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Trademark Appeal Case

称呼類似:一音相違と音の吸収

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900376(T2013−900376/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5603674号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5603674号商標(以下「本件商標」という。)は、「PG−EX」の文字を標準文字で表してなり、平成24年3月22日に登録出願、その後、拒絶査定不服審判を経て、第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,アルコールを含有しないビール風味の清涼飲料,乳清飲料」を指定商品として、平成25年7月2日に登録審決、同年8月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4922473商標(以下「引用商標」という。)は、「PGX」の文字を標準文字で表してなり、2004年10月28日に中華人民共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成17年4月14日に登録出願、第29類「ビタミン・ミネラル・野菜エキス・果実エキス・薬草エキス・水産物エキス・肉エキス・酵素・食用花粉・その他の栄養成分を含有する粉状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状の加工食品,食物繊維を含有する粉状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状の加工食品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」を指定商品として、平成18年1月20日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第66号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標とを対比するに、指定商品については、引用商標の「ビタミン・ミネラル・野菜エキス・果実エキス・薬草エキス・水産物エキス・肉エキス・酵素・食用花粉・その他の栄養成分を含有する粉状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状の加工食品、食物繊維を含有する粉状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状の加工食品」は、本件商標の「サプリメント」と同一類似群に該当するものであり、相互に同一又は類似の商品である。

商標については、引用商標は「ピイジイエックス」の称呼を備えるのに対し、本件商標は「ピイジイイーエックス」の称呼を備え、引用商標の「ピイジイ」と「エックス」の間に「イー」の一音がある点でのみ相違する。

しかしながら、引用商標において、上記相違する「イー」の一音は、その前の「ピイジイ」の語尾の「イ」の音に吸収されて発音される傾向にある音である。

すなわち、本件商標は引用商標との関係で一音相違の商標であり、しかも、相違する一音である「イー」の音がその前の同音「イ」に吸収されやすい商標であるから、称呼上相紛らわしく、同一または類似の商標である。

したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

「PGX」は、申立人であるカナダ国アルバータ州カルガリーに所在のイノボバイオロジック インコーポレイテッド(InovoBiologic Inc.)によって発明された天然の多糖類(繊維)複合体(「ポリグリコプレックス、PolyGlycopleX」とも呼ばれている。以下「ポリグリコプレックス」という。)を意味するものとして知られている(甲6)。

そして、このポリグリコプレックスは、例えば、食後血糖値のコントロール、脂肪蓄積に関わるインスリン感受性の向上、血中コレステロールの低下、無理のない食欲の低下、代謝のバランスを整え、効率的な脂肪燃焼)のような効能を有することが知られている(甲19)。さらに、ポリグリコプレックスは、副作用がなく、安全性に優れることが各国の研究により検証されている(甲6)。

そのため、ポリグリコプレックスを有効成分とする数種類のサプリメントが「PGX」の商標(別掲:以下「使用商標」という。)の下に既に大々的に市販されており、「PGX」と言えば、申立人の業務に係るポリグリコプレックスに関係する商品及び役務を示すものと認識されるに至っている。

申立人は、2000年初頭からポリグリコプレックスの研究を行い、それを含有したサプリメントは2004〜2008年には5800万錠販売され、その間のクレーム率が0.0003以下であり、その後も同様のクレーム率で2012年までには数億万錠の販売が行われていることが報告されている。

また、日本においても、申立人の使用商標は、2004年頃から使用が開始され、本件商標出願日(平成24(2012)年3月22日)に至るまで大規模に継続的に使用されて現在に至る。

申立人の使用商標を冠したサプリメントは、主として、ナチュラルファクタース(Natural Factors)、ウェッバーナチュラルス(Webber Naturals)及びバイオクリニックナチュラルス(Bioclinic Naturals)という3つの販売ルートを通じて米国及びカナダ国で販売されている。

使用商標を付したサプリメントは、甲第8号証〜甲第12号証に示されるように、米国及びカナダ国にとどまらず、インターネットを通じて、日本及びアジア各国でも入手できる。

使用商標を元に販売されているサプリメントの宣伝広告は、雑誌、インターネットウェブサイト等で大々的に行われている。

商標「PGX」は、世界各国で申立人の商標権として登録され、その著名性を維持するように、申立人により一元的に管理されている(甲47〜甲66)。

以上を総合すると、申立人の使用商標及び引用商標は、我が国を含む世界的に著名であることは十分証明されているものと思料する。

一方、本件商標「PG−EX」は、上記1で述べたとおり、申立人の引用商標「PGX」とは一音相違の商標であり、しかも、相違する一音である「イー」の音がその前の同音「イ」に吸収されやすい商標であるから、申立人の業務に係るものと消費者が誤認混同を起こすことは明らかであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、「PG−EX」の欧文字及び記号よりなるものであるところ、これは、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって表されているものであって、視覚上、まとまりよく一体的に把握できるものである。

そして、本件商標は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、これよりは、「ピイジイイイエックス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。

他方、引用商標は、「PGX」の欧文字よりなるものであるところ、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって表されているものであり、視覚上、一体的に把握できるものである。

そして、引用商標は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、これよりは、「ピイジイエックス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。

そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標は、構成上「−E」の記号及び文字の有無に差異があることから、両商標は、外観上、明確に区別できるものである。

また、称呼においては、本件商標から生ずる「ピイジイイイエックス」の称呼は、ハイフンを介した「PG」と「EX」の文字を、連続することなく一拍置いて、「ピイジイ」と「イイエックス」の音として、明瞭に称呼するとみるのが相当である。

他方、引用商標から生ずる「ピイジイエックス」の称呼も、その構成が欧文字三文字という構成よりすれば、一音ずつ明瞭に称呼されるというべきものである。

そうとすれば、本件商標から生ずる「ピイジイイイエックス」の称呼と、引用商標から生ずる「ピイジイエックス」の称呼とは、それぞれが、明瞭に称呼されることから、これらを一連に称呼した場合、語調、語感が相違し、両商標は、称呼上、互いに聞き誤ることがないものである。

さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、特定の観念を生じないものであるから比較することができず、両商標は、観念上、類似するとはいえないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の著名性について

申立人が提出した証拠によれば、申立人の使用商標を付した商品「サプリメント」は、我が国で2010年1月22日に、インターネットのウェブサイト上で紹介されていることが確認でき(甲7)、その後も、複数のウェブサイト上で同商品が紹介され、販売されてきたことが確認できるものである(甲13〜甲29。ただし、これらは、その掲載日を確認できない。)。

しかしながら、これらの証拠によっては、使用商標を付したサプリメントが、我が国で、どの程度販売され、その販売額がどの位であったか等を確認することができないものである。また、使用商標を付したサプリメントについて、申立人がどのような宣伝広告を行ってきたかも不明である。

したがって、提出された証拠からは、使用商標を付した商品「サプリメント」が我が国で取引されたことは認められるものの、使用商標の周知性の程度を推測することはできないといわざるを得ない。

なお、甲第6号証、甲第8号証ないし甲第12号証は、英文による情報やインターネットの記事であることから、これらが我が国の一般の需要者向けに宣伝広告されていたということはできないものであり、ここにおける、ナチュラルファクタース(Natural Factors)(甲9)、ウェッバーナチュラルス(Webber Naturals)(甲10)及びバイオクリニックナチュラルス(Bioclinic Naturals)(甲11)と申立人との関係も判然としない。また、甲第30号証(枝番を含む。)のインボイスは、これが申立人により、我が国の取引者、需要者に宛てたものであることは確認できず、さらに、甲第31号証ないし甲第46号証については、外国語による雑誌及びインターネット情報のものであるから、我が国の一般需要者に向けた宣伝広告ということができないものである。

その余の各甲号証によっても、我が国における使用商標及び引用商標の周知性を立証したものと認めることはできないものである。

してみれば、使用商標の「PGX」の文字部分が共通の申立人の引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されて著名になっていたと認めることができないものである。

(2)出所の混同のおそれについて

本件商標と引用商標とは、上記1のとおり、互いに類似しない別異の商標であって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国で周知性を獲得していたということはできないから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しないものであるから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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