Trademark Appeal Case
PTP包装の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−11413(T2013−11413/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成24年8月14日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、様々な錠剤用の包装シートが指定商品『薬剤』の分野において使用されていることからすれば、10錠詰めの錠剤の包装シートを表示したものと認識させるにとどまり、これをその指定商品に使用しても、単に商品の包装形状を表示するにすぎず、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲(1)のとおり、最上部に彩色した枠を有する縦長の角丸長方形であり、当該彩色枠の下方を5つに区切り、各枠内に横に並べた2つの円を5列に規則的に配し、2つの円の下辺に接して山なりの弧線を描いた構成からなるものである。
(2)本願の指定商品「薬剤」について
別掲(2)及び(3)の情報によると、本願の指定商品「薬剤」の分野において以下の実情が認められる。
ア 薬剤は、剤形として錠剤、散剤・顆粒剤、カプセル剤などがあり、錠剤やカプセルを押し出す包装(PTP包装 Press−Through−Package)、散剤や顆粒剤の分包に使用する包装(SP包装 Strip Package)やバラ包装(容器収納)などの包装形態で包装され、製造・販売されている。
イ 近年においては、錠剤を収納する場合は、PTP包装(PTPシートとも称される。)を用いることが、薬の包装の主流となってきており、PTP包装のシートは縦長の角丸長方形の形状となっている。錠剤の収納部は、シートに規則的に並べられ、1シートの収納数は、10錠のほか14錠などのものもある。
ウ PTP包装を含む薬の包装について、製薬会社は、ウェブサイトなどの「製品情報」や「包装変更等のお知らせ」などにより、PTP包装の表裏面を真上から撮った写真画像や図などを用いて周知するほか、薬局などのウェブサイトでも同様の画像を表示している実情がある。
エ 別掲(3)のとおり、シートの表裏面には、販売名や容量などが表示されているところ、最上部の枠内への彩色のほか、錠剤収納部周辺に太線や台形状・円形・矩形枠などを設ける等、販売名や容量等表示の視認性を高めるため、彩色や簡単な図形が描かれている場合がある。
(3)商標法第3条第1項第3号に該当することについて
本願商標は、上記(1)のとおり、最上部に彩色した枠を有する縦長の角丸長方形であり、当該彩色枠の下方を5つに区切り、各枠内に横に並べた2つの円を5列に規則的に配し、2つの円の下辺に接して山なりの弧線を描いた構成からなるものである。
他方、上記(2)で示した本願の指定商品「薬剤」の分野の実情からすると、PTP包装が錠剤の包装の主流となっており、別掲(2)のオないしスに示す例のように、10錠の錠剤がPTP包装に収納されていることを表示するために、2つの円(錠剤収納部)を5列に規則的に配して10錠を収納したPTP包装(以下「PTP包装(10錠)」という。)の表面を真上から見た画像や図が普通に用いられていることが認められる。
そして、本願商標とPTP包装(10錠)の表面を真上から見た画像や図は、いずれも縦長の角丸長方形内に横に並べた2つの円を5列に規則的に配してなる点において共通する。
そうすると、本願商標をその指定商品「薬剤」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、その薬剤が、PTP包装(10錠)されたものであると直ちに理解するというのが相当である。
なお、本願商標中には、彩色された最上部や横に並べた2つの円の下辺に接して山なりの弧線が描かれているが、格別特徴があるとはいえないものであり、これらをもって自他商品の識別機能を有するとはいい難い。さらに、別掲(3)のとおり、PTP包装(10錠)においては、最上部枠内への彩色のほか、錠剤を収納する円の周辺に太線や台形状・円形・矩形枠などを設ける等、販売名や容量等表示の視認性を高めるため、彩色や簡単な図形を描く場合が認められることからすると、本願商標における最上部の彩色及び2つの円の下辺に接する山なりの弧線は、それぞれ看者の目を惹く特徴のあるものとはいい難いものであり、全体として、本願商標に自他商品の識別標識を果たす部分は見いだせない。
そうすると、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、人の顔を簡略化して模したデザインにも見えるものであって、自他商品の識別機能があり、錠剤の包装シートであることを直接的に想起させるには、錠剤の収納部分が立体的である状態が容易に認識し得ることが必要であるとし、本願商標は、錠剤の包装シートを連想させることはないか、または、漠然と暗示する程度のものにとどまるものであり、本願商標中の丸みを帯びた細い線の図形等が、取引上普通に使用されている例はないと主張するとともに、過去の登録例を引用している。
しかしながら、上記(2)及び(3)のとおり、本願商標は、PTP包装(10錠)された薬剤であると理解されるにとどまるというのが相当であり、過去の登録例は、描かれている図案が特徴的といえる点や商標の態様が異なるなど、本願商標とは事案を異にするものであるから、これらの登録例があるからといって、本願商標を登録すべきではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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