sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼「ン」有無の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900269(T2013−900269/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5582663号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5582663号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成24年12月6日に登録出願、第25類「履物、被服」を指定商品として、同25年4月11日に登録査定、同年5月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりである。

(1)登録第5462642号商標(以下「引用商標1」という。)は、「そくいく」の平仮名を標準文字で表してなり、平成23年7月25日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同24年1月13日に設定登録されたものである。

(2)登録第5462643号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ソクイク」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年7月25日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同24年1月13日に設定登録されたものである。

(3)登録第5462644号商標(以下「引用商標3」という。)は、「SOKUIKU」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年7月25日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同24年1月13日に設定登録されたものである。

(4)登録第5490788号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成23年11月22日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同24年4月27日に設定登録されたものである。

(引用商標1ないし4をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)

3 登録異議申立ての理由

本件商標より生ずる「ソクイクン」の称呼と引用商標より生ずる「ソクイク」の称呼は、語尾音「ン」の有無にすぎないから、両称呼をそれぞれ一連に称呼したときには、互いに聞き誤るおそれがある。

また、本件商標と引用商標1及び4は、「そくいく」の文字を共通にするから、外観上近似した印象を与える。

したがって、本件商標と引用商標は、観念上比較することができないとしても、称呼及び外観において相紛らわしい類似の商標である。

また、申立人は、2009年(平成21年)より、その業務に係る商品「幼児・子供用靴」について、「そくいく(足育)」シリーズの製造、販売を開始し、取引者、需要者の注目を集めているところ、引用商標に類似する本件商標をその指定商品中の「履物」について使用すれば、出所の混同を生じさせるおそれがある。

さらに、本件商標の指定商品中の「履物」は、引用商標の指定商品と同ー又は類似である。

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)本件商標と引用商標との類否について

ア 本件商標

本件商標は、別掲(1)のとおり、文字の一部を擬人化して表してなるものの、「そくいくん」の文字を表したと容易に理解されるものであり、構成する各文字が同様の書きぶりで、かつ、隣り合う文字の一部が接して表されているところから、構成文字全体が一体のものとして看取されるばかりでなく、各文字にそれぞれ異なった色彩が施されていることにより、全体的にカラフルで独創的なデザインを有する商標として印象づけられるものである。 そして、本件商標は、その構成文字に相応して、「ソクイクン」の称呼が生ずるものであって、構成文字全体からは特段の観念が生ずるものとは認めることができない。

イ 引用商標

(ア)前記2のとおり、引用商標1は「そくいく」の平仮名を、引用商標2は「ソクイク」の片仮名を、引用商標3は「SOKUIKU」の欧文字を、それぞれ標準文字で表してなるものであるから、引用商標1ないし3は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「ソクイク」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語を表したと理解されるとみるのが相当である。

(イ)引用商標4は、別掲(2)のとおり、細い線で縁取られた特徴的な黒塗り図形内に、大きく表した「そくいく」の平仮名と小さく表した「シリーズ」の片仮名を白抜きで、二段に横書きしてなるものである。そして、引用商標4の構成中の「シリーズ」の文字部分は、「連続、系列」などを意味し、ある商品が一定の傾向を持って連続的に製造、販売される場合にも使用されるところから、当該商品がシリーズ展開をしている商品であることを理解させるにとどまり、自他商品の識別機能を有しない部分であるということができる。

そうすると、引用商標4は、その構成中、大きく表された「そくいく」の文字部分に自他商品の識別機能を有するといえるから、構成文字全体を称呼した場合の「ソクイクシリーズ」の称呼のほか、「そくいく」の文字部分より、単に「ソクイク」の称呼をも生ずるものであって、引用商標1ないし3と同様に、特定の観念を生じない造語を表したと理解されるとみるのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標との対比

(ア)外観

本件商標は、前記アの認定のとおり、「そくいくん」の文字の一部を擬人化し、かつ、各文字を異なった色彩で表してなるものであるから、構成全体が極めて独創的なデザインを有する商標として印象づけられるといえる。

そうすると、本件商標は、標準文字で書された引用商標1〜3とは、看者に与える印象において著しく異なるものといえる。

また、引用商標4は、前記イ(イ)の認定のとおり、黒塗りの図形内に、白抜きで「そくいく」の文字と「シリーズ」の文字を二段に横書きしてなるものであるから、本件商標とは、黒塗りの図形の有無の差異、両商標を構成する各文字の表現方法等において著しい差異を有するものである。

したがって、本件商標と引用商標は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、互いに紛れるおそれはないというべきであるから、外観上類似する商標ということはできない。

(イ)称呼

本件商標より生ずる「ソクイクン」の称呼と引用商標より生ずる「ソクイク」の称呼を比較すると、前者が5音よりなるものであるのに対し、後者は4音よりなるものであって、末尾の「ン」の音の有無の差異を有するものである。そして、本件商標より生ずる「ソクイクン」の称呼は、「ソクイ」の音と「クン」の音との間に称呼上の段落が生じ、語頭音から「イ」の音に行くに従い、徐々に高く発音され、「クン」の音に至ると低く発音されるのが一般的であるといえるのに対し、引用商標より生ずる「ソクイク」の称呼は、発音上の高低の差なく、平坦に一気に称呼されるのが一般的であるといえる。

してみると、両称呼は、それぞれの称呼を全体として称呼したときには、構成音数の差異及び末尾における「ン」の音の有無の差異により、称呼全体の語調、語感が相当程度相違したものとなり、互いに紛れるおそれはないというべきである。

また、本件商標より生ずる「ソクイクン」の称呼と引用商標4より生ずる「ソクイクシリーズ」の称呼は、上記「ソクイクン」の称呼と「ソクイク」の称呼における差異に加え、「シリーズ」の音の有無の差異をも有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼したときにおいても、明瞭に聴別し得るものである。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標と認めることはできない。

(ウ)観念

本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。

(エ)したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

なお、申立人は、対比する2つの商標が、外観上近似し、その称呼において、末尾音「ン」の有無の差異にすぎないから、類似するとした審決例等を挙げ、本件もこれら審決例等と同様に判断されるべきである旨主張するが、前記認定のとおり、本件商標と引用商標とは、外観上顕著な差異を有するばかりでなく、称呼上もそれぞれ全体の語調、語感が相違し、観念上比較することができないことも相まって、両商標の有する外観、称呼及び観念を総合的に考察すれば、非類似の商標というべきものである。

したがって、本件は、申立人の挙げた審決例等とは事案を異にするというべきであるから、これら審決例等の存在をもって、本件における類否判断が左右されるものではない。

エ 申立人は、2009年(平成21年)より、その業務に係る商品「幼児・子供用靴」について、「そくいく(足育)」シリーズの製造、販売を開始し、取引者、需要者の注目を集めているところ、引用商標に類似する本件商標をその指定商品中の「履物」について使用すれば、出所の混同を生じさせるおそれがある旨主張する。

しかし、前記ウの認定のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても類似しない商標である。そこで、本件商標と引用商標が、外観、称呼及び観念のいずれの点についても類似しない商標であるにもかかわらず、なお取引の実際において、これら商標を履物について使用した場合に、その需要者が商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとする特段の事情が存在するか否かについて検討する。

(ア)申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記。なお、枝番を有する証拠において、枝番のすべてを引用する場合は、以下、枝番の記載を省略する。)によれば、申立人が2003年(平成15年)に発売した、「瞬足」の文字よりなる商標(以下「『瞬足』商標」という。)を付した商品「幼児・子供用靴」は、2009年(平成21年)以降、年間で約600万足のペースで売れ続け、発売10周年を迎えた2013年(平成25年)5月には、販売数の累計が約4000万足に達成し、子供用靴市場で約60%のシェアを占めるに至っていること(甲12、甲13、甲17)、申立人は、「瞬足」商標を付した幼児・子供用靴の発売10周年を記念した平成25年5月16日の発表会において、「今後は発育課程の子どもたちの足を考えた『足育(そくいく)』宣言をして、子どもの足の成長と健康を考える活動を行っていく」と述べ、また、これを掲載したインターネット記事には、「開発に1年半かけたというアキレス『足育』第1弾商品は、順天堂大学との産学協同開発により『SYUNSOKU SO・KU・I・KU』として8月から発売する。」と記載されていること(甲17)、申立人の業務に係る商品を掲載したカタログ「2009年アキレス春・夏商品一覧」(甲14の1)、同「2009年アキレス秋・冬コレクション」(甲14の2)、同「2010年アキレス春・夏コレクション」(甲14の3)、同「2012年アキレス春・夏コレクション」(甲14の4)、同「2012年アキレス秋・冬コレクション」(甲14の5)、同「2013年アキレス春・夏コレクション」(甲14の6)には、「瞬足」商標を付した幼児・子供用靴に、「そくいく/『足育』シリーズ」の文字(甲14の1〜3)、「“足育”の理念の基づいた安心設計」の文字(甲14の3)、引用商標4(甲14の4〜6)、「瞬足ベビー“そくいく”シリーズ」の文字(甲14の6)などが表示されていること、「Achilles × 順天堂大学/スポーツ健康科学部バイオメカニクス研究所 SYUNSOKU/SO・KU・I・KU」との標題のある商品説明書(甲18)の4枚目には、「足のトラブルが年々増え続けていることから見ても、子どもの足は変化をしていると言えるでしょう。運動能力の低下も深刻な問題となっています。こうした『子どもの足』の問題に対して危機感を持ったアキレスでは、2009年4月より順天堂大学との産学協同研究プロジェクトをスタート。4年の歳月を経て、今回『正しい歩行が自然と身につく靴』の開発へとつながりました。それが、子どもの足を育てる=足育コンセプトを生かしたSYUNSOKU SO・KU・I・KUシリーズです。」と記載されている(なお、甲18の作成日は不明であるが、記載内容からみて、平成25年5月ないし8月ころと認められる。)こと、などを認めることができる。

(イ)前記(ア)で認定した事実によれば、申立人は、2009年(平成21年)4月ころから、自社のカタログに、申立人のヒット商品である「瞬足」商標を付した幼児・子供用靴に、「そくいく/『足育』シリーズ」、「“そくいく”シリーズ」の文字や引用商標4などを表示してきたが、「そくいく(足育)」などの語を本格的に使用し始めたのは、「瞬足」商標を付した幼児・子供用靴の発売10周年を迎えた平成25年5月ころないし「SYUNSOKU SO・KU・I・KU」として商品の発売をはじめた同年8月ころからとみるのが相当である。そうすると、本件商標の登録出願日(平成24年12月6日)からその登録査定日(平成25年4月11日)までの間に、「そくいく/『足育』シリーズ」、「“そくいく”シリーズ」の文字や引用商標4などをカタログに使用していた事実は認められるとしても、上記カタログ以外に、「そくいく/『足育』シリーズ」、「“そくいく”シリーズ」の文字や引用商標4などを表示して宣伝広告をしたという事実を認めることができない。のみならず、これらカタログが、本件商標の登録出願前までに、どの程度の部数、どのような方法で、どのような者を対象として配布されたかについては、明らかではなく、カタログに表示されたという上記事実のみをもって(甲14)、「そくいく(足育)」の語が、申立人の業務に係る商品「幼児・子供用靴」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及びその登録査定日の時点において、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

したがって、本件商標と引用商標との類否判断において斟酌すべき取引の実情の事実を認めることはできない。

オ 以上を総合すると、本件商標と引用商標に接する需要者は、両商標を明確に区別して認識し得るというべきであるから、これら商標を使用した履物について、出所の混同を生ずるおそれはないというべきである。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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