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Trademark Appeal Case

地名表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2013−4735(T2013−4735/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「浅間高原ビール」の文字を標準文字で表してなり、第32類「エールビール,ラガービール,黒ビール,スタウトビール,ドラフトビール,その他のビール」を指定商品として、平成24年4月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標の構成中の『浅間高原』の文字は、『長野・群馬両県にまたがる三重式の活火山として知られる浅間山の山麓に位置する高原』を表すものであり、『ビール』の文字は、指定商品を表すものと認められる。そして、「浅間高原」と称される地域は観光地であり、また、いわゆる地ビールが観光地で販売されることも一般的であることからすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者等は、該商品が『浅間高原で製造又は販売されているビール』であることを認識するにとどまるとみるのが相当であるから、本願商標は、単にその商品の産地、販売地ないし品質を表したと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成25年10月8日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べに対して、平成25年11月5日付け意見書において、要旨以下のように述べている。

(1)商標が商標法第3条第1項第3号に該当する産地、販売地、土地(地名)を表すものとして認識されるものであるためには、その商標より認識されるとする産地、販売地、土地(地名)の地域・範囲は具体的に特定されるものでなくてはならない。しかし、証拠調べの結果として示された別掲1に記載された「浅間高原」の文字は、各種の意味合いに通じるものであって、その地域・範囲は定まっておらず漠然としており、ましてや、特定の産地、販売地、土地(地名)を示すものとして記載されているものではない。

(2)証拠調べの結果として示された別掲2の商品は、本願の指定商品とは別異の商品であるから、そこに「浅間高原」の文字が使用されているとしても、本願商標とは事案を異にするものである。

(3)証拠調べの結果として示された別掲3に記載された「○○ビール」の文字にあっては、その構成前半部の「○○」の部分が地名として認識されるものであるとしても、本願商標は、その構成中の「浅間」又は「浅間高原」の文字部分が特定の産地、販売地、土地(地名)を理解・認識することができないものであり、また、該「○○ビール」と本願商標とは、文字構成を明らかに異にするものであるから、事案を異にする。

(4)以上によれば、本願商標は、その構成中に本願の指定商品である「ビール」の文字を有するものであるとしても、その構成中の「浅間高原」の文字が商品の産地、販売地等を特定するものとはいえないことから、その構成全体をもって、一種の造語的なものとして理解・認識されるものである。

してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質(産地・販売地等)を表してなるものとして認識するとはいい難い。

また、本願の指定商品を取り扱う業界において、「浅間高原ビール」の文字が、商品「ビール」の品質・産地・販売地等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実も見当たらない。

したがって、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

なお、上記意見を補足すべく示す登録例は、本願商標の商標登録の可否について審理する上で、充分参酌等されてしかるべきものと思料する。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、前記1のとおり、「浅間高原ビール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「浅間高原」の文字は、別掲1に示す内容を総合してみれば、「群馬県吾妻郡長野原町及び同郡嬬恋村における浅間山の山麓に位置する高原」を指称するものとして一般に広く認識されているといい得るものであって、該「浅間高原」は、近年において、観光地としての開発や施設整備等が進み、そこで開催されるイベントには首都圏等からの参加者もみられるなど、多数の観光客が訪れる地域としても広く知られているものである。

また、食品を取り扱う業界においては、その取引者、需要者が商品の産地等を容易に認識することができるように、一般に広く認識されている地名ないし地域名をもって商品の産地等を表示することが少なからず行われているところ、「浅間高原」の文字は、別掲2に示すとおり、商品の産地等を表す語として、取引において広く用いられているものである。

さらに、別掲3に示すとおり、観光地においては、その地名ないし地域名に「ビール」の文字を組み合わせてなる名称のいわゆる地ビールが一般に広く製造、販売されているのが実情である。

以上を総合勘案すれば、「浅間高原ビール」の文字を標準文字で表してなる本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が一般に広く認識されている観光地の一である「浅間高原」産のビールであること、すなわち、商品の品質を表示するものと理解、認識するにとどまるというのが相当であり、ほかに、これを覆すに足る特段の事情は見当たらない。

したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、商標が商標法第3条第1項第3号に該当する産地、販売地、土地(地名)を表すものとして認識されるものであるためには、その商標より認識されるとする産地等の地域、範囲は具体的に特定されるものでなくてはならないとし、証拠調べの結果として示された「浅間高原」の文字からは、その地域、範囲が定まらない旨主張するが、上記(1)のとおり、「浅間高原」は、群馬県吾妻郡長野原町及び同郡嬬恋村における浅間山の山麓に位置する高原であって、多数の観光客が訪れる観光地の一として一般に広く認識されているといい得るものである。

イ 請求人は、「浅間高原ビール」の文字が、商品の品質を表示するものとして取引上一般に使用されている事実は見当たらないとして、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を果たし得る旨主張するが、商標法第3条第1項第3号の商品の品質の表示に該当するというには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきであると解されるところ、本願商標については、上記(1)で認定、判断したとおり、その指定商品に係る取引者、需要者をして、商品の品質を表示するものとして理解、認識するにとどまるものである。

ウ 請求人は、既登録例を挙げて、本願商標が自他商品の識別機能を有するものである旨主張するが、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、「浅間高原」産のビールであること、すなわち、商品の品質を表示

するものにすぎず、自他商品の識別標識としては機能しないものであること、上記(1)のとおりであるから、該登録例が存することをもってその判断が左右されることはない。

エ 上記アないしウのとおり、請求人の主張は、いずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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