Trademark Appeal Case
標語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−9798(T2013−9798/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「日本がんばろう」の文字を標準文字で表してなり、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、平成24年8月8日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『日本がんばろう』の文字を標準文字で表してなるところ、『日本がんばろう』とは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復興支援を目的とした取り組みに際して、標語として多く用いられているとともに、復興支援に関連した商品の販売やサービスの提供、キャンペーン活動等においてもしばしば用いられているから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、復興支援を目的とした標語を表したものと理解するにとどまり、需要者をして何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成25年11月7日付けで通知した審尋の内容は、要旨次のとおりである。
本願商標は、「日本がんばろう」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字構成に照らせば、全体として、「日本に係ることについて忍耐して努力する意思や決意を表す句」であると容易に理解されるものである。
また、困難な状況にある人々を応援するため、「日本」の文字と「がんばろう」の文字とを結合させた語が、例えば別掲の(1)ないし(10)のように、本願の指定商品を取り扱う業界を始め、様々な商品又は役務を取り扱う業界において、広く使用されている実情が認められる。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、困難な状況にある人々を応援する等の趣旨を込めたその商品の販売促進を図るための一種のキャッチフレーズ又は標語を表したものと看取、認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものというべきである。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、平成25年12月18日受付の回答書において、要旨以下のように述べている。
(1)本願商標と同様の意味内容を示す句からなる商標として、公益財団法人日本オリンピック委員会が所有する商標「がんばれ!ニッポン!」(商標登録第4470504号等)が存在し、それが著名なものとして広く需要者、取引者に認識されていることから、本願商標と同様の意味内容を示す句は、商標たり得るという認識が需要者、取引者には形成されている。
また、キャッチフレーズ又は標語という観点から見ると、「がんばれ」と「がんばろう」、「ニッポン」と「日本」の相違や、語順の相違などは、意味内容に影響を与えないことから、一般需要者等は、商標「がんばれ!ニッポン!」から類推して、「日本がんばれ」「がんばろう日本」「日本がんばろう」といった言葉も商標たり得ると認識すると解するのが素直である。
(2)審尋において示された別掲(1)ないし(10)の事例のうち、「日本がんばろう」についての例は、(6)及び(7)のみであって、(6)はカレンダーの案の名称、(7)は演奏会の名称として識別力がある語句であり、キャッチフレーズ又は標語ということはできないから、「日本がんばろう」の文字がキャッチフレーズ又は標語として使用されている証拠は提示されていないとみなすのが相当である。
また、本願の指定商品と同一又は類似の商品に使用されているのは、別掲(4)及び(9)であるが、いずれも本願商標と語順の異なる「がんばろう日本」の事例であり、(4)は白神山地を水源とする水の名称であるからキャッチフレーズ又は標語ではなく、(9)のみが、本願の指定商品に係る商品に対してキャッチフレーズとして使用されているものである。(9)の一例をもって、本願の指定商品を取り扱う業界において、キャッチフレーズ又は標語として取引上普通に使用されているということはいえない。
(3)以上のことから、本願商標は、キャッチフレーズ又は標語と看取、認識されるものではなく、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「日本がんばろう」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字構成に照らせば、容易に「日本」の文字と「がんばろう」の文字とを結合してなるものと看取されるものであり、該「がんばろう」の文字は、「どこまでも忍耐して努力する。」の意味を有する「がんばる」の意思や決意を表すものとして一般に使用されているものである。
してみれば、本願商標は、「日本に係ることについて忍耐して努力する意思や決意を表す句」であると容易に理解されるというのが相当である。
また、別掲に記載した内容に照らせば、「日本」と「がんばろう」の文字とを組み合わせた句が、本願の指定商品が含まれる食品等の小売りに係る宣伝又は催事において、商品の販売促進のための標語として使用されており、加えて、東日本大震災以降、被災地支援の取組みにおける、本願の指定商品を含む様々な商品の販売や役務の提供に当たり、該句が、日本に係ることについてがんばろう、の意思や決意を表す標語として、一般に広く用いられている実情にある。
以上を総合勘案すれば、「日本」と「がんばろう」の文字とを組み合わせた「日本がんばろう」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から上記意味合いの標語を表したものと看取、理解するにとどまり、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と同様の意味内容を示す句からなる商標「がんばれ!ニッポン!」(商標登録第4470504号等)が存在していることから、一般需要者等は、「日本がんばれ」「がんばろう日本」「日本がんばろう」といった言葉も商標たり得ると認識する旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様や取引の実情等を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、商標「がんばれ!ニッポン!」は、請求人もいうように、それが著名なものとして広く需要者、取引者に認識されていることによって、識別力を有するものとして登録されたとみるのが自然であり、本願商標をこれと同列に論ずることはできない。
イ 請求人は、別掲の事例のうち、本願商標と同じ「日本がんばろう」の例は2つにとどまり、いずれもキャッチフレーズとはいえず、また、本願商標と語順が相違する「がんばろう日本」の例にしても、本願の指定商品についてキャッチフレーズとして使用されている例は1つしかないから、これをもって、本願商標が、その指定商品を取り扱う業界において、キャッチフレーズとして普通に使用されているとはいえない旨主張する。
しかしながら、別掲の事例は、「日本」の文字と「がんばろう」の文字とを組み合わせた語が、本願の指定商品を含む様々な商品又は役務を取り扱う業界において広く使用されているいくつかの例を示したにすぎないものである。また、「日本がんばろう」と「がんばろう日本」とが、これに接する取引者、需要者の判断において、相違するものとみるべき取引の実情は見当たらない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、標語の一として認識されるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であること、上記(1)のとおりである。
ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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