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Trademark Appeal Case

2.5世帯の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900091(T2013−900091/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5546580号商標の指定役務中、第36類「全指定役務」、第37類「全指定役務」及び第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5546580号商標(以下「本件商標」という。)は,「2.5世帯」の文字を標準文字で現してなり,平成24年7月2日に登録出願,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」,第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」及び第42類「建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究」を指定役務として,同年12月3日に登録査定され,同月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,その指定役務中,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」,第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」及び第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究」(以下「申立てに係る指定役務」という。)に関し,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきものである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第30号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標について

ア 本件商標の構成態様及び観念に関して

本件商標「2.5世帯」は,「2.5」という「2」と「3」の中間を示す数字と「世帯」という既成語が結合された標準文字の商標である。

「世帯」の語は,一戸を構えて独立の生計を営むこと,住居および生計を共にする者の集団,という意味を有する既成語であり,「住居および生計を共にする者の集団」としての世帯を数えるときは,一世帯,二世帯,三世帯等と数える。二世帯及び三世帯の語は,従来から「住宅」の語と結びつけられ,「二世帯住宅」及び「三世帯住宅」という語が広く一般に使用されてきた。なお,「二世帯住宅」は,普通名詞として辞書にも意味が掲載されている(甲2及び甲3)。

甲第4号証には,「2010年の国勢調査によると,60代が世帯主の家族では,これまで最多だった夫婦だけの世帯より単身の成人の子と一緒に暮らす1.5世帯が増え,約300万軒にも上った。この傾向は都市部に多い現象で,東京都だけを見ると,『親と単身の子』の1.5世帯が常に『夫婦のみ』を上回っている。」との記載がある。ここで用いられている「1.5世帯」という語は,同居する「成人の子」や「祖父又は祖母」を「0.5世帯」と捉え,それを「夫婦のみ」又は「夫婦とその未成年の子」からなる「一世帯(単世帯)」に付加した語であり,「一世帯」と「二世帯」の中間の構成人員からなる世帯を端的に表現した語である。端的さゆえに使い勝手がよく,近年増加しつつあるこのような世帯を「1.5世帯」と呼ぶようになっている状況がある。

このような状況の下,「2.5世帯」という語が,「1.5世帯」と同様のネーミング手法により,住宅業界において,「二世帯」及び「三世帯」と共に「2.5世帯」の語が,それぞれの同居人構成に応じた住宅の建設・リフォームの広告に使用されている(甲21−1及び甲22)。当該証拠において,「2.5世帯」の語は,親世帯と子世帯の「二世帯」に祖父又は祖母が同居するようになった世帯を示す語として使用されており,「三世帯」向けの住宅の事例の前に,「2.5世帯」向けの住宅の事例が置かれ,各世帯の家族構成に適した広さ及び間取りを有した住宅が紹介されている。また,「2.5世帯」というタイトルの下に,「2世帯にプラスしてそのご兄弟や祖父母が同居される場合,独立二世帯や融合二世帯の考え方に加えて0.5世帯の独立空間が必要になる」として,「2.5世帯住宅」の特徴が紹介されている。

イ 本件商標の独占不適応性について

本件商標は,その文字構成から「二世帯」及び「三世帯」の間の構成人員からなる世帯を示していることは自明であり,この語を住宅関連の役務に使用する際,住宅の需要者・取引者は,「二世帯向き住宅と三世帯向き住宅の間のスペースを有する住宅(即ち2.5世帯向きの住宅)に関する役務」であると直接的かつ具体的に認識するといえる。

したがって,本件商標は,住宅の需要者・取引者の何人も取引に際し必要適切な表示としてその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであり,東京高裁平成13年(行ケ)第207号判決の趣旨からすれば,本件商標が自他役務の識別力を欠くと判断するにあたり,本件商標の登録査定時に指定役務の質を表すものとして現実に使用されていることは,必ずしも必要でない。

また,特許庁の審査において,「2.5世帯」と同様のネーミング手法により採択された「1.5世帯」の語が,自他役務の識別力を欠くと認定され,拒絶査定となっている事例が存在する。

(2)「2.5世帯」の語の住宅業界における使用例

「2.5世帯」の語が,申立てに係る指定役務との関係において自他役務の識別力を欠くことを補足的に裏付ける実情として,住宅業界における当該語の使用例の新聞記事,インターネット情報,パンフレット等を示す(甲20ないし甲30)。

上記使用例によると,本件商標の登録査定時には,住宅の取引者・需要者及びリサーチ会社等様々な主体により,「2.5世帯」の語は,「二世帯を構成する家族に成人の単身家族を加えた世帯」を端的に示す語として用いられると共に,「二世帯住宅」に単身の成人家族(0.5世帯)用のスペース・間取りを加えた住宅は,「2.5世帯住宅」と広く呼ばれていたことが明らかである。

(3)総括

したがって,本件商標は,これを申立てに係る指定役務中「二世帯向き住宅と三世帯向き住宅の間のスペースを有する住宅に関する役務」に使用するときは,単に役務の質を表すにすぎず,自他役務識別標識としての機能を果たし得ない。

さらに,本件商標を前記以外の申立てに係る指定役務に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。

3 当審における取消理由

当審において,登録異議申立に基づき,商標権者に対して平成25年9月19日付けで通知した取消理由の内容は,要旨以下のとおりである。

(1)申立人の提出に係る証拠によれば,以下の事実がある。

ア 「世帯」の語について

「住居および生計を共にする者の集団。」との記載(甲2(広辞苑))及び「住居・生計を同じくしている者の集団。親族以外の者が含まれている場合や,一人の場合もある。」との記載(甲3(大辞林))があること。

イ 「二世帯住宅」の語について

「一軒で内部が二世帯用に区切られ,親夫婦と子供夫婦がそれぞれ別に生活できる住宅。」との記載(甲2)及び「一つの建物に親の世帯と子の世帯の二世帯の家族が住む住宅。親と子の世帯がそれぞれ独立した生活ができるものをいう。」との記載(甲3)があること。

ウ 「2.5世帯」及び「2.5世帯住宅」の語について

(ア)株式会社アート・ボックスのウェブサイトには,「2.5世帯同居」との表題の下,「2世帯同居ならよく聞く話だが,これからは『2.5世帯同居』が増えてくるという。2010年の国勢調査によると,60代が世帯主の家族では,これまで最多だった夫婦だけの世帯より単身の成人の子と一緒に暮らす1.5世帯が増え,約300万軒にも上った。・・・親と単身の子が居るところに別の子ども世帯が加わったり,親がすでに2世帯のところに単身の成人の子が住むなど,家族の在り方も多様化し,その結果,“2.5世帯”という新たな同居形態が生まれている。」との記載があること(甲4)。

(イ)2013年1月12日付「建設工業新聞」には,「きょう,あす4会場で」,「同居型リフォーム完成見学会」,「喜多ハウジング」との見出しの下,「完全な2世帯というよりも,若世帯側の兄弟姉妹が未婚のまま実家に同居しているケースが多く,2.5世帯というスタイル。」との記事が掲載されていること(甲20)。

(ウ)喜多ハウジング株式会社のウェブサイトには,「2.5世帯」の表題の下,「子世帯・親世帯・祖父母お一人,又は子の兄弟がいらっしゃるご家庭」との記載とともにその間取図が掲載されていること(甲21−1)。

(エ)「@Press」のウェブサイトには,2013年1月10日の喜多ハウジング株式会社のプレスリリースとして,「喜多ハウジング 同居型リフォームの完成見学会を開催/多様化する世帯構成に対応した住まいの事例を紹介」との表題の下,「完全な2世帯というよりも,若世帯側の兄弟姉妹が未婚のまま実家に同居しているケースが多く,2.5世帯というスタイルも多くあるようです。」との記載及び「SankeiBiz」のウェブサイト,「朝日新聞/DIGITAL」のウェブサイト,「suumo ジャーナル」のウェブサイトにも同様の内容が記載されていること(甲21−3ないし6)。

(オ)「有限会社栃木建築社」のウェブサイトには,「二世帯・三世帯デザイン注文住宅」の表題の下,「お客様のライフスタイルに合わせて,子夫婦とお父様やお母様,両親と社会人のお子様などで住まわれる1世帯プラス0.5世帯の1.5世帯住宅プラン。・・・2世帯プラスご兄弟などで住まわれる2.5世帯住宅。」との記載及び「2.5世帯住宅」として,「2つのご家族とご兄弟と/2世帯にプラスしてそのご兄弟や祖父母が同居される場合/独立二世帯や融合二世帯の考え方に加えて0.5世帯の独立空間が必要になります。」との記載とともに注文住宅の建築工事の提案がされていること(甲22)。

(カ)「株式会社グリーンワールド」のウェブサイトには,「自然素材に囲まれた2.5世帯住宅」として,2011年に竣工された住宅完成事例の紹介がされていること(甲23)。

(キ)「株式会社 ユース建築設計事務所」のウェブサイトには,「2.5世帯リフォーム」として,「親世帯(夫婦)と子世帯(夫婦と子ども1人等)そこに,子世帯の姉妹(0.5世帯)が同居している家族構成の家。そんなスタイルを今の呼び方で2.5世帯住宅と言います。」記載されていること(甲25)。

(ク)「PR TIMES」のウェブサイトには,2012年10月18日の株式会社アイシェアのプレスリリースとして,「話題の2.5世帯住宅に『アリ派』の妻86.1% 姑・小姑問題は過去の話?!」との表題の下,「『二世帯住宅』とはどういう形態の住宅か,イメージできる人は多いだろうが,『2.5世帯住宅』というものをご存じだろうか?」として,「『二世帯住宅』が,一つの住宅に子世帯と,親世帯が一緒に住み,それぞれ独立した生活が可能なタイプの住宅であるのに対して,『2.5世帯住宅』とは,子世帯と,親世帯に加え,(子世帯の)独身の兄弟もしくは姉妹が一緒に暮らすための住宅のことを指している。『二世帯住宅』と同様に,子世帯,親世帯,独身の兄弟や姉妹,それぞれの居住空間は独立しているため,プライバシーは守られる設計であり,また,独身の兄弟姉妹が結婚などで独立した場合は,空いたスペースを親世帯の個室にしたり,子ども部屋にするなどの転用も可能だという。」との記載があること(甲27−1)。

(2)商標法第3条第1項第3号該当性について

本件商標は,前記1のとおり,「2.5世帯」の文字を標準文字により表してなるものである。

しかして,「2.5世帯」の文字は,近時の家族構成の多様化に対応して,「2世帯を構成する家族に成人の単身家族を加えた世帯」であることをいうものとして一般的に使用され,また,前記(1)のとおり,そのような家族構成向けの住宅が「2.5世帯住宅」と称され,あるいは説明され,そのような住宅のリフォーム完成見学会の紹介や住宅の建築工事の提案,住宅の建築工事の実績の紹介がされていることが認められるものである。

そうとすれば,本件商標をその指定役務中,申立てに係る指定役務に使用した場合,それが,一つの住宅内において,二世帯を構成する家族に成人の単身家族を加えた世帯向けの役務であること,すなわち,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。

したがって,本件商標は,申立てに係る指定役務について,商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 商標権者の意見

前記3の取消理由に対し,商標権者は,要旨以下のように意見を述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第41号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)「2.5世帯」の語について

「世帯」の語は,総務省の統計局・政策統括官・統計研修所のウェブページにおいて「世帯人員が一人の世帯」を「単独世帯」としていることから,「単身の成人」についても「世帯」の語が使用されるとの認定自体は,誤りではない(乙1の1)。

しかしながら,上述のウェブページ中の「G 世帯の決め方」の項目によれば,「住居と生計を共にしている人々の集まりを一つの世帯とし,(中略)生計が別であれば別々の世帯として扱われる」としている(乙1の2)。

したがって,「夫婦と子供からなる世帯」は,「1世帯」であり,仮に「子供」が独立して生計を立てていれば,夫婦と子供が1つの住宅に同居をしていても「2世帯」ということになり,「親夫婦・子供夫婦・子供夫婦のいずれかの兄弟姉妹」とからなる世帯は,その「兄弟姉妹」の生計が別であれば,「3世帯」ということになり,「兄弟姉妹」の生計が親夫婦に依存している場合には,「2世帯」ということになる。

このように「世帯」をカウントする数字としては,「1世帯」,「2世帯」,「3世帯」と表現されても「0.5世帯」,「1.5世帯」,「2.5世帯」と表現されることはあり得ない。

(2)各証拠資料について

商標法第3条第1項第3号の該当性の判断時は,査定時であり,異議申立において提出された各証拠資料の2012年12月13日以降の資料(甲6−2,甲20,甲21−3ないし6及び甲28)については,証拠能力がない。

また,甲第12号証,甲第18号証,甲第19号証,甲第22号証,甲第23号証ないし甲第29号証は,年月日が不明であり,証拠価値に乏しいものである。

つぎに,甲第6号証ないし甲第15号証,甲第21号証−1及び2並びに甲第29号証の内容は,いずれもが「1.5世帯」に関する証拠資料であって,「2.5世帯」とは,直接関係のないものである。

さらに,甲第5号証及び甲第6号証−1の「1.5世帯」の「1.5」は,明らかに「1世帯」と「2世帯」の中間的な世帯を表現する便宜的な数字として,「0.5」としているにすぎず,商標権者が創出をし,かつ,住宅業界を中心に認識されつつある「0.5(世帯)」とは,コンセプトが全く異なるものである。

このようなことから,これら各甲号証は,本件商標の商標法第3条第1項第3号の該当性の判断にとって,証拠価値が低いものである。

(3)「2.5世帯」及び「2.5世帯住宅」の各語が商標権者を認識せしめる商標として機能していることについて

住宅分野を含む建築業界で最も歴史が長く権威のある「日本建築学会」の論文データベースで「2.5世帯」のキーワード検索をしても,ヒットする論文は,1件も存在しない(乙3)。

本件商標を構成する「2.5世帯」及び「2.5世帯住宅」の各語は,商標権者が2012年8月に「二世帯住宅の進化形」としての「住宅」を表現する語として住宅業界において初めて採択をし,2012年8月11日から「2.5世帯住宅」の発売を開始し,「2.5世帯」及び「2.5世帯住宅」の各語と商標権者とが結びつけるべく,積極的に訴求活動を行うと共に,新聞,雑誌等にも数多く取り挙げられてきている。

(4)「0.5世帯」及び「2.5世帯」の採択の趣旨及び訴求活動等について

ア 「2.5世帯住宅」に関する新聞記事は,2012年8月6日の日刊工業新聞,同月8日の日本経済新聞,日経産業新聞及び日刊工業新聞(乙4の1ないし4)であり,これらの記事は,商標権者が親世帯と子供世帯,単身の姉妹や兄弟が同居する「2.5世帯住宅」を2012年8月11日に発売をすること,この新商品である「2.5世帯住宅」が,単身者が同居するスペースを取り入れ,単身者の独立性(プライバシー)を確保している点に特徴があることを報じている。

イ 2012年8月23日の毎日新聞,同月25日の日本プレハブ新聞及び毎日新聞のインタビュー記事において,「2.5世帯」とは聞き慣れない言葉ですとのインタビュアー質問がなされたのに対し,二世帯住宅研究所長が「2.5世帯住宅」のコンセプト及び「2.5世帯住宅」が国政調査の結果の分析から開発をされたことを述べている(乙5,乙6の1及び2,乙7)。

ウ 2012年8月28日の住宅新報(乙8)及び週刊住宅(乙9)ほか,乙第10号証ないし乙第17号証のように,商標権者の「2.5世帯住宅」は,販売時からかなり注目されている。

エ 「2.5世帯住宅」の新聞媒体を使った広告活動は,2012年8月8日の日本経済新聞1面全面広告(乙18)及び同月13日から同月19日に第1話から第7話からなる新聞広告を,1話毎に,毎日,日本経済新聞に掲載した(乙19の1ないし7)。

そして,同様の新聞広告を,秋編として1話(乙21),年末年始編第1話から第3話(乙22の1ないし3),及び,完結編第1話と第2話(乙23の1及び2)が,いずれも日本経済新聞に掲載した。

また,2012年8月24日に「2.5世帯住宅」のコンセプトに関する広告を行っている(乙24)。

かかる商標権者による「2.5世帯住宅」の広告活動は,第61回(2012年)日経広告賞において「長く続いているブランド『ヘーベルハウス』と消費者の関係を“2.5世帯住宅”というあらたなコンセプトのシリーズ広告で鮮やかに打ち出した」として最優秀賞を獲得し(乙25の1及び2),日経流通新聞の2012年ヒット商品番付において「2.5世帯住宅」という「新概念の住宅の登場は久々」と評価され,技能賞を獲得している(乙26)。

そして,広告活動の評価測定を行っているデスクワンによる2012年度広報評価ランキングの住宅メーカーランキングにおいて第3位にランキングされた(前年第5位)(乙27)。

オ 「2.5世帯住宅」に関する雑誌記事は,2012年9月18日号の雑誌「財界」(乙28),同年10−12月号「ホームプランニング」(乙29),同年10月16日の「DIME」No.21(乙30)のほか,乙第31号証ないし乙第40号証などである。

(5)商標権者が提唱する「2.5世帯」について

「2.5世帯」の語は,国勢調査を含めた社会通念上,「2世帯」と考えられている「親世帯・子世帯が生計を分け,加えて子世帯の兄弟姉妹に当たる単身者が親世帯と生計を一にする同居スタイル」において,自立できる収入を持ちつつ親世帯と生計を分けていない単身者を新たに「0.5世帯」という言葉で表現し,2世帯にこのような単身者が加わった同居スタイル,商標権者による「集居スタイル」を「2.5世帯」と表現したものであり(乙41の1及び2),「2.5世帯」及び「0.5世帯」の各語は,社会通念上の「3世帯」でも「2世帯」でも表現できない集居スタイルの家族関係を表現するユニークな語であるとの認識は,住宅業界を中心に定着している。

(6)以上からも明らかなように,「2.5世帯」及び「0.5世帯」の各語は,商標権者の創作にかかるものであり,かつ,これらの言葉は「集居」の住宅形態として商標権者のみが使用しているものである。現に,申立人である同業の住宅メーカーは,「2.5世帯」及び「0.5世帯」の各語を使用しておらず,各甲号証の幾つかにおいて使用されている事実が散見されるにすぎない。

かかる事実は,情報の拡散が瞬時に行われるインターネット時代においても,これら各語が商標権者を特定する語として住宅業界において広く認知されていることを示すものである。

そもそも「2.5世帯」に該当する「親世帯・子世帯・単身者による集居スタイル」を商取引において表現する場合は,国勢調査等に準拠して「2世帯」と表現をすれば足り,殊更に「2.5世帯」の語を使用する必然性を認めることはできない。

その上,上述のとおり,本件商標は,商標権者が広告等で訴求活動を行った結果,広く住宅業界でも知られていることから,商標法第3条第2項の要件をも満たすものである。

したがって,本件商標は,住宅業界において,商標権者を指称する語として十分に機能しており,十分に自他役務の識別力を有するものであるから,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本件商標は,前記1のとおり,「2.5世帯」の文字よりなるところ,その構成は,「2.5」の数字と,「住居および生計を共にする者の集団。住居・生計を同じくしている者の集団。親族以外の者が含まれている場合や,一人の場合もある。」(広辞苑第六版)を意味味する語である「世帯」の語との組合せからなるものである。

そして,「2.5世帯」の文字は,申立てに係る指定役務との関係において,「近時の家族構成の多様化に対応して,「2世帯を構成する家族に成人の単身家族を加えた世帯」であることをいうものとして一般的に使用され,また,そのような家族構成向けの住宅が「2.5世帯住宅」と称され,あるいは説明され,そのような住宅のリフォームが提案されている事実が存することは,前記3の取消理由のとおりである。

そうとすれば,「2.5世帯」の文字からなる本件商標を,その指定役務中,申立てに係る指定役務に使用した場合,一つの住宅内において,2世帯に成人の単身を加えた家族向けの住宅に関する役務の提供であることを表すにすぎず,本件商標は,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。

したがって,本件商標は,申立てに係る指定役務について,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標権者の主張について

ア 商標権者は,商標法第3条第1項第3号の判断時期が登録査定時であるから,異議申立において提出された各証拠資料の2012年12月13日(決定注:「3日」の誤記と認める。)以降の資料は,証拠能力がなく,また,「1.5世帯」の証拠も直接関係のないものである旨主張する。

商標法第3条第1項第3号は,指定商品の品質,用途を表すものとして取引者,需要者に認識される表示態様の商標につき,そのことゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって,同号を適用する時点において,当該表示態様が,商品の品質,用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである。」旨,判示されている(東京高裁平成13年(行ケ)第207号)。

そこで,申立人が提出した各甲号証をみると,甲第12号証は,「少子化時代の結婚観に関する研究」(2001年度(2002年)公益財団法人ハイライク研究所)とする報告書であり,その33頁には,「実家のリニューアル」の項に,「パラサイトシングルの増加や母娘市場の増加に伴い、実家を出るのではなく、実家を活用する方向へ。新規に住宅を購入するよりは、1.5世帯的な住空間をリニューアル。また,1.5世帯向け家電や食品の登場等。」の記載,甲第5号証は,「One+deuxワン・プラス・デュー」と題する冊子であり,その38頁には,「積水ハウスが考えるライフステージmap ver.2005」及び「積水ハウスでは,新商品の開発にあたって,つねに日本人の生活文化について,研究を続けています。」の記載があり,「日本人のライフステージmap」において,「アダルトファミリー『1.5世帯(仮称)』とは?『2世帯家族』(夫婦とその親からなる)でもなく,『核家族』(夫婦とその若い子からなる)でもない,大人として独立した子とその親からなる家族を指す言葉として定義。」の記載がある。

また,甲第6号証−1は,「住宅 VOL.56,2007」(平成19年1月20日社団法人日本住宅協会発行)であり,その21頁には,「◆新しい家族の模索」の項目の下,「形式的には,夫婦と子供という核家族でありながら,実態的には『1世帯』と呼ぶには少し戸惑いがあり,かといって『2世帯』ではないこの家族形態を仮に中間的な『1.5世帯』と名付け,その家族が幸せを育む住宅を『1.5世帯住宅』としてその住まい方,暮らし方を模索するに至った。1.5世帯住宅におけるライフスタイルとは,シングル女性(男性)が実家に土地に家を建てて両親と暮らすという住まいを核とした新しい家族のあり方,生き方の器である。」の記載がある。

さらに,甲第8号証−1は,平成11年5月26日付けの株式会社大京の広報であり,「■21世紀の新しいマンションライフを提供」の表題の下,その1頁には,「『1.5世帯住宅』・『ワインセラー』・『露天風お風呂』・『図書室』・『防音室』・『SOHO対応住宅』などの各種住戸を企画提案いたしました。」の記載,該6頁には,「1.5世帯住宅/・・・2カ所の玄関と、それぞれにトイレ・キッチンを装備し、独立性を持たせた間取りで2世帯の同居を可能にします。」の記載がある。

そして,2012年11月31日付けの株式会社アート・ボックスのウェブサイト(甲4)には,「2.5世帯同居」との表題の下,新たな同居形態として「2.5世帯」が紹介され,2012年10月18日付けの株式会社アイシェアのプレスリリース(甲27−1)には,「話題の2.5世帯住宅に・・・」の見出しの下,「2.5世帯住宅」についての調査をし,そのアンケート結果を公開した内容といえるから,需要者に対する「2.5世帯住宅」に関するアンケートの調査依頼は,該プレスリリース前といえる。

また,登録査定日から約1か月後の2013年1月10日付けの喜多ハウジング株式会社のウェブサイトのプレスリリース(甲21−3)には,「2.5世帯」に関する説明がされ,それと同様の内容が,「SankeiBiz」のウェブサイト(甲21−4),「朝日新聞/DIGITAL」のウェブサイト(甲21−5),「suumo ジャーナル」のウェブサイト(甲21−6)に掲載されている。

以上からすると,申立てに係る指定役務を取り扱う業界において,2002年頃から,「1.5世帯住宅」の語が使用され始め,「1.5世帯」のための住宅の提案や考え方があったものといえ,「1.5世帯」及び「1.5世帯住宅」の語は,「世帯に成人の単身を加えた家族」及び「世帯に成人の単身を加えた家族向けの住宅」程の意味合いを表示するものとして認識されている実情がある。

そして,本件商標の登録査定時において,「2.5世帯」及び「2.5世帯住宅」の語は,申立てに係る指定役務を取り扱う業界において,すでに使用されている(甲4及び甲27−1)。

そうとすれば,「2.5世帯」の語は,1.5世帯(世帯に成人の単身を加えた家族)と同様の認識ができるものといい得るものであって,該語からは,「2世帯に成人の単身を加えた家族」程の意味合いを認識されるものであり,その後,取消理由に示すとおり,複数の事業者により,前記意味合いにおいて使用されている実情がある。

したがって,本件商標は,その登録査定時において,「一つの住宅内において,2世帯に成人の単身を加えた家族」程の意味合いを無理なく認識させるものといえるから,商標権者の該主張は,採用できない。

イ 商標権者は,「2.5世帯住宅」に関する新聞記事等を挙げ,本件商標は,広告等で訴求活動を行った結果,広く住宅業界でも知られている旨主張する。

しかしながら,商標権者の提出にかかる乙第4号証ないし乙第40号証には,「2.5世帯住宅」の文字が,「親と子の二世帯に加えて,単身の兄弟姉妹も共同で暮らせる住宅」(乙4の1)及び「親世帯と子世帯と単身の兄弟姉妹が暮らす」(乙29)等の説明文とともに表示され,また,「ヘーベルハウス」や「旭化成ホームズ」とともに使用されているといえ,該住宅の販売開始の時期は,2012年8月11日であり,本件商標の登録査定時のわずか4か月前にすぎないものであるから,これらの事実をもって,「2.5世帯」の文字からなる本件商標が,商標権者が提案する集居スタイルを表すものとして取引者,需要者に広く認識されているとまではいうことができない。

したがって,本件商標が使用された結果,需要者が商標権者の業務に係る役務であると認識されるとはいえないから,商標権者の主張は採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,その指定役務中,申立てに係る指定役務については,商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであって,かつ,本件商標が,使用された結果,需要者が商標権者の業務に係る役務であることを認識される旨の商標権者の主張も上記のとおり採用することができないから,商標法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものとする。

よって,結論のとおり決定する。

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