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Trademark Appeal Case

著名商標と出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900060(T2013−900060/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5539360号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5539360号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成24年6月21日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,蓄電池,リチウムイオン電池,ソーラーパネル」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」を指定商品及び指定役務として、同年10月24日に登録査定、同年11月30日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人商標の著名性

ア 申立人は、1950年に三洋電機株式会社として設立され、およそ60年以上にわたりアルファベット「SANYO」をハウスマークに用いて、国内のみならず全世界において、主に家庭用及び業務用の電気機器の製造、販売を行っている。本件商標の指定商品である電池類については、創業当時から販売しており、ソーラーパネルに関しても早くから市場参入している(甲第2号証)。

申立人のハウスマーク「SANYO」(決定注:別掲(H)に記載のとおりの商標の構成からなるものである。)は、甲第3号証に示すように、第9類及び第37類を含む41の区分において防護標章として登録されており、著名商標として認識されていることは明らかである。

特に、本件商標の指定商品である「電池、リチウムイオン電池、蓄電池」においては、2007年のシェアは民生用リチウムイオン電池27%で世界第1位、自動車用ニッケル水素電池では、13%で世界第2位(甲第4号証)、リチウムイオン電池においては、2000年、2005年、2008年のシェア世界第1位となっており(甲第5号証)、2011年は世界第2位(甲第6号証)となっている。申立人の近年のヒット商品である「eneloop」充電池は、2011年12月に累計2億個出荷しており、甲第7号証によると、国内ニッケル水素 電池市場では65%のシェア、国内普及率は28.1%と4人に1人以上が所有していると記載されている。

また、「ソーラーパネル(太陽電池)」においては、申立人は、1975年から太陽電池事業に参人し、2005年及び2007年の国内生産量は第3位(甲第8号証)、品質においても、設置面積あたり世界トップクラスの発電量を誇る高品質の商品であり、日本のみならず世界でも評価を得ている(甲第9号証)。

以上より、申立人は、当然、これら商品にハウスマークである「SANYO」を付して販売しているので(甲第10号証)、申立人商標「SANYO」は日本全国及び世界中で著名であり、高い品質と信頼を長年にわたり、獲得しているものである。

イ 申立人のハウスマーク「SANYO」については、申立人がパナソニック株式会社の完全子会社となったことから、2012年4月以降使用を縮小している。しかしながら、使用を中止した商標の著名性が直ちに損なわれるものではない。

申立人商標「SANYO」についても、現在も商標権を維持すべく管理を継続しており、申立人の「SANYO」を付した商品は、現時点においても市場において流通し、web上でも申立人の「SANYO」を付した商品を容易に見つけることができる。amazonや楽天といったネット通販サイトにおいても、「SANYO」で検索すると多数の商品がヒットし購入することができるし、太陽電池については、申立人の商品を販売する業者や各社商品の比較・論評のサイトでも「パナソニック(サンヨー)」等と記載され、現在でも「SANYO」、「サンヨー」の周知著名性が継続していることがわかる(甲第11号証)。

また、電池については、2013年3月末まで「SANYO」を付したeneloop電池を販売しているし、ソーラー発電量を確認できるモニタは「SANYO」を付して販売している。このように、申立人は、現在も日本国内において、一部商品には「SANYO」を継続して使用しており、海外では多くの商品に使用を継続している。

ウ 上述より、申立人商標「SANYO」は、従前の使用状況と同じとはいえないが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において十分な著名性を有しており、特に電池やソーラーのエネルギー分野において、その取引者・需要者間では申立人商標「SANYO」は、高いシェアを誇る高品質商品として取引され、認識されており、「SANYO=三洋電機」との強い著名性を継続している。

(2)出所混同を生ずるおそれ

ア 本件商標は、「Sanyo Ind.,Ltd.」を上段に小さく書し、「SUNLIGHT POWER」を下段に大きく書して、二段併記に構成されている。この商標態様からすれば、既に周知著名として認識されている申立人の「SANYO」と同じ英文字の「Sanyo」をもって表記構成している事実、更に本件商標の指定商品である電池類及びソーラーパネルは、上述のように、申立人が日本全国及び世界中で広く著名性を得ている商品であり、電池やソーラー商品において「SANYO」(サンヨー)といえば「三洋電機」を想起させることは周知の事実であり、この名声はいまだ市場において衰えておらず、高い著名性を維持している。この事実において、「Sanyo」と認識させる本件商標を電池やソーラーパネルに付せば、需要者は申立人を想起し、申立人の商品と混同するのは必至であり、それにより申立人の商品又は役務であると誤認を招くことが容易に考えられる。

イ 仮に、「Sanyo Ind.,Ltd.」から申立人と同一会社ではないと認識したとしても、「Sanyo」から三洋電機を想起し、申立人は多数の関係会社を有する企業であることも相まって、申立人と資本関係があるかのごとく、誤認を招くおそれがある。

ウ 本件商標の指定役務である「建設工事、建築工事に関する助言、建築設備の運転・点検・整備」に関しても、申立人が製造販売するソーラーパネル(太陽電池)は設置する際に、「建設工事」や「建築工事に関する助言」が必要になる。また、屋根材と一体化して設置するため、設置後のアフターサービスは、「建築設備の運転・点検・整備」と密接な関係を有することになる。

よって、これら役務に本件商標を使用して役務を提供した場合においても、申立人あるいは申立人と何らかの提携関係にある業者による役務の提供であるとの誤認を与えるおそれがある。

エ 上述のように、本件商標は、申立人の得意とする電池・ソーラー分野の商品を指定商品及び役務とし、申立人の著名商標である「SANYO」を容易に想起させ、申立人の商品又は役務と誤認混同を生じさせるおそれを否定できない。

(3)小括

以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

2 商標法第4条第1項第19号について

(1)申立人商標「SANYO」との同一又は類似性について

本件商標は、「Sanyo」の表記を含むものであり、申立人の「SANYO」が著名であるため、本件商標に接した需要者は、本件商標のうち「Sanyo」部分から申立人あるいは申立人の商標「SANYO」を想起するものと考える。

よって、本件商標と申立人商標「SANYO」とは、類似混同する商標である。

(2)商標権者の不正の意図について

ア 申立人商標「SANYO」は、日本国内及び海外においても著名であり、特に上述のように太陽電池に関しては国内シェアが高く、品質においても世界トップクラスである。この事実より、商標権者が本件商標の登録出願時において、申立人の商標「SANYO」の周知・著名性を認識していたことは明らかである。

イ また、商標権者は、1948年に設立され、「三洋工業株式会社」との社名を用いて金属建材を製造・販売しており、長年、申立人とは事業分野が異なるため競合せず、需要者間においても誤認混同を招いた事実はなかったと思料する。現在も商標権者の会社紹介のウェブページでは、電池やソーラーパネルの取扱はない。それにもかかわらず、申立人がSANYOの使用を中止した直後の平成24年6月21日に本件商標を登録出願し、以後、同様の商標を本件商標と同じ指定商品及び指定役務において複数登録出願している(甲第12号証)。これは、申立人がSANYOの使用を中止したことを奇貨として、申立人の名声や顧客吸引力にただ乗りして、商標権者の市場参入を容易にする意図や商標権者の商品又は役務への注目を高める意図で採択されたと推認されてもやむを得ない。また、仮に積極的な市場参入の意図ではない場合でも、本件商標の使用により、申立人の出所表示機能及び築いてきた著名性を希釈化させ、その名声を毀損させるおそれを意図した不正の目的をもって使用する商標であるといわざるを得ない。

ウ なお、本件商標の商標権者である「三洋工業株式会社」が所有しているほかの商標をみても、その構成に「Sanyo Ind.,Ltd.」を付加した商標は1件もなく、また、「電池、蓄電池、リチウムイオン電池、ソーラーパネル」を指定商品とした商標も1件もない。このような状況にありながら、申立人の使用中止報道後に、本件商標を登録出願したことからすれば、不正な意図をもって登録出願されたと推測できる。

(3)小括

以上のとおり、本件商標は、申立人商標「SANYO」と類似混同を招く商標を、ただ乗りあるいは申立人商標の希釈化を図るという不正の目的をもって使用する商標であるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標

本件商標の構成及び指定商品・指定役務は、前記第1のとおりである(甲第1号証)。

(2)引用商標

申立人の引用する登録商標「SANYO」等は、別掲(B)ないし(L)に表記したとおりである(甲第13号証ないし甲第23号証:なお、別掲(B)に表記の商標から順に「引用商標1」とし、別掲(L)に表記の商標を「引用商標11」とする。以下、これらを一括して「引用商標」という場合がある。)。

そして、申立人商標「SANYO」は、上述のとおり、申立人のハウスマークとして著名な商標であり、電池やソーラーパネル分野においての著名性は世界的にも高く甚大な出所表示機能を有していると考える。

(3)本件商標と引用商標との対比

ア 本件商標の上段「Sanyo lnd.,Ltd.」については、商標権者の社名である「三洋工業株式会社」を英文字表記されたものと考えるが、申立人の所有する商標「SANYO」が申立人のハウスマークとして使用され著名であり、また、甚大な著名性を獲得している申立人の商品分野を指定商品・役務としているため、「Sanyo」の表示から三洋電機を想起させ、本件商標の「Sanyo」部分が商品・役務の製造・販売者、提供者(商品役務の出所)との認識を需要者に与える。そのため、本件商標は、三洋電機の「Sanyo」として認識されるものである。

イ なお、本件商標中「SUNLIGHT POWER」は、指定商品中の「ソーラーパネル」において「太陽光の力」の意味合いを認識させ識別力がなく、指定商品中の「電池、リチウムイオン電池、蓄電池」においても「太陽光発電による電力を蓄える電池あるいは太陽光発電に関連した商品」程度の認識を与えるものである。また、指定役務「建設工事、建築工事に関する助言、建築設備の運転・点検・整備」についても、「太陽光発電装置の設置等に関する役務」との認識を与えるにすぎず、下段部分の「SUNLIGHT POWER」は総じて識別力の弱い部分である。このことから、本件商標の要部は、「Sanyo」部分であり、「Sanyo(サンヨー)のSUNLIGHT POWER(サンライトパワー)」あるいは「Sanyo(サンヨー)」との認識又は称呼が生じるものと思料する。

ウ 引用商標「SANYO」からは、「サンヨー」との称呼を生じ、かつ「SANYO」として認識されているものである。また、指定商品及び役務については、両商標の指定商品又は役務は同一である。

エ 以上より、引用商標「SANYO」と外観、称呼、観念のいずれにおいても要部を「Sanyo」とする本件商標を、例えば、両者の同一商品である「電池」、「ソーラーパネル」に付した場合、本件商標を付した商品が申立人の商品であるとの誤認混同を与えることは明らかであり、両商標は非常に相紛らわしい類似の商標であると考える。

(4)小括

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第11号に違反して登録された商標であるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、別掲(A)のとおり、「SUNLIGHT POWER」の欧文字を横書きし、その上段に、縦の長さにして下段の三分の一程度の大きさの「Sanyo Ind.,Ltd.」の欧文字を、その語頭を下段の語頭に一致させて配した構成からなるものである。

そして、本件商標の上段部の「Sanyo Ind.,Ltd.」の文字についてみるに、「Ind.,Ltd.」の文字部分が会社の業種及び名称(工業株式会社)を表示したものと認識されることからすると、「Sanyo」の文字部分が商号の一部として、「三洋」、「山陽」、「三陽」、「サンヨー」等のいずれなのかは特定されないものの、それらを欧文字で表したものといえるから、上段部の文字に相応して、「『サンヨー』という工業株式会社」程の観念が生じ、「サンヨーインダストリーズリミテッド」の称呼が生じるといえるものであって、上段部全体をもって不可分一体のものと看取、理解されるとみるのが自然である。

また、本件商標の下段部の「SUNLIGHT POWER」の文字についてみるに、既成の句として特定の意味が生じるものではないが、「SUNLIGHT」の文字が「日光」、「POWER」の文字が「力」の意味をそれぞれ有する英語としてよく知られたものであるから、「日光の力」程の意味合いを認識させるものであり、上段部をいわゆるハウスマークと認識させることからすれば、下段部分の文字は、それに対する商品ごとのいわゆるペットネームであると認識させるものであって、それに相応して「サンライトパワー」の称呼が生じるといえる。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「サンヨーインダストリーズリミテッドサンライトパワー」の称呼を生じるほか、上段及び下段の各文字部分より、上記のとおり、「サンヨーインダストリーズリミテッド」又は「サンライトパワー」の称呼を生じるものといえるが、単に「サンヨー」の称呼のみは生じないというのが相当である。

(2)引用商標

申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして、引用する登録商標11件は、別掲(B)ないし(L)に表記のとおりであるところ、いずれも、「Sanyo」の文字、「SANYO」の文字若しくは「サンヨー」の文字若しくはこれらと図形の組み合わせ、又は別掲(H)の商標の構成欄に表記したとおりの構成(図案化されている「N」の部分を3文字目とする「SANYO」の文字)からなるものである。

そうすると、引用商標は、文字の態様に多少の違いはあるものの、それぞれ、「Sanyo」、「SANYO」又は「サンヨー」の文字を含むものであるから、その構成文字に相応して、「サンヨー」の称呼を生じるものである。

また、別掲(H)のとおりの構成(図案化されている「N」の部分を3文字目とする「SANYO」の文字)からなる登録第2320653号商標(「引用商標7」:甲第18号証)の周知、著名性については、後記2のとおりであるが、そのことを十分認識する需要者、取引者にあっては、引用商標7に相応して、「三洋電機株式会社」の観念が生じる。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、外観上、明確に区別し得るものである。

次に、本件商標から生ずる「サンヨーインダストリーズリミテッドサンライトパワー」、「サンヨーインダストリーズリミテッド」又は「サンライトパワー」の各称呼と、引用商標から生ずる「サンヨー」の称呼とは、その構成音数において明らかな差異を有し、音感、音調を異にするものであるから、称呼上明らかに聴別し得るものである。

また、上記のとおり、本件商標は、その上段部分から「『サンヨー』という工業株式会社」程の観念、下段部分から「日光の力」程の意味合いをそれぞれ認識させるものであるのに対し、引用商標からは「三洋電機株式会社」の観念が生じる場合があるといえるから、本件商標と引用商標とは、観念において一致するところはなく、類似するものとはいえない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第11号証からすると、申立人は、商品「電池、リチウムイオン電池、蓄電池」に、主として、引用商標7を長年にわたって使用し、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、該商標は、需要者の間に広く知られるに至っていたものと認められる。

しかしながら、上記1のとおり、本件商標と引用商標とは、明らかに類似しない別異の商標であるから、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標7を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品又は役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

3 商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標は、上記1認定のとおり、引用商標7とは明らかに区別し得る別異の商標であり、また、申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第23号証からしても、申立人の業務に係る商品又は役務に使用する引用商標の出所表示機能を希釈化させる、又はその名声を毀損させるなど不正の目的をもって登録出願されたとはいえないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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