Trademark Appeal Case
複合商標の要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−8025(T2013−8025/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年7月28日に登録出願され、指定商品については、その後、原審における同年12月25日付け及び当審における同25年5月1日付け手続補正書により、最終的に第30類「手作りパン」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4978750号商標(以下「引用商標」という。)は、「月の舟」の文字を標準文字により表してなり、平成17年11月30日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同18年8月11日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、左側に三日月の上に蛙が乗っている図形を配し、その右側に当該三日月の小さい弧内に挟まれるように、「こやなぎパン工房」、「月の舟」及び「TSUKI no FUNE」の文字を三段に書してなり、「月の舟」の文字は、他の文字より格段に大きく毛筆風に書されているものである。
ところで、図形と文字が結合した構成からなる商標は、それぞれが独立して商品及び役務の出所識別標識としての機能を有する場合が少なくないところ、本願商標は、図形部分と文字部分の全体から特定の称呼、観念を生じるなど、一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情はないことから、当該文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有する場合も少なくないというのが相当である。
そして、当該文字部分中の「こやなぎパン工房」の文字は、前半の「こやなぎ」の語がありふれた氏の「小柳」を直ちに連想させるものであり、後半の「パン工房」の語が「パンを製造する場所」として一般的に使用されているものであることから、全体として「ありふれた氏である小柳のパン製造所」程度の意味を容易に認識させるものであるといい得るものであり、自他商品の識別標識として機能を有しない又は極めて弱い部分であるというのが相当である。また、「月の舟」の文字は、「月」及び「舟」は一般に親しまれた語であるが、一連のものとして特定の観念を生じない造語といえるところ、該文字は他の文字に比して本願商標の中央部に顕著に表されており、看者の注意を強く引く部分であるといえ、その下に書されている「TSUKI no FUNE」の文字は、「月の舟」の読みのローマ字表記であると容易に理解されるものである。
そうとすると、本願商標は、その構成中「月の舟」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するといえ、全体から生じる「コヤナギパンコウボウツキノフネ」の称呼のほかに、該文字部分に相応して「ツキノフネ」の称呼をも生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2のとおり「月の舟」の文字を標準文字で表してなり、該文字より「ツキノフネ」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じるものではない。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標は、全体としての外観及び称呼において相違するものではあるが、上記アのとおり、本願商標中の「月の舟」が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす部分であることから、この部分において本願商標と引用商標の類否を検討する。
本願商標中の「月の舟」と引用商標「月の舟」とは、書体は異にするものの、文字列を共通にするものであるから、外観上近似した印象を与え、それぞれより生じる「ツキノフネ」の称呼を共通にするものである。また、観念においては、共に特定の観念を生じるものではない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較し得ないとしても、外観上近似した印象を与え、「ツキノフネ」の称呼を共通にする相紛らわしい類似する商標といわざるを得ない。
そして、本願商標の指定商品「手作りパン」は、引用商標の指定商品「菓子及びパン」に包含されると認められることから、両指定商品は同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標と引用商標は、外観が明らかに相違し、本願商標からは、「暖かな優しい感じのパン屋さん」である「こやなぎパン工房月の舟」という観念及び「コヤナギパンコウボウツキノフネ」という一連の称呼が生じ、他方、引用商標は、特定の観念を生じないものであり、「ツキノフネ」の称呼を生じるものであるから、相紛れることのない非類似の商標である旨主張している。また、過去の審決例を挙げつつ、本願商標は、その構成態様から、図形部分と文字部分の一体性が強く、「月の舟」の文字が独立した識別標識として認識されることはなく、例え「月の舟」の文字を共通するにしても、商品の出所に誤認混同を生じるおそれはない旨主張する。
しかしながら、ひとつの商標から複数の出所表示の標識を捉えることは、取引の場において普通に行われることであり、本願商標は、上記(1)アのとおり、その構成中の「月の舟」の文字が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するというのが相当である。また、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人が挙げた過去の審決例は、商標の具体的構成等において本願商標とは事案を異にするものであるから、本願商標については、これらの審決例に左右されることなく、上記(1)のとおり判断するのが相当である。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり、審決する。
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