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Trademark Appeal Case

「iTV」商標の称呼・外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900157(T2013−900157/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5564322号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5564322号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成24年2月27日に登録出願、同25年2月6日に登録査定され、第38類「電気通信(「放送」を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、同年3月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。

(1)引用商標

ア 登録第3126995号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類「テレビジョン放送」を指定役務として、同8年3月29日に設定登録されたものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。

イ 登録第4749022号商標(以下「引用商標2」という。)は、「あいテレビ」の文字を書してなり、平成15年8月5日に登録出願、第38類「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同16年2月20日に設定登録されたものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当について

ア 本件商標と引用商標1との対比

(ア)称呼について

本件商標は、デザイン化された欧文字の「i」と「TV」の欧文字からなる「iTV」の文字と、その上に小さく「アイティービー」の片仮名を配したものである。

かかる構成から、片仮名からは「アイティービー」の称呼が生じ、欧文字からは「アイテイブイ」の称呼が生じる。

また、本件商標の構成中の「iTV」の欧文字部分についてみると、「i」はロゴ化され、「TV」の文字はほとんど標準文字に近い形を呈しており、「i」と「TV」が分断されて認識される場合もある。また、本件商標にあっては、その指定役務(放送)との関係において、「TV」は「テレビジョン」の略語と容易に理解・認識され、そして、本件商標の指定役務の分野において、「tv asahi」を「テレビアサヒ」、「TV TOKYO」を「テレビトウキョウ」と称呼するように、「TV」の欧文字は一般に「テレビ」と称呼されている。

このような構成上の特徴から、本件商標では、「i」は「アイ」と称呼さ、「TV」は「テレビ」と称呼されることにより、「アイテレビ」の称呼も生じる。

このように、本件商標からは、「アイティービー」、「アイテイブイ」、「アイテレビ」の称呼が生じる。

これに対し、引用商標1は、ロゴ化された欧文字の「iTV」の各文字に、楕円と円が一部重なる連環模様が配置された構成となっているものの、ロゴ化された「iTV」は、如何なる文字であるか容易にかつ明確に認識できる。

このように構成された引用商標1の欧文字である「iTV」から、「アイテイブイ」の称呼が生じる。

また、引用商標1もその指定役務(放送)との関係において、「TV」は「テレビジョン」の略語と容易に理解・認識されることから、「アイテレビ」の称呼も生じる。

このように、引用商標1からは、「アイテイブイ」、「アイテレビ」の称呼が生じる。

以上のように、本件商標と引用商標1との称呼を比較すると、いずれも「アイテイブイ」、「アイテレビ」といった共通する称呼が生じることは明らかである。

(イ)外観について

本件商標と引用商標1は、文字形伏などに相違する部分はあるとしても、ともに有する欧文字の、小文字の「i」と大文字の「TV」が近似した文字パターンで表現されており、紛らわしいものとなっている。

本件商標と引用商標1の外観には、色彩、個々の文字形状、片仮名の存否等に相違点がある。しかし、全体を観察したとき、「iTV」の欧文字が両商標において識別機能を果たす要部であることは疑いも無いところであり、小文字の「i」と大文字の「TV」が近似した文字パターンが視覚を通して強烈な印象として残り、両者を紛らわしものとしていると認められる。

よって、本件商標と引用商標1は、外観において類似である。

(ウ)観念について

本件商標と引用商標1は、いずれも「iTV」の欧文字からなる構成を同じくするが、「iTV」は造語であり、直接の意味はないが、構成の一部である「TV」は「テレビジョン」を意味することは容易に認識できる。

また、「iTV」の「i」を大文字にした「ITV」は、「工業用テレビ。工場・店舗などで防犯・監視のために用いられるテレビシステム。」を意味する語として知られており(甲4)、本件商標及び引用商標1に接した業者や需要者等は、「iTV」の文字部分から、「工業用テレビ。工場・店舗などで防犯・監視のために用いられるテレビシステム。」を意味する「ITV」の語を連想することもある。

このように、本件商標と引用商標1は、いずれも造語であるので、特定な観念を生じるものではないが、両者の構成の一部に、「テレビジョン」を容易に連想させる「TV」の文字があり、また、「iTV」から前記の「ITV」の語を連想させるものであるといえる。

(エ)類似性について

上記のように、本件商標と引用商標1は、称呼が共通し、また、外観にあっても類似性が認められ、また、観念にあっても共通する語を連想させるものとなっている。

特に、本件商標と引用商標1では、指定役務である「放送」との関係から、その取引者、需要者として、放送を視聴する一般視聴者が含まれ、これらの者が放送業者を識別するに際して、称呼が極めて重要な要素となることは明らかであり、両商標の類否の判断では、外観及び観念に比して称呼を重視すべきであることはいうまでもない。

このような観点から、本件商標と引用商標1とを比較したとき、両者に、いずれも「アイテイブイ」、「アイテレビ」といった共通の称呼が生じることが明らかであり、両商標を同一役務に使用したとき、需要者が出所の混同を生ずるおそれがある。

また、前記のように、本件商標と引用商標1の外観にあって、色彩、個々の文字形状、片仮名の存否等に相違があっても、なお、両商標の外観に類似性が認められることは前記のとおりであり、仮に類似性が認められないとしても、前記相違は、共通する称呼による両商標の類似性を否定できるほど著しく相違するものではない。

このように、本件商標と引用商標1とは、称呼を共通にする類似の商標である。

また、本件商標の指定役務中の「放送」は、引用商標1の指定役務である「テレビジョン放送」を含むものである。

以上のように、本件商標と引用商標1とは、その称呼を共通にする類似の商標であり、本件商標と引用商標1とを、指定役務「放送」に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

イ 本件商標と引用商標2との対比

(ア)称呼について

本件商標は、デザイン化された欧文字の「i」と「TV」の欧文字からなる「iTV」の文字と、その上に小さく「アイティービー」の片仮名を配したものであり、これらからは、「アイティービー」、「アイテイブイ」、「アイテレビ」の称呼が生じるものである。

これに対し、引用商標2は、「あいテレビ」の文字を横書きしたものであり、「アイテレビ」の称呼が生じる。

本件商標と引用商標2との称呼を比較すると、いずれも「アイテレビ」といった共通する称呼が生じることは明らかである。

(イ)外観について

本件商標は、ロゴ化された欧文字の「i」と「TV」の欧文字からなる「iTV」の文字と、その上に小さく「アイティービー」の片仮名を配したものであり、これに対し、引用商標2は、平仮名「あい」と片仮名「テレビ」を一連に横書きしたものであり、両者は、外観において非類似である。

(ウ)観念について

本件商標と引用商標2はいずれも造語であるので、特定な観念を生じるものではないが、本件商標の構成の一部に、「テレビジョン」を容易に連想させる「TV」の文字があり、また、引用商標2の構成の一部に「テレビジョン」を意味する「テレビ」の文字がある。

(エ)類似性について

本件商標と引用商標2は、指定役務である「放送」との関係から、その取引者、需要者として、放送を視聴する一般視聴者が含まれ、これらの者が放送業者を識別するに際して、称呼が極めて重要な要素となることは明らかであり、両商標の類否の判断では、外観及び観念に比して称呼を重視すべきであることはいうまでもない。

このような観点から、本件商標と引用商標2とを比較したとき、両者に「アイテレビ」の称呼が生じることが認められ、両者は称呼において同一であり、両商標を同一役務に使用したとき、需要者が出所の混同を生ずるおそれがある。

また、前記のように、本件商標と引用商標2の外観に類似性は認められないが、両商標の類否の判断では、外観及び観念に比して称呼を重視されるものであって、前記外観の相違は、共通する称呼による両商標の類似性を否定できるものではない。

このように、本件商標と引用商標2とは、称呼を共通にする類似の商標である。

また、本件商標と引用商標2には、同一の指定役務を含んでいる。

以上のように、本件商標と引用商標2とは、その称呼を共通にする類似の商標であり、両商標を同一の指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、類似の商標であり、また、その指定役務も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審における取消理由通知

当審において、登録異議の申し立てに基づき、商標権者に対して、平成25年9月20日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。

(1)本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、水色で、図案化された「i」の欧文字と思しき図形(以下「i図形」という。)と「TV」の欧文字を近接して並べ、その「TV」の文字の上部に小さく「アイティービー」の片仮名を書した構成からなるものである。

そして、その構成中、該「i図形」と「TV」の欧文字部分は、「アイティービー」の片仮名部分とも相まって、「iTV」の文字としても容易に看取され、認識されるものというのが相当である。

そうすると、本件商標は、これを構成する「i図形」と「TV」の欧文字を近接して並べた部分(以下「iTV部分」という。)、及び「アイティービー」の文字部分に相応して、「アイテイブイ」及び「アイティービー」の称呼を生ずるものである。

また、本件商標は、その構成中、該「iTV部分」及び「アイティービー」の文字部分は、特定の意味合いを有しないものであるから、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標1

これに対し、引用商標1は、紺色を基調とした中に、黄色、赤色及び青色の楕円と円が一部重なる連環模様を含んで図案化された「i」、「T」及び「V」と思しき欧文字を並べた構成からなるものであるところ、それぞれの書体の特徴からみて、図案化されてはいるものの、「iTV」の欧文字として認識されるものというのが相当である。

そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「アイテイブイ」の称呼を生じるものであり、また、該文字は、特定の意味合いを有しないものであるから、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標1との類否

そこで、本件商標と引用商標1との類否について検討するに、本件商標と引用商標1は、それぞれ前記のとおりの構成からなるところ、外観においては、両者は、その態様において相違するものであるが、本件商標は、「iTV」の欧文字として認識される部分を有し、引用商標は、「iTV」の欧文字として認識されるものであるから、「iTV」の欧文字を共通にした商標として看取され、互いに近似した印象を与えるものというのが相当である。

そして、称呼においては、本件商標と引用商標1から生じる「アイテイブイ」の称呼は、共通する称呼である。また、本件商標から生じる「アイティービー」の称呼と引用商標から生じる「アイテイブイ」の称呼とは、共通する「アイ」の音に続く「ティービー」と「テイブイ」の音に差異を有するものの、それぞれを一連に称呼したときは、全体の音調、音感が近似したものとなり、相紛れるおそれがあるものである。

さらに、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較し得ないものの、共に「iTV」の文字からなるものであって、観念における差異を有しないものである。

してみれば、本件商標と引用商標1は、外観において、「iTV」の欧文字を共通にした商標として看取され、称呼においては、同一又は類似の称呼を生ずるものであって、さらに、観念における差異を有しないものであることから、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標というべきである。

また、本件商標の指定役務は、引用商標1の指定役務と同一又は類似のものを含むものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 商標権者の意見(要旨)

本件商標と引用商標1との類否判断について、確かに、本件商標及び引用商標1の双方から「アイティービー」との称呼が生じると考えられる。

しかしながら、以下に述べるように、外観及び観念において本件商標と引用商標とは相紛れるものではない。

まず、本件商標と引用商標1とを外観について比較すると、本件商標は、球を表現したと思われる特徴的な円のマークを有するアルファベットの「i」と思しきマークと、アルファベットの「i」と思しきマークよりも小さい「TV」のアルファベットと、「アイティービー」の片仮名とにより構成されている。

一方、引用商標1は、全体に特徴的な円と楕円のマークを配した「iTV」と思しきマークより構成されている。

したがって、本件商標は、引用商標1と特徴的な円と楕円のマークの構成に相違があるとともに、引用商標1が有していない「アイティービー」の片仮名を有しているものであって、引用商標1と外観上明確に異なり相紛れることは全くないといえる。

次に、観念について比較すると、本件商標は、「i」と思しきマークと「アイ」の片仮名部分が「私」を即座に想起させ、「TV」のアルファベット部分と「ティービー」の片仮名部分が「テレビジョン」の意味合いを生じさせるので、本件商標は、「私のテレビジョン」程の意味合いを生じさせる。

特に「i」と思しきマークが「TV」のアルファベット部分よりも大きく表されており、また、「TV」の部分と比べて「i」と思しきマークがやや右側に傾いていることから、「i」と思しきマークは「TV」のアルファベット部分から独立して認識され、よって「私」という観念を容易に想起させるものである。

一方、引用商標1は、「i」と思しきマークが「アイ」を想起し、「TV」と思しきマークは「テレビジョン」を想起するので、引用商標1からは、商標権者の略称たる「あいテレビ」を想起させる。

なお、引用商標1の商標権者は、「iTV」と思しきマークの下に「あいテレビ」の文字を備えた標章を自社ホームページのトップページにおいて使用している(乙1)。そのため、引用商標1を目にした需要者は、引用商標1から「あいテレビ」との観念を容易に想起することが可能であり、「あいテレビ」以外の観念は生じえないと考える。

また、取消理由において、本件商標及び引用商標1のいずれからも特定の観念は生じないと認定されているが、上記のように、本件商標及び引用商標1のいずれからも特定の観念が生じ得るものであり、それぞれから生ずる観念は類似するものではない。

したがって、本件商標は、引用商標1とは観念上も相紛れることは全くないといえる。

そうすると、商標の類否判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならないものであるところ、本件商標は、引用商標1と外観、観念については相紛れるものではなく、本件商標は、総合的に考察した場合、引用商標1と類似するものではない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標についてした前記3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものというべきである。

(2)本件商標権者の意見について

本件商標権者は、観念について、本件商標は、「私のテレビジョン」程の意味合いを生じさせる。特に「i」と思しきマークが「TV」のアルファベット部分よりも大きく表されており、また、「TV」のアルファベット部分と比べて「i」と思しきマークがやや右側に傾いていることから、「i」と思しきマークは「TV」のアルファベット部分から独立して認識され、よって「私」という観念を容易に想起させるものである。一方、引用商標1は、「i」と思しきマークが「アイ」を想起し、「TV」と思しきマークは「テレビジョン」を想起するので、引用商標1からは、その商標権者の略称たる「あいテレビ」を想起させる旨主張する。

しかしながら、本件商標の「i図形」は、図案化されているものの、「アイティービー」の文字が併記されていることと相まって、容易に欧文字の「i」を表したものと認識されるものであるが、これが「私」の意味合いを表したものと理解させるとはいえないものである。

また、引用商標1は、黄色の楕円と円が一部重なる連環模様を含んで図案化されて表された部分が、「i」の欧文字として認識されるものであり、かつ、全体として「iTV」の欧文字を表したものであるとしても、これが、当該引用商標1の商標権者の略称として広く知られているとの事実も見あたらないことからすれば、本件商標権者のいう「あいテレビ」を想起させるとはいい難く、特定の観念は生じないものというべきである。

してみれば、本件商標と引用商標1は、いずれも観念を生じないものといわざるを得ない。

したがって、本件商標権者による上記主張は、採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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