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Trademark Appeal Case

CROSSとクロスクロスの類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900319(T2013−900319/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5591907号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5591907号商標(以下「本件商標」という。)は、「クロスクロス」の片仮名を標準文字により表してなり、平成25年2月15日に登録出願、第14類「キーホルダー,宝石箱,身飾品,時計」を指定商品として同年6月4日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、それぞれ現に有効に存続しているものである。

1 登録第4078161号商標は、「CROSS」の欧文字を横書きしてなり、平成8年2月23日に登録出願、第14類「時計,時計の部品及び附属品」を指定商品として同9年10月31日に設定登録されたものである。

2 登録第4928191号商標は、「CROSS」の欧文字を標準文字により表してなり、平成15年9月30日に登録出願、第14類「金属製キーチェーン,キーホルダー」を指定商品として同18年2月10日に設定登録されたものである。

以下、上記登録商標をまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議申立ての理由の要点

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであると主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第169号証(枝番を含む。)を提出した。

1 引用商標を構成する「CROSS」の文字からなる標章(以下「使用標章」という。)は、申立人の親会社「A.T.Cross Company」(以下「Cross Company」という。)及び日本法人「株式会社クロス・オブ・ジャパン」(以下「クロスジャパン」といい、Cross Company及び申立人と併せて「申立人ら」ということがある。)がボールペン等の筆記用具をはじめ時計、キーホルダー、貴金属製箱等の多様な製品を製造及び販売し、積極的に広告してきたことから、使用標章は、筆記用具や宝飾品や貴金属の商品について使用する商標として周知・著名となっている。

2 本件商標と引用商標及び申立人らの商標として周知・著名である使用標章とは類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び申立人らの製造・販売する商品とは同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当する。

3 使用標章は、本件商標の登録出願時において、申立人らの商標として周知・著名であるから、これと類似する本件商標をその指定商品に使用すると商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 本件商標は、使用標章が周知・著名となった後に出願されたものであるため、使用標章の顧客吸引力を利用するものであり、又は希釈化させる等、不正な目的で使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

5 申立人らは「CROSS」という名称で需要者の間で広く認識されているから、本件商標は、申立人らの著名な略称を含むものであり、商標法第4条第1項第8号に該当する。

6 日本に限らず世界的に広く認識されるに至っている使用標章と類似する本件商標が使用されると、申立人の有する顧客吸引力が損なわれ、使用標章のもつ品質保証機能及び出所表示機能が弱化されることになり、公正な取引秩序を害するおそれがあり、商標法制度の根幹に反することであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断

1 使用標章の周知性について

申立人の提出に係る証拠によれば、Cross Companyは、1846年に米国で創業されて以来、使用標章「CROSS」を使用してボールペン、万年筆等の製造・販売を行っていること、我が国においては、1970年5月8日に設立されたクロスジャパンを通じて、使用標章の下に、ボールペン、万年筆をはじめ、時計、眼鏡、皮革製の財布・カードケース・手帳、キーリング、カフスボタン等が販売され、広告宣伝が行われていること、などが認められる(甲3〜甲15)。

もっとも、本件商標の登録出願前に発行された雑誌等(甲16〜甲124)において、使用標章を用いた広告や紹介が行われているのはボールペン、万年筆等の筆記用具が中心であって、他の上記商品については、「皮革を用いた手帳・ノート」がボールペンと共に又は単独で他人の商品と同列に小さく掲載されている例(甲23、甲26ないし甲29、甲41、甲44、甲51、甲55、甲60、甲61、甲66、甲73、甲74、甲89、甲90、甲92〜甲94、甲96、甲98、甲99、甲101、甲103、甲104)に止まる。そして、「時計」については、広告や他人の商品と共に又は単独で掲載がされている例(甲108、甲115〜甲124)が見られるものの、「眼鏡」、「キーリング」、「カフスボタン」については一切見当たらない。まして、申立人が使用していると主張する「貴金属製箱」については、申立人らの商品カタログはもとより、雑誌等にも一切掲載されていない。

そして、申立人らの商品の日本における総売上も、申立人の主張によると、2010年度においては、筆記具が9,597,027ドル、リフィルが547,813ドルであるのに対し、眼鏡が110,760ドル、カフスボタン・宝飾品が6,395ドル、時計が20,625ドル、革製品・キーホルダーが214,749ドルであり、2012年度においても、筆記具が10,334,285ドル、リフィルが663,595ドルであるのに対し、眼鏡が44,994ドル、カフスボタン・宝飾品が3,520ドル、時計が2,659ドル、革製品・キーホルダーが183,955ドルであって、筆記具の売上が群を抜いている。

なお、申立人は、クロスジャパンが2007年各月、2010年3月、2011年3月及び2012年各月に発行した請求書(甲125〜甲150)、並びに2010年3月、2011年3月及び2012年各月に発行した出荷指示書(甲151〜甲164)の写しを提出しているが、これら書面には使用標章の記載はなく、また、各品名欄に記載された商品がどのような商品であるか、例えば、商品カタログに掲載された何れの商品を示すか等の説明もないことから商品の特定が困難であり、これら書面によっては、使用標章の具体的な使用状況等は必ずしも明らかでない。また、クロスジャパンによる2012年9月から2013年3月までの時計の売上記録(甲165)は、表示された品番により商品「時計」を特定することはできるものの、個々の時計の価格は比較的廉価であり、しかも、上記期間(7か月)における売上総計は2,385個であって、それ程多いものではない。

以上を総合勘案すると、使用標章は、申立人らの業務に係る商品「ボールペン、万年筆等の筆記用具」について使用する商標として、本件商標の登録出願時には既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえるものの、申立人らが上記商品以外の商品を取り扱っていることや、上記商品以外の商品について使用標章が使用されていることについては、一般に広く認識されているとまではいえない。

2 商標法第4条第1項第10号該当性について

本件商標は、前記第1のとおり、同書同大の片仮名を等間隔で一連一体に表してなるものであり、外観上一体のものとして看取されるばかりでなく、これより生ずる「クロスクロス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

かかる構成においては、殊更これが前半と後半に分断して看取されるようなことはなく、全体として一種の造語として認識し把握されるというのが自然である。

そうすると、本件商標は、「クロスクロス」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。

他方、使用標章は、「CROSS」の文字からなるものであるところ、「CROSS」の文字は、「クロス」と発音され、「十字架、十字路、横断する、交差する」等の意味を有する英単語として親しまれているものであるから、使用標章は、「クロス」の称呼を生じ、上記意味合いの観念を生ずるものである。

そこで、本件商標と使用標章とを対比するに、両者は、それぞれの構成文字に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。

また、本件商標から生ずる「クロスクロス」の称呼と使用標章から生ずる「クロス」の称呼とは、構成音数が異なるばかりでなく、前者が「クロス」の音をリズミカルに二回繰り返すのに対し、後者は一回のみであり、全体の音感音調が明らかに相違するものであるから、彼此相紛れることなく明瞭に区別することができるものである。

さらに、本件商標は、特定の観念を生ずるものとはいえないから、観念上、使用標章と比較することもできない。

してみれば、本件商標と使用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

なお、念のため、両者に係る商品の類否等についても検討する。

本件商標の指定商品には、使用標章が使用されている「キーホルダー、カフスボタン、時計」が含まれているところ、使用標章は、上記1のとおり、申立人らの業務に係る商品「ボールペン、万年筆等の筆記用具」について使用する商標として取引者・需要者間に広く認識されているとしても、上記「キーホルダー、カフスボタン、時計」について使用する商標としては広く認識されているものとはいえない。

加えて、上記ボールペン、万年筆等の筆記用具と本件商標の指定商品とは、それぞれの用途、目的、販売場所、流通経路、取引者、需要者等を異にするものであって、両者について同一又は類似の商標を使用したとしても、誤認・混同を生ずるおそれがなく、両者は互いに非類似の商品というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

前記第2のとおり、引用商標は、いずれも「CROSS」の文字からなるものであり、使用標章と同一の構成からなるものといえるから、上記2のとおり、本件商標と使用標章とが非類似のものである以上、本件商標は、引用商標とも非類似の商標といわなければならない。

なお、本件商標の指定商品中の「時計」は、引用商標中の登録第4078161号商標の指定商品と、同じく「キーホルダー」は、引用商標中の登録第4928191号商標の指定商品と、それぞれ同一又は類似のものと認められるが、本件商標と引用商標が非類似である以上、本件商標は商標法第4条第1項第11号に定める要件を欠くものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

4 商標法第4条第1項第15号該当性について

上記1のとおり、使用標章は、申立人らの業務に係る商品「ボールペン、万年筆等の筆記用具」について使用する商標として、本件商標の登録出願時には既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであるものの、申立人らが上記商品以外の商品を取り扱っていることや、上記商品以外の商品について使用標章が使用されていることについては、一般に広く認識されているとまではいえず、申立人らが種々の分野に属する多岐に亘る商品を扱う多角経営を行っているものとも認められない。

そして、本件商標の指定商品と使用標章が使用されている商品「ボールペン、万年筆等の筆記用具」とは、産業分野が相違し、それぞれの用途、目的、販売場所、流通経路、取引者、需要者等を異にするものである。

また、本件商標と使用標章とは、上記2のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものというべきである。

かかる事情の下において、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者が使用標章ないしは申立人らを連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人ら又は申立人らと経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

5 商標法第4条第1項第19号該当性について

申立人は、本件商標は使用標章が周知・著名となった後に出願されたものであるため、使用標章の顧客吸引力を利用し又は希釈化させる等、不正の目的で使用するものである旨主張するが、上記1のとおり、使用標章は、申立人らの業務に係る商品「ボールペン、万年筆等の筆記用具」について使用する商標として、本件商標の登録出願時には既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標は、使用標章とは相紛れるおそれのない非類似の商標である。

加えて、申立人は、本件商標が上記不正の目的で使用するものであることを具体的に示す証左を何ら示すところがなく、本件商標は、不正の利益を得る目的、申立人らに損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

6 商標法第4条第1項第8号該当性について

申立人は、申立人らが「CROSS」という名称で需要者の間に広く認識されている旨主張し、証拠を提出しているところ、仮に、「CROSS」が申立人らの略称として知られているとしても、本件商標は、上記1のとおり、「クロスクロス」の文字を同書同大等間隔で表示した一連のものとして捉えられるものであって、申立人らの名称の略称としての「CROSS」を含むものとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。

7 商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人は、使用標章が商品「ボールペン」等との関係において世界的に広く認識されていることから、使用標章と類似する本件商標が使用されると、公正な取引秩序が害されるおそれがある旨主張するが、上記2のとおり、本件商標と使用標章とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであるばかりでなく、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものでもなく、他の法律によって使用が禁止されているものでもない。

したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。

8 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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