結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2012−300737(T2012−300737/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
登録第4919666号商標(以下「本件商標」という。)は、「京都ルネサンス」の文字と「KYOTO RENAISSANCE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成17年5月24日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,老人の在宅介護・病人の在宅介護及びその他の介護,在宅療養者に対する介護,会議室の貸与,展示施設の貸与,多目的ホールの提供,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与,集会のための施設の提供」及び第45類「ファッション情報の提供,新聞記事情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,宴会のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,占い,身の上相談,家事の代行,衣服の貸与,祭壇の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,家庭用電熱用品類の貸与(他の類に属するものを除く。),動力機械器具の貸与,風水力機械器具の貸与,装身具の貸与,婚礼・結婚式場・宴会場に関する情報の提供,婚礼(結婚披露を含む。)に関する企画・運営又は開催」を指定役務として、同18年1月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成24年10月3日である。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,老人の在宅介護・病人の在宅介護及びその他の介護,在宅療養者に対する介護,会議室の貸与,展示施設の貸与,多目的ホールの提供,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与,集会のための施設の提供」(以下「本件請求に係る役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(1)乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人の会社案内及び同者が事業として営む「スポーツクラブ」に関するインターネット上のウェブサイト情報であって、これらからは、被請求人が「タオルの貸与」の役務を業として実施し、当該役務を提供している具体的な事実は認められず、唯一、乙第4号証において掲載された「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」のウェブサイトにおいて、レンタルオプションのアイテムとして「タオル」があることが表示されているに止まるものである。
しかも、当該レンタルオプションとしての「タオルのレンタル」は、被請求人が営むスポーツクラブを利用する者が運動施設の使用に際し、利用者に対して付随的に提供される役務に止まるものであって、当該「タオルのレンタル」が運動施設の利用とは無関係に独立した役務として提供されているものとは認められない。
よって、本件商標が、取消事由に係る「タオルの貸与」について使用されているとの被請求人の主張は認めることはできない。
(2)被請求人が「タオルの貸与」について使用している商標「ルネサンス 京都山科」について
ア 被請求人は、「商標権者が『タオルの貸与』について使用している商標は、『ルネサンス 京都山科』であり(乙4)、一方、本件商標は、添付に係る乙第5号証に記載のとおり、『京都ルネサンス』と『KYOTO RENAISSANCE』の上下二段書きであるが、両表記は、称呼及び観念において一対一の対応関係があるため、上下いずれか一方の使用であっても登録商標と社会通念上同一と認められる商標の使用といえる。」旨主張し、その理由を以下のよう述べている。
(ア)複数の店舗を有するスポーツクラブなどはメインの名称の前又は後にそのクラブが所在する地名を付加して使用することが行われている...(中略)(乙6)。
(イ)本件商標が「京都ルネサンス」でありながら、実際の使用に当たっては「京都」が「ルネサンス」の後ろに付加されているが、「京都」の部分はサービスを提供する単なる場所を表すにすぎず識別力がないか、あったとしても極めて弱い部分であるので、その位置の変更は観念上の違いをもたらすものではない。すなわち、「京都に所在するルネサンス」という意味では「京都」が「ルネサンス」の前にあっても後ろにあっても意味上の違いはほとんどない。したがって、本件商標を「ルネサンス京都」と使用することは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用といえる。
イ しかし、乙第4号証は、被請求人に係る「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」の主たる業務と認められる役務である「運動施設の提供」に付随する従属的なサービスであって、「タオルのレンタル」が運動施設の利用からは独立したサービスとして実施されていることを示すものではないことは前記のとおりである。
また、登録商標の使用の範囲について、商標法第50条第1項カッコ書きは「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」と規定し、上記の変更使用は例示であるとしても、本件商標の如く、被請求人の業務である「スポーツクラブ」の文字を加えたうえで、「京都」の文字を登録商標とは異なる部位に変更し、さらに登録商標には含まれない「山科」の文字を新たに追加し、全体として「スポーツクラブ ルネサンス京都山科」と表示するような変更使用についてまでも社会通念上同一と認めることは、同第50条カッコ書きの規定する同一性の範囲を超えるものである。
ウ 商標としての識別力の弱い表示であれば、その追加・削除・部位等の変更は常に許されるべきであるとの解釈を示すものではなく、この点に関しては、被請求人自身も、取引の実情として認められるのは「スポーツクラブ」の名称の後に当該クラブの所在地を表示することを証拠として提出するに止まり、所在地を示す地名等の地理的な表示を、登録商標とは部位を異にする追加及び変更までも取引の実情として広く行われている事実については証明してはいない。
そうとすると、被請求人が主張するように「京都」の文字の部位が異なること、及び「京都」の文字に「山科」の文字が加わっても(ウェブサイト上ではさらに「スポーツクラブ」の文字も一体のものとして表示されている。)、これらは「識別力が弱い部分である」ことから「観念上の違いをもたらすものではない」若しくは「社会通念上同一と認められる商標の使用といえる」との主張は、商標の類否を判断する際の理由のひとつとはなり得ても、不使用取消審判事件における登録商標の取消事由についての判断において、社会通念上同一の商標の使用と認める理由とはならない。
(3)被請求人は、「各地のスポーツクラブの共通サービスとしてチラシなどで『レンタルタオル』の宣伝広告を行っている。」と主張し、証拠として乙第8号証を提出している。
しかし、乙第8号証の二種類のチラシには、「RENEAISSANCE」の表示は認められるものの、本件商標「京都ルネサンス/KYOTO RENESSANCE」の表示は認められないばかりか、乙第8号証が被請求人に係るものであることが認められる記載事項は(乙第2号証として提出された、2012年12月10日付けのウェブサイト情報中に記載されている「図形及びRENEAISSANCE」と同一の標章を除く。)、認められず、また、日付を含め当該チラシが実際に会員等に配布又は頒布され、当該チラシによって宣伝広告されたことを証明する事実も、乙第8号証からは認めることができない。
ちなみに、被請求人は「チラシなどで広告宣伝を行っている」と述べているが、乙第8号証として提出された「チラシ」以外に書証は提出されていない。
そうとすると、乙第8号証は、本件商標が、被請求人(若しくは専用使用権者又は通常使用権者)によって「タオルの貸与」の役務について使用されている事実を証明し得る証拠としては不十分であって適格性を欠いているといわざるを得ない。
したがって、本件商標が指定役務「タオルの貸与」について使用されているとの被請求人の主張及び乙第8号証については、これを容認することはできない。
(4)被請求人は、「スポーツクラブはタオルのレンタルについて、株式会社ルネサンスが一括管理をしている」旨主張し、被請求人とリネン会社との間で締結したクリーニングサービスに関する「業務委託契約書」、「リネンサプライ契約書」等を、乙第9号証ないし乙第12号証として提出している。
しかし、乙第9号証ないし乙第12号証は、被請求人とリネン会社「新日本ウエックス株式会社」との間において、クリーニングサービスに関する業務委託契約若しくはリネンの賃貸借及びリネンサプライの契約が結ばれていたことが推認し得るとしても、その内容はあくまでも両者間において上記のクリーニングサービス等に関する業務上の契約が存在していたことを推認させるに止まるものであって、両者間において「タオルの貸与」に係る業務上の契約又は役務の提供が行われたことを証するものではない。
なお、当該各乙号証は、被請求人(若しくは専用使用権者又は通常使用権者)によって、「タオルの貸与」が商標法上の役務として提供されていた事実を証明するものではないし、当該各乙号証中には本件商標「京都ルネサンス/KYOTO RENESSANCE」の表示は認められないことからも、これらの証拠から被請求人等が本件商標を使用していることの事実を証明するには不十分といわざるを得ない。
ちなみに、被請求人は、「『業務委託契約書』(乙9)は、締結日が平成11年5月31日付けになっているが、実は、バックデートで作成されたものであり、(中略)実際には平成18年(2006年)6月30日に作成されたものである。(中略)契約書の前文において、『甲』を『株式会社ルネサンス』と記載したのは、実際の作成日に引きずられて誤記したものと推測される。」と述べているが、当該契約書が平成18年6月30日に作成されたことを立証する証拠はなく、あくまでも被請求人の推測に基づくものであって、このような当事者の名義に瑕疵が認められる契約書について、商標の使用を示すための証拠としての真正な成立には疑義を抱かざるを得ない。
また、被請求人は、当該誤記について乙第11号証を提出することで釈明しているが、当該乙号証は被請求人のウェブサイトであって、「履歴事項全部証明」あるいは「閉鎖事項全部証明」等の会社設立に係る公的な証明書ではないことからも、このような書証をもって被請求人の主張を容認することはできない。
もっとも、当該契約書は「クリーニングサービス」に係るものであって、本件取消事由における「タオルの貸与」に関するものではないから、当該契約書が有効であったとしても、これをもって被請求人が主たる役務として「タオルの貸与」を業として提供していたことを証明するものではないことは前述のとおりである。
(5)被請求人は、「商標権者が運営するスポーツクラブの『ルネサンス 京都山科』では、『ルネサンス 京都山科』の名の下に2012年9月からタオルのレンタルサービスが開始された。」と主張し、乙第13号証及び乙第14号証を提出している。
しかし、乙第13号証及び乙第14号証は、いずれも、被請求人とリネン会社との間で取り交わされたクリーニングサービスに関する「納品伝票」(乙13)又は「委託料振込の内訳明細書」(乙14)であって、これらの証拠は両者間でクリーニングサービスに係る取引があったことを示しているに止まり、当該各乙号証によって「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」が「タオルのレンタル」を業として実施し、「タオルの貸与」の役務を提供していた事実を証明するものではない。
ちなみに、乙第13号証及び乙第14号証の中で記載されている表示は、「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」又は「(株)ルネサンス京都山科」であって、本件商標とは明らかに異なる文字構成からなるものであるから、これらの表示をもって本件商標の使用とすることは認められない。
さらに、被請求人は、「2012年9月からタオルのレンタルサービスが開始された」と主張しているが、前述のとおり、乙第4号証では「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」でのタオルのレンタルオプションの案内として、「2012年11月1日」の日付が明示されており、当該日付をもってタオルのレンタルオプションが開始したと理解するのが自然であって、「2012年9月から実施している」との上記被請求人の主張とは齟齬が認められるばかりか、「クリーニングサービス」に係る取引きがあったことを証明する乙第13号証及び乙第14号証以外に、2012年9月から、タオルのレンタルサービスが被請求人によって開始されたことを証明する書証の提出は認められない。
してみると、クリーニングサービスに関する乙第13号証及び乙第14号証をもって、乙第4号証に明示された上記役務の提供の時期(2012年11月1日)を覆すことはできないので、被請求人による「タオルのレンタルオプション」の提供の開始時期は、乙第4号証から判断する限り、本件取消審判の請求が予告登録された2012年10月3日(審決注:「2012年10月1日」とあるが、商標登録原簿に記載よりすると、「平成24年10月3日」であるから訂正した。以下同じ。)以後であると判断すべきである。
(6)被請求人は、「商標権者たる株式会社ルネサンスが、平成24年5月16日以降、本件審判の請求の予告登録の日前に本件商標を本件請求に係る役務中、『タオルの貸与』について使用している事実を立証する。」旨主張し、乙号証を提出しているが、以下のとおりである。
ア 被請求人が使用している商標は、「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」と表示されており、「京都ルネサンス/KYOTO RENESSANCE」の文字で構成される本件商標とは、明らかにその構成を異にするものであり、社会通念上同一の商標の使用とは認められないものである。
イ 被請求人が本件商標を使用していると主張するサービスは、被請求人の主たる業務であるスポーツクラブが提供する運動施設を利用する者の希望により付随的に提供される「タオルのレンタル」サービスであって、被請求人が本件請求に係る役務中「タオルの貸与」を「運動施設の提供」から独立した役務として提供しているものとは認められない。
ウ 被請求人がスポーツクラブの共通サービスとして広告宣伝したとする「レンタルタオル」のチラシには、本件商標の記載はなく、また当該チラシと被請求人との関係が不明確であり、さらには広告宣伝が実際に行われたとする時期も不明であることから、本件商標の使用の事実を示す書証としては不十分であって適格性を欠くものである。
エ 被請求人が、「本件商標を使用している役務」及び「本件商標の使用時期」において提出する各乙号証は、被請求人とリネン会社との間でクリーニングに関する業務委託契約書及びクリーニングの納品伝票及び内訳証明書であって、両者の間においてクリーニングに関する契約及び業務の実施が行われたことは推認し得るとしても、両者間において「タオルの貸与」に関する役務が提供されていたものとは認められないばかりか、当該「タオルのレンタル」サービスの提供の時期は、本件審判請求の予告登録の後に実施されたサービスである。
加えて、これらの書類に記載されている表示は「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」又は「(株)ルネサンス京都山科」であり、本件商標とは別異の商標であることから、本件商標が指定役務「タオルの貸与」について使用されているものとは認められない。
(7)小括
以上の点を総合的に考慮した場合、被請求人の使用に係る商標が、本件商標の使用に当たらないことは明らかである。
(1)被請求人の主張に対する反論
ア 被請求人は、「京都ルネサンス」の「京都」の部分には識別力がないので、それが本件商標の要部である「ルネサンス」の前後いずれに付いていても、役務の出所表示機能は十分発揮できるとして、本件商標と「ルネサンス京都山科」との同一性を主張し、同様の事例として、登録商標「東京ヒルトン」が「ヒルトン東京」として使用されている例を挙げている。
しかし、「東京ヒルトン」の商標権者であるエイチェルティーインターナショナルアイピーリミテッドライアビリテイカンパニー(乙15)は、「東京ヒルトン」の他に、「HILTON」(称呼「ヒルトン」)の商標権も有している(第4237289号)。
しかるに、ヒルトンが世界的に著名なホテルであり、かつ、世界中に「ヒルトン」ホテルが存在することを考えると、「ヒルトン東京」とは、著名なホテル名として確固たる自他役務識別力を有する第4237289号の商標「HILTON」に、所在地である東京が付加されたものと解するべきである。
イ 被請求人が類似事例として列挙した「ヒルトン東京」、「ハッピー」、「HEXA」および「CONCEPT/コンセプト」の例は、すべて、登録商標自体は変化させず、その前後に自他商品等識別力を有しない文言が付加された事例であるといえる。
これらの例では、登録商標にかかる部分については何ら変更されておらず、同一の外観および称呼を維持している。
ウ 一方、「ルネサンス京都山科」は、本件商標の「京都ルネサンス」部分について、その構成文字たる「京都」と「ルネサンス」の位置が変えられており、登録商標自体には変化がない上記4例の射程範囲外である上に、「山科」という文字まで追加されており、もはや本件商標と同一の外観、称呼を維持できていない。
したがって、本件について、上記4例と同列に論じることはできない。
(2)写真(乙20)について
被請求人は、ルネサンス京都山科においてタオルの貸与が行われたことを示す証拠として、乙第20号証の写真を提出した。
しかし、同写真が撮影されたのは平成24年11月20日である。
そうとすれば、同写真にタオルのレンタルサービスの様子が撮影されていたとしても、それは要証期間外である同日において、タオルのレンタルが行われていることを示すにすぎず、要証期間内におけるタオルの貸与という、商標法50条の要件事実との関係では、全く無関係な証拠である。
また、当該写真には、9月1日からレンタル用品を導入した、との広告が掲載されている様子が撮影されている。
しかし、この広告には、本件商標が記載されておらず、タオルのレンタルサービスとの具体的関係において本件商標を使用したとはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、本件請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
(1)本件商標を使用している事実
被請求人は、本件商標の商標登録原簿(乙1)記載のとおり、株式会社アメニティルネサンスから本件商標権の譲渡を受けて、平成24年5月16日付けで移転登録を行い、商標権者となった。
以下、商標権者たる被請求人が、平成24年5月16日以降、本件審判請求の予告登録(平成24年10月3日)前に本件商標を本件請求に係る役務中、「タオルの貸与」について使用している事実を立証する。
(2)商標権者の業務
商標権者は、1979年創業、1982年設立のスポーツクラブであり、フィットネスクラブ、スイミングスクール、テニススクール、ゴルフスクール等のスポーツクラブ事業及びその関連事業を営み、現在、全国に99店舗のスポーツクラブを所有している(乙2及び乙3)。
(3)商標権者が使用している商標
商標権者が「タオルの貸与」について使用している商標は、「ルネサンス 京都山科」である(乙4)。一方、本件商標は、商標出願・登録情報検索(詳細表示)(乙5)に記載のとおり、「京都ルネサンス」と「KYOTO RENAISSANCE」の上下二段書きであるが、両表記は、称呼及び観念において一対一の対応関係があるため、上下いずれか一方の使用であっても登録商標と社会通念上同一と認められる商標の使用といえる。
商標権者による現在使用の商標は、「ルネサンス 京都山科」であるが、ルネサンスに限らず、例えば、コナミスポーツクラブ(乙6)やセントラルスポーツ(乙7)などのクラブでも、例えば、「コナミスポーツクラブ大手町」とか「東青梅セントラルスポーツクラブ」の如く、所在地名を付加して使用することが業界で普通に行われている。本件の場合、「京都」が「ルネサンス」の後に付いて、更に「京都」の後ろに「山科」が付加されている。複数の店舗を有するスポーツクラブなどはメインの名称の前又は後にそのクラブの所在する地名を付加して使用することが行われているのは前記証拠に照らしても事実であり、その地名・地域名を前に付けるか後ろに付けるかはそのクラブによっていろいろである(乙7第15頁参照)(審決注:「乙第6号証第15頁参照」とあるが、「乙第7号証第15頁参照」の誤記と認められる。)。
本件商標が「京都ルネサンス」でありながら、実際の使用に当たっては、「京都」が「ルネサンス」の後ろに付加されているが、「京都」の部分は、サービスを提供する単に場所を表すにすぎず識別力がないか、あったとしても極めて弱い部分であるので、その位置の変更は、観念上の違いをもたらすものではない。すなわち、「京都に所在するルネサンス」という意味では、「京都」が「ルネサンス」の前にあっても後ろにあっても意味上の違いはほとんどない。そうとすると、本件商標を「ルネサンス京都」と使用することは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用といえる。
また、「山科」の部分は、平成24年3月末まで京都府の中に「桂」地域にもクラブが存在したため、京都の桂と山科で区別する必要があり、京都の後ろに「山科」を付加したのである。同じく地名であり、単にサービスの提供場所をより詳細に示す目的であるから、山科が付加されることで社会通念上の同一性を失うことはないと考える。
したがって、商標権者による「ルネサンス 京都山科」の使用は、本件商標と社会通念上同一と認められる使用といえる。
(4)本件商標を使用している役務
商標権者が本件商標を使用している役務は、「タオルの貸与」である(乙4)。クラブ利用者が会社帰りなどに手軽にクラブを利用できるようにするため、タオルやシューズやシャツなどの貸与サービスは、スポーツクラブにとって欠かせないサービスとなっている。現に、商標権者は、各地のスポーツクラブの共通サービスとしてチラシなどで「レンタルタオル」の宣伝広告を行っている(乙8)。
とりわけ、商標権者のスポーツクラブは、タオルのレンタルについては、商標権者が一括管理をしており、リネン会社とクリーニングの業務委託のための契約を結んでいる。商標権者と新日本ウエックス株式会社との間では、平成11年(1999年)5月31日に商標権者の前身である株式会社ディックルネサンスが当時運営していたスポーツクラブルネサンスで使用する繊維製品(リネン)のクリーニングサービスに関して締結した業務委託契約書(乙9)が有効に継続している。そして、新しくスポーツクラブができた場合や委託料の単価に変更が生じた場合は、適宜、覚書を取り交わして対応している。ここに、「クラブ一覧表」の変更について取り交わした平成19年11月7日締結の覚書(乙10)を提出する。
なお、念のため、前記業務委託契約書は、締結日が平成11年5月31日付けになっているが、実は、バックデートで作成されたものであり、「【契約書別紙】の『リネンサプライ契約書』に基づくクラブ一覧表(平成18年6月30日更新)」から明らかなように、実際には、平成18年(2006年)6月30日に作成されたものである。別紙「株式会社ルネサンスの企業情報 会社の沿革」(乙11)によれば、平成11年(1999年)5月31日時点では、未だ「株式会社ルネサンス」は存在しておらず、「株式会社ディックルネサンス」から「株式会社ルネサンス」に社名が変更にされたのは2003年7月であるから、契約書の前文において、「甲」を「株式会社ルネサンス」と記載したのは、実際の作成日に引きずられて誤記したものと推測される。契約書の締結日を「平成11年5月31日」にバックデートした業務委託契約書に合致する契約当事者としては、署名欄に記載の「株式会社ディックルネサンス」が正しい契約当事者といえる。
また、前述のクラブ一覧表で言及された「リネンサプライ契約書」(平成11年5月31日締結)も提出する(乙12)。
(5)本件商標の使用時期
商標権者が運営するスポーツクラブの「ルネサンス 京都山科」では、「ルネサンス 京都山科」の名の下に、2012年9月からタオルのレンタルサービスが開始された。その事実を裏付けるため、前記業務委託契約先である新日本ウエックス株式会社からの「ルネサンス京都山科」による「バスタオル」や「フェイスタオル」のクリーニングの9月委託分の納品伝票(乙13)と新日本ウエックス株式会社からの2012年9月30日請求に対する商標権者からの2012年10月31日付けにて委託料振込を示す2012年10月30日作成の内訳明細書(乙14)を提出する。これらの取引書類からスポーツクラブ「ルネサンス 京都山科」がその名の下に、会員にタオルのレンタルをしていることがうかがえ、本件商標が予告登録日の平成24年10月3日前から使用されていたことは明らかである。
(1)登録商標の地名表示部位の変更使用については、他の事例として、登録商標「東京ヒルトン」(登録3328470号、乙15)が、実際の使用では「ヒルトン東京」(役務「宿泊施設の提供」)として使用されている事実がある(乙16)。
本件商標の変更使用と同じケースであり、所在地を示す地名等の地理的な表示について、登録商標と部位を異にする変更が他でも実際に行われているのが取引の実情である。
(2)登録商標に識別力のない語を付加して使用することが、社会通念上同一と認められることについては、他の審決例からも明らかである。
例えば、イ)登録商標「ハッピー」(登録商標第2707180号)では、使用商品の普通名称「養生シート」が付加されて使用されたが、「ハッピー」部分が要部なので、社会通念上同一とされた(乙17)。ロ)登録商標「HEXA」(第1640164号)でも、使用商品の普通名称が付加されて使用されたが、前記イ)と同様の判断がされた(乙18)。ハ)登録商標「CONCEPT\コンセプト」(登録第2519178号)では、「シリーズ」が付加されて使用されたが、その部分は、「シリーズもの」を表わす自他商品識別力を有しない部分ということになり、社会通念上同一視できる範囲と判断された(乙19)。
(3)今回、スポーツクラブ「ルネサンス京都山科」の現場の写真を提出する(乙20)。これによれば、特にカウンター部分等の写真からタオルのレンタルサービスが実際に行われていることがうかがえるものと考える。ちなみに撮影年月日は、2012年11月20日で従業員の撮影によるものである。
商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合、平成21年10月3日から平成24年10月2日、以下「要証期間」という。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
(1)乙第2号証は、2012/12/10日付け紙出力の商標権者のウェブページで、左上部に図形と「RENAISSANCE」の記載、中段部に「創業:1979年10月8日」、「設立:1982年8月13日」、事業内容の項に「フィットネスクラブ、スイミングスクール、テニススクール、ゴルフスクール等のスポーツクラブ事業及びその関連事業」の記載がある。
(2)乙第3号証は、2012/12/10日付け紙出力の商標権者の「スポーツクラブ店舗一覧」であり、1頁左上部に図形と「RENAISSANCE」の記載、全国店舗一覧の9頁後段部の「近畿」の項に「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」の記載がある。
(3)乙第4号証は、2012/11/20日の紙出力の「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」のウェブページであり、「お知らせ」の頁には、上部右側に図形と「RENAISSANCE」の記載、中央部に「2012年11月1日・[オプションのご案内]\トレーニンググッズは借りるか置いていくか。」、「今なら1ケ月無料(レンタルタオルフリーの方のみ)」、「ルネ山科のレンタルオプションアイテムは、」、「タオル(大・小のセット)315円(税込み)/1回」の記載がある。
(4)乙第8号証は、「レンタルオプションキャンペーン!!」と「レンタルオプション新商品登場!!」の各表題のあるチラシ2葉で、1葉目のチラシは、その表題の右側に「今なら初月分無料\※新規レンタルオプションをお申し込みで2ヶ月以上ご継続の方に限ります。」の記載、中段に「タオルレンタル\タオル(大・小)がご利用いただけます。\月額1,050円で\レンタルし放題!」の記載がある。
同2葉目のチラシには、その表題の右側に「今なら\初月分無料\※新規にレンタルオプションをお申し込みで2ヶ月以上ご継続の方に限ります。」の記載、中段に「タオルレンタル\タオル(大・小)がご利用いただけます。\月額1,050円でレンタルし放題!」の記載がある。
(5)ア 乙第9号証は、平成11年5月31日付けの「株式会社ディックルネサンス」と「新日本ウエックス株式会社」との間で取り交わされた「業務委託契約書」で、「株式会社ルネサンス(以下「甲」という)と新日本ウエックス株式会社(以下「乙」という)との間で甲の運営するスポーツクラブルネサンスにおいて使用する繊維製品(以下「リネン」という)のクリーニングサービスについて次のとおり契約を締結する。」とあり、その第一条(総則)に「甲は、甲の運営する別紙『クラブ一覧表』に記載のクラブにおいて、以下の業務を乙に委託するものとする。1(丸枠)別紙に定める条件により乙所有のリネンを提供し、クリーニングサービス(回収、洗濯、仕上および、納入)を行う業務、2.乙に業務を委託するクラブを甲が追加または減少する場合は、甲乙間で覚書を作成し、かつ、別紙「クラブ一覧表」を更新するものとする。」の記載、第七条(支払方法)に「乙は委託料金を毎月末日に締切り、甲に請求し、甲は翌月末日に乙の指定する下記の銀行口座へ振込み支払うものとする。\第一勧業銀行 名古屋支店 当座No.」の記載、第十一条(契約期間)に「本契約の有効期間は平成11年6月1日から平成14年5月31日まで3年間とし、・・・本契約と同一条件でさらに1年間自動的に延長し、以後この例により継続するものとする。」の記載がある。
5葉目の【別紙】には、上段部分に「<乙所有のリネンに関する表>」の項が設けられており、「品名」の欄に「バスタオル」、「フェイスタオル」、「レンタル単価」の欄に「(円)\29」、「20」、「乙仕入単価」の欄に「(円/枚)\740」、「170」の記載がある。
6葉目の【契約書別紙】には、「『リネンサプライ契約書』に基づくクラブ一覧表」の表題の下、その右側に「平成18年6月30日更新」の記載のほか、「クラブ名」、「取引開始日」の記載がある。
イ 乙第10号証は、平成19年11月7日付けの「株式会社ルネサンス」と「新日本ウエックス株式会社」との間で取り交わされた「覚書」であり、「株式会社ルネサンス(以下「甲」という)と新日本ウエックス株式会社(以下「乙」という)とは、甲乙間にて締結した平成11年5月31日付け業務委託契約書(以下「原契約」という)について、次のとおり本契約を締結する。」の記載、その下に「第1条 原契約の別紙『クラブ一覧表』を下記のとおり変更する。」の記載、その右側に「平成19年11月7日更新」の記載のほか、「クラブ名」、「取引開始日」等の記載があり、クラブ一覧表の枠の下部に「本契約の成立を証する為、本書2通を作成し、甲乙記名捺印のうえ各1通を保有する。」の記載及び甲、乙の会社名等と責任者の押印がなされている。
ウ 乙第12号証は、平成11年5月31日付けの「株式会社ディックルネサンス」と「新日本ウエックス株式会社」との間で取り交わされた「リネンサプライ契約書」の写しであり、「株式会社ディックルネサンス(以下甲という)と新日本ウエックス株式会社(以下乙という)との間でスポーツクラブ ルネサンス 及び クランチフィットネスクラブにおいて使用する繊維製品(以下リネンという)の賃貸借及びクリーニングサービス(以下リネンサプライという)について次のとおり契約を締結する。」との記載があり、その第一条(総則)に「乙は甲に対して別紙に定める条件によりリネンを提供しリネンサプライを行い、甲はそのサービスに対して別紙に定める料金を乙に支払うものとする。」との記載、第十条(支払方法)に「乙はリネンサプライ料金を毎月末日に締切り甲に請求し、甲は締切り後翌月末日に乙の指定する下記の銀行口座へ振込むものとする。\第一勧業銀行 名古屋支店 当座No.」との記載、第十三条(契約期間)1、「本契約の期間は平成11年6月1日から平成14年5月31日までの3年間とし、・・・本契約と同一条件でさらに1年間自動的に延長し、以後この例により継続するものとする。」の記載がある。
3葉目の【契約書 別紙】には、「『リネンサプライ契約書(平成11年5月31日締結)』に係わる【別紙】」の表題の下、その右側に「平成11年5月31日」の記載、その下の1段目の「事業所」の欄に「横浜,港南台\仙川,浦和\蕨,三軒茶屋\目黒」の記載、「品名」の欄に「バスタオル」、「フェイスタオル」の記載、「レンタル単価」の欄に「(円)\29」、「20」の記載がある。
エ 乙第13号証は、「新日本ウエックス」から商標権者宛ての「納品書」の写しであり、3葉に亘って上下二段に各納品書が表示されており、例えば、1葉目の下段部分には、「伝票No.85181566−2」、「株式会社ルネサンス スポーツクラブ ルネサンス 京都山科 殿」、「納品日12年09月29日 下記のとおり納品しました。」の記載、「品名」の欄に「バスタオル」及び「フェイスタオル」の記載、「数量」の欄にそれぞれ「7」の記載がある。
オ 乙第14号証は、2012年10月31日付けの「株式会社ルネサンス」から「新日本ウエックス株式会社」の経理担当宛ての「振込の内訳明細」であり、2葉目のNo.53の「クラブ名・部課名」の欄に「(株)ルネサンス 京都山科」、「請求日付」の欄に「9/30」、「支払金額」の欄に「2,504」の各記載、右下角部分に「<振込先>\みずほ銀行/第二集中支店\当座預金 No.」の記載がある。
(6)乙第20号証は、「スポーツクラブ ルネサンス山科」の外観(出入口)と館内の写真であり、レンタルタオルの棚が写っている。
(1)使用役務及び使用時期について
上記2(5)によれば、商標権者は、新日本ウエックスとの間で、要証期間以前である平成11年5月31日に、商標権者が運営するスポーツクラブルネサンスにおいて使用する繊維製品のクリーニングサービスについて契約を締結したものであり、その契約は、1年間自動的に延長し、以後、継続するものとされていることから、現在も更新されているものと認められる。
そして、「乙所有のリネンに関する表」(乙9)によれば、「バスタオル」、「フェイスタオル」等について、「レンタル単価」が記載されている。
乙第13号証は、新日本ウエックスから「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」に宛てた納品書であり、その1葉目の下段は、納品日を2012年9月29日とするものである。
そして、その「品名」の欄に「バスタオル」、「フェイスタオル」の記載があり、それぞれの「数量」の欄には「7」と記載されていることから、「スポーツクラブ ルネサンス 京都山科」において使用した「バスタオル」及び「フェイスタオル」について、クリーニングサービスがなされ、それらが要証期間である2012年9月29日に納品されたものと認められる。
さらに、乙第14号証によれば、2012年10月31日に、リネンサプライ契約書(乙12)に基づき、上記を含む代金が、商標権者から新日本ウエックスに振り込まれたものと認められる。
そうとすれば、たとえ商標権者と新日本ウエックスとの間に「ルネサンス 京都山科」の「覚書」がないとしても、上記のとおり、クリーニングサービスが行われたものであるから、商標権者は、要証期間に、「ルネサンス 京都山科」において、「タオルの貸与」の役務の提供を行ったものと推認される。
(2)使用商標について
上記2(1)、(2)及び(5)によれば、被請求人である商標権者は、スポーツクラブ事業及びその関連事業を営んでおり、(3)によれば、「タオルの貸与」の役務の提供に「ルネサンス 京都山科」を使用していたことが認められる。
(3)本件商標と「ルネサンス 京都山科」とが社会通念上同一であるか否かについて
ア 商標の同一性
商標法50条1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」旨規定するところ、同項において、(ア)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(イ)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(ウ)外観において同視される図形からなる商標が例示されていることに鑑みれば、同項にいう「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」は、上記(ア)ないし(ウ)に準ずるような、これと同程度のものをいうものと解される。なお、文言上、登録商標と「同一」と認められるものでなければならず、「類似」の商標は含まれない。
イ 本件商標と使用商標の同一性
本件商標は、前記第1のとおり「京都ルネサンス」の文字と「KYOTO RENAISSANCE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるものであるところ、上段及び下段に書された各文字は、書体及び大きさが同一であり、それぞれ一体のものと認識されるものといえるから、本件商標は、構成全体の文字から、「キョウトルネサンス」の称呼を生じ、特定の具体的観念は生じないものである。
そして、使用商標は、「ルネサンス 京都山科」の文字で表されているところ、該文字から「ルネサンスキョウトヤマシナ」の称呼を生じ、スポーツクラブとしての「ルネサンス 京都山科」の観念を生じるものである。
そうとすれば、使用商標は、(ア)本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標とはいえないし、(イ)本件商標のローマ字の文字の表示を平仮名や片仮名に変更して同一の称呼及び観念を生じる商標でもなく、また、(ウ)外観において本件商標と同視される図形からなる商標でもなく、これらと同程度のものということもできない。
よって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえない。
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠からは、本件審判の請求の登録3年以内において、本件請求に係る役務中、「タオルの貸与」について「ルネサンス 京都山科」の文字の使用事実があるとしても、その使用に係る商標が、本件商標と同一若しくは社会通念上同一と認められない以上、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があるものとも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、結論掲記の指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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