Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−685018(T2012−685018/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件国際登録第1093807号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、2011(平成23年)年10月4日(国際登録の日)に国際商標登録出願、第25類「Clothing of leather;footwear;slippers;half−boots;lace boots;gaiters;fittings of metal for shoes and boots;soles for footwear;gloves(clothing);scarves.」を指定商品として、平成24年3月30日に登録査定、同年7月13日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、以下(1)及び(2)のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第697326号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおり「DM’s」の文字からなり、2010(平成22年)年1月5日に国際商標登録出願(事後指定)、第9類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する別掲(3)に記載の商品を指定商品として、平成23年8月12日に設定登録されたものである。
(2)登録第4353556号商標(以下「引用商標2」という。)は、「DM’s」の文字を標準文字で表してなり、1998年2月20日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成10年)7月31日に商標登録出願、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する商品を指定商品として、平成12年1月21日に設定登録されたものであり、その後、第3類及び第25類に属する別掲(4)に記載の商品について、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
以下、引用商標1及び2を一括して、単に「引用商標」という。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標の対比
本件商標は、「Dm」の文字を横書きし、その右側に「s」の文字と複合し図案化した山羊と思しき動物図形を表示してなるものである。そのことは、動物図形の鼻先から頭部、首そして胸にかけてS字曲線を描いていることから動物図形は「S」を図案化したものであり、そして、動物図形のうち角とおぼしき部分については、アポストロフィー「’」と理解される。
したがって、本件商標は「DM’S」を図案化したものと観念され、「ディーエムエス」或いは「ディーエムズ」の称呼が生じる。
これに対し引用商標は、どちらも「DM’s」の文字よりなり、商標全体から「ディーエムエス」又は「ディーエムズ」の称呼を生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、共に「ディーエムエス」又は「ディーエムズ」の称呼を共通にする類似商標となる。
さらに、本件商標の図形部分がS字であることが認識されない場合があるとしても、本件商標の欧文字「Dm」から「ディーエム」の称呼が生じる。
他方、引用商標は、「DM’S」からなり、「’S」は「〜の」のように所有格を示す場合に用いられる言葉なので、要部は「DM」部分となる。そうすると、両商標を要部観察した場合、「DM」部分で共通し、同一の称呼が生じる類似の商標となる。また、観念についてもいずれも共通するものとなる。
(2)商品の対比
本件商標と引用商標とは、その指定商品中、第25類に属する商品が同一又は類似の商品である。
(3)考慮されるべき取引実情
申立人は、「ドクターマーチン(Dr.Martens)」の名前のブーツ等の靴を製造販売する者であり(甲第4号証)、かかるブランドは、「DM’S」と略される場合がある(甲第5号証)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
本件商標は、別掲(1)のとおり、筆記体風に図案化された「Dm」と思しき文字と、右向きの偶蹄類と思しき動物の頭部図形の首回りから該文字の下方に向かってややしなりを持たせた線(「D」と思しき文字部分の下で線は太くなっている)を配した構成からなるものである。
そして、本件商標の構成中の文字部分は、いずれも図案化されてはいるものの「D」と「m」を基調としているものであることは否定することは出来ないものであり、これに接する取引者、需要者には、欧文字2文字として認識し把握されるといえるものであるから、それ単独では自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は極めて希薄な文字部分といわざるを得ない。
そうとすれば、本件商標は、当該「Dm」の文字部分のみを抽出して、これより生ずる称呼「ディーエム」をもって取引に資されるとはいえないものであり、むしろ、本件商標の構成全体をもって自他商品の識別機能を発揮するというべきものである。
してみれば、本件商標は、右向きの偶蹄類と思しき動物の頭部図形と文字部分とが全体としてバランスよく構成されているものであって、その構成全体をもって不可分一体に表された商標とみるのが自然であり、これより何らかの観念や称呼が生じるとは認められないものであるから、本件商標からは、取引に資されるべき特定の称呼及び観念は生じないものというべきである。
他方、引用商標は、いずれも「DM’s」の文字よりなり、その構成文字に相応して、「ディーエムエス」又は「ディーエムズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標との類否についてみると、両者の外観構成には、明らかな相違があるから、これらより受ける印象は全く異なり、外観上相紛れるおそれはないものである。
つぎに、称呼については、本件商標から、特定の称呼は生じないものであるが、引用商標は、「ディーエムエス」又は「ディーエムズ」の称呼が生じるものであるから、両者は称呼上、相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標とは、観念について比較することができないものであるから、観念上においても相紛れるおそれはないものである。
また、仮に、本件商標から「ディーエム」の称呼が生ずるとした場合であっても、引用商標から生ずる「ディーエムエス」の称呼とは、その構成音数及び音構成を異にするものであるから、互いに聞き誤るおそれのない商標というのが相当である。
さらに、本件商標と引用商標から生ずる「ディーエムズ」の称呼を比較すると、両者は、語尾における「ズ」の音の有無の差異のみではあるが、「ズ」の音は、それ自体、有声音であって、重々しく響く濁音であるばかりでなく、その前音である「ム」の音がそれ自体響きの弱い無声の両唇通鼻音であることから、相対的により一層響きの強い音として明瞭に聴取され得るものということができ、「ズ」の有無の差が称呼全体に及ぼす影響は小さくないものであり、それぞれを一連に称呼した場合は、全体の音感、音調が異なり、互いに相紛れるおそれのないものというべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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