結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成8年審判第5743号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1813852号商標(以下、「本件商標」という。)は、「オーガス」の文字を書してなり、第19類「日用品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和58年4月7日に登録出願、同60年10月31日に設定登録、その後、平成8年2月28に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものであるが、指定商品中の「加熱器、流し台、調理台」については、商標権の一部取消審判により、平成8年11月11日の審決によって取り消され、その確定審決の登録が平成9年3月11日になされているものである。
請求人は、本件商標の登録は取り消す、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概略次のように述べ、甲第1号証を提出した。
(1)請求人は、本件審判請求につき利害関係を有する。
(2)請求人において、市場調査をした結果、本件商標は、その指定商品である「日用品、その他本類に属する商品」について少なくとも過去3年間に被請求人によって使用された事実はなく、又、本件商標の登録原簿には専用使用権或いは通常使用権の登録設定もない。してみれば、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(3)被請求人は、本件商標は、通常使用権者である株式会社ムービックによって、商品「日用品」について審判請求の登録日前3年以内に使用されている旨主張し、株式会社ムービックから被請求人への商標使用の申込書及び商標「オーガス」を付した商品の写真コピーを提出しているが、該資料からは、株式会社ムービックが、「超時空世紀オーガス」の商品化をしたい旨の申込みをした事実が理解できるにとどまり、何時何処で該会社が本件商標を付した商品「日用品」を製造・販売したとか通常使用権者であるとかいうことは立証されていない。
仮に、株式会社ムービックが、通常使用権者であり、本件商標を付した日用品を製造・販売したとしても、乙第2号証乃至同第5号証の写真コピーの商品には商標権者の略称である「BIGWEST」が表記されており、通常使用権者が、被請求人に対し本件商標の使用料まで支払いながら、自己の製造・販売に係る商品に自己の名称ではなく商標権者の略称のみを表記することは社会通念上あり得ない不自然なことである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至同第7号証を提出した。
(1)本件商標が通常使用権者により審判請求登録前3年以内に日本国内において、請求に係る商品である「日用品」について使用していることを乙各号証により説明する。
乙第1号証は本件商標の通常使用権者から被請求人への商標使用の申込書の写しである。乙第1号証は「株式会社ムービック」からの商標使用の申込書であり、本件商標である「オーガス」の表示が明確に表わされている。確かに請求人主張のように本件商標の登録原簿には、専用使用権および通常使用権の登録はされていない。しかしながら、通常使用権はその登録を効力発生の要件とするものではなく、商標権者の許諾の意志表示によってのみ発生するものであることは商標法第31条第1項の規定から明らかである。
以上から、「株式会社ムービック」は、本件商標を商品「日用品」について使用することを内容とする許諾による通常使用権を有する。なお、申込書の日付は本件審判請求の登録前3年以内である。
次に「株式会社ムービック」が製造し販売する商品が、取消し請求に係る商品のうちの「その他の日用品」に相当するものであることを乙第2号証乃至同第5号証により説明する。
乙第2号証乃至同第5号証は、いずれも乙第1号証の通常使用権者である「株式会社ムービック」が製造及び販売する商品である。いずれの商品にも「オーガス」あるいは、「ORGUSS」の明瞭な表示があり、さらに「うちわ」「工具箱」「貯金箱」「キーホルダー」等、旧第19類で指定される「日用品」であることは明らかである。
これらの使用時期は、「株式会社ムービック」よりの乙第1号証の左上の日付から、本件審判請求の登録前3年以内のものであることは明らかである。
以上に述べたように、本件商標は審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により請求に係る商品の一つである「日用品」について使用されていることから、審判の請求には理由がないものである。
(2)請求人は、弁駁書において、被請求人の提出した株式会社ムービツクが本件商標を付した商品「日用品」を製造・販売したとする証拠資料からは、該会社が通常使用権者であることは立証されていない。また、株式会社ムービックが自己の製造・販売する商品に自己の名称ではなく商標権者の略称のみを表記することは社会通念上あり得ない不自然なことであると指摘している。しかしながら、これらの請求人の指摘は、キャラクター版権ビジネスについて、特にアニメーションキャラクターにからむ特殊な慣習について知識の不十分さからくるものに他ならない。
被請求人は、アニメーション映像作品等を制作・放送しその著作権を取得し、そのキャラクターを付加することにより価値を増す商品の製造を希望する製造業者に対し、使用料を摂取し使用を許可している。平成8年8月7日付けで被請求人が提出した乙第1号証「超時空要塞オーガス」商品化権使用申込書は、株式会社ムービックが本件商標を使用する旨の報告であり、被請求人は当該申込書に基づき商標使用料を株式会社ムービックに請求し、株式会社ムービックは実際に本件商標使用料を被請求人に支払っている。本件商標使用料を支払った以上、本件商標を付した商品「日用品」を製造・販売していないとは考えられない。なぜなら、既存商品に絵柄を印刷するだけという製造コスト自体は非常に安い商品であるため、本件商標使用料を支払った上で商品の製造を中止するということは利潤を追求する企業としては考えられないからである。また、平成8年8月7日付けで被請求人が提出した乙第2号証乃至同第5号証は、商品化権使用契約に基づき商品見本として株式会社ムービックより被請求人に提出されたものであり、商品見本があるということは商品が製造・販売された確かな証拠である。販売時期は、別途使用期間の延長申し込みはないので当該商品化権使用申込書に記されている平成7年1月30日から平成8年1月29日の使用予定期間中あると断定できる。
株式会社ムービックは、アニメーション作品等のキャラクターの商品化権を取得し、他の製造業者から仕入れた既存の商品にその絵柄を付加することにより高額で販売している。消費者にとってはキャラクター以外の名称が商品に付加されていることは商品価値を落とすことに他ならない。また、その流通は、直営もしくは、フランチャイズの専門店舗「アニメイト」での販売にかぎられており一般流通で売られることはないため、自己の商品に自己の名称を表記しなくとも商品流通上混乱をきたすことはない。以上の理由から、商品への自己の名称の表記は、外袋もしくはシール対応にする場合が多く、実際に全く表記のない商品も本件商標商品以外に数多く存在する。その証拠として被請求人が商標権を所有するその他株式会社ムービックの製造・販売する商品乙第6号証及び同第7号証を提出する。
審判長は、被請求人に対し、本件取消審判の請求の登録前3年以内の具体的な取引書類、および、被請求人と株式会社ムービックとの間の通常使用権許諾を具体的に証明する書面の提出を求める審尋をおこなった。
これに対し、被請求人は、株式会社ムービックの平成7年7月25日付け「売上伝票」のコピー、および、平成6年10月1日付けをもって締結された被請求人と株式会社ムービックとの間の商標権に関する「契約書」のコピー(乙第8号証)を提出した。
被請求人の提出に係る乙第8号証(平成6年10月1日付け「契約書」)によれば、被請求人は、株式会社ムービックに対し、該契約書の「権利行使明細書」に記載されているキャラクターズを使用した製品を、平成6年9月1日乃至同9年8月31日の間、日本国内において販売するために製造することを許諾しているものである。そして、上記「権利行使明細書」の使用キャラクター欄には、本件商標である「オーガス」の表示があり、その商品名欄には本件指定商品中に含まれる「貯金箱」の表示がある。
そして、被請求人の平成10年12月9日付け提出に係る「売上伝票」によれば、株式会社ムービックが、アニメイト高崎、アニメイト池袋、および、アニメイト大宮に対し、「オーガス」を付した「貯金缶(箱)」を平成7年7月25日に販売した事実が認められる。
してみれば、株式会社ムービックは、本件取消審判の請求の登録前3年以内である平成6年9月1日乃至同9年8月31日の期間中、本件商標に関し通常使用権を有していたものとみるのが相当である。
また、株式会社ムービックが「貯金箱」(乙第4号証)について使用している商標は、本件商標と社会通念上同一性を有するものと認められるものである。
以上事実を総合勘案すれば、本件商標は、本件商標の通常使用権者と認められる株式会社ムービックによって、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内で、指定商品中の「貯金箱」について使用されていたものとみるのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。