Trademark Appeal Case
称呼観念類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900148(T2013−900148/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5562217号商標(以下「本件商標」という。)は、「大人のプレミアムスティック」の文字を標準文字で表してなり、平成24年10月25日に登録出願、第30類「菓子,洋菓子,スナック菓子,パン」を指定商品として、同25年2月18日に登録査定、同年3月1日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5537180号商標(以下「引用商標1」という。)は、「プレミア スティック」の文字を標準文字で表してなり、平成23年9月15日に登録出願、第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同24年11月22日に設定登録されたものである。
(2)登録第5372390号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PREMIER STICK」の文字を標準文字で表してなり、平成22年4月23日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同年12月3日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成中の「大人の」の文字部分が単に「大人風の」や「大人向きの」程の意味合いを容易に認識させ、商品の品質、用途を表示するにすぎないものであるから、その構成中にあって、自他商品の識別標識としての機能を果たすのは、「プレミアムスティック」の文字部分というのが相当である。
また、上記「プレミアムスティック」の文字は、「premium stick」の片仮名表記と容易に認識させるものであるところ、「premium」の文字は、「上等な」、「高級な」、「高価な」といった意味を有する英語であり、また、「stick」の文字は、「棒」の意味を有する英語である(甲第4号証及び甲第5号証)。
そうすると、本件商標は、その構成中の「プレミアムスティック」の文字部分に相応して、「プレミアムスティック」の称呼を生じ、「高級な棒」の観念を生じるものである。
他方、引用商標1を構成する「プレミア スティック」は、「premier stick」の片仮名表記と容易に認識させるものであるところ、「premier」の文字は、「第一位の」、「首位の」、「最高の」といった意味を有する英語であり、また、「stick」の文字は、「棒」の意味を有する英語である(甲第4号証及び甲第5号証)。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「プレミアスティック」の称呼を生じ、「高級な棒」の観念を生じるものである。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼及び観念において、類似する商標である。
そして、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品中の「菓子及びパン」とは、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、平成22年8月26日から、引用商標1及び引用商標2を付した「コーヒー、ココア、紅茶、抹茶、清涼飲料」等の商品を製造し、全国規模で広く販売しており、また、広告や販売促進物の中で、両商標を広く用いている(甲第6号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。))。
また、本件商標の指定商品である「菓子、洋菓子、スナック菓子、パン」と上記「コーヒー」等の商品とは、量販店やコンビニエンスストア等の食品販売店において、ごく近接して展示、販売されている。
さらに、上記「コーヒー」等の商品を使用する又はこれらの風味を有する「菓子、洋菓子、スナック菓子、パン」は、容易に想定される。
したがって、本件商標がその指定商品について使用された場合、その指定商品分野の需要者は、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきである。
4 本件商標に対する取消理由
当審において、平成25年9月30日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「大人のプレミアムスティック」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、その構成態様並びに後述する外来語としての「プレミアム」及び「スティック」の各語の周知度を勘案すれば、「大人の」、「プレミアム」及び「スティック」の各語を組み合わせてなるものと容易に看取、理解されるものである。
ところで、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、別掲に示すように、こだわりの素材を用いたり、甘みを抑えるなどした「大人向け」と称する商品が一般に製造、販売されており、そのような商品について、「大人の」の語を用いて「大人向け」の商品であることを表す場合が少なからずあるというのが実情である。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標の構成中の「大人の」の文字部分について、その商品が「大人向け」の商品であることを表したもの、すなわち、商品の品質を表示したものとして認識する場合も少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標の構成中の「大人の」の文字部分からは、出所識別標識としての称呼及び観念を生ずることはなく、該文字以外の「プレミアムスティック」の文字部分が、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
また、上記「プレミアムスティック」の文字部分についてみるに、その構成中の「プレミアム」は、「高級。上等。高価。」などの意味を有する外来語として、同じく、「スティック」は、「棒状のもの。」などの意味を有する外来語(両語の意味は、「大辞林 第三版」(株式会社三省堂発行)から引用。)として、それぞれ一般に慣れ親しまれたものであるから、該文字部分は、その全体をもって、「高級な棒状のもの」程の意味合いを理解させるものである。
以上を踏まえれば、本件商標は、その構成中の「プレミアムスティック」の文字部分が出所識別標識としての要部であり、その構成文字に相応して、「プレミアムスティック」の称呼を生じ、「高級な棒状のもの」程の意味合いを理解させるものである。
(2)引用商標1
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「プレミア スティック」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、その構成態様に照らせば、「プレミア」及び「スティック」の各語を組み合わせてなるものと容易に看取、理解されるものである。
また、「プレミア」の語は、「プレミアム」の語と同義といい得るもの(前出「大辞林 第三版」)であって、一般に慣れ親しまれたものである。
してみれば、引用商標1は、その構成文字全体に相応して、「プレミアスティック」の称呼を生じ、「高級な棒状のもの」程の意味合いを理解させるものである。
(3)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標は「大人のプレミアムスティック」の文字からなるものであるのに対し、引用商標1は「プレミア スティック」の文字からなるものであるところ、両商標は、その構成全体をもって対比するときは、相違するものとして看取し得るものの、上記(1)のとおり、本件商標は、その構成中の「プレミアムスティック」の文字部分が出所識別標識としての要部であり、該文字部分と引用商標1とを対比するときは、「プレミア」の文字及び「スティック」の文字をすべて同じくするものであり、中間部において、わずかに「ム」の文字の有無という差異が存するにすぎないものであるから、外観上、相当程度似通った印象を与えるものである。
また、本件商標から生じる「プレミアムスティック」の称呼と引用商標1から生じる「プレミアスティック」の称呼とは、「プレミア」の音と「スティック」の音との間における「ム」の音の有無という微差にとどまることに加え、該差異音「ム」についてみても、両唇通鼻音の子音「m」と小開き母音「u」とからなる音であって、くぐもりやすく、その位置するところとあいまって、明瞭に聴取されるとはいい難いことからすれば、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、互いに聴き誤るおそれがあるとみるのが相当である。
さらに、本件商標と引用商標1とは、上記のとおり、いずれも「高級な棒状のもの」程の意味合いを理解させるものであるから、観念上、同一のものといえる。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼において互いに聴き誤るおそれがあり、かつ、観念において同一のものといえるものであり、また、外観においても、本件商標の構成中、出所識別標識としての要部である「プレミアムスティック」の文字部分は、引用商標1と相当程度似通った印象を与えるものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標は、互いに類似する商標といわなければならない。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似する商品である。
したがって、本件商標は、その登録査定時において、商標法第4条第1項第11号に該当するものであったというべきである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
5 本件商標権者の意見
前記4の取消理由に対して、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、要旨次のように意見を述べ、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標
本件商標は、同書、同大、等間隔に標準文字で「大人のプレミアムスティック」と横一連に書してなるものであるところ、その構成中の「大人の」の文字部分は、「こだわりの素材を用いる」、「甘みを抑える」等、取引上、様々な意味合いで用いられており、特定の意味合いを有するものとして一般に用いられているものではないことからすれば、該文字部分は、特定の商品の品質ないし機能を直接的かつ具体的に表示するものとはいえず、よって、該文字部分を捨象し、それ以外の「プレミアムスティック」の文字部分のみで取引に供されるとは考えられない。
また、仮に本件商標の構成中の「大人の」の文字部分が「大人向けの」程の意味合いを暗示し、同じく、「プレミアムスティック」の文字部分が「高級な棒状のもの」程の意味合いを暗示させることがあるとしても、本件商標の指定商品の分野における取引の実情において、「大人用」や「子供用」の「高級な棒状のもの」が存在し、取引されている事実もない。
さらに、本件商標から生じる「オトナノプレミアムスティック」の称呼は、格別冗長でもなく、全体の語呂が非常に滑らかで、よどみなく一気一連に発音されるものであり、何ら分離される理由はない。
したがって、本件商標は、本件商標権者が創出した一連一体不可分の造語からなるものであって、「オトナノプレミアムスティック」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1
引用商標1は、「プレミア スティック」の文字を横書きしてなるものであるから、これより、「プレミア」、「スティック」又は「プレミアスティック」の称呼を生じるものと考えられる。
(3)本件商標と引用商標1との類否
本件商標は、「オトナノプレミアムスティック」の称呼を生じるものであるのに対し、引用商標1は、「プレミア」、「スティック」又は「プレミアスティック」の称呼を生じるものであるから、両商標は、称呼上、非類似の商標である。
また、本件商標と引用商標1とは、それぞれの構成からみて、外観上、顕著な差異を有することは明らかである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じることのない一連一体の造語であるから、観念上、引用商標1と比較することはできない。
(4)本件商標の使用に係る取引の実情
本件商標は、引用商標1と混同されることなく、継続して平穏に一連の語として使用され、取引されている事実があり、また、取引者、需要者間において、本件商標権者の商品を示すものとして理解、認識されており、本件商標と引用商標1との間で現実に商品の出所の混同を生じているという実情は存在しない(乙第4号証ないし乙第7号証)。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない商標というべきであり、かつ、その具体的な取引状況に基づいて判断すれば、両商標は、極めて顕著な差異をもって看取されるものといえるから、互いに混同することのない非類似の商標であることは明らかである。
なお、商標の構成中における「大人の」又は「おとなの」の文字の有無という差異を有する商標が、併存して多数登録されている(乙第8号証)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標についてした前記4の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものというべきである。
(2)本件商標権者の意見について
ア 本件商標権者は、本件商標の構成中の「大人の」の文字部分について、該文字が特定の意味合いを有するものとして一般に用いられておらず、商品の品質ないし機能を直接的かつ具体的に表示するものとはいえないことからすれば、これを捨象し、「プレミアムスティック」の文字部分のみをもって取引に供されることはない旨主張する。
しかしながら、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、近年、例えば、こだわりの素材を用いる、甘みを抑えるなどといった方法により、商品の風味を大人の嗜好に合うように工夫した商品が一般に製造、販売されており、そのような工夫(特長)を備えた商品(大人向けの商品)であることを表す際に「大人の」の語を用いることが少なからずあることは、別掲に示す内容から明らかである。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標の構成中の「大人の」の文字部分について、その商品が上記工夫(特長)を備えたものであることを表示したものとして看取、理解するとみるのが相当である。
してみれば、商品の出所識別に当たり、取引者、需要者が着目するのは、本件商標の構成中、「プレミアムスティック」の文字部分というべきであるから、該文字部分が、本件商標の出所識別標識としての要部であり、その構成文字に相応して生じる「プレミアムスティック」の称呼及び「高級な棒状のもの」程の意味合いをもって取引に資される場合があるといわざるを得ない。
したがって、本件商標権者による上記主張は、採用できない。
イ 本件商標権者は、本件商標は、引用商標1と混同されることなく使用され、取引されており、また、取引者、需要者間において、本件商標権者の商品を示すものとして理解、認識されており、引用商標1との間で現実に商品の出所の混同を生じている実情は存在しない旨主張し、乙第4号証ないし乙第7号証を提出している。
しかしながら、本件商標が引用商標1と混同されることなく使用、取引されているとの上記主張は、本件商標権者に対して商品の出所の混同に関する苦情や混乱の情報等が寄せられていない旨を意味するものと解されるにとどまるものであって、本件商標の指定商品の取引者、需要者において、現実に商品の出所の混同を生じなかったと断定するに足りる的確な証拠はない。
また、本件商標権者の上記主張に係る乙各号証についてみるに、乙第4号証は、商品を包装するダンボール箱や包装袋に「大人のプレミアムスティック」の文字が表示されていることがうかがえるにとどまるものであり、乙第5号証は、平成24年10月19日から同25年10月29日までの間の本件商標権者あての発注書等(複数)の「商品名」欄において、「大人のプレミアムスティック」又は「オトナノプレミアムスティック」の文字が表示されていることがうかがえるにとどまるものである。
さらに、乙第6号証は、2013年(平成25年)10月31日に、学校法人国士舘広報課が発行した「ウゴパン」(第31号)と称するフリーペーパーにおける紹介記事の一として、本件商標の使用に係る商品が掲載されていることが確認できるにすぎず、乙第7号証も、少なくとも2012年(平成24年)11月、2013年(平成25年)1月ないし3月及び8月に各1回(日付の特定ができないものは除く。)、ブログ記事等において、「大人のプレミアムスティック」を称する商品についての記述があることがうかがえるにとどまるものである。
その他、本件商標権者の主張及び同人の提出に係る乙各号証を総合してみても、本件商標が、本件商標権者の業務に係る商品であることを表示するものとして、取引者、需要者間において認識されるに至っていると認めるに足る事実は見いだし得ない。
したがって、本件商標権者による上記主張は、採用できない。
ウ 本件商標権者は、商標の構成中における「大人の」又は「おとなの」の文字の有無という差異を有する商標が、併存して多数登録されている旨主張するが、もともと商標の類否は、指定商品に係る取引の実情等に即して、商標の構成に基づき個別具体的に対比検討して決すべきところ、本件商標と引用商標1とは、その指定商品に係る取引の実情を踏まえつつ、それぞれの構成態様に徴すれば、互いに紛れるおそれのある類似の商標であること、前記4の取消理由において示したとおりであり、また、本件と上記併存登録例とでは、その商標の構成等において相違するものであり、事案を異にするというべきものであるから、該登録例の存することをもって、本件商標と引用商標1との非類似を裏付けることはできない。
したがって、本件商標権者による上記主張は、採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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