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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出の可否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900350(T2013−900350/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5599739号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5599739号商標(以下「本件商標」という。)は、「RAYTEC VARIO」の文字を標準文字で書してなり、平成25年3月13日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年6月20日に登録査定、同年7月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について

本件商標は、以下に示す引用登録商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品ついて使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当する。

登録第1777559号商標(以下「引用商標1」という。)は、「RAYTEK」の文字を横書きしてなり、昭和56年5月6日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和60年6月25日に設定登録され、その後、平成7年11月29日及び平成17年5月10日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成21年1月21日に、指定商品を第9類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品「非接触型温度計」等を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されている別掲のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標2」という。)と類似する商標であって、その商品又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)むすび

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び第同第15号並びに同法第8条第1項に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について

ア 本件商標は、前記1のとおり、「RAYTEC VARIO」の文字を標準文字で書してなるものであるところ、該文字は、「RAYTEC」の文字部分と「VARIO」の文字部分との間に1文字程度の間隔を有するものであるとしても、同一の書体をもって、同一の大きさで、外観上軽重の差なくまとまりよく表されているばかりでなく、構成文字全体より生ずると認められる「レイテックバリオ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

してみると、本件商標は、その外観及び称呼上からみて、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したものと認識されるものといえる。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「レイテックバリオ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特段の観念は生じないものということができる。

これに対して、引用商標1は、前記2(1)のとおり、「RAYTEK」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「レイテック」の称呼を生ずるものであって、特段の観念は生じないものである。

そこで、本件商標より生ずる「レイテックバリオ」の称呼と引用商標1より生ずる「レイテック」の称呼を比較すると、両称呼は、「バリオ」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が著しく相違したものとなり、明瞭に聴別し得るものである。

また、本件商標と引用商標1は、それぞれ前記構成よりなるものであって、「VARIO」の文字の有無の差異を有するばかりか、本件商標の「RAYTEC」における「C」の文字及び引用商標1の「RAYTEK」における「K」の文字の差異をも有するものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはない。

さらに、本件商標と引用商標1は、いずれも特段の観念を生ずるものではないから、観念上比較することはできない。

したがって、本件商標と引用商標1は、称呼、外観及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当する商標と認めることはできない。

イ 申立人は、本件商標は、「RAYTEC」の文字と「VARIO」の文字を結合して特定の意味合いが生ずるものではなく、また、「RAYTEC」の文字部分は、商標権者の商号に由来する造語であるから、該文字部分が独立して出所識別標識として認識される旨主張し、さらに、商標権者の日本における総代理店の発行するカタログや運営するウェブサイトには、「RAYTEC」の文字と「VARIO」の文字は二段に表記され、その文字の態様も異なることなどから、「RAYTEC」の文字部分が出所識別標識として機能する旨主張する。

しかし、商標法第4条第1項第11号で規定する類似する商標に該当するか否かの判断は、願書に記載した商標に基づいて対比すべき(商標法第27条参照)ものであって、本件商標は、前記ア認定のとおり、外観及び称呼上の一体不可分性からみれば、その構成中の「RAYTEC」の文字部分のみを分離して抽出しなければならない格別の理由は存在しない。したがって、申立人の上記主張は理由がない。

(2)商標法第4条第1項第10号について

ア 引用商標2の周知性

申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)によれば、以下の事実を認めることができる。

(ア)申立人は、1948年(昭和23年)米国に設立された精密電子計測器メーカーであり、2002年(平成14年)に、1963年(昭和38年)に米国で設立され、保守用・工業用等の非接触温度計を主として取り扱うRaytek社を買収した(甲4の1〜3)。Raytek社は、ヨーロッパの主要地や中国等のほか、日本にも拠点を置き、主として「非接触温度計」の販売活動を展開している(甲4の3、甲27)。

(イ)Raytek社製の「非接触温度計」等に関するカタログには、引用商標2が表示されている(甲9〜甲23、ただし甲12は除く。)が、これらのカタログにおいて、本件商標の登録出願日(平成25年3月13日)前に発行又は作成されたと明確に確認できるものは、わずかに甲第23号証(2012年(平成24年)9月印刷)のみである。

(ウ)Raytek社は、2013年(平成25年)1月15日に「鏡面体専用高機能非接触温度計」についての新製品発売に関するプレスリリースを、2012年(平成24年)9月3日に「蒸着プロセス専用非接触温度計」についての新製品発売に関するプレスリリースを、2012年(平成24年)2月1日に「高温測定用小型非接触温度計」についての新製品発売に関するプレスリリースを、それぞれ行い、これらのプレスリリースには、引用商標2が表示された(甲24〜甲26)。

(エ)Raytek社製の「非接触温度計」は、オンラインショップにおいて広告され、掲載された商品には、引用商標2が小さく付されている(甲28〜甲31)。しかし、上記ウェブサイトにおいて、本件商標の登録出願日前に掲載されたと明確に確認できるものは、わずかに甲第29号証(購入者の投稿の日付が2013年(平成23年)1月11日と記載されている。)のみである。

(オ)Raytek社製の「非接触温度計」の日本向けに出荷された売上高は、本件商標の登録出願日前である2012年(平成24年)が953,131USドルであり、同登録出願日と同じ年の2013年(平成23年)が874,542USドルであった(甲32)。

(カ)Raytek社製の「非接触温度計」等に関し、2002年(平成14年)2月26日付け日刊自動車新聞には、「レイテック・ジャパンが発売する自動車用メンテナンス用携帯型非接触温度計『レンジャーシリーズ』は、・・」と記載されている。ただし、引用商標2の掲載はない(甲47)。

その他雑誌や新聞における広告は、いずれも本件商標の登録出願日より10年以上も前の2002年(平成14年)にされたもののみであり(甲48〜甲61、だだし、甲49については、発行年月日が明らかではない。)、本件商標の登録出願日前の比較的近い時期に広告をしたという事実を認めることはできない。また、これらの広告において、引用商標2が掲載されたものは、甲第57号証ないし甲第61号証のみであり、「レイテック・ジャパン」の文字や「レインジャーシリーズ(又はレンジャーシリーズ)」の文字が多く表示されている。

イ 前記アで認定した事実によれば、Raytek社の業務に係る商品「非接触温度計」について、本件商標の登録出願日前より引用商標2が使用されていたことは認め得るとしても、申立人の提出した証拠からは、引用商標2がRaytek社又は申立人の業務に係る商品「非接触温度計」を表示するものとして、本件商標の登録出願時に既に、我が国の測定機械器具の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 そして、引用商標2が、Raytek社又は申立人の業務に係る商品「非接触温度計」を表示するものとして、本件商標の登録査定時(平成25年6月20日)までに、我が国の測定機械器具の分野の取引者、需要者の間に広く認識されるに至ったと認めるに足りる特段の事情も見いだせない。

ウ 本件商標と引用商標2の類否

前記(1)認定のとおり、本件商標は、その構成文字より「レイテックバリオ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特段の観念は生じないものである。

これに対して、引用商標2は、別掲のとおり、正方形の図形内を大小3つに分割した如きの抽象図形と「Raytek」の文字とを結合した構成よりなるものであるところ、その構成中の図形部分は、特定の称呼、観念を生じないものであるから、引用商標2に接する取引者、需要者は、称呼しやすい文字部分を捉えて商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。してみると、引用商標2は、「Raytek」の文字部分より「レイテック」の称呼を生ずるものであって、特段の観念は生じないものである。

本件商標と引用商標2とは、構成する文字の差、図形の有無の差等により、外観上も明らかに相違するものである。

そして、本件商標と引用商標2とは、前記(1)認定の本件商標と引用商標1の類否判断と同様の理由により、称呼上類似するものではなく、また、観念上は比較することができないものである。

したがって、本件商標と引用商標2は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである

エ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する商標と認めることができない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

前記(2)認定のとおり、引用商標2は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、Raytek社又は申立人の業務に係る商品「非接触温度計」を表示するものとして、我が国の測定機械器具の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができない。また、本件商標は、引用商標2とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

してみれば、本件商標に接する取引者、需要者は、引用商標2を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品がRaytek社若しくは申立人又はこれらと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標と認めることはできない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号並びに同法第8条第1項のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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