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Trademark Appeal Case

著名略称と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900317(T2013−900317/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5589902号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5589902号商標(以下「本件商標」という。)は,「RAVENLOFT」の欧文字を標準文字で表してなり,平成25年2月18日に登録出願,同年5月23日に登録査定,第9類「電子出版物」及び第41類「娯楽の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,オンラインコンピュータゲーム又はオンラインネットワークを通じて複数のプレーヤーが参加する双方向のコンピュータゲームの提供並びにこれらに関する指導・助言及び情報の提供,電子出版物の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供」を指定商品及び指定役務として,同年6月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)「LOFT」,「ロフト」等の周知,著名性について

本件商標中,「LOFT」部分は,申立人の英語名称である「THE LOFT CO.,LTD」の略称であり,かつ,「LOFT(LoFt)」の文字は,申立人が経営する我が国最大の都市型雑貨専門店の店舗名称の略称でもある。

申立人の営業に係る店舗群は,その店舗のある地名に「ロフト」の文字を結合し,一般には「ロフト」と略称されており,「ロフト」又は「LoFT」,「LOFT」等と表記されている(甲2)。

かかる会社名又は店舗名称の略称は,申立人によって会社名称等の略称として永年にわたって使用されてきた結果,周知・著名となっている。

その事実は,日本著名商標集(甲3−1ないし3),全国における運営店舗数及び分布(甲2,甲4ないし甲6),新聞における売上高の掲載記事(甲7ないし甲9),その他の資料等からすれば明らかである。

(2)商標法第4条第1項第8号該当性について

商標法第4条第1項第8号は,「他人の名称等の著名な略称」等と規定しており,ここでいう「他人」とは「自然人又は法人」と理解され,申立人の法人名称も同号にいう「他人」該当する。さらに,申立人が経営する雑貨専門店ビル名称についても,以下の理由から同号にいう「他人」に該当する。

店舗自体には,法人格がないとはいえ店舗としての行為が発生する。事実行為はもちろんのこと,民法上の契約の当事者となることも認められる。事実行為,法律行為を行う事は,そこに社会的信用(名誉)あるいはプライバシーが発生する事を意味しているので,法人格なき社団等(店舗)であっても,一個の社会的存在として信用・名誉が帰属しプライバシーが存在する。そして可能な限り法人の規定を類推適用するという立場からは,法人格なき社団等(店舗)であっても,その社団等(店舗)に属する「信用・名誉・プライバシー」は保護されるべきものであると考えられ,同号の「他人の著名な商標の略称」でいう「他人」には,法人格なき社団等(店舗)をも含むというべきである。

以上より,本件商標中の「LOFT」の文字は,申立人の英語法人名の略称であり,申立人の経営する雑貨専門店ビルの名称の略称でもあって,雑貨専門店ビルの名称も商標法第4条第1項第8号の「他人」に該当する。

本件商標は,申立人の著名な略称又は著名な店舗名称である「LOFT」を含む商標であり,しかも,本件商標の出願書類等には申立人の承諾書は提出されていない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標中の「LOFT」の部分は,申立人の業務(いわゆる小売り)に係る商標として広く一般に知られている。また,本件商標を構成する「RAVEN」と「LOFT」の語が必ずしも一連で称呼されるべき理由もない。

よって,本件商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合,申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であるかの如く,商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるといわざるをえない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断

(1)「LOFT」の周知性について

ア 申立人が提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。

(ア)申立人は,1987年11月に,「渋谷ロフト」をシブヤ西武(ロフト館)に雑貨の専門店としてオープンし,その後,1996年8月に西武百貨店の「ロフト事業」を独立分社化して設立されたものである(甲6)。

そして,申立人の会社名の英語表記は,「THE LOFT CO.,LTD」であり,本件商標の登録出願日以前である,2013年9月現在の店舗数は,直営店舗76店舗,FC店舗10店舗である(甲2)。

また,店舗一覧によれば,店舗名は,いずれも地名等と「ロフト」の文字からなるものである(甲4)。

(イ)申立人の2013年2月期の売上高は,1,013億円(総取扱高)であり(甲2),小売業売上高ランキングにおいて,2010年度は113位であること(甲7),また,業種別売上高ランキングの生活雑貨部門で2010年度は第2位及び2012年度も第2位である(甲8及び甲9)。

(ウ)デザインされた「LoFt」の文字からなる商標は,AIPPI・JAPANが2004年ころに発行した「日本有名商標集」に掲載されている(甲3)。

(エ)「NetIB−NEWS」によれば,2007年12月13日付けの記事において,「天神ロフト開業半月 知名度高く予想を上回る出足」の見出しの下,デザインされた「LoFt」の文字(別掲,以下「ロゴLoFt商標」という。)が,大きく表示された当該店舗の写真が掲載されたものである(甲13)。

(オ)マイボイスコムが2009年8月21日に発表した,「知っている/直接足を運んで購入した直近のインテリアショップ」の調査結果によれば,「ロフト」を知っていると回答した者が,有効回答数1万3752人中,74.4%であった(甲14)。

(カ)「Hanako」(2012年9月発行)には,「渋谷ロフトが9/7(金)全館リニューアルOPEN。」したこと(甲15),「NOTE&DIARY Style Book vol.6」(2011年11月20日株式会社えい出版社発行)には,「渋谷ロフトの売れてるカジュアルダイアリー」と記載して商品が紹介されたこと(甲16),また,「デザインノート」(NO.44 2012)には,「ロゴLoFt商標」が掲載されたものである(甲17)。

イ 上記提出された証拠においては,申立人の名称の略称として「ロフト」の片仮名が使用されているものとして,小売業界(生活雑貨業界を含む。)に関する記事(甲7ないし甲9),天神ロフトの開業に関する記事(甲13)及びマイボイスコムによる調査結果(甲14)があるものの,「LOFT」の欧文字が,同人の名称の略称として使用されている証拠は見あたらない。

したがって,申立人が提出した証拠からは,「LOFT」の欧文字が,申立人の名称の略称として著名であると認めることができない。

ウ また,申立人は,1987年11月に「渋谷ロフト」を開店し,それ以降,地名等と「ロフト」からなる名称の店舗を全国的に展開して,現在に至るまで,長年にわたって生活雑貨用品の小売り等に関する業務を提供し,相当程度の売上げがあること,及び,店舗の建物に壁面には,「ロゴLoFt商標」が表示されているものである。

そして,各店舗の名称においては,「ロフト」の部分が要部であり,各店舗を総称して「ロフト」と称していること,その使用を開始した時期,店舗数,売上高等からすれば,「ロフト」及び「ロゴLoFt商標」は,本件商標の登録出願時及び査定時に,我が国において,申立人の業務に係る生活雑貨用品の小売り等の店舗を表示する商標として,需要者の間に広く知られているものということができる。

しかしながら,一般の書体で表された欧文字「LOFT」(「LoFt」を含む。以下同じ。)については,それが申立人の業務に係る店舗又は役務を表示するものとして広く認識されていると認め得る証拠の提出がなく,また,「LOFT」と申立人の「ロゴLoFt商標」は,態様が大きく異なること,「LOFT(ロフト)」の語が「屋根裏部屋」などの意味を有する成語であることからすれば,一般の書体で表された欧文字「LOFT」は,需要者の間に広く認識されているものということができない。

(2)商標法第4条第1項第8号該当性について

前記(1)イのとおり,「LOFT」の欧文字は,申立人の名称の略称として著名なものとはいえないから,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。

なお,申立人は,申立人が経営する専門店ビルの名称及び申立人の店舗名称の略称についても,商標法第4条第1項第8号にいう「他人」と解すべきであると主張している。

しかしながら,同号は,「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号,芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標」と規定されており,店舗の名称やビルの名称が上記規定の範ちゅうに入るものと解することができない。なお,店舗名で商取引が行われる場合,それは,営業を行う主体として店舗名が使用されているものというべきであるから,店舗名自体には,同号で保護すべき人格権を有しているということができない。したがって,申立人の主張は採用することができない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標は,「RAVENLOFT」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔でまとまりよく表され,外観上一体のものとして把握されるものであって,該文字から生ずる「レーブンロフト」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであり,その構成全体をもって一体不可分の商標として認識されるものというのが相当であるから,本件商標と「ロフト」及び「ロゴLoFt商標」とは,類似しない別異の商標と認められる。

そして,「ロフト」及び「ロゴLoFt商標」は,前記(1)ウのとおり,本件商標の登録出願時及び査定時に,我が国において,申立人の業務に係る生活雑貨用品の小売り等の店舗を表示する商標として,需要者の間に広く知られているとしても,一般的な書体で書された「LOFT」は,需要者の間に広く認識されているものいうことができず,また,本件商標の指定商品及び指定役務と,「ロフト」及び「ロゴLoFt商標」の文字を使用した生活雑貨用品の小売り等の役務とは,その提供の手段,目的,品質(質),販売場所(提供の場所)等が異なるものであるから,関連性が薄いものである。

そうとすれば,商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,申立人の「ロフト」及び「ロゴLoFt商標」を連想又は想起しないものであって,その商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように,その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものということができないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録は維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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