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Trademark Appeal Case

複合商標の要部抽出と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2013−890058(T2013−890058/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5542158号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成24年7月2日に登録出願、第33類「純米酒」を指定商品として、同年11月20日に登録査定、同年12月7日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第1451800号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和50年1月30日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品とし、同56年1月30日に設定登録され、その後、3回にわたる商標権の存続期間の更新登録のほか、平成13年1月17日に指定商品を第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第1693126号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、また、登録第1693127号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなるものであり、いずれも昭和56年3月11日に登録出願、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品とし、同59年6月21日に設定登録され、その後、2回にわたる商標権の存続期間の更新登録のほか、平成17年6月1日に指定商品を第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。

以下、引用商標1ないし引用商標3を一括して、「引用商標」という場合がある。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。

(1)本件商標について

ア 本件商標は、全体から、瓶詰めされた指定商品「純米酒」の正面ラベルとして認識される縦長四角内に、版画風の橋と倉の図形を背景として、右側に縦書きの毛書体で書された「秘伝吟醸純米酒」の大きな文字(「秘伝」は少し小さい文字)を、また中央部に縦書きの毛書体で書された「まぼろしの酒」と見て取れる最も大きな文字を、さらに該「まぼろしの酒」の文字の左側に添うように縦書きの毛書体で書された「八木商店謹撰」の小さな文字を、それぞれ表すとともに、該「八木商店謹撰」の下部やや左に印影をかたどった「八木商店倉敷」の古印体風文字を3文字ずつ2行に縦書きして、配した構成である。

イ 本件商標の構成中の「秘伝」、「吟醸」及び「純米酒」の文字は、いずれも日本酒の瓶のラベルにごく一般的に表される文字であって、これらを組み合わせたとしても識別力を有しない。また、「八木商店謹撰」の「八木商店」の文字は、醸造元である登録名義人の名称(屋号)であって、「八木」は氏姓や名称(屋号)として一般にありふれたものであり、「謹撰」の文字は、「本醸造元が本純米酒を謹んで撰んだもの」を意味し、日本酒の瓶のラベルにごく一般的に表される文字であって、いずれの文字も識別力を有しない。さらに、「八木商店倉敷」の「八木商店」の文字は、上述のように醸造元である登録名義人の名称(屋号)であり、「倉敷」の文字は、登録名義人の所在地であるとともに、一般に広く知られた地名であって、いずれの文字も識別力を有しない。

ウ 本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字は、中央部に最も大きく表示されており、これらの文字中の「まぼろし」は「極めて手に入れにくいもの」を意味し、「の」は「まぼろし」と「酒」をつなぐ格助詞であり、「酒」は本指定商品「純米酒」を意味する普通名称である。

エ そうすると、本件商標は、全体から、瓶詰めされた指定商品「純米酒」の正面ラベルと認識され、本件商標の構成中の「秘伝吟醸純米酒」、「八木商店謹撰」及び印影風の「八木商店倉敷」の各文字並びに版画風の背景図形は、商標の識別標識としては機能を有しない部分といえる。そして、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字において、格助詞「の」及び指定商品の純米酒を意味する「酒」の文字も、識別標識としては機能を有しない部分といえる。

したがって、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字における「まぼろし」の文字のみが、識別力を有する部分であるとともに、特に需要者に印象づける部分である。

(2)本件商標の構成中の「まぼろし」の文字部分が分離抽出されることについて

本件商標は、「まぼろしの酒」を構成する各文字の大きさや形態が異なるだけでなく、上記「まぼろし」の「まぼろ」の文字部分が「し」によってすくわれるようにまとめられ、「まぼろし」の文字が一団となってまとまった特徴のある外観を備えるものと認められるので、この「まぼろし」の文字部分のみが取引者、需要者に強く支配的な印象を与える。

また、一般に酒瓶のラベルには、銘柄(本件登録商標の「まぼろし」部分がこれに相当する。)の文字だけが大きく目立つように表される例が圧倒的に多く、「酒」という文字は、瓶の内容物が「酒」であるため、「酒」の文字をわざわざ使わないで省略するのが実情であることからすると、本件商標をその指定商品「純米酒」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、第一に銘柄である上記「まぼろし」の文字部分に注意がひかれ、識別力がなく通常省略されることが多い「の酒」を除いた「まぼろし」の部分が独立して認識されて、取引に資されるのが一般的であると考えられる。

したがって、「まぼろし」の文字部分を「まぼろしの酒」から分離抽出して判断することが妥当である。

請求人の以上の主張は、従来、蓄積されてきた判例及び学説が示した、本件商標のような結合商標に関する類否判断の基準に完全に合致した主張である(最判昭和38年12月5日 民集17巻12号1621頁 最判平成5年9月10日 民集47巻7号5009頁参照)。

(3)引用商標について

引用商標1は、上段に明朝体の漢字一文字「幻」を、下段にこれより小さな平仮名の「まぼろし」の文字を2段横書きに配したものであり、「マボロシ」の称呼と「幻」の観念が生ずる。

引用商標2は、筆描風にデザイン化された横書き平仮名の「まぼろし」を表したものであり、「マボロシ」の称呼と「幻」の観念が生ずる。

引用商標3は、大文字のアルファベットを横書きした「MABOROSI」と表記されたものであり、「マボロシ」の称呼と「幻」の観念が生ずる。

(4)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は、上記(1)のとおり、「まぼろし」の文字が分離抽出されるものであり、引用商標は、「幻\まぼろし」、「まぼろし」又は「MABOROSI」の文字からなるものであるから、両商標は、称呼「マボロシ」及び観念「幻」が一致するものであり、両商標は類似する。

(5)併存登録例について

ところで、上記「まぼろしの酒」のような、商標「○○の酒」と商標「○○」とが共に登録されている例がある(甲第10号証ないし甲第19号証)。しかしながら、それらの登録商標は、いずれも商標を構成する各文字が一様に連なり、文字の大きさや形態に差異がなく、しかも、「○○の酒」における「○○」の文字部分のみが目立って認識されるとみるべき特段の事情が見いだせないなど理由により、全体として一つの商標として認識された結果、両商標が併存するものであると理解する。

(6)被請求人の答弁書における主張について

ア 被請求人は、本件商標の「まぼろしの酒」の文字部分は、全体として一体的に把握され認識されるとみるのが自然であって、あえて『まぼろし』の文字部分を分離観察する事情はない。」と述べている。

しかしながら、ここでは本件商標中の文字部分「まぼろしの酒」と引用商標との類似性を問題としているのであって、その文字部分が毛筆書体で表されていることや、書道ないし書法においてはごく一般的に用いられている手法で描かれているかどうかは、「強く支配的な印象を与えるものと認められる」か、「まぼろし」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されている」態様となっているかどうかとは関係がなく、被請求人の主張は、この点に関する、上記商標法における商標の概念に関する解釈と結合商標の類否判断に関する判例に反するものである。

イ 被請求人は、本件商標の「まぼろしの酒」は、「その指定商品『純米酒』との関係においては当該商品の品質を誇称表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別力を発揮し得ないことは過去の判定事件に照らしても首肯される。」と述べて、平成10年判定請求第60069号の判定の判断を引用している。

しかしながら、この主張は、被請求人が自ら本件商標「まぼろしの酒」の商標登録の有効性を否定するものである。また、判定は、商標権の効力の及ぶ範囲に関する見解にすぎず、被請求人の示す判定の見解は、被請求人が本件商標と引用商標との類否判断においては、本件商標全体として一体として認識されるべきであると主張しているのと矛盾する。

ウ 被請求人は、本件商標の「まぼろしの酒」からは「マボロシノサケ」という称呼のみが生じ、「きわめて手に入れにくい酒」なる具体的な観念を生じるのであるから、外観において顕著な差異があることに加えて、称呼及び観念においても明確に判別することができ、同一の商品「純米酒」について使用されたとしても、商品の出所についても誤認混同を生ずるおそれなない。」と主張して、登録例を挙げる。

しかしながら、請求人が主張しているのは、本件商標「まぼろしの酒」は、自他商品識別力を有する「まぼろし」と、格助詞の「の」に続いて、本件指定商品を表す「酒」からなる商標であって、被請求人がいうように全体としての語義が生じることがあるかどうかにかかわらず、判例及び学説により認められている商標の類似判断の方法により、「まぼろし」を抽出して、引用商標と対比することが取引の実情に基づく方法として承認されていると述べているものである。

なお、特許庁における上記の併存登録例の存在は、本件商標が各引用商標と類似することまで、否定するということにはなりえない。

(7)本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。

(1)本件商標から「まぼろし」の文字部分が分離抽出されることについて

請求人は、本件商標の構成中、特に「まぼろしの酒」の文字のうち、「まぼろし」の文字のみが識別力を有する部分であるとともに、この「まぼろし」のみが特に需要者に印象づける部分であると主張する。

しかしながら、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字部分は、全国的に著名な観光地である岡山県倉敷市美観地区の代表的な風景としてよく用いられる「白壁の蔵と石橋」の風景を図案化したものを背景として、毛筆書体で縦書きされたものであるところ、「まぼろしの酒」の各文字は筆運びを共通していることは明らかであるし、「ま」、「ぼ」、「ろ」及び「の」の4文字についてはおおむね同じ大きさである。

そして、大小文字の大きさを変えながら構成文字を配置し、全体として変化と調和のある書作品にすることは、書道ないし書法においてはごく一般的に用いられる手法であることに照らせば、「秘伝吟醸純米酒」や「八木商店謹撰」の各縦書き文字部分、落款と思しき「八木商店倉敷」の文字、そして版画風の風景画とあいまって、バランスよく配置・構成された「まぼろしの酒」の文字部分についてもまた、これに接する需要者・取引者においては当該「まぼろしの酒」全体として一体的に把握され認識されると見るのが自然であって、あえて「まぼろし」の文字部分のみを分離観察すべき事情はないというべきである。

(2)本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字が自他商品識別機能を有しないことについて

本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字は、全体として「きわめて手にいれにくい酒」なる意味合いを容易に認識させるものである。本件商標は、版画風の独特な背景図形と組み合わされてなり、全体としては自他商品識別力を発揮しうるものの、本件商標の各構成文字については、いずれも識別力を発揮し得ない。

(3)過去の判定事件及び登録例等について

本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字が、その指定商品「純米酒」との関係においては、該商品の品質を誇称表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別力を発揮し得ないことは、過去の判定事件に照らしても首肯される。

請求人が被請求人とされた判定事件(平成10年判定請求第60069号、乙第1号証)では、商品「清酒」に使用するイ号標章「幻の酒」は、引用商標1に係る登録第1451800号「幻\まぼろし」の商標権の効力の範囲に属しないとされたが、その理由は、「本件イ号標章中の毛筆体で中央部分に書されている『幻の酒』の文字は、商品『清酒』に使用された場合、常に一体のものとして認識されるものであって、商品の品質を誇称表示したものと理解され、自他商品の識別標識としての文字を表したものとは認識されることはないとみるのが相当である」というものである。

また、「まぼろし」(又は「幻」)の文字を共通にする商標において、その差異が、格助詞「の」と、これに続く指定商品の普通名称であっても、外観はいうまでもなく、商標全体として自然に把握される称呼や観念が相違していることを評価して、相互に類似しないと判断されるべきことは、異議事件(乙第2号証)や商標の登録例(乙第3号証ないし乙第14号証)に照らしても首肯される。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字部分は、その指定商品「純米酒」との関係においては、単に商品の品質を表示するにすぎず自他商品の識別力を発揮し得ないから、本件商標は、全体として比較して、引用商標1ないし3とは類似しない。

また、仮に上記「まぼろしの酒」の文字部分が自他商品の識別力を発揮し得るとしても、引用商標1ないし3とは、外観、称呼及び観念においても明確に判別することができるから、類似するものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものではない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり、建物と橋の風景を表したと思しき背景図形とともに、該図形の右に「秘伝」及び「吟醸純米酒」の文字を、中央に「まぼろしの酒」の文字を、さらに、その「まぼろしの酒」の文字の左に近接するように「八木商店謹撰」の文字を、それぞれ筆文字で縦書きに書したものであり、また、「八木商店謹撰」の「撰」の文字の一部に重なるように「八木商店倉敷」の文字を表した落款と思しき図形を配してなるものである。

本件商標の構成中の「秘伝吟醸純米酒」の文字部分は、「秘伝」、「酒などを、吟味した原料を用いて念入りに醸造すること。」の意味を有する「吟醸」及び「純米酒」の各文字を一連に綴ったものであり、全体として、「秘伝の吟味した原料を用いて念入りに醸造した純米酒」を意味するものと理解させ、商品の品質を表すものであるから、商品の自他識別標識としての機能を有しないものといえる。

本件商標の構成中の「八木商店謹撰」の文字は、商品の製造元を表したと看取し得る「八木商店」と「慎重に選ぶこと」の意味を有する「謹撰」とを組み合わせたものとみるのが自然であり、また、「八木商店倉敷」の文字は、本件商標の背景図形が、観光地として知られる岡山県倉敷市の美観地区の風景を表したものと認識し得る図形であることもあいまって、「倉敷市に存する八木商店」程の意味合いを看取させるものである。

ところで、本件商標の構成中、「まぼろしの酒」の文字については、「まぼろし(幻)の酒」の語が、指定商品を取り扱う業界において、例えば、別掲(5)に示すとおり、「極めて手に入れにくい酒」を意味するものとして広く使用されている実情が認められるものである。そうすると、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字部分は、その文字全体をもって、まとまりあるものとして看取、理解されるものというのが相当であり、また、本件の指定商品との関係において、商品の出所識別標識としての機能を有しないものといえる。

してみれば、本件商標は、背景図形と各文字部分とがまとまりよく一体的に表された構成よりなるものであり、その全体をもって取引者、需要者に看取、認識されるものとみるのが相当であり、本件商標の構成中の「まぼろし」の文字部分が独立して商品の自他識別標識として認識され、取引に資されるとみるべき特段の事情は見いだし得ないものである。

イ 引用商標について

引用商標1は、別掲(2)のとおり、「幻」の漢字とその下方に振り仮名のごとく小さく表された「まぼろし」の平仮名を配してなるものであるところ、その構成文字に相応して、「マボロシ」の称呼を生ずるものであり、また、「実在しないのにその姿が実在するように見えるもの。」の観念が生ずるものである。

引用商標2は、別掲(3)のとおり、「まぼろし」の平仮名を横書きしてなり、また、引用商標3は、別掲(4)のとおり、「MABOROSI」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、各構成文字に相応して、「マボロシ」の称呼及び「実在しないのにその姿が実在するように見えるもの。」の観念が生ずるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とは、上記のとおりの構成からなるものであって、明らかに相違するものであるから、外観において判然と区別し得るものである。

また、本件商標は、上記アにおいて述べたとおり、その構成全体がまとまりのある一体的なものとして看取、認識されるものであって、その構成中の「まぼろし」の文字部分が分離、抽出されるものとはいえず、これに相応する称呼及び観念を生ずるものではないから、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において、相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはなく、ほかに、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の事情は見当たらない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)請求人の主張について

請求人は、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字について、「の酒」の文字は、識別標識としての機能を有しない部分であるから、「まぼろし」の文字のみが識別力を有する部分であり、また、「まぼろし」の文字部分は、「まぼろ」の文字部分が「し」によってすくわれるように表され、「まぼろし」の文字がまとまった特徴のある外観を備えるものであるから、該「まぼろし」の文字部分のみが取引者、需要者に強く支配的な印象を与える旨主張する。

しかしながら、本件商標の構成中の「まぼろしの酒」の文字部分は、指定商品を取り扱う業界における取引の実情を踏まえれば、「極めて手に入れにくい酒」の意味合いをもって広く使用されているものであるから、これに接する取引者、需要者は、その文字全体をもって、上記意味合いを表す語として認識するというのが相当であり、また、その態様に照らしてみても、殊更「まぼろし」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものであるとみるべき特段の事情は見当たらないこと、上記(1)アのとおりである。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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