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Trademark Appeal Case

頭文字違いの称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900257(T2013−900257/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5577620号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5577620号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOLLINI」の文字を標準文字で書してなり、平成24年11月2日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、平成25年3月11日に登録査定、同年4月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下(1)〜(4)のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第1462893号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:POLLINI

登録出願日:昭和52年6月30日

設定登録日:昭和56年5月30日

書換登録日:平成13年12月5日

指定商品 :第25類「履物」及び第6類、第14類、第18類、第21類、第22類、第26類に属する商標登録原簿記載の商品

(2)登録第1552717号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲

登録出願日:昭和53年2月25日

設定登録日:昭和57年11月26日

書換登録日:平成15年1月8日

指定商品及び指定役務 :第6類、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載の商品

(3)登録第1997783号(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:POLLINI

登録出願日:昭和60年3月6日

設定登録日:昭和62年11月20日

書換登録日:平成20年6月4日

指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載の商品

(4)登録第1997784号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:POLLINI

登録出願日:昭和60年3月6日

設定登録日:昭和62年11月20日

書換登録日:平成20年6月4日

指定商品 :第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」

(引用商標1〜4をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)。

3 登録異議の申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 商標の類似

本件商標と引用商標の差異は、ともに全7文字のアルファベットから構成される外観において、語頭の「M」と「P」の差異にすぎない。また、その称呼においても、語頭音の「モ」と「ポ」の差異にすぎず、「モ」と「ポ」は共に両唇音であって、母音「o」を共通にする近似音である。加えて、いずれの商標も第2音目の「リ」に強勢(ストレス)が置かれていることから、その直前に位置する「モ」と「ポ」の音の印象が弱くなるため、明瞭に聴別することは困難である。また、共に3音節から成る商標であって、全体の語調、語感を同じくし、互いに聞き誤るおそれがあるため、本件商標は、称呼において、引用商標に類似する商標であるといえる。

かかる申立人の考えは、特許庁における過去の判断を踏襲するものである(甲7、甲8)。

なお、本件商標と引用商標は、イタリア語と思しき語もしくはイタリア語からなるものの、いずれも特定の観念を有しない造語であるから(甲9)、本件商標と引用商標を観念において区別することは困難である。

したがって、本件商標は、引用商標に類似する商標である。

イ 商品の類似

本件商標の商品と引用商標1及び4の商品が類似することはすでに明らかであるので、以下、引用商標2及び3の商品について述べる。

本件商標は、第25類「履物,運動用特殊靴」について使用するものである。

これに対し、引用商標2の指定商品は、前記2(2)に示したとおりであって、当該商品に、本件商標の指定商品は含まれていないが、最近のアパレル業界では、ひとつのブランドやデザイナーにこだわらず、オーナー及びバイヤーのセンスでさまざまな種類の商品を仕入れ、陳列・販売する「セレクトショップ」「セレクトストア」なる業態が一般化しており(甲10)、「被服」「履物」等とあわせて、関連する服飾雑貨類や「傘」、「化粧品」、「化粧用具」等を同一店舗内で販売する傾向にある。

よって、引用商標2の指定商品と本件商標の指定商品は、往々にして販売場所が同じである商品といえる。

また、引用商標3の指定商品は、前記2(3)に示したとおりであって、当該商品にも、本件商標の指定商品は含まれていないが、上述のとおり、現在のアパレル業界の傾向では、「被服」「服飾雑貨」等は、「履物」と同じ売り場で販売されている商品である。

さらに、本件商標の指定商品を取り扱う履物業界と引用商標の指定商品を取り扱う被服・服飾雑貨業界とは、最近の当該業界の傾向として、その境界において相互参入が進行している状況にあり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、その生産場所においても重なるところが多い。

よって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、生産部門や販売部門、需要者の範囲において重なるところが多いため、互いに類似の関係にあるといえる。

ウ 小括

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人であるポリーニ・エッセ・ピ・アは、1953年、エトオール・ポリーニによって創業され、今年60周年を迎えるイタリアの靴及び皮革製品のブランドである。1960年代から、海外展開を積極的に行ない、ドイツ、フランス、アメリカ合衆国への進出も果たした。現在は、アルベルタ・フェレッティ、モスキーノ、エマニュエル・ウンガロなどの服飾ブランドを擁するアエッフェ・グループの傘下にあり、自社ブランドに加え、グループに属しているブランドの靴の製造も手がけている(甲11)。

2010年に英国人デザイナーのニコラス・カークウッドが同ブランドのクリエイティブ・デザイナーに就任後、日本に初上陸し、株式会社三越伊勢丹銀座三越店、伊勢丹新宿店等に進出、順調に売り上げを伸ばしている(甲12)。また、その頃から現在までの約4年にわたり、朝日新聞、ファッションビジネスの専門紙である繊研新聞、また、40以上を超える様々な雑誌に積極的に同ブランドに関する広告・宣伝を開始し(甲13)、今年の10月、伊勢丹新宿店において、ブランド創立60周年を記念した展覧会「UNPACKING 60 YEARS OF POLLINI」も開催している(甲14)。

このような宣伝・広告の効果もあり、服飾業界、特に靴の業界における知名度は極めて高い。

よって、申立人の商標の周知著名性から、取引者、需要者が本件商標を付した商品、特に靴に接した場合、申立人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるといえる。また、仮に、本件商標が付された商品に接した取引者、需要者が、申立人の業務に係る商品であると誤認しない場合であっても、何らかの提携関係にある事業者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じさせるおそれは高いといえる。

したがって、本件商標は、引用商標との関係において、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(3)まとめ

以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号または同第15号の規定に反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記1のとおり、「MOLLINI」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成文字に相応して、「モリーニ」の称呼を生ずるものであり、該文字は、特定の観念を生じない造語といえるものである。

これに対して、引用商標は、前記2のとおり、「POLLINI」の文字、あるいは、「POLLINI」の文字を要部とする構成よりなるところ、その構成文字に相応して、「ポリーニ」の称呼を生ずるものであり、該文字は、特定の観念を生じない造語といえるものである。

そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標の構成は、上記したとおりであり、本件商標と「POLLINI」の文字を要部とする引用商標2を含む引用商標とは、7文字中、6文字の綴りを同じくするものであるとしても、識別する上で重要な語頭に位置する「M」と「P」の文字に明らかな差異があることから、両商標は、全体の印象が異なり、外観上区別し得るものというべきである。

また、称呼においては、本件商標から生ずる「モリーニ」の称呼と引用商標から生ずる「ポリーニ」の称呼とは、いずれも4音で構成され、第2音以下の「リーニ」の音を共通にするとしても、第1音において「ポ」と「モ」の差異を有するものである。そして、該差異音は、「ポ」が両唇を合わせて呼気を止めた後、これを破って出す破裂音であるのに対し、「モ」が両唇を閉じて発する通鼻音であって、音質が相違する上、称呼の識別上重要な要素を占める語頭部に位置し明確に認識されるものであるから、かかる差異は、4音構成という比較的短い称呼に与える影響が決して小さいとは言い難いものである。

しかして、これらをそれぞれ一連に称呼した場合には、全体としての音感が相違し、彼此相紛れることなく聴別し得るというべきである。

さらに、本件商標と引用商標は、いずれも何らの観念をも生じないものであって、観念について比較することができないものであるから、観念上相紛れる余地はない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、同人は、1953年に創業された、イタリアにおいて引用商標を使用した靴等を製造販売する事業者であり、1960年代から、ドイツ、フランスの欧州諸国やアメリカ合衆国へ進出し、我が国においては、該商品が2010年に初上陸し、都内の百貨店において販売され、各種雑誌、新聞などによる広告、宣伝をおこなったものであり、これらによれば、申立人の業務に係る商品「靴」等について「POLLINI」「Pollini」「ポリーニ」等(以下「使用商標」という。)が使用されていることがうかがえる。

しかし、使用商標を使用した「靴」等は、我が国においての販売期間は、初上陸した2010年から2014年の約4年と短く、その売上高も、2010年及び2011年が約2万5千ユーロ、本件商標の商標登録出願時の2012年が45万ユーロ、2013年が92万ユーロであって、これらを円に換算しても、決して大きな売上高とはいえないこと、各種雑誌、新聞などによる広告、宣伝にしても、数種類の雑誌、新聞等に、数回程掲載された証拠が提出されているにすぎないことからすると、かかる証拠のみによっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用商標が申立人の業務に係る商品「靴」等を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。

また、上記(1)のとおり、本件商標と、使用商標と同一の構成を含む引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない別異の商標といえるものである。

そうとすれば、「MOLLINI」の文字からなる本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人又は使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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