Trademark Appeal Case
商品の品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900152(T2013−900152/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5560724号商標(以下「本件商標」という。)は、「天むすせんべい」の文字を横書きしてなり、平成24年9月3日に登録出願、第30類「せんべい」を指定商品として、同25年1月28日に登録査定、同年3月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申し立ての理由(要旨)
本件商標は、「天むすせんべい」の文字からなるところ、その構成中「天むす」の語は、「天ぷらを具としてなるおむすび」の商品を表す普通名称又はその略称であり、「せんべい」の語は、「米菓商品」の普通名称である。
よって、本件商標は、「天ぷらを具としてなるおむすびである天むすの風味を有するせんべい」を容易に認識、理解させるにとどまり、前記商品以外の「せんべい」に使用するときは、商品の品質を誤認させるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきである、と述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
3 当審において通知した取消理由の要旨
本件商標は、「天むすせんべい」の文字からなるものであるところ、その構成中「天むす」の語については、「塩味を効かせた海老の天ぷらを具にした津市発祥のおにぎり」(weblio辞書)、「小さなエビの天ぷらが入ったおにぎりのこと。」(名古屋観光情報、名古屋コンシェルジュのウェブサイト http://www.nagoya-info.jp/gourmet/tenmusu.html)等と説明されていること、及び別記(1)の実情からすれば、「天ぷらを具としてなるおむすび」を表示する語として一般に認識されているものと認められる。
また、別記(2)のとおり、せんべいを取り扱う業界においては、例えば、たこ焼き、焼きそば等の料理の風味を有するせんべいが販売されており、それらの商品を「○○せんべい」(○○にはその料理名を表示している。)と称して製造・販売している実情が認められる。
そうとすると、本件商標をその指定商品「せんべい」に使用するときは、これに接する需要者は、「天むすの風味を有するせんべい」を容易に想起し、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるというのが相当であるから、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 前記3の取消理由に対する商標権者の意見
商標権者の「天むすせんべい」は、平成13年に商標権者が初めて開発したオリジナル商品で、それ以降12年間、名古屋駅売店、中部国際空港売店、中部圏高速売店を中心に独占的に販売してきたものであり、現在も、商標権者の販売する商品しか市場に流通していない。
また、平成23年12月にCBCテレビ及び同24年2月にCBCラジオに商標権者の「天むすせんべい」が取り上げられ、低迷していた売上が急増し商品ブランドが確立した。中部圏でしか販売されていない商品であるが、インターネット販売や電話による直接通信販売も行い、ソーシャル・ネットワーキング・サービスにおいても話題となっている。
したがって、本件商標は、一般消費者に、商標権者のブランドとして定着しており、商標登録が認められるものである。
また、本件商標は、上記実情により、商標法第3条第2項の規定に基づき、登録が認められるものである。
5 当審の判断
(1)本件商標についてした前記3の取消理由は妥当であって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)商標権者の意見について
商標権者は、本件商標を付した商品「せんべい」について、商標権者が開発したオリジナル商品であり、平成13年から中部圏を中心に独占的に販売しているものであること、テレビ放送、ラジオ放送にも取り上げられたことがあること等から、一般消費者に商標権者の「天むすせんべい」として、商品ブランドが確立しており、商標登録が認められるべきであると主張する。
しかしながら、本件商標は、例え、商標権者が開発した商品に使用しているものであり、現在、商標権者は、本件商標を当該商品(せんべい)に独占的に使用しているとしても、前記3のとおり、本件商標に接する取引者・需要者は、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるから、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきである。
また、商標権者が提出した資料によれば、本件商標を付した商品が、商標権者のホームページにおいて紹介されていること(資料1の1ないし4)、平成23年12月のテレビ放送及び同24年2月のラジオ放送がされた以降、売上げの増加が見られること(資料1の5)、中部圏以外の顧客に商品が販売されたこと(資料4の1ないし17)等が認められる。
しかしながら、本件商標を付した商品の販売は、中部圏(名古屋駅売店、中部国際空港売店及び中部圏高速売店が中心)の範囲にとどまるものであり、2008年6月から2013年11月までの「天むすせんべい」の売上金額グラフ及び販売先一覧(資料1の5及び6)を徴しても、その具体的な販売地域は不明であって、その売上額も多いものということができないこと、中部圏以外の販売先は、2012年9月7日から2013年11月27日までの間にわずか15件であって、その販売数量も多いものということができないこと、テレビ放送及びラジオ放送がされたのはわずか2回であって、その具体的な内容も明らかでないこと等からすると、本件商標は、本件商標の登録査定時において、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになっていたということはできないから、本件商標が商標法第3条第2項の規定に基づき登録されるべきものとはいえない。
したがって、商標権者の意見を採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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