Trademark Appeal Case
SAKURA商標の要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900244(T2013−900244/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5576218号商標(以下「本件商標」という。)は,「SAKURA.H.Q教育メソッド」の文字を書してなり,平成24年3月1日に登録出願され,第16類「印刷物,知育用のカード状印刷物,幼児教育に関する出版物」,第28類「知育用カードゲーム」及び第41類「幼児教育,教育方法の指導・助言,教育情報の提供,幼児教育に関するセミナーの企画・運営・開催,幼児教育に関する書籍の制作,幼児教育に関する電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定商品及び指定役務として,同25年3月21日に登録査定,同年4月19日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5318610号商標(以下「引用商標1」という。)は,「SAKURA」の欧文字を書してなり,平成19年11月15日に登録出願,第16類「装飾塗工用ブラシ,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として, 同22年4月23日に設定登録されたものである。
(2)登録第4350025号商標(以下「引用商標2」という。)は,「SAKURA」の欧文字を書してなり,平成10年11月10日に登録出願,第28類「おもちゃ,人形」を指定商品として,同12年1月14日に設定登録されたものであり,その後,同22年1月5日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第5227330号商標(以下「引用商標3」という。)は,「サクラ」の片仮名を書してなり,平成19年4月24日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,美術品の展示,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,書画の貸与」を指定役務として, 同21年5月1日に設定登録されたものである。
以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであるとして,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第17号証及び参考資料1ないし6(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標のうちの「H.Q」は,High Quality(高品質)の略語と解され,「高品質,上質」という質を表す語であり,「教育メソッド」は,「教育方法,教育方式」等を意味することから,「H.Q教育メソッド」は,「高品質の教育方法,上質な教育方式」といった意味を表すものである。
そして,本件商標の指定商品又は指定役務との関係においては,「H.Q教育メソッド」は,商品の品質,役務の質,内容を表す記述的な部分であるから,本件商標の要部は,「SAKURA」である。
加えて,本件商標公報でも,「サクラ」との称呼が付与されている。
引用商標1,2は,「SAKURA」であるから,本件商標の要部と同一であり,引用商標3は,「サクラ」であり,本件商標の要部と称呼が同一である。
また,観念についても,両者は「桜の木」の意味であって,同一である。
よって,本件商標と引用商標は,同一又は類似の関係にある。
さらに,本件商標と引用商標の指定商品及び指定役務は,同一又は類似である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人のハウスマークについて
申立人は,引用商標をハウスマークとして用いている(甲5ないし甲14)。
イ 使用地域について
申立人は,本社を大阪に置き,札幌営業所,東京本社,東京配送センター,名古屋営業所,九州営業所というように,日本各地に支店や営業拠点を有しており,商品の流通は全国に及んでいる(甲5及び甲14)。
ウ 申立人のハウスマークの使用時期について
引用商標は,2003年ないし2012年のカタログに示されていて(甲5ないし甲14),本件商標の出願時及び査定時のいずれにおいても,「サクラ」が申立人のハウスマークであって,著名な商標であることがわかる。
エ 申立人の著名性について
申立人は,文房具類及び描画材料等の製造・販売を行う総合メーカーとして我が国有数の存在であり,殊に幼児,園児や学童及びその親によく知られている。
幼児や学童がよく使用する描画材として,クレヨンやオイルパステルがあり,商標「クレパス」は,防護標章登録を受けるほど著名である。
オ 申立人の事業について
申立人は,幼児や学童等に対する教育に力を入れており,幼児等に対する知育商品を取り扱っている(甲15ないし甲17)。
知育商品である子供向けの英語活動セット(参考資料1)には,「サクラ」や申立人の社章(下部には「SAKURA」と表示されている)が示されている。さらに,幼児の発達や教育を目指した描画や工作に関する書籍,子供の教育を図った子供の図画工作と外国語活動に関する書籍等には,申立人の社章が示され(参考資料2ないし4),子供の運動遊びを通じた保育に関する子供の運動遊びに関する冊子及びCDには,「SAKURA」の表示と申立人の社章が示されている(参考資料6)。
また,申立人は,そのホームページにおいて,幼稚園,保育園,小学校,中学校の先生のための頁を有し,また.幼児向けの絵画・造形教育支援サイトである「コルサポート」や,ママと遊んで心を育てる「withマム」などの事業を行っている。
カ 申立人のハウスマークの著名性について
申立人は,描画材料や文房具類等の製造・販売を行う我が国有数のメーカーであり,幼児や学童等に対する教育などに力を入れている。
商標「SAKURA」,「サクラ」は,申立人のハウスマークであり,著名な商標である。
キ 本件商標と引用商標の対比
本件商標の要部は「SAKURA」であり,この要部は,申立人の著名商標である引用商標と同一又は類似である。
しかも,本件商標の指定商品及び指定役務は,申立人が力を入れている事業と同じである。
このため,本件商標がその指定商品及び指定役務に使用されると,取引者,需要者は,申立人の業務に係る商品又は役務であると誤認し,その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,前記1のとおり,「SAKURA.H.G教育メソッド」の文字を書してなるところ,その構成各文字は,前半の「SAKURA.H.G」部分が欧文字と記号で表され,後半の「教育メソッド」の文字部分が漢字と片仮名で表されていることから,その文字種の相違によって,「SAKURA.H.G」と「教育メソッド」とに,視覚上,分離して把握されるものと認められる。
そして,本件商標の構成中,後半の「教育メソッド」の文字部分は,申立人説示のように「教育方法,教育方式」程の意味合いを理解,認識させるといえるものであり,「知育,教育」に関する指定商品及び指定役務との関係においては,その商品の品質及び役務の質を表すにすぎず,自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないか,又は,その機能が極めて弱いものということができる。
そうとすれば,本件商標は,その構成文字全体から,「サクラエイチキューキョウイクメソッド」の称呼を生ずるほか,「SAKURA.H.G」の文字部分が,独立して自他商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得るといえるから,該文字部分より「サクラエイチキュー」の称呼をも生ずるものであり,該文字部分は,特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであるから,本件商標からは,特定の観念が生じないものである。
なお,申立人は,「H.G」は「High Quality(高品質)の略語と解され,これは『高品質,上質』という質を表す語である」旨,主張するが,その事実を証する証拠の提出はなく,当審において調査するも,該文字が,「High Quality」の略語と解され,「高品質,上質」等の意味合いで,商品の品質及び役務の質を表すものとして一般に使用されている事実は,発見することができなかった。
よって,申立人の係る主張は,採用することができない。
イ 引用商標について
引用商標1及び2は,「SAKURA」の欧文字を,引用商標3は,「サクラ」の片仮名を書してなるものであり,これらの文字からは,「サクラ」の称呼を生じ,「桜」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,それぞれの構成態様に照らし,明らかな差異を有するものであるから,両商標は,外観上,明確に区別できるものである。
次に,称呼においては,本件商標から生ずる「サクラエイチキューキョウイクメソッド」及び「サクラエイチキュー」の称呼と,引用商標から生ずる「サクラ」の称呼とは,後半における「エイチキューキョウイクメソッド」及び「エイチキュー」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,判然と聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標からは,特定の観念が生じないものであるから,比較することができず,両商標は,観念上,類似するところはないものである。
そうとすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)引用商標の周知性について
申立人は,「本件商標の出願時及び査定時のいずれにおいても,『SAKURA』,『サクラ』は,申立人のハウスマークであって,著名な商標である。」旨主張する。
そこで,申立人の主張及び本件について同人が提出した証拠を検討するに,申立人は,描画材料や文房具類の製造・販売を行うメーカーであり,2003年から2012年版の「COLLECTION」と題する総合カタログ及び2010年から2012年版の「保育用品総合カタログ」の背表紙には,「サクラ」の文字が,表紙及び裏表紙に表示された申立人の社章に「SAKURA」の文字が表示されていること(甲5ないし甲17),及び表紙に記載された名称の英語表記の一部に「SAKURA」の文字が表示されていること(甲5ないし甲14)が認められる。
そして,甲第5号証の「総合カタログ」(2012年版)の2葉目には,インデックスシールが示され,それには,例えば「ボールペン(水性・油性)」,「シャープペンシル」,「色鉛筆」,「描画材料」等の記載があり,甲第15号証の「サクラ保育用品総合カタログ」(2012年版)の2葉目には,例えば「絵本・保育図書」,「玩具・知育用品」等と記載されていることから,申立人は,これらの商品を取り扱っているものと認められる(参考資料を含む。)。
また,「総合カタログ」の2003年版によれば,申立人のグループ売上高は,280億円(2002年度実績)であり,2012年版によれば,同じく255億円(2010年度実績)であること,申立人は,大阪,東京,札幌,名古屋,九州に事業所及び大阪工場を有するほか,関連会社は14社であること等から,申立人の業務に係る商品は,全国的に販売されているものと認められる(甲5及び甲14)。
しかしながら,申立人が提出した証拠においては,引用商標の使用開始時期,それぞれの商品の譲渡の数量・売上高,前記総合カタログ以外の広告宣伝の方法,回数及び内容等を把握できる証拠は,提出されていない。
さらに,引用商標の「SAKURA」の欧文字及び「サクラ」の片仮名からは,広く親しまれた語である「桜」を理解させるものであるから,引用商標は,申立人に係る創造標章ということもできない。
以上によれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び査定時に,我が国において申立人の業務に係る商品を表すものとして広く認識されているものと認めることができない。
なお,申立人は,申立人の著名性について主張し,商標「クレパス」は防護標章を受けるほど著名である旨述べるが,提出された証拠によれば,申立人は,「サクラクレパス」の文字を申立人の名称の略称として使用していることはうかがえるものの(甲14,甲15など),「SAKURA」及び「サクラ」の文字が名称の略称として使用され,需要者の間に広く知られているものと認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,前記(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び査定時に,我が国において申立人の業務に係る商品を表すものとして広く認識されているものと認めることができず,また,本件商標と引用商標とは,前記(1)のとおり,非類似の別異の商標と認められるものである。
そうとすれば,商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,申立人の引用商標を連想又は想起しないものであって,その商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように,その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録は,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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