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Trademark Appeal Case

「工房」の記述性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2013−13038(T2013−13038/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「遠近両用眼鏡工房」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年3月19日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、当審における同25年7月8日付の手続補正書により、第9類「遠近両用眼鏡,遠近両用眼鏡ケース,その他の遠近両用眼鏡の部品及び附属品」及び第35類「遠近両用眼鏡並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる遠近両用眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,遠近両用眼鏡ストラップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『遠いところと近いところを1枚のレンズで矯正するための眼鏡』である『遠近両用眼鏡』の文字と、『美術家や工芸家などの仕事場。』を意味する『工房』の文字を『遠近両用眼鏡工房』と標準文字で表示してなるところ、その構成中の『工房』の語は、上記意味合いのほかにも、眼鏡を取り扱う分野において、眼鏡の加工場所、販売場所を表す語として普通に使用されている実情が認められるから、本願商標は、全体として『遠近両用眼鏡を加工、製造、販売している場所』程の意味合いを容易に認識、理解させる。してみれば、本願商標を、その指定商品及び指定役務中の「遠近両用」に関する商品及び役務に使用するときは、単に役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるから、自他商品又は役務の識別標識とは認識できない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び前記役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号の該当性について

本願商標は、「遠近両用眼鏡工房」の文字よりなるものであるところ、その構成中、「遠近両用眼鏡」の文字は、「ひとつのめがねで、遠くも近くも見えるようにつくられた老眼の人のためのめがね」程を意味する語として、「工房」の文字は、「美術家や工芸家などの仕事場。」等を意味する語(「広辞苑第六版」岩波書店発行)として、共によく知られているものである。

ところで、眼鏡を取り扱う分野において、「眼鏡工房」の文字は、眼鏡の加工・製造・販売場所を表す語として、取引上、普通に使用されている事実があり、このことは、例えば、以下の新聞記事情報及びインターネット情報からもうかがえる。

(1)新聞記事情報

ア 朝日新聞 2012.06.16 大阪地方版/石川 30頁

「(ふらり探訪)めがね会館 福井 「世界の産地」見える歴史 /北陸・共通」の見出しの下、「ミュージアムやショップは2010年3月に誕生。手作り眼鏡工房も併設している。」との記載。

イ 朝日新聞 2007.01.22 大阪地方版/香川 35頁

「(週刊まちぶら)高松市・香南町 シスター直伝のお菓子 /香川県」の見出しの下、「○手作り眼鏡がずらり 看板がなく民家にしか見えないため、たどり着くのに一苦労する手作り眼鏡工房『隠れ屋1632』。工房内には変わった形の眼鏡がずらりと並ぶ。制作から視力検査まで1人でしている“屋主”の内原弘文さん(34)は『売りたくないぐらいに気に入った眼鏡を作った時は、やったなと思いますね』」との記載。

ウ 読売新聞 2006.09.06 東京朝刊 35頁

「お江戸の眼鏡...現代版 世田谷の職人が創作 あすから渋谷で展示」の見出しの下、「30代前半で、眼鏡作りを学ぼうと都内の眼鏡工房の門をたたき、江戸金枠の制作方法など様々な技術を身に着けた。38歳で独立し、40歳の時、世田谷区の自宅に工房を作った。」との記載。

エ 毎日新聞 2005.08.03 地方版/香川 19頁

「お店紹介:ぜひ来店を 東かがわ市 『眼鏡工房 オオツ』 /香川」の見出しの下、「 ◇幅広くおしゃれなフレームまでそろう JR三本松駅を東に約150メートル行くと『眼鏡工房 オオツ』がある。商品の90%はメガネという昔ながらの専門店。」との記載。

(2)インターネット情報

ア 「眼鏡工房久保田」のウェブサイト

「眼鏡工房久保田」(二段に書されている。)、「取り扱いブランド」や「メガネ修理」に関する記載がある。

(http://mega-kbt.com/)

イ「眼鏡工房アイ・フェイス」のウェブサイト

「こだわりの眼鏡を大阪、堀江より発信する眼鏡ショップ【眼鏡工房 アイ・フェイス】」「取り扱いブランド」などの記載がある。

(http://eye-face.ocnk.net/)

ウ 「眼鏡工房レイ」のウェブサイト

「眼鏡工房レイ天久本店」の紹介として、「沖縄新都心で良質のメガネを扱っています。確かな技術で安い、メガネをご提供致します。」などの記載がある。

(http://meganekoubourei.com/)

そうとすると、「遠近両用眼鏡工房」の文字からなる本願商標を、「遠近両用眼鏡」に関する指定商品及び指定役務に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、「遠近両用眼鏡を加工・製造・販売している場所」程の意味合いを容易に認識するにとどまるから、本願商標は、商品の販売場所又は役務の提供場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであって、自他商品・役務の識別標識としての機能は果たし得ないものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、登録・審決例を引用し、これらと同様に、本願商標が自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものであって、登録されるべき旨主張する。

しかしながら、商標の識別性の判断は、出願された商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、指定商品、指定役務ごとに個別具体的に判断されるべきものであり、また、請求人の引用する登録例等をもって本件の判断が拘束されるものでもない。

(2)請求人は、「遠近両用眼鏡工房」は業界において常用されている様な言葉ではなく、請求人の創作に係る造語であり、他の使用例も見当たらないから、これに接する一般消費者が、該語をいわゆる一般名称と認識するとは到底解されず、むしろ請求人の業務に係る商品・役務であることを想起する旨、主張する。

しかしながら、眼鏡を取り扱う分野において、「眼鏡工房」の文字は、眼鏡の加工・製造・販売場所として、取引上、普通に使用されている事実があること、そして、「遠近両用眼鏡」は、眼鏡の一種として広く知られているものであることから、本願商標に接する取引者・需要者は、「遠近両用眼鏡を加工・製造・販売している場所」程の意味合いを容易に認識するというべきである。

よって、かかる請求人の主張は、いずれも採用の限りでない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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