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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2013−300398(T2013−300398/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2680547号商標(以下「本件商標」という。)は、「PHOENIX」の文字及び「フェニックス」の文字を二段に書してなり、平成3年11月29日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年6月29日に設定登録され、その後、指定商品を第14類「時計」とする指定商品の書換登録が平成16年6月2日になされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)通常使用権の許諾

被請求人であるセイコーホールディングス株式会社は、セイコーホールディングスグループの各事業会社の株式を保有する持株会社であり、その傘下の各事業会社が使用する商標権の管理を行っている(乙1)。

本件商標も、被請求人が管理する商標の1つであり、「腕時計」の分野に関しては、傘下の事業会社の1つであるセイコーウオッチ株式会社に通常使用権の許諾をしている(乙2)。

(2)通常使用権者の商標の使用態様及び登録商標との同一性

本件商標の通常使用権者であるセイコーウオッチ株式会社は、本件商標と社会通念上同一の商標を「時計」について使用している。

セイコーウオッチ株式会社は、2007年2月に、同社が製造、販売している時計のブランド「ブライツ(BRIGHTZ)」のサブブランドとして、「セイコー ブライツ フェニックス」を立ち上げ(乙3)、現在まで、同ブランドの「時計」(以下「使用商品」という。)を製造、販売している。セイコーウオッチ株式会社の2011年〜2012年版の商品カタログ(乙4)、使用商品の取扱説明書(乙5)、使用商品の専用タグ(乙6)、専用ケース(乙7)には、「PHOENlX」の文字からなる商標(以下「3 被請求人の答弁」の項において「使用商標」という。)が付されている。

すなわち、セイコーウオッチ株式会社は、使用商品の包装に使用商標を付してこれを販売しているほか、使用商品の広告に使用商標を付して提供しているといえ、かかる行為は、商標法第2条第3項第1号及び第8号が定める商標の使用行為にあたる。

なお、乙第4号証〜乙第7号証においては、使用商標の上に「BRIGHTZ」の欧文字とフェニックス(不死鳥)を表した図形が表示されているが、使用商標、「BRIGHTZ」の欧文字、フェニックス(不死鳥)の図形は、各々が独立の商標として機能するものである。

また、本件商標は、「PHOENIX」の下に振り仮名を振る意味で「フェニックス」の片仮名を書してなるが、「PHOENIX」の欧文字と「フェニックス」の片仮名は共に「フェニックス」と称呼され、「フェニックス(不死鳥)」との観念を生じさせる語であって、称呼、観念が同一である。

したがって、本件商標が二段書きの構成であることは、使用商標と本件商標との同一性を妨げる理由とはならない。

また、使用商標は、「PHOENIX」の「E」の文字を若干図案化した構成からなるが、「PHOENIX」と問題なく読めるものであり、本件商標と実質的に同一の商標であるといえる。

したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であるというべきである。

(3)使用商品の販売時期

セイコーウオッチ株式会社は、使用商品を本件審判の請求の登録日である平成25年6月4日の前3年の間に販売している。

乙第8号証の1〜3(伝票照会)は、セイコーウオッチ株式会社の直営の小売店での顧客に対する使用商品実績を示す書類である。乙第8号証の1をみると、セイコーウオッチ株式会社の直営の小売店で、平成25年5月3日に使用商品が1個販売されたことが分かり、乙第8号証の2を見ると同店舗で平成25年5月4日に使用商品が1個販売されたこと分かり、乙第8号証の3を見ると、同店舗で平成25年5月5日に使用商品が2個販売されたことが分かる。

乙第9号証(法人別サブブランド別実績照会)は、セイコーウオッチ株式会社における各サブブランド別の売上げをまとめた書類であるが、この書類をみると、2013年4月〜7月の期間に使用商品が120個販売されたことが分かる。

乙第4号証の商品カタログは、2011年〜2012年の間に顧客に配布されていた商品カタログであるが、この書類をみると、使用商品が2011年〜2012年の間に販売されていたことが分かる。

以上により、セイコーウオッチ株式会社が、使用商品を審判請求の登録日前3年の間に販売していたことは明らかである。

(4)結論

以上述べてきたとおり、通常使用権者であるセイコーウオッチ株式会社は、本件審判の請求に係る指定商品第14類「時計」について本件商標と社会通念上同一の商標を審判請求の登録日前3年間に使用している事実がある。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る各乙号証によれば以下の事実が認められる。

ア 乙第1号証は、被請求人のウェブサイトであり、「事業会社一覧」に、「セイコーウオッチ株式会社」の記載があり、当該会社の事業内容として「ウオッチなどの企画および国内外への販売」と記載されている。

イ 乙第2号証は、被請求人(甲)とセイコーウオッチ株式会社(乙)間の2012年6月28日付け商標使用許諾契約書であり、第1条に「甲は、乙が販売する時計、歩数計類等(以下許諾対象商品という)を指定商品とする、別紙(1)記載の甲所有登録商標「SEIKO」(以下基本商標という)「ALBA」「WIRED」(以下主要商標という)並びに甲が本日現在保有する許諾対象商品を指定商品とする、基本商標または主要商標以外の登録商標・・・を別紙(2)記載の条件及び甲が別途定める商標等管理規則に従って、乙が販売する許諾対象商品に使用することを許諾する」と記載されている。

ウ 乙第3号証は、セイコーウオッチ株式会社の2007年2月20日付けプレスリリース記事であり、同社が「セイコー ブライツ フェニックス」の時計(使用商品)7機種を3月7日に発売し、5機種を4月25日に発売すること、及び2000年に誕生した「セイコー ブライツ」と発売する「フェニックス」について商品の特徴等の説明が記載されている。

エ 乙第4号証は、セイコーウオッチ株式会社のカタログ「SEIKO 2011−2012 Watch Collection」であり、29ページに「BRIGHTZ」の文字の下に「PHOENIX」の文字を大きく表した商標(以下「使用商標」という。別掲参照。)を当該ページの左上部に表示して、5個の時計が掲載されている。また、最終ページに「掲載商品の価格は、2011年10月現在」と記載されている。

オ 乙第5号証は、使用商品に係る取扱説明書の表紙であり、使用商標が記載されている。

カ 乙第6号証は、商品に取り付けるタグであり、表面に使用商標が記載されている。なお、該タグに記載されている品番「SAGG019」は、乙第4号証に掲載の時計の一つと同じである。

キ 乙第7号証は、時計のケース(包装箱)であり、蓋部の内側に使用商標が表示されている。

ク 乙第8号証の1〜3は、売上伝票データを照会したものであり、いずれも売上げ先は黒塗りされ不明であるが、「13/05/07」を出荷日として、「BRIGHTZ−PHOENIX」について、乙第8号証の1には、「SHGH007」が1個、乙第8号証の2には、「SHGG009」が1個、乙第8号証の3には、「SHGH005」及び「SHGH007」がそれぞれ1個、販売されたことが記載されている。

(2)以上の事実を総合すれば、以下のとおり判断することができる。

ア 通常使用権者について

セイコーウオッチ株式会社は、時計の企画、販売を業としている、被請求人会社グループの一社であり(乙1)、被請求人は、セイコーウオッチ株式会社に、本件商標について明示してはいないものの、本件商標を含む時計に使用する商標について、その使用を許諾しているものと推認できる(乙2)から、セイコーウオッチ株式会社は、本件商標に係る通常使用権者であると認められる。

イ 本件商標の使用について

(ア)カタログへの使用について

セイコーウオッチ株式会社は、2011−2012年版の時計カタログに使用商標を表示して時計を掲載していることが認められる(乙4)。そして、当該カタログは、本件審判の請求の登録(平成25年(1013年)6月4日)前3年以内の時期に頒布されたものと推認できる。

(イ) 商品時計への使用について

セイコーウオッチ株式会社は、使用商品に使用商標を表示したタグを取付け、使用商標を表示した取扱説明書を添付し、使用商標を表示した包装箱を使用して、2013年5月7日に販売したものと推認できる(乙8)。

したがって、セイコーウオッチ株式会社は、要証期間内である、上記日に請求に係る商品である時計に使用商標を付したものを譲渡(販売)したものと認めることができる。

(ウ)本件商標と使用商標の同一性について

使用商標は、別掲のとおり、上段にやや小さく「BRIGHTZ」の欧文字を配し、下段に「PHOENIX」の欧文字を異なる書体で大きく配してなるものであるところ、両文字は、二段に配してなり、文字の大きさ、書体に顕著な差異があることから、視覚上、分離して看取され得るものである。 そして、使用商標は、構成全体をもって親しまれた既成の観念を表してなるものとみるべき特段の事情も見あたらない。むしろ、セイコーウオッチ株式会社は、「BRIGHTZ」シリーズの商品の内の一つを表すものとして「PHOENIX」の商標を使用していることがうかがえる(乙3)。

そうすると、使用商標は、看者をして、全体をもって一体のものとしてのみ認識されるということはできず、「PHOENIX」の文字部分も独立して看取、把握されるものであって、自他商品の識別標識としての機能を有し

ているものということができる。

一方、本件商標は、前記1のとおり、「PHOENIX」の欧文字とその読みである「フェニックス」の片仮名をやや小さく二段に配してなるものである。

そうとすると、本件商標は、使用商標と共通の「PHOENIX」の文字及びその読みを表した「フェニックス」の文字からなるものであるから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。

ウ 小括

以上のことからすれば、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「時計」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用したというべきである。

(3)したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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