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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2013−890032(T2013−890032/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5475364号商標(以下「本件商標」という。)は、「キャンディーブラウン」の片仮名と「CANDYBROWN」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成23年12月21日に登録出願、第9類「眼鏡及びその部品・付属品,眼鏡用容器,コンタクトレンズ及びその付属品,カラーコンタクトレンズ,コンタクトレンズの容器,サングラス及びその部品・付属品,サングラス用容器」を指定商品として、同24年2月14日に登録査定、同年3月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5440482号商標(以下「引用商標」という。)は、「Candy」の欧文字と「キャンディ」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成23年4月25日に登録出願、第9類「コンタクトレンズ,カラーコンタクトレンズ」を指定商品として、同年9月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。

1 理由

本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

2 具体的理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 指定商品の同一・類否について

本件商標の指定商品中「眼鏡及びその部品・付属品,眼鏡用容器,サングラス及びその部品・付属品,サングラス用容器」と引用商標の指定商品「コンタクトレンズ,カラーコンタクトレンズ」とは、共に、眼鏡店で販売されることがあり、販売部門の同一性がある。よって、両商品は、類似商品であるといえる。

本件商標の指定商品中「コンタクトレンズ及びその付属品,カラーコンタクトレンズ,コンタクトレンズの容器」と引用商標の指定商品「コンタクトレンズ,カラーコンタクトレンズ」とは、明らかに、同一又は類似商品である。

イ 商標の類否について

本件商標の指定商品について、取引界においては、色違いの商品が販売されているという取引実情が存在し(甲3〜甲11)、その他、このような事例は、職権をもって調査すれば、極めて多数存在することが直ちに認識可能である。

したがって、本件商標の指定商品について、「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」という商標を使用した場合、「キャンディ」や「CANDY」という商標が付された商品を提供する同一の出所から販売された色違いの商品であると需要者が認識するのは、明らかであり、出所の混同が生じ、本件商標と引用商標とが類似するといえる。

本件商標のいずれの指定商品について使用する場合であっても、本件商標は、その構成中の「ブラウン/BROWN」の箇所については、指定商品の色を表している品質表示にすぎない。そのため、本件商標の要部は、「キャンディー/CANDY」であるといえ、本件商標からは、「キャンディーブラウン」のみならず、「キャンディー」の称呼も生じる。

一方、引用商標からは、明らかに「キャンディー」の称呼が生じる。

してみれば、本件商標と引用商標とは、共に、「キャンディー」の称呼を生じ、その称呼において類似の商標である。

また、本件商標と引用商標とは、「キャンディー」の称呼が共に生じるため、「飴(あめ)」との観念が共に生じる。したがって、本件商標と引用商標とは、その観念において類似の商標である。

ウ このように、本件商標の指定商品における取引の実情を総合的に判断した場合、色違いの商品がごく当たり前に販売される商品分野であり、「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」という本件商標をその指定商品について使用した場合、引用商標「Candy/キャンディ」を使用した商品を販売する出所が、色違いの商品を販売したものと需要者が混同するのは明らかであり、本件商標と、引用商標とは、類似する商標であるといわざるを得ない。

(2)商標法第4条第1項第16号について

商品「コンタクトレンズ」には、商品「カラーコンタクトレンズ」が含まれる。通常、色がついていない視力矯正用の度入りのコンタクトレンズは、単に「コンタクトレンズ」と称する。

一方、色がついているファッション用のコンタクトレンズを「カラーコンタクトレンズ」と称する。「カラーコンタクトレンズ」には、視力矯正用の度入り用のものと、度入りでないものとがある。度入りの「カラーコンタクトレンズ」は、視力矯正用の「コンタクトレンズ」に含まれる商品である。このように、取引の実情においては、色付きの商品を「カラーコンタクトレンズ」と称している。これらのことは、証拠を示すまでもなく明らかである。

「カラーコンタクトレンズ」では、通常、種々の色違いのバリエーションの商品を販売することが多く、ブランド名に対して、色名を付けることによって、色違いの商品を販売する事情が存在する(甲6〜甲8)。

もし、「コンタクトレンズ」の商品パッケージに、「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」との商標が付された商品を需要者が手に取った場合、「ブラウン」や「BROWN」の表記が存在することから、色つきのコンタクトレンズ、すなわち、商品「カラーコンタクトレンズ」が中に入っているとの誤認を生じるおそれが十分に考えられる。

したがって、指定商品「コンタクトレンズ」に対して、本件商標「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」を使用した場合、「カラーコンタクトレンズ」であるとの商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(3)その他

請求人は、商願2012−17911号にて、指定商品を第9類「眼鏡,コンタクトレンズ,カラーコンタクトレンズ」とする商標「BIGキャンディーグレー」を出願し(甲12)、また、商願2012−17912号にて、同一の指定商品について商標「BIGキャンディーブラック」を出願し(甲13)、また、商願2012−17913号にて、同一の指定商品について商標「BIGキャンディーブラウン」を出願した(甲14)。

上記3件の商標登録出願に対して、それぞれ、登録第5326469号商標(甲15)と類似するとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知書が発送された(甲12〜甲14)。登録第5326469号商標は、指定役務を第35類「カラーコンタクトレンズ・コンタクトレンズ及びその付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とする商標「BIGキャンディー」に関するものである。

上記3件の商標登録出願における審査では、指定商品の分野において、「グレー」、「ブラック」及び「ブラウン」については、単に、商品の品質である色バリエーションを表示しているにすぎず、上記3件の商標の要部は、「BIGキャンディー」の部分にあるとして、商標「BIGキャンディー」と上記3件の商標とがそれぞれ類似すると審査段階で判断されたと推察できる。

一方、引用商標「Candy/キャンディ」と、本件商標「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」とが非類似であるとして、本件商標が登録されているわけである。

「BIG」の有無が存在するとしても、「BIG」自体、「大きい」という観念が生じるため、識別力は比較的弱いと考えられる。よって、上記3件の商標登録出願と、本件無効審判事件とは、同一の判断基準によって類否判断がなされるべき事案であると考える。

したがって、本件商標と引用商標とは類似であると判断し、指定商品の分野においては、色表示による結合商標に関しては、類似すると判断されるべきであると考える。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、また、その指定商品が同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。また、本件商標は、同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第45号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、以下のとおり、全体で一体不可分の一連の商標と認識されるべきものであり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるというべきである。

(1)本件商標の一連性

ア 本件商標は、「キャンディーブラウン」の片仮名と「CANDYBROWN」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるものであり、上下のいずれの段においても各構成文字は、同じ書体、同じ大きさをもって、等間隔に視覚上まとまりよく一体的に書されているものである。また、上段に位置する片仮名「キャンディーブラウン」は、下段に位置する欧文字「CANDYBROWN」の読み仮名として捉えるのが自然である。

そして、商標の数が膨大になっている昨今の取引実情に鑑みれば、10音ないし20音程度の称呼を生ずる商標が採択・使用されることは何ら珍しいことではないなか、「キャンディーブラウン」の称呼は長音を含めても8音と短く、淀みなく一気に称呼し得るものであることから、全体として一連の商標と捉えるのは極めて自然なことである。

イ インターネット上のポータルサイト「Google」で「キャンディーブラウン」の語をキーワードに検索すると(乙3)、まず、被請求人の運営するコンタクトレンズの通販ウェブサイト「007速配コンタクト」がトップにヒットする(乙4及び乙5)。「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」は、被請求人が販売するカラーコンタクトレンズである「ヴィーナスアイズシリーズ」の中の商品名(商標)であって(乙5)、「キャンディー」というシリーズ商品の中の「ブラウン」という色彩を表しているものではない。カラーコンタクトレンズ(カラコン)愛好者にも「キャンディーブラウン」という商品名(商標)で認識されている(乙8及び乙10)。これらから明らかなとおり、被請求人は、当該「ヴィーナスアイズシリーズ」の一つとして「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」を大規模に販売しており、しかも、上記検索結果でも被請求人に係る同商品の紹介サイトがほとんどを占める状況である(乙3)。このように、本件商標が一連の商標として広く認識されていることがわかる。

ウ また、商品の種類を問わずに考えた場合、例えば、「キャンディブラウン」がオートバイのボディの色彩を表すもの(意味合い)として使用されていると思しきウェブサイトもある(乙11及び乙12)。ここでは、「キャンディーブラウン」から何らかの意味合い(イメージ)が想起されるとしても、乙第11号証や乙第12号証の写真のオートバイの部品に表されるように「赤」、「茶色」、「橙」などといった色彩をミックスし、キャンディ(飴)のように透明感のある輝いた色彩のイメージ、強いて言えば「飴茶色」といった漠然とした色の意味合いで認識されると推測される。いずれにしろ、ここでも「キャンディブラウン」は全体としてのーつの言葉として用いられており、「キャンディ」という商標で販売される中の「ブラウン」色のオートバイを指しているものではない。

エ このように現実の取引の場面においても、「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」は被請求人の上記商品を表す商標として、又は、強いて言えば、せいぜい「飴茶色」といった極めて漠然とした色彩を表す意味合い(イメージ)の言葉として使用される(ただし、普通に使用されているわけではない)ものであることからして、本件商標は一体不可分の一連の語として認識されるべきものである。

なお、「キャンディーブラウン」から、「飴茶色」といった漠然とした意味合い(イメージ)が看取されることがあるとしても、「飴茶色」自体が人それぞれによって思い浮かべる色彩や色合いが異なるであろうから、この語が特定の色彩を表す語でないことはいうまでもない。要するに、「キャンディーブラウン」(CANDYBROWN)が何らかの色彩を連想させることがあるとしても、暗示的なものにすぎない。

(2)本件商標は、上述のように本来的に一連の商標と捉えるべきものであり、これを殊更に「キャンディー/CANDY」及び「ブラウン/BROWN」に分離して観察すべき理由はない。被請求人に係る商品(カラーコンタクトレンズ、乙5)においても、本件商標は、全体として一連のものとして用いられているのであって、「キャンディー」シリーズの「ブラウン」色といった使い方では全くない。また、インターネットで検索しても、数少ない「キャンディーブラウン」の使用例において常に一連の言葉として用いられており、「キャンディー」だけが分離するような用い方は皆無である。

このように「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」は一語として捉えるべきものであり、請求人の主張するように「キャンディー/CANDY」を抽出し、要部であるとすることなど、明らかに無理がある。

2 商標法第4条第1項第16号について

本件商標「キャンディーブラウン/CANDYBROWN」は、上述のように全体で一連の商標であるから、「ブラウン」及び「BROWN」の部分を分離抽出する請求人の主張は根拠がない。また、「キャンディーブラウン(CANDYBROWN)」の語は特定の色彩を直接に表示する語ではなく、せいぜい暗示的なものに止まるから、商品の品質の誤認を生じさせることはない。

したがって、この点に関する請求人の主張は、失当といわざるを得ない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、上記第1のとおり、「キャンディーブラウン」の片仮名と「CANDYBROWN」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものである。

そして、本件商標の構成についてみると、本件商標の上下段の各文字部分は、いずれも同書、同大、等間隔で表されており、全体としてもまとまりよく表されているといえるものである。また、上段の「キャンディーブラウン」の片仮名は、下段の「CANDYBROWN」の欧文字の表音と無理なく理解し、認識し得るものである。

そうすると、「キャンディーブラウン」及び「CANDYBROWN」の文字よりなる本件商標からは、それぞれの構成文字全体に相応して「キャンディーブラウン」の称呼が生じるところ、該「キャンディーブラウン」の称呼も格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものといえる。

また、本件商標構成中の「キャンディー」及び「CANDY」の文字が、「砂糖を煮詰めて作った飴菓子、ボンボン・ドロップ・キャラメル・ヌガーなどの総称、糖菓。」(広辞苑第六版)の意味を有する語として、「ブラウン」及び「BROWN」の文字が、「褐色、茶色」(広辞苑第六版)の意味を有する語として、我が国において、共に親しまれたものであるとしても、本件商標全体として、その指定商品の取引者、需要者に対し、特定の観念を生じるとまでは、いえないものである。

加えて、本件商標は、「キャンディー」及び「CANDY」の文字部分のみが独立して見る者の注意を惹くような構成態様とはいえず、特に強く支配的な印象を与える部分といえる事情も見あたらないものである。

以上からすると、本件商標は、「キャンディーブラウン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語からなる商標というのが相当である。

(2)引用商標について

引用商標の構成態様は、上記第2のとおり、「Candy」の欧文字と「キャンディ」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「キャンディ」の称呼及び「キャンディ(飴)」の観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標より生じる「キャンディーブラウン」の称呼と引用商標より生じる「キャンディ」の称呼とを比較すると、両者は、構成音数に顕著な差異を有するものであるから、称呼上明らかに区別し得るものである。

また、本件商標は特定の観念を生じない造語であるから、本件商標と引用商標とは、観念上比較することができないものである。

さらに、本件商標と引用商標の構成は、上記第1及び第2のとおりであり、外観上明らかに区別し得るものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)小結

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

2 商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、上記1(1)のとおり、特定の観念を生じない一連の造語といえるものであるから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生じさせるおそれのないものというのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。

3 請求人の主張について

請求人は、「本件商標は、その構成中の『ブラウン』及び『BROWN』の文字部分が、本件商標の指定商品との関係において、商品の色を表している品質表示にすぎないから、本件商標は、その構成中の『キャンディー』及び『CANDY』の文字部分より、単に『キャンディー』の称呼及び『飴』の観念を生じる。」旨主張して、甲第3号証ないし甲第11号証を提出している。

そして、上記甲各号証によれば、本件商標の指定商品について、各種色彩が施された商品があることが認められ、「ブラウン」及び「BROWN」の文字が商品の色彩表示として使用されていることが認められる。

しかしながら、上記1(1)のとおり、本件商標は一連のものとして認識されるものであるから、「ブラウン」及び「BROWN」の文字部分を色彩表示ととらえるべきとする請求人の主張は採用できない。

また、統一した判断を行うべきと主張して、請求人が提出した登録例は、その商標の構成・態様において、本件商標及び引用商標の構成・態様とは異なる事案であるから、この点に関する請求人の主張も採用できない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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