Trademark Appeal Case
会社名と商標登録の承諾
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−16303(T2013−16303/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第1類、第3類、第7類、第9類、第36類及び第40類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年6月22日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品及び指定役務は、原審における平成24年12月18日付け及び当審における同25年8月23日付けの手続補正書により、最終的に、第1類「めっき液,めっき助剤,無電解めっき用及び電気めっき用化学品」、第7類「めっき用処理槽」、第9類「めっき装置,めっき液の成分濃度管理装置,めっき装置用電子制御装置」及び第40類「電気めっき,無電解めっき」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、北海道河西郡芽室町東芽室基線19−28所在及び岐阜県関市大杉488−1所在の『上村工業株式会社』に通じる『上村工業株式会社(「会」は俗字)』の文字からなるものであり、かつ、その者の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第1項第8号の趣旨及びその適用については、以下のとおり判示されている。
ア (商標法第4条第1項第)8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。(最高裁平成16年(行ヒ)343号、平成17年7月22日判決参照)
イ 他人の名称を含む商標については、他人の承諾を得ているものを除いては、商標登録を受けることができないというべきであって、出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないというべきである。(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号、平成21年2月26日判決参照)
ウ 要するに、同号(商標法第4条第1項第8号)は、出願人と他人との間での商品又は役務の出所の混同のおそれの有無、いずれかが周知著名であるということなどは考慮せず、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称」を含む商標をもって商標登録を受けることは、そのこと自体によって、その氏名、名称等を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなし、その他人の承諾を得ている場合を除き、商標登録を受けることができないとする趣旨に解されるべきものなのである。(知的財産高等裁判所平成21年(行ケ)10005号、平成21年4月16日判決参照)
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(1)の観点を踏まえて、本願商標について検討するに、本願商標は、別掲のとおり、「上村工業株式会社(「会」は異体字)」の文字を表してなるものであるところ、実質的には、「上村工業株式会社」を記載してなるものであるといえる。
そして、「上村工業株式会社」と同一の名称である法人が、原審の拒絶の理由に示したとおり、「北海道河西郡芽室町東芽室基線19−28」及び「岐阜県関市大杉488−1」に存在し、かつ、請求人は、本願商標を登録することについて、上記の法人から承諾を得たことを証明する書面を提出していない。
したがって、本願商標は、他人の名称を含む商標であり、かつ、本願商標を登録することについて、当該他人の承諾を得ているものとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
(3)請求人の主張について
請求人は、商標法第4条第1項第8号の規定は、出願に係る商標が指定商品又は指定役務について使用された場合に、それらの商品又は役務との関係で、当該個人あるいは法人が人格権を毀損されたと感じるであろうことが客観的に明らかであると認められる場合において、適用されるべきものである旨を主張する。そして、本願商標の場合、拒絶の理由に示された他人は、いずれも請求人の業務とは直接に関連が認められず、また、相当程度一般に知られているとも認められないから、本願商標がその指定商品又は指定役務について使用されたとしても、当該他人の人格権の毀損が客観的に明らかである状況にあるといえないと述べ、本願商標の登録を受けるに際し、上記他人から承諾を得る必要はないものであり、過去の審決例を参酌しても、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない旨を主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号の趣旨は、上記(1)の判示のとおり、他人の名称を含む商標について商標登録を受けることは、そのこと自体が、その名称を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなすものと解され、請求人と他人との間の業務の関連性や、いずれかが一般に知られているかどうかといったことは、考慮する必要がないものである。
本願商標は、他人の名称を含む商標であって、その他人の承諾を得ているものとは認められないものである以上、同号に該当するものであることは、上記(2)のとおりであり、また、請求人の挙げる審決例が存することをもって、その判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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