Trademark Appeal Case
会社名称の4条8号該当性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−9655(T2013−9655/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第9類及び第37類を指定する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成24年1月25日に登録出願されたものである。
そして,指定商品及び指定役務については,原審における平成24年8月1日付け及び同年9月27日付けの手続補正書により,第6類「金属製の燃料貯蔵用タンク,金属製の燃料埋設用タンク」,第7類「自動車用ガス燃料の充填装置,車両に搭載された移動式の自動車用ガス燃料の充填機,ガソリンステーション用装置,ガソリンスタンド用ガソリンポンプ」,第9類「金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,流量計」,第20類「燃料貯蔵用タンク(金属製・石製のものを除く。),燃料埋設用タンク(金属製・石製のものを除く。)」及び第37類「地下タンク及び地下埋設配管の定期点検,地下タンク埋設配管の点検,燃料タンクの修理又は保守,ガソリンステーション用装置の修理又は保守,ポンプの修理又は保守,石油の油槽設備の施工,建築一式工事及び土木一式工事に関する施工監理」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『東京都千代田区三番町3−2』,『東京都新宿区箪笥町13番地 グローバル神楽坂11F』,『埼玉県吉川市中島1丁目35』,『長野県上田市踏入2−19−34』,『静岡県三島市旭ヶ丘9−18』及び『大阪府大阪市生野区巽西2丁目3−15』に所在する『株式会社タツノ』と同一の文字を含んでなるものであり,かつ,その者の承諾を得たものとは認められない。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。」 旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
ア 商標法第4条第1項第8号(以下「本号」という場合がある。)において,「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号,芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」は,商標登録を受けることができない旨規定している。
イ 工業所有権法逐条解説[第19版](特許庁編集 発明推進協会発行)によれば,「八号は旧法二条一項五号に相当する規定である。・・・また,例えば,自己の名称と他人の名称とが同一の場合は,自己の名称についても本号の適用があり,したがって,不登録になる。なお,本号に関して,これは不正競争防止の規定であるから『その他人の承諾云々』の括弧書は不要であるとの説もあるが,立法の沿革としては前述のように人格権保護の規定と考えるべきであろう。本号には外国人の氏名,名称も含まれる。」と説明されている。
ウ 最高裁判所昭和57年(行ツ)15号判決(判決日 昭和57年11月12日)(以下「最高裁判決1」という。)において「株式会社の商号は商標法四条一項八号にいう『他人の名称』に該当」する旨判示されている。
エ 最高裁判所平成15年(行ヒ)265号判決(判決日 平成16年6月8日)(以下「最高裁判決2」という。)において,「8号(商標法4条1項8号)は,その括弧書以外の部分(以下,便宜『8号本文』という。)に列挙された他人の肖像又は他人の氏名,名称,その著名な略称等を含む商標は,括弧書にいう当該他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないとする規定である。その趣旨は,肖像,氏名等に関する他人の人格的利益を保護することにあると解される。したがって,8号本文に該当する商標につき商標登録を受けようとする者は,他人の人格的利益を害することがないよう,自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきものである。」旨判示されている。
オ 最高裁判所平成16年(行ヒ)343号判決(判決日 平成17年7月22日)(以下「最高裁判決3」という。)において,「商標法第4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。」旨判示されている。
カ 知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号判決(判決日 平成21年2月26日)(以下「知財高裁判決」という。)において,「他人の名称を含む商標については,他人の承諾を得ているものを除いては,商標登録を受けることができないというべきであって,出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか,いずれが著名あるいは周知であるといったことは,考慮する必要がないというべきである。」旨判示されている。
そこで,以上の観点から,本願商標について検討する。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲のとおり,矢羽根図形と「株式会社タツノ」(「タツノ」の文字部分は,「株式会社」の文字に比べ,太く書されている。以下「タツノ」と記載する。)の文字との組合せからなるものである。
そして,その構成中,「株式会社」の文字部分は,「資本金が株式という均等な形式に分割され,出資者すなわち株主が組織する有限責任会社。」(広辞苑第六版)を意味することから,「株式会社タツノ」の文字部分は,株式会社の商号を表示するものと認められ,前記,最高裁判決1からすれば,商標法第4条第1項第8号における「他人の名称」に該当する。
イ 「株式会社タツノ」と同一の商号の他人が存在することについて
当審において調査するに,「iタウンページ」(http://itp.ne.jp/?rf=1)において,キーワードとして「東京都 株式会社タツノ」で検索すると「東京都千代田区三番町3−2」在の「株式会社タツノ」が,「埼玉県吉川市 株式会社タツノ」で検索すると「埼玉県吉川市中島1丁目35」在の「株式会社タツノ」が,「長野県上田市 株式会社タツノ」で検索すると「長野県上田市踏入2−19−34」在の「株式会社タツノ」が,「静岡県三島市 株式会社タツノ」で検索すると「静岡県三島市旭ヶ丘9−18」在の「株式会社タツノ」が,また,「大阪府大阪市生野区 株式会社タツノ」で検索すると「大阪府大阪市生野区巽西2丁目3−15」在の「株式会社タツノ」が存在することが確認できる。
また,インターネットで検索すると,「東京都新宿区箪笥町13番地 グローバル新神楽坂11F」に「株式会社タツノ」が実在する(http://www.yakitatsu.com/coinf/index.htm)。
ウ 「他人の承諾」を得たものであるかについて
請求人は,原審において拒絶理由に示され,当審においてもその存在が確認できる「東京都千代田区三番町3−2」,「東京都新宿区箪笥町13番地 グローバル新神楽坂11F」,「埼玉県吉川市中島1丁目35」,「長野県上田市踏入2−19−34」,「静岡県三島市旭ヶ丘9−18」及び「大阪府大阪市生野区巽西2丁目3−15」に所在する「株式会社タツノ」から,本願商標を登録することについて,承諾を得たことを証明する書面を提出していない。
したがって,前記,最高裁判決2からすれば,本願商標は,これを登録することについて,他人の承諾を得たものと認めることができない。
エ まとめ
前記アないしウのとおり,本願商標は,他人の名称を含む商標であり,かつ,当該他人の承諾を得ているとは認められないものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は,列挙された「株式会社タツノ」は,請求人の業務内容との関連性は少ない,また,本願商標の矢羽根マークは,創業時からのシンボルであり,本願商標は矢羽根マークを付けることで請求人のみを示し,他人を表示するものではない,旨主張する。
しかしながら,本号の趣旨は,氏名等に関する他人の人格的利益を保護することにあると解されるから,前記,知財高裁判決で判示されているとおり,請求人と他人との業務内容の関連性の程度等は,考慮する必要がないというべきである。
また,最高裁判決3において,「・・・人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。」旨判示されているところ,本願商標は,その構成中に,請求人のシンボルマークである矢羽根図形が描かれているとしても,株式会社の商号である「株式会社タツノ」の文字を含むものであり,該商号と同一の商号の他人が存在する以上,商標法第4条第1項第8号でいう,「他人の名称」に該当するというべきであって,該「他人の名称」は,自らの承諾なしにその名称等を商標に使用されることがないよう利益が保護されているものである。
したがって,請求人の主張は,採用することができない。
(4)結語
以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
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