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Trademark Appeal Case

著名芸名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−27961(T2011−27961/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「LADY GAGA」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第25類及び第41類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成22年4月12日に登録出願された商願2010−28913号に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、第9類「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品とし、同23年3月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『LADY GAGA』の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、アメリカ合衆国の女性ミュージシャンである『Stefani Joanne Angelina Germanotta』の芸名を表すものとして、我が国において、広く一般に認識され、著名性を獲得しているといい得るものであり、また、本願の指定商品中、例えば、録音済みのコンパクトディスク(CD)や磁気テープについては、その録音内容に係るタイトル(アルバム名や曲名等)とともに、歌唱者の名前をその媒体表面やジャケットに表示することが一般に広く知られていることからすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これを当該商品の製造、販売元として認識、理解するというよりは、当該商品に係る歌唱者が『LADY GAGA』であることを表したものとして認識、理解するとみるのが相当であり、そうとすれば、本願商標は、商品の品質を表示したものと認識されるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、本願の指定商品中、上記『LADY GAGA』と何らの関係のない商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

ア 本願商標は、前記1のとおり、「LADY GAGA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、別掲1ないし9に示す内容によれば、当該文字及びその表音である「レディ(ー)・ガガ」の片仮名について、以下の事実が認められる。

(ア)「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、本名を「Stefani Joanne Angelina Germanotta」といい、アメリカ合衆国出身の歌手であり、2008年(日本盤は2009年5月)にファーストアルバム「ザ・フェイム」でデビュー(世界6ヵ国で第1位を達成)、その後も、アルバムやシングル曲を発表しており、世界中で人気を博している。

(イ)「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、グラミー賞その他の賞を受賞しているほか、ギネス世界記録を保持している。また、USビルボードにおいては、2010年度「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に認定されるとともに、2010年の「トップ・セールス・アーティスト」となっており、さらに、米国のTIME誌「(世界で)最も影響力のある人物100人」やフォーブス誌「世界で最も影響力のある女性100人」の一人にそれぞれ選ばれている。

(ウ)「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、我が国においても、ファーストアルバム「ザ・フェイム」がヒット作となったり、2010年4月の来日公演が4公演ともソールドアウトとなる等、人気を博している。

また、「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、東日本大震災の復興支援活動(来日を含む。)に精力的に取り組んだほか、「NHK紅白歌合戦」にもビデオ出演している。

(エ)以上によれば、「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、アメリカ合衆国出身の歌手として、我が国を含め世界的に広く知られているといい得るものであるから、「LADY GAGA」の欧文字からなる本願商標は、これに接する者をして、上記歌手名を表示したものと容易に認識するものである。

イ ところで、本願の指定商品中の「レコード」の媒体表面及びジャケットや「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」を購入するためのウェブサイトの画面には、これら商品の発売元・販売元の名称・ロゴ、曲名、歌手名等が表示されているところ、これら商品の取引者・需要者は、その表示中の発売元・販売元の名称・ロゴから、その商品の出所を認識し、曲名から、当該曲が収録されていることを認識し、歌手名から、その者が歌唱していることを認識するものである。

また、本願の指定商品中の「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」(特に音楽関係のもの)についても、上記「レコード」と同様に、その媒体表面及びジャケットに、商品の発売元・販売元の名称・ロゴ、出演する歌手名等が表示されているところ、これら商品の取引者・需要者は、その表示中の発売元・販売元の名称・ロゴから、その商品の出所を認識し、歌手名から、その者が出演し、歌唱している映像が収録されていることを認識するものである。

ウ 以上によれば、アメリカ合衆国出身の人気歌手名として広く認識されている「LADY GAGA」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、映像に出演し、歌唱している者を表示したもの、すなわち、その商品の品質(内容)を表示したものと認識するというのが相当である。

してみると、本願商標は、商品の品質を表示したものと認識されるにすぎないことから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ず、また、本願商標をその指定商品中、上記「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)と何ら関係のない商品に使用した場合、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、人気歌手の芸名が、例えば、レコードのジャケット上のアルバム名(題名)の隣に併記される場合や、ジャケット裏面の収録曲のリストにおける各収録曲のタイトル(題名)の隣に併記される場合など、レコードに録音された歌唱者の氏名が通常付される場所に、通常付される態様において付されたときは、当該レコードに録音された音楽の歌唱者の氏名等を表示したと認識される場合があり得るものの、これらとは全く異なる場所、すなわち、レコードの裏面の片隅に小さく、「発行元」等の文字とともに「発行元 LADY GAGA」のように表示されるなど、同種商品の出所表示が通常表示される場所に、通常付される態様において使用されるときには、その文字は、商品の出所を表示したものとして認識、把握され、出所表示としての機能を十分に発揮することから、本願商標がCDジャケットの表面等に付されたからといって、その商品の需要者をして、常に「歌手名(演奏者名)」と認識するとは限らないものである旨主張する。

しかしながら、本願商標は、アメリカ合衆国出身の人気歌手名として広く認識されている「LADY GAGA」の文字からなるものであるところ、本願商標が商品「レコード」等に使用された場合、当該商品に係る取引の実情に照らし、これに接する取引者、需要者が、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、映像に出演し、歌唱している者を表示したものとして認識することは上記(1)のとおりであり、また、請求人が主張するような使用態様を取引の実情として考慮すべきか否かにつき、請求人は何ら立証するところがないから、請求人の上記主張は、採用し得ない。

イ 請求人は、歌手の歌唱力や演奏力は極めて抽象的であいまいな概念であり、音楽の著作物を収録したレコード等との関係で、常にある一定の品質を理解させるものではなく、また、ある歌手の歌唱(演奏)に係る収録曲(音楽)の内容も収録曲ごとに全く異なるものであるから、「LADY GAGA」の文字からは、「LADY GAGA」に何らかの関連がある商品であると理解することができたとしても、直ちに具体的な商品の品質(内容)を表示するものではない旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号所定の「商品の品質」を請求人が主張するように限定的に解すべき理由はなく、本願の指定商品である「レコード」等においては、その収録曲を歌唱する者、映像に出演し、歌唱している者が「だれ」であるかということも、商品の品質と密接な関連を有するというべきであるから、その「だれ」であるかを示す「歌手名」も、商品の品質(内容)に当たるというべきである。

ウ 請求人は、音楽CD等を販売するいわゆるCDショップといった店舗においては、需要者が、多数に及ぶ商品の中から購入を欲する商品を探す際に、まず歌手名や演奏者名を目印とするという行動習性を考慮の上、歌手名や演奏者ごとに商品を陳列するのが一般的であるところ、需要者は、上記陳列方法に従って、特定の歌手名や演奏者名に係る商品が陳列された場所に行った後、個々の商品についての「アルバム名」や「曲名」をもって、商品の内容を把握していることからすれば、該歌手名や演奏者名は、商品の出所識別標識として機能する旨主張する。

しかしながら、歌手名や演奏者名は、上述のとおり、商品「レコード」等との関係において、商品の品質(内容)を表示したと認識されるものであることからすれば、上記商品陳列における歌手名や演奏者名の表示に接する取引者、需要者が、その表示を別異のものとして看取、理解するとはいい難く、よって、請求人の上記主張は、採用し得ない。

エ 請求人は、請求人(出願人)による本願商標の独占を許さず、レコードについて、第三者による使用を自由に認めるとすれば、多大な営業努力を行ってきた請求人(出願人)の利益はもちろんのこと、商標に接する需要者・取引者の利益をも害する結果となるので、法目的、法理念に反し、決して妥当なものではないとし、著名な歌手名は、商標権による保護を必要とする旨主張する。

しかしながら、本願商標を、その指定商品中、「レコード」等に使用した場合、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであることは、上記(1)のとおりであるから、そうである以上、本願商標は、商標登録を受けることができないものといわざるを得ないのであって、何ら商標法上の法目的に反することにはならない。

オ 請求人は、本願と同様に「レコード」等を指定商品とする著名な歌手名(芸名)を普通に用いられる書体で表した商標の既登録例を挙げ(参考資料1ないし参考資料9)、本願商標も同様に登録を認められるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の

構成態様と指定商品とに基づいて、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、その構成文字から容易にアメリカ合衆国出身の人気歌手「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)を認識させるものであって、本願の指定商品中の「レコード」等との関係において、商品の品質を表示したものと認識され、また、本願の指定商品中、上記「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)と何ら関係にない商品との関係においては、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあること、上記(1)において認定、判断したとおりであり、これを、商標の構成を異にする既登録例が存することをもって覆すことはできない。

(3)まとめ

以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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