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Trademark Appeal Case

螺鈿ガラスの品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2013−14955(T2013−14955/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,「螺鈿ガラス」の文字と「RADEN GLASS」の文字を,普通に用いられる方法で上下2段に横書きしてなり,第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成24年8月4日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同25年2月25日受付の手続補正書により,第21類「ガラス製食器類,ガラス製包装用容器,ガラス製花瓶」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,『螺鈿ガラス』の文字及び『RADEN GLASS』の欧文字を上下2段に書してなるところ,その構成中『螺鈿』の文字は,『夜光貝・鮑貝などの貝殻を板状に成形し,文様に切って木地・漆地の面にはめ込み,または貼り付け,漆を塗り研ぎ出す技法。』の意味を有する語として一般的に知られており,かつ,本願指定商品を含む日用品の分野では,螺鈿の技法を施した商品が,実際に多数,製造・販売されている実情が見受けられる。加えて,手続補正後の本願指定商品である『ガラス製食器類,ガラス製包装用容器,ガラス製花瓶』を扱う分野において,商品にさまざまな装飾を施すことが一般的であることを考えれば,本願商標に接した需要者・取引者は,『螺鈿ガラス』の文字に接した際に,『螺鈿(の技法)を用いたガラス製品』程の意味合いを表すものとして認識するとみるのが相当である。したがって,本願商標は,これをその指定商品に使用するときは,単に商品の品質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められ,商標法3条1項3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標について

本願商標は,前記第1のとおり,「螺鈿ガラス」の文字と「RADEN GLASS」の文字を,普通に用いられる方法で上下2段に横書きしてなるものであるところ,本願商標の下段に書された「RADEN GLASS」の文字は,その上段に書された「螺鈿ガラス」を,単に欧文字(英語)で表したものと容易に理解させるものであり,上段の「螺鈿」の文字部分は,「夜光貝・鮑貝などの貝殻を板状に成形し,文様に切って木地・漆地の面にはめ込み,または貼り付け,漆を塗り研ぎ出す技法。」(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店)を理解させるから,本願商標は,全体としても,「螺鈿の技法を用いたガラス」といった程度の意味合いが理解されるものといえる。

2 商標法3条1項3号該当性について

(1)「螺鈿○○」の表記について

「螺鈿」は,「夜光貝・鮑貝などの貝殻を板状に成形し,文様に切って木地・漆地の面にはめ込み,または貼り付け,漆を塗り研ぎ出す技法。」(広辞苑)であるところ,螺鈿の技法を用いた商品が,「螺鈿手鏡」(http://item.rakuten.co.jp/garandou/c/0000000444/),「螺鈿文鎮」(http://item.rakuten.co.jp/garandou/b-048/),「螺鈿時計」(http://item.rakuten.co.jp/hasegawa/06053/),「螺鈿名刺入れ」(http://kanagu-store.com/products/product-35),「螺鈿食器」(http://shilla.shop-pro.jp/?pid=54689800)というように,「螺鈿○○」(「○○」は商品名)と表記されている事実が見受けられる。

(2)「○○ガラス」の表記について

「ガラス」は,「【複合語】ガラス[英glass]製法,地名,用途,などを表す語と共に複合語をつくる.ボヘミア〜」(「コンサイスカタカナ語辞典第4版」株式会社三省堂)とされる語であり,以下のとおり,「○○ガラス」との構成において,ある特定のガラス器(工芸品)を指称する語として辞書等に掲載されている事実が見受けられる。

ア 「ボヘミアガラス」について

「ボヘミアガラス(Bohemian glass)」の項目にて,「透明度が高く光沢に富み,工芸品として有名。一六,七世紀,ボヘミアでソーダ灰の代わりに木灰をカリウム原料としてカリ-ガラスが作られたことにちなむ名。」と記載されている(「大辞林 第三版」株式会社三省堂)。

イ 「ローマ・ガラス」について

「ローマ・ガラス【Roman glass】」の項目にて,「ローマ時代にローマ帝国領内で作られたガラス器の総称。」と記載されている(http://kotobank.jp/word/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%EF%BD%A5%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9)。

ウ 「ベネチアンガラス」について,

「ベネチアングラス【Venetian glass】」の項目にて,「《「ベネチアンガラス」とも》イタリアのベネチア産の装飾ガラス器。華麗また繊細な色彩やデザインで有名。・・・また,ベネチア風の装飾ガラス器のこと。ベネチアガラス。」と記載されている(http://kotobank.jp/word/%E3%83%99%E3%83%8D%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9)。

加えて,本願商標の指定商品の分野において,ガラスの装飾技法の進展に伴い,漆が塗られたガラス器や箔が使用されたガラス器,蒔絵の技法が用いられたガラス器が開発されており,これらのガラス器が,原材料を理解させる語(漆,箔),技法を理解させる語(蒔絵)と「ガラス」(グラス)の文字を組み合わせた「○○ガラス」(○○グラス)の表記で紹介されている実情が,以下のとおり見受けられる。

エ 「漆ガラス」について

「小林漆器」のウェブサイトにおいて,「漆ガラス」の見出しにて,「小林漆器ではグラス,陶器等にも力を入れております。通常であればガラス,陶器というのは漆との相性が悪く,普通に使用しているだけで確実にはがれてきます。小林漆器では独自の製法で漆との密着を高め,はがれにくくする事に成功しました。また,贈り物としても大変喜ばれております。」と記載され,漆を用いた様々なガラス器が紹介されている(http://kobayashishikki.com/category/item/itemgenre/urushi-glass/)。

オ 「箔ガラス」について

「公益財団法人石川県デザインセンター」のウェブサイトにおいて,「株式会社今井金箔」の見出しにて,「箔は本来,素材としてこの世に生まれる。創業110年の今井金箔が打つ金沢箔も,仏壇,和服,建築,生活用具と,暮らしを彩る製品の材料としてつくられてきた。金沢の金箔の全国シェアは99%,伝統技法を用いた丹念な手仕事が特徴だ。『素材といえども箔そのものが持つ美しさも捨てがたい。箔自体をじっくりと見てもらう工夫ができないものだろうか』。・・・製造者ならではの思いが ヒントとなって『箔硝子』は誕生した。『箔硝子』は,1万分の1ミリといわれる極薄の箔を,板状の強化ガラスにはさんで加工したものだ。」と記載されており(http://www.design-ishikawa.jp/gallery/21/016.html),「金沢金箔専門店 今井」のウェブサイトにおいて,「当店オリジナルの“箔ガラス”シリーズは金箔の美しさをそのままとじ込めた,一見の価値ある商品です。」と記載され,箔を用いた様々なガラス器が紹介されている(http://www.kinpaku-imai.jp/SHOP/3019/3027/list.html)。

カ 「蒔絵グラス」について

「女性の生き方に関するコラム」のウェブサイトにおいて,「そして,最近は『ガラス蒔絵工芸』と云う,ガラスに日本の伝統ある技法をガラスに素材を求め,ガラスと塗料の合性の悪さを克服し,塗り面の密着を完成させた『ガラス蒔絵製品』があります。・・・蒔絵(まきえ)とは,漆芸の技法の一つで,漆器の表面に漆で絵や文様,文字などを描き,其れが乾かない金や銀などの金属粉を『蒔く』事で器面に定着させる技法です。」と記載されており(http://www.fumi-beauty.com/column/0182_l.html),「加波次吉漆器店」のウェブサイトにおいて,「蒔絵グラス」の見出しにて,「新しい技術により今まで付かなかったガラスへ塗れるようになりました。」と記載されて,蒔絵が施されたワイングラスが紹介されている(http://www.jikichi.jp/product/glass/index.html)。

(3)まとめ

前記1のとおり,本願商標は,その構成文字全体として「螺鈿の技法を用いたガラス」といった程度の意味合いが理解されるものであるところ,これに加えて,上記(1)及び(2)の事実を踏まえると,本願商標中「螺鈿ガラス」の文字部分は,(1)及び(2)で挙げた事実と同様に,「螺鈿○○」「○○ガラス」の構成であり,本願商標の指定商品との関係において,「螺鈿○○」との構成の場合は「螺鈿の技法を用いた○○(商品)」を,「○○ガラス」との構成の場合は,ある特定のガラス器を理解させるものといえるから,「螺鈿の技法を用いたガラス器」といった程度の意味合いを理解させるものといえる。

してみれば,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が「螺鈿の技法を用いたガラス器」であると認識するにとどまるというのが相当である。

したがって,本願商標は,単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきであるから,商標法3条1項3号に該当する。

3 請求人の主張について

(1)請求人は,原審における平成25年2月25日受付の意見書において,「螺鈿ガラス」の部分は全体として捉えるべきであり,「螺鈿」と「ガラス」とに分離することは不適当である旨述べているが,「螺鈿」と「ガラス」は文字種(漢字とカタカナ)が異なるから,視覚上,「螺鈿」と「ガラス」というように分離されて看取されやすいし,「螺鈿」も「ガラス」もよく知られている語であることも踏まえると,「螺鈿ガラス」の文字に接する取引者,需要者は,これが,「螺鈿」と「ガラス」の2つの語を組み合わせたものと容易に理解するといえ,本願商標全体としても,前記2で説示するガラス器と理解するものといえる。

したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。

(2)請求人は,他の登録例を挙げ,これらの商標が登録されている以上,本願商標も登録されるべきである旨,主張する。

しかしながら,登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは,当該商標の構成態様と,指定商品の取引の実情等に基づいて,審決時において個別具体的に判断されるものであり,本願商標については,前記のとおり判断すべきであるから,請求人の上記主張は,採用することができない。

4 むすび

以上の次第であるから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,これを取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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