Trademark Appeal Case
造語商標の称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−685002(T2013−685002/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件国際登録第1067046号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、2011(平成23)年1月12日に国際商標登録出願され、第9類「Bags and cases specially adapted for holding or carrying portable telephones and telephone equipment and accessories;bags for cameras and photographic equipment.」、第18類「Trunks and travelling bags;umbrellas;whips,harness and saddlery;backpacks,book bags,sports bags,bum bags,wallets and handbags;bags for sports;bags made of leather;carrier bags;luggage bags;shopping bags.」及び第25類「Clothing,footwear,headgear;jackets,shirts,t−shirts,sweat shirts,trousers,belts for clothing,caps,hats and scarves.」を指定商品として、平成24年9月20日に登録査定、同年11月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録の取消しを求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第100号証を提出した。
(1)引用商標
登録第4809672号商標(甲2:以下「引用商標1」という。)は、「MAQUIA」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月26日に登録出願され、第3類、第9類、第14類、第18類、第21類、第25類、第30類、第32類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月8日に設定登録されたものである。
また、登録第4850520号商標(甲3:以下「引用商標2」という。)は、「MAQUIA」の文字を標準文字で表してなり、平成16年4月1日に登録出願され、第9類、第16類、第35類、第38類、第41類、第42類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年3月25日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、同書同大の欧文字「MAKIA」を一般的な書体にて左横書きしてなり、第9類「携帯電話機及び電話機用装置及び付属品を持つため又は運ぶために特別に作られたバッグ及びケース,カメラ用及び写真機械器具用バッグ」、第18類「トランク及び旅行かばん,傘,むち、引き革及び馬具類,バックパック,書類入れかばん,スポーツバッグ,ウエストバッグ,財布及びハンドバッグ,スポーツバッグ,革製のバッグ,キャリーバッグ,旅行用かばん,買物袋」及び第25類「被服,履物及び運動用特殊靴,帽子,ジャケット,ワイシャツ類及びシャツ,ティーシャツ,スウェットシャツ,ズボン,ベルト,帽子,帽子及びスカーフ」(決定注:以上、参考和訳)を指定商品として、設定登録されたものである(甲1)。
他方、引用商標1は、同書同大の欧文字「MAQUIA」を標準文字にて左横書きしてなり、第9類「電気通信機械器具」等、第18類「かばん類,袋物,傘」等、及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊靴」等を指定商品・役務として、設定登録されたものである。
また、引用商標2は、同書同大の欧文字「MAQUIA」を標準文字にて左横書きしてなり、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,携帯電話機用ストラップ,その他の電気通信機械器具」等を指定商品・役務として、設定登録されたものである。
上記構成からなる本件商標、引用商標1及び2は、いずれも直ちに親しまれた特定の語を想起させるものでなく、一種の造語として認識されるものである。
造語商標の称呼の特定にあっては、一般的には我が国で親しまれたローマ字読み又は英語の発音に倣って称呼されると考えられ、本件商標は、その構成文字に相応して「マクイア」又は「マキア」の称呼を生ずるものである。引用商標1及び2に接した需要者は、我が国で親しまれた英単語である「liquid」を「リキッド」、「mosquito」を「モスキート」、「tequila」を「テキーラ」、「ubiquitous」を「ユビキタス」と発音する例に倣い、引用商標1及び2を「マキア」と発音するとみるのが自然である。
ここで、申立人の商標「MAQUIA」は、申立人の業務に係る雑誌の題号であって、「マキア」と称呼されて需要者に親しまれているものである。申立人は、「MAQUIA」の表紙やその新聞広告、中吊り広告等において、題号「MAQUIA」の欧文字の上部又は下部等の近接した箇所に、その読みを特定する片仮名「マキア」を必ず表示している(甲96〜甲100)。また、後述のように、「MAQUIA」は、美容誌(ビューティ・コスメ誌)の代表的存在として通称ビューティ3誌に数えられるほどの人気雑誌であることから、発売当初より各種メディア・マスコミにより大々的に取り上げられ、化粧品メーカーの広告媒体やブログ記事、一般需要者のブログ記事等にも頻繁に取り上げられてきた。これらの新聞記事やインターネット記事においては、「MAQUIA」が片仮名で「マキア」と表記され、一般需要者のブログ記事等においても「マキア」と表記されている事実が多数見受けられる(甲71〜甲73,甲85〜甲87,甲90〜甲95)。このことから、メディア・マスコミを含む需要者・取引者は、「MAQUIA」を「マキア」と称呼するものとして認識していることが明らかである。引用商標1及び2は、当該雑誌の題号「MAQUIA」と同一の構成文字からなる商標であることからも、「マキア」と称呼されるものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標1及び2とは、「マキア」の称呼を共通にするものであるから、称呼上互いに相紛らわしい類似の商標である。
また、本件指定商品は、引用商標1及び引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
よって、本件商標は、引用商標1及び2と類似する商標であって、その指定商品は、引用商標1及び2の商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人商標の周知性について
申立人の商標「MAQUIA」は、申立人の業務に係る美容誌(ビューティ・コスメ誌)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。申立人は、「MAQUIA」に関し、以下のとおり、「雑誌、新聞、印刷物」等(第16類)を指定商品とする商標登録を有している。
商標登録第4804070号「Maquia」(甲4)
商標登録第4814266号「Maquia」(甲5)
商標登録第4811190号「MAQUIA\[マキア]」(甲6:実際の構成は別掲(C)のとおり)
商標登録第5017298号「§MAQUIA\HOMME\マキアオム」(甲7)
商標登録第5077940号「§MAQUIA\Royale\マキアロワイヤル」(甲8)
(ア)美容誌「MAQUIA」販売の経緯
申立人は、2004年9月に20歳代〜30歳代の女性をターゲット層としたハイクオリティビューティ誌として「MAQUIA」を創刊した(甲9,甲10)。「MAQUIA」とは、「マキアージュ」と発音され「化粧、化粧品」を意味するフランス語「maquillage」中の「maqui」の文字に、「熱狂、熱中、○○熱」を意味する英語「mania」の語尾に位置する「a」を結合させてつくった造語である。その編集コンセプトは、「キレイな自分は自分で作る」というもので、「自分の中の力を、もっともっと磨きたい」と思っている女性のために、美の感度を研ぎ澄ます上質な情報と、それを使いこなす知の感性を、うっとりするビジュアルと最先端の方法論、信頼感あふれる徹底取材で提示する誌面内容が、美容への関心が高い女性の心を掴み、たちまち美容誌(ビューティ・コスメ誌)の代表的存在として通称ビューティ3誌(美容3誌)に数えられるほどの人気を獲得するに至ったものである(甲96)。「MAQUIA」には、創刊当初からスキンケア、メイクアップ、ネイルケア、ネイルアート、ボディケア、ヘアケア、ヘアスタイル、美粧用品、香水等、美容に関するあらゆる情報が掲載されており、毎号人気化粧品ブランドの試供品やポーチ、美容関連小物、アクセサリー等が付録として提供されることも相まって、競争の激しい同カテゴリーの雑誌業界において10年近く愛され続け、常に高い発行部数を維持している(甲11〜甲29)。
「MAQUIA」に掲載された情報への読者の信頼度は極めて高く、「MAQUIA」で紹介された化粧品や化粧小物等の商品はすぐに完売となるなど、その影響力は群を抜いている。毎年1月号で実施する「マキア ベストコスメ オブ・ザ・イヤー」では、日本を代表する美のプロと、美意識の高いマキア読者から構成される選考委員がベストコスメを選出して大賞、各部門賞を発表しており、これらの賞を受賞した商品は、受賞が掲載されるや否や一気に売り上げが伸びる「マキア売れ」現象を起こすものとして毎年注目を集めている(甲30〜甲32)。
(イ)オリジナル商品の開発・発売
申立人は、美意識の高い読者の厳しい要望に応えられるようなオリジナル商品を開発し、発売している。当該オリジナル商品の分野は、バッグ、ポーチ、ライト付きコンパクトミラー、アクセサリー、傘・日傘、フェイスケア用品、ボディケア用品、化粧品、エプロン、携帯電話・スマートフォン用小物等多岐にわたっている(甲33〜甲54)。
これらのオリジナル商品は、「MAQUIA」誌面にて大々的に紹介され、後述する公式通販サイト「MAQUIA BOUTIQUE」において購入できるようになっている(甲56〜甲63)。これら各商品には、「MAQUIA」オリジナル商品であることを示すべく、そのタグや内側のラベル等に「MAQUIA」と表示されている(甲35,甲37)。
(ウ)公式通販サイト「MAQUIA BOUTIQUE」の運営
申立人は、「MAQUIA」に掲載された化粧品や化粧小物等を通信販売形式で実際に購入できるようにした雑誌連動通販サイト「MAQUIA BOUTIQUE」を運営し、「MAQUIA」に掲載され読者に人気のブランドの商品や、上記オリジナルブランド商品、人気有名ブランドとの限定コラボレーション商品の販売を行っている(甲55)。取扱商品の分野は、スキンケア用品、ポイント・ベースメイク用品、日焼け対策・ケア用品、ボディ・ヘア・オーラルケア用具、フレグランス・アロマ用品、美容器具、美容サプリメントや衣料品・服飾小物等に加え、上記オリジナル商品群まで多岐にわたっている(甲55)。
(エ)公式サイト「MAQUIA ONLINE」の運営等
申立人は、「MAQUIA」最新号に掲載された情報の中から、おすすめの特集をピックアップして紹介するサイト「MAQUIA ONLINE」を運営している(甲64)。当該サイトでは、「MAQUIA」編集部や人気モデルや読者モデル、「MAQUIA」専属公式読者ブロガーや一般読者がビューティ、ファッション、ライフスタイル、フードなどあらゆるカテゴリーの情報を投稿し、情報共有を可能にすることで、「MAQUIA」ならではのワンランク上の美意識を持った女性目線の情報がリアルタイムで共有でき、その情報が「MAQUIA」誌面にも反映されることから、インターネット社会を生きる女性から強い支持を受けている(甲65)。
また、申立人は、より読者の声に耳を傾けて誌面に生かすため、ソーシャル・ネットワーキング・サービス「facebook」上に公式ファンページを設け、「MAQUIA」編集部と「MAQUIA」ファンが相互にコミュニケーションをとれるようにして読者と「MAQUIA」とのつながりの強化を図っている。これにより、ファンのコメントが迅速に「MAQUIA」誌面に反映され、雑誌というメディアには今までなかったライブ感が生まれている。
(オ)ビューティイベントの開催・サロンの開設
申立人は、2009年6月にはセルフビューティケアメソッドの実演等を内容としたビューティイベントを当時オープンしたばかりであったディズニーランドホテルにて開催、2012年4月には「MAQUIA」を含む申立人の人気雑誌3誌の読者を中心に約500人を招待し、人気化粧品ブランドのロレアルパリとコラボレーションしたビューティイベントを開催する等、実際に「MAQUIA」の世界を体感できるイベントを多数開催してきた(甲66〜甲68)。また、「MAQUIA」の人気モデルや、誌面で美のプロとして活躍するダイアナ・エクストラバガンザやカラープロデューサーの今井志保子等を招いて読者にとって身近な百貨店でビューティイベントを開催し、大盛況となった(甲69,甲70)。このほか、「MAQUIA」と人気化粧品ブランドとのコラボレーションによるイベントは、日本全国で多数開催されている。
また、申立人は、「MAQUIA」の創刊直後から、「MAQUIA」に掲載された商品を実際に試せるコーナーや、ヘア・メイクアップコーナー等を設けた完全予約制の「マキアサロン」を東京・銀座にオープンし、話題を集めた。2007年4月には、新丸の内ビルディングのオープンに合わせて同ビル内へと移転し、その営業スタイルの斬新さと同ビル・丸の内エリアの話題性が相まって多大な注目を集め、各種新聞やテレビ番組でも紹介されて一躍注目のスポットとなった(甲71〜甲73)。
(カ)販売実績
「MAQUIA」は、2004年11月の発売以来、読者の確固たる支持を受け続け、2008年1月から2012年12月までの平均発行部数は約10万部となっており、その広告収入は、2009年に約11億円、2010年に約9.7億円、2011年に約8.3億円、2012年に約9.7億円にのぼっている。このように、インターネット・携帯電話・スマートフォンが浸透した影響により雑誌類全体の発行部数及び売上げが低下してくる中、依然として「MAQUIA」は美意識の高い女性のバイブルとして美容誌(ビューティ・コスメ誌)の代表的地位を維持している。
(キ)商品の宣伝及び広告
申立人は、「MAQUIA」が可処分所得の高い女性をターゲット層としており、読者の多くが有職者であることから、広告効果が高い交通機関の車内中吊り広告を作成し、毎号発売に際して東京をはじめ名古屋、大阪の各都市を走る主要交通機関の車内に掲載して売上げを高めるよう最大の努力を傾注している(甲97,甲98)。
また、日本を代表する全国紙である朝日新聞においても積極的な宣伝広告を行い、さらに「MAQUIA」読者以外に対しても「MAQUIA」の世界観を伝えて「MAQUIA」及びその掲載商品の販売促進を図ることを目的としてタブロイド企画を組み、2012年には2回、東京と大阪で配布される朝日新聞の折り込みとして読者に配布した(甲74,甲75,甲99,甲100)。2013年も同様に、まずは3月に20万部のタブロイドを配布する予定である(甲76)。このように、申立人は莫大な新聞広告掲載料を支出して「MAQUIA」の売上げを高めるための努力を継続している。
さらに、申立人は、「MAQUIA」誌面に掲載した商品広告を別刷りして独立した広告媒体を作成し、広告主の店舗や百貨店で配布する等、活発かつ効率的な宣伝広告活動を行っている(甲77〜甲84)。
(ク)メディア・マスコミによる報道及び需要者の認識
「MAQUIA」は、その編集コンセプトがターゲット層の女性に受け入れられ、「マキア売れ」現象を引き起こす等強い影響力を与えるに至ったことから、その掲載内容や商品、モデル等にも注目が集まり、発売当初より各種メディア・マスコミにはもちろん、化粧品メーカーの広告媒体やブログ記事、一般需要者のブログ記事等にも頻繁に取り上げられてきた(甲71〜甲73,甲85〜甲95)。特に、上述のような読者参加型イベントの開催、「マキアサロン」の開設等、業界を牽引する先駆的モデルを提案する点において注目を集めてきた(甲71〜甲73)。
イ 混同のおそれについて
申立人の長期に及ぶ出版事業と積極的な宣伝広告活動が相まって、申立人の商標「MAQUIA」は、20〜30歳代女性のみならず、日本全国の誰もが申立人の美容誌を表示するものと認識しているほどに周知・著名なものとなっており、本件商標の国際登録日である平成23年1月12日の時点においても申立人の業務に係る美容誌を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標であり、その状態が現在も継続していることが明らかである。
また、申立人の美容誌「MAQUIA」には、主にスキンケア、メイクアップ、ネイルケア、ネイルアート、ボディケア、ヘアケア、ヘアスタイル、美粧用品、香水等、美容に関する情報が掲載されており、その読者は自分自身を磨きたいという意欲の高い女性であり、美容の他に被服やかばん類等ファッションの分野にも強い関心を持っていることが推測される。さらに、ファッション雑誌や児童用雑誌の付録として、バッグやポーチ、傘やアクセサリー等の服飾小物類が読者に提供されることが多いという実情が存在する。このため、本件指定商品中、第25類「被服,履物,ベルト」等や第18類「財布及びハンドバッグ」等は、申立人の美容誌と需要者を共通にするものであり、これと密接な関係があることが明らかである。
そして、出版業界においては、出版社がその発行する雑誌に掲載されている商品を通信販売形式で実際に購入できる雑誌連動公式通販サイトを運営し、サイトの名称として当該雑誌の題号(商標)を採用する事業形態が確立している。通常、かかる通販サイトでは、主に化粧品や衣料品、携帯電話・スマートフォン関連商品等の商品が各雑誌のテーマに応じて取り扱われている。このような実情に鑑みれば、本件指定商品中、第9類「携帯電話機及び電話機用装置及び付属品を持つため又は運ぶために特別に作られたバッグ及びケース」等も、申立人の美容誌と需要者を共通にすることが多く、これと密接な関係があるといえる。
そうすると、申立人の商標「MAQUIA」と同一の称呼を生ずる本件商標をその指定商品に使用した場合には、本件商標に接する取引者・需要者が申立人の美容誌「MAQUIA」を想起し連想して、当該商品を申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)申立人の商標「MAQUIA」の周知性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、2004年9月に25歳から35歳の女性をターゲット層としたハイクオリティビューティ誌として「MAQUIA」を創刊し、該雑誌には、別掲(B)のとおりの構成からなる商標(以下「引用使用商標」という。)が題号として使用され、創刊当初からスキンケア、メイクアップ、ネイルケア、ネイルアート、ボディケア、ヘアケア、ヘアスタイル、美粧用品、香水等、美容に関する情報が掲載されており、発行部数は、2009年に約42万部、2010年に約37万部、2011年に約34万部、2012年に約33万部とやや減少傾向ではあるものの、一定程度高い発行部数を維持しているものといえる。
また、申立人は、バッグ、ポーチ、ライト付きコンパクトミラー、アクセサリー、傘・日傘、フェイスケア用品、ボディケア用品、化粧品、エプロン、携帯電話・スマートフォン用小物等のオリジナル商品を開発し、それらが「MAQUIA」誌面にて紹介され、申立人が運営する雑誌連動通販サイト「MAQUIA BOUTIQUE」において購入できるようになっていることが認められる。
さらに、申立人は、「MAQUIA」に掲載された商品を実際に試せるコーナーや、ヘア・メイクアップコーナー等を設けた完全予約制の「マキアサロン」を東京・銀座にオープンし、各種新聞やテレビ番組でも紹介されたこと、その他、申立人は、「MAQUIA」誌面に掲載した商品広告を別刷りして独立した広告媒体を作成し、広告主の店舗や百貨店で配布する等、宣伝広告活動を行っていることが認められる。
そして、上記雑誌の題号には、引用使用商標が題号として使用されているところ、「マキア」の片仮名が「MAQUIA」の文字の近接した箇所に表示されていることが認められる。
以上によれば、申立人が雑誌に使用し、それに関連して他の商品にも使用する引用使用商標は、「マキア」の片仮名が「MAQUIA」の文字の近接した箇所に表示されて使用されたことも相まって、申立人の長期に及ぶ出版事業と積極的な宣伝広告活動により、少なくとも20歳代ないし30歳代の女性を中心に、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る美容誌を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標であることが認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、別掲(A)のとおり、「MAKIA」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、辞書等に記載のある既成の語ではないものであり、特定の意味合いを認識させない造語を表したものと認められる。そして、これを称呼するときは、本件商標に使用されている5文字のローマ文字及びそのつながりからすれば、我が国で親しまれたローマ字読みに従って称呼されるというのが自然であるから、本件商標から「マキア」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標1及び2は、前記2(1)のとおり、「MAQUIA」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、本件商標と同様に、辞書等に記載のある既成の語ではないものであり、特定の意味合いを認識させない造語を表したものと認められる。そして、「MAQUIA」の文字は、特定の読みを直ちに想起し難いが、このような場合、我が国で親しまれたローマ字又は英語の発音に倣って読まれることが多いと認められるから、これよりは、「マクイア」又は「マキア」の称呼が生ずるというのが相当である。
ところで、「MAQUIA」の文字は、上記(1)のとおり、少なくとも20歳代ないし30歳代の女性を中心に、申立人の業務に係る美容誌を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標であることが認められることからすれば、該雑誌になじんだ需要者にとっては、「MAQUIA」の文字の構成に相応して「マキア」とのみ称呼するとみるのが自然である。
また、「MAQUIA」の文字は、上記のとおり、これを付した雑誌になじんだ需要者以外の者にとっては、特定の読みを直ちに想起し難いものであり、語頭の「MA」の文字と語尾の「A」の文字に挟まれた「QUI」の文字をもって強く印象を与えるものといえることから、それを離れて「マクイア」又は「マキア」の称呼のみで取引に資されることはないとみるのが相当である。
そこで、まず、本件商標の外観と引用商標1及び2の外観とを比較すると、本件商標が5文字からなるのに対して、引用商標1及び2は6文字からなるものであって、両者は、構成文字の5文字中の3文字目と6文字中の3文字目及び4文字目とにおいて、「K」と「QU」との顕著な差異を有するから、時と所を異にして観察しても判然と区別することができるものである。
つぎに、本件商標から生ずる「マキア」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「マクイア」又は「マキア」との称呼とを比較すると、両者は、「マキア」の称呼を共通にする一方、「マキア」の称呼と「マクイア」との称呼の比較においては、中間音の「キ」と「クイ」とに差異があり、この差異が両称呼全体の音調、音感に与える影響は大きいものといわざるを得ず、両称呼は、それぞれを一連に称呼するもなお十分聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標1及び2とは、共に特定の観念を生ずるものではないから、観念においては比較することができない。
してみれば、本願商標と引用商標1及び2とは、外観において判然と区別できる差異を有しているものであって、称呼において共通する場合があるとしても、その称呼のみによって相紛れることがないものであり、観念においても紛れることはないものであるから、これらの商標に係る指定商品を取り扱う取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、商品の出所について混同を生じさせるおそれのある類似の商標とはいえないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標1及び2とが非類似の商標である判断したことと同様に、本件商標と引用使用商標とは、相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、その国際商標登録出願時及び登録査定時において、引用使用商標が申立人によって使用された結果、その業務に係る商品「雑誌」の出所を表示する商標として周知であったとしても、引用使用商標とは別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者をして、その使用商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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