『効能』、『用途』等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。」の規定がある。

本件商標中の記号「〜」は、範囲を示す記号として一般的に使用されているものであり、「から」または「より」と読まれることが多い(乙1及び乙2)。このため、本件商標は、「〜」の表示が「記号」であると認識された場合は「キリト、カラ、ル」と発音されるであろうし、長音符号に類するものと認識された場合は「キリトール」と発音されるであろうし、何ら意味をなさないものと認識された場合は除外されて「キリトル」と発音されるであろう。いずれの場合であっても、本件商標は造語として理解され得る。

したがって、本件商標「きりと〜る」からは、間接的に「切り取る」の意味合いが導き出されることはあっても、直接的に導き出されることは有り得ない。

なお、商標中の記号を除外して観察した場合、指定商品の用途・効能を導き出すことができるにもかかわらず、登録が認められた例として、商標登録第5401239号「きりとれ......る」(甲7)がある。

この商標が登録されている事実は、商標中に記号が存在するがゆえに識別力が発揮されたか、或いは、記号以外が表音文字であるがゆえに造語として認識されたかのいずれかであると考えられる。本件商標も、上記商標「きりとれ......る」と同様の判断が下され、登録査定が発せられたものと思料する。

よって、本件商標の指定商品のうち、切り取る機能を有するものは、商標法第3条第1項第3号には該当せず、それ以外の指定商品は、同法第4条第1項第16号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

「きりと」の3文字目と、4文字目の「る」の間に、波形記号「〜」を配してなる本件商標は、「きりとれ」の4文字目と、5文字目の「る」の間に、6つの細かいドット「......」を配してなる引用商標とは、外観において別異な印象を生じさせる。

次に、称呼について考察するに、両商標中の記号「......」、「〜」を長音符号に準じて発音した場合、引用商標は「キリトレール」と称呼され、本件商標は「キリトール」と称呼される。中間に位置する長音に着目して類否判断を行うと、引用商標の「キリトレール」称呼は、長音の直前の「レ」が強く発音されるのに対し、本件商標の「キリトール」称呼は「ト」が強く発音される。長音「ー」の部分は、直前の音「レ」又は「ト」の母音が残るので、引用商標の場合、「エ」の音が長く聴取されるのに対し、本件商標の場合は「オ」の音が長く聴取される。結果として、引用商標では、「レール」の部分が強く聴取され、本件商標では、「トール」の部分が強く聴取される。

してみれば、本件商標と引用商標は、その中間の最も強く聴取される2文字において相違しており、それによって聴く者に異質な印象を生じさせるものであるから、称呼において相紛れることはない。

さらに、観念について考察するに、両商標中の記号「〜」と「......」を除外することで、残りの表音文字から何らかの観念を導き出すことができたとしても、本件商標から導き出されるであろう観念「切り取る」と、引用商標から導き出されるであろう観念「切り取れる」とは、異なる意味を持つものであるから、本件商標と引用商標とは、観念において混同しない。

この点について請求人は、能動態か受動態かの助動詞の差にすぎないから、両者の観念は類似すると述べる。しかしながら、能動態(すなわち、「と〜る」)と受動態(すなわち、「とれ〜る」)の差にすぎないにもかかわらず、商品が類似する2つの商標が共に登録されている事実が存在することから(乙3及び乙4)、動詞の態の相違が類否判断に与える影響は大きいものである。

よって、本件商標は、外観、称呼、観念において引用商標と混同を生じさせないので、商標法第4条第1項第11号には該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標と引用商標とは、外観・称呼・観念において相紛れるものではないので、たとえ引用商標が周知であったとしても、出所の混同を生じさせるものではない。

なお、請求人は、引用商標の使用者が被請求人と同業(事務用品・事務機器)であることを理由に、出所を混同させると主張するが、同業者によって使用されるからこそ、取引業者は、商標の微差に着目しつつ取引を行うのが常であるから、具体的な出所の混同は、一層生じ難くなるものである。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号、第11号及び第15号に該当するものでないから、その登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものではない。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は、前記第1のとおり、「きりと〜る」の平仮名及び記号(波線)を標準文字で表してなるところ、その構成中の「〜」(波線)は、長音を表わした記号(符号)とみるのが自然であり、その「〜」(波線)を除く「きりとる」の平仮名は、これに接する取引者、需要者をして、直ちに「切り取る」の語を表したものと理解させるものであり、「切って一部分を取る。」の意味合いを認識させるというのが相当である。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品中、第8類「はさみ類,包丁類,かみそり,水中ナイフ」及び第16類「事務用裁断機,文書裁断機,切り取る機能を有する文房具類」に使用するときは、需要者をして、切り取る機能の商品であることを認識させるものであるから、単に商品の品質を表示するものであって、自他商品の識別機能を果たすことができないものであり、また、前記以外の「手動利器」及び「文房具類」に使用するときは、その商品が切り取る機能を有する商品であるかのように、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、第8類「手動利器,水中ナイフ」及び第16類「事務用裁断機,文書裁断機,文房具類」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

しかしながら、本件商標は、本件全証拠によっても、これをその指定商品中、第8類「ピンセット,組ひも機(手持ち工具に当たるものに限る。),手動工具,護身棒,水中ナイフ保持具,パレットナイフ」及び第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,紙製包装用容器,紙類,印刷物」に使用しても、需要者をして、商品の品質を表示したものと理解、認識させることはなく、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとすべき理由を発見することができないから、該商品については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、上述のとおり、「きりと〜る」の平仮名及び記号(波線)を標準文字で表してなり、これよりは、「キリトール」の称呼を生じ、「〜」(波線)を除く「きりとる」の平仮名から「切って一部分を取る。」の観念を生じさせるものである。

他方、引用商標は、「きりとれ......る」の平仮名及び記号を表してなり、その文字部分及び「......」で表された部分を長音符号とみた場合、「キリトレール」の称呼を生じ、また、「......」を除く「きりとれる」の平仮名からは、「切って一部分が取れる。」の観念を生じさせるものである。

そこで、本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、本件商標が平仮名4文字と「〜」の記号、引用商標が平仮名5文字と「......」の記号のいずれも比較的文字数の少ない構成からなり、語頭の「きりと」の文字と語尾の「る」の文字とを共通にするが、語尾近くの「れ」の文字の有無の差異及び記号の「〜」と「......」との差異を有するから、時と所を異にして観察しても、外観上互いに相紛れるおそれがなく十分区別することができるものである。

次に、本件商標から生じる「キリトール」の称呼と引用商標から生じる「キリトレール」の称呼とを対比すると、両者は、本件商標が5音、引用商標が6音のいずれも一気一連に称呼し得る構成音数からなり、語頭の「キリト」の音と語尾の「ル」の音とを共通にするが、「レ」の音の有無の差異を有すること、長音を伴うことにより強音として称呼される「ト」と「レ」との音が相違すること及びこれらの母音「o」と「e」とが相違することから、両商標をそれぞれに称呼しても、語調語感が異なり、称呼において互いに相紛れるおそれがなく、十分聴別することができるものである。

さらに、本件商標から生じる「切って一部分を取る。」の観念と引用商標から生じる「切って一部分が取れる。」の観念とを対比すると、「切って一部分を取る。」は、動詞として認識されるのに対して、「切って一部分が取れる。」は、「可能」であることを表す助動詞として認識され、それぞれ異なる意味合いになるものであるから、観念において互いに相紛れるおそれがなく、十分区別することができるものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの

点においても類似するものではなく、非類似の商標というべきものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

請求人の提出に係る甲第8号証ないし甲第37号証によれば、請求人は、平成22年(2010年)1月ころからその指定商品「事務用ミシン目加工用機械器具」に引用商標の使用を開始し(甲8及び甲21)、その後、商品カタログ、パンフレット、業界紙誌、スポーツ紙などに広告をしていることが認められる。

しかし、その引用商標の使用期間は、本件商標の登録出願までは2年4月と短い期間であり、その間における「事務用ミシン目加工用機械器具」の販売地域、販売方法、販売数量など販売実績については不明であるから、引用商標は、本件商標の登録出願時に、我が国において請求人の業務に係る商品を表すものとして広く知られているものと認めることができない。また、本件商標と引用商標とは、前記2のとおり、非類似の商標と認められるものである。

そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、請求人の引用商標を連想又は想起しないものであって、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 結論

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第8類「はさみ類,包丁類,かみそり,水中ナイフ」及び第16類「事務用裁断機,文書裁断機,切り取る機能を有する文房具類」について商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の第8類「手動利器」及び第16類「文房具類」について同法第4条第1項第16号に該当するから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を無効とすべきものである。

しかしながら、その余の指定商品については、同法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第11号、第15号及び第16号に該当するものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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