Trademark Appeal Case
「延命補修材」の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−11516(T2013−11516/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「延命補修材」の文字を標準文字で表してなり、第17類及び第19類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年4月19日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、審判請求と同時に提出した同25年6月19日付け手続補正書により、第17類「水道管等の配管保護用巻きつけバンド,水道管等の配管保護用粘着テープ,管の漏水などの補修用ゴム製巻きつけバンド,水硬性の接着剤が含浸される水道管等の配管用保護材,水硬性の接着剤が含浸されており、水道管等の配管に巻きつけることにより防錆、防蝕効果を高め、配管の耐久性を向上させる保護材,水硬性の接着剤が含浸されており、水漏れパイプ等に巻きつけ止水する補修材」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『延命補修材』の文字を標準文字で表してなるところ、その指定商品が水道管等の配管の補修材ないし補修にも使用される同保護材であることからすると、その構成中、後半の『補修材』の部分は、その指定商品の特性を表示したものと理解され、また、前半の『延命』の部分は、『寿命を延ばすこと』の意味を有し、さらに『寿命』には、『物の使用に耐える期間』の意味を有することが一般に知られていることからすると、『物の使用に耐える期間を延ばすこと』との意味で理解され、結局、商標全体からは『物の使用耐用期間を延ばすための補修材』程の意味合いを容易に認識させるものというべきである。そして、『延命補修』の語自体も、様々な分野において、『物の使用耐用期間を延ばすための補修』といった意味で使用されているところ、本願商標の指定商品は、いずれも水道管等の配管を補修、保護するためのものであって、正にその配管の使用耐用期間を延ばすための商品(補修材、保護材)と認められるものである。そうすると、前記意味合いを有する本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に商品の品質及び用途を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)「延命補修」の語の使用例、及び補修に係る分野における「延命」の語の使用例について
証拠調べ通知で示された「延命補修」の語の使用例は、報道記事の紹介や本願の指定商品と類似しない商品への使用例であるから、本願の指定商品又はその類似商品との関係で、商品の品質等との関連性を示す語として使用された例ではなく、また、本願商標は、外観上まとまりよく一体的に表されており、「エンメイホシュウザイ」という冗長でない称呼をごく自然によどみなく生じるものであり、構成全体を一体不可分のものと認識して商取引にあたると解されるから、本願商標を「延命」と「補修材」あるいは「延命補修」と「材」に分断して解することは妥当ではなく、「延命」の語の使用例が相当数あったとしても、その事実のみをもって本願商標を拒絶することはできない。
(2)審決例等によれば、商標の文字構成を部分的に分断することにより、一見、その商品の品質や内容の一類型と把握される可能性があるものであっても、商標全体としては、直接かつ具体的にその指定商品の品質を表示するものとはいえない商標は登録されるべきものとするのが特許庁の審査実務と解されるから、本願商標も、その指定商品の品質・内容を直接的かつ具体的に表示するものでない以上、全体をもって造語と認識され、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。
5 当審の判断
本願商標は、「延命補修材」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「延命」の語は、「寿命を延ばすこと」の意味、さらに「寿命」は「物の使用に耐える期間」の意味を有し、また、「補修」の語は、「壊れたり、傷んだりした部分を繕うこと。」の意味、「材」の語は、「原料となるもの」の意味(いずれも「大辞泉 増補・新装版」小学館)を有するものであり、いずれの語も、前記意味合いにおいて、我が国で広く一般に知られているものであるから、本願商標は、その構成全体から、「物の使用耐用期間を延ばすための補修用の材料」程の意味合いを容易に想起させるものである。
そして、本願の指定商品は、水道管等の配管の補修材ないし補修にも使用される同保護材であるところ、別掲及び原審において示した証拠のとおり、配管等の補修に係る分野においては、「延命」の語が「物の使用に耐える期間を延ばすこと」の意味で使用されている事実が多数見受けられ、さらに、「延命補修」の語についても、補修のための工事(工法)や商品に「物の使用に耐える期間を延ばすための補修」の意味で使用されている事実がある。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「物の使用耐用期間を延ばすための補修用の材料」程の意味合いを容易に看取するというのが相当であり、単に商品の品質を表示するものと認める。
また、本願商標は、「延命補修材」という標準文字からなるものであるから、その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
なお、請求人(出願人)は、「延命補修」又は「延命」の語の使用例が相当数あったとしても、本願商標は、外観上まとまりよく一体的に表され、「エンメイホシュウザイ」という冗長でない称呼をごく自然によどみなく生じるものであり、各構成文字を分断する特段の事情は何ら見いだせるものではないから、本願商標を「延命」と「補修材」あるいは「延命補修」と「材」に分断して解することは妥当ではなく、本願商標は、構成全体を一体不可分のものと認識して商取引にあたるものと解される。そして、その構成全体からなる「延命補修材」の語は、本願指定商品について、その商品の品質や効能を表示するものとして、我が国市場において一般に広く使用されている事実は皆無であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張している。
しかしながら、本願の指定商品は、水道管等の配管の補修材ないし補修にも使用される同保護材であることから、構成中の「補修材」の文字部分は、商品の一般名称又は品質を表したものと認識されるものであり、また、その前に位置する「延命」の文字部分は、「物の使用耐用期間を延ばす」の意味を有する語として一般に認識され、前記意味合いで、補修のための工事、工法や材料との関係で多数使用されているものであり、加えて、「延命補修」の語も、補修工事等の分野において使用の事実が認められるものであるところ、これらの使用例に係る分野と本願の指定商品に係る分野とは、その取引者、需要者等が互いに密接な関連性を有するというのが相当であるから、これらの実情と本願商標の構成文字の有する意味等を総合して考察すれば、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から、「物の使用耐用期間を延ばすための補修用の材料」程の意味合いを容易に看取するというのが自然であり、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
そして、たとえ、「延命補修材」の文字が、商品の品質を表すものとして実際に使用されていないとしても、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。」(東京高裁、平成12年(行ケ)76号判決)と判示されていることから、請求人の主張は採用することができない。
また、請求人は、過去の審決例(登録例)を挙げ、「延命」の語は、単独でも自他商品識別力を有すること、及び商標の構成文字を部分的に分断することにより、一見、その商品の品質や内容の一類型と把握されるものであっても、商標全体としては、直接かつ具体的にその指定商品の品質を表示するものとはいえない商標は登録されるべきであるから、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人が挙げた登録例は、いずれも本願商標とは構成を異にし、あるいは、その指定商品が本願の指定商品と相違するものであり、かつ、本件の審決時に職権により調査した取引の実情は別掲のとおりであるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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