sokuhyo

Trademark Appeal Case

「MONSTER」商標の類否と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900118(T2013−900118/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5552633号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5552633号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成24年7月4日に登録出願、第5類「歯科用材料,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」を指定商品として、同年12月13日に登録査定、同25年1月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

1 引用商標1及び2

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、次の2件の登録商標を引用している。

(1)登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年7月8日に登録出願、第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同年12月24日に設定登録されたものである。

(2)登録第5527566号商標(以下「引用商標2」という。)は、「MONSTER DETOX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年5月10日に登録出願、第5類「液状の栄養補給剤,その他の栄養補給剤,その他の薬剤,サプリメント」、第30類「缶・びん・ペットボトル・紙容器入りの茶・アイスティー・茶飲料,缶・びん・ペットボトル・紙容器入りの香りづけした茶・アイスティー・茶飲料」及び第32類「ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸・ハーブを加味したエネルギー補給用清涼飲料,茶で香りづけしたエネルギー補給用清涼飲料,ジュースで香りづけしたエネルギー補給用清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸・ハーブを加味したスポーツ用清涼飲料」を指定商品として、同年10月12日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、「引用両商標」という。

2 その他の引用商標

申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号に該当するとして、引用両商標のほか次の31件の商標を引用している。

登録第5393681号商標、登録第5057229号商標、登録第5010968号商標、登録第5394526号商標、登録第5442171号商標、登録第5417815号商標、登録第5476620号商標、登録第5490798号商標、登録第5497766号商標、登録第5451361号商標、登録第5480373号商標、登録第5527567号商標、登録第5495941号商標、登録第5417769号商標、登録第5417770号商標、登録第5375090号商標、登録第5327467号商標、登録第5409580号商標、登録第5409582号商標、登録第5419507号商標、登録第5409583号商標、登録第5542584号商標、登録第5043703号商標、登録第5431412号商標、登録第5562023号商標、登録第5423080号商標、商願2013−504号商標(登録第5630446号)、登録第5389881号商標、登録第5590215号商標、国際登録第1048069号商標及び商願2012−89483号商標を引用している。

以下、申立人が引用する33件の商標をまとめていうときは、「引用各商標」という。

なお、引用各商標の構成・態様は、これらの願書に記載のとおりであり、引用各商標の登録出願日、指定商品、設定登録日は、商標登録原簿に記載のとおりである。また、引用各商標は、拒絶査定に対する審判に係属中の商願2012−89483号を除き、いずれも現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって、その登録を取り消されるべきであると申立て、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第291号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER」ファミリー商標の著名性

申立人の「MONSTER ENERGY」商標及び「MONSTER」ファミリー商標は、本件商標の登録出願日の遙か以前より、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして、本国米国をはじめとする多くの外国で広く認識されていただけにとどまらず、本件商標の登録出願時及び査定時には、日本国内における需要者においても、申立人のエナジードリンクを表示するものとして広く認識されていた。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用両商標の称呼、外観及び観念が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、本件指定商品の通常の需要者の注意力の程度がさほど高いものとはいえないこと等の取引実情も斟酌すれば、本件商標と引用両商標が同一又は類似の商品に使用された場合にはその出所について誤認混同を生ずるおそれが高い類似のものである。

本件商標の指定商品は、商標法施行令による商品及び役務の区分に照らし引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。また、本件商標の指定商品は、引用両商標の指定商品と実質的に同質のものとして理解される類似の商品を含むものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、「MONSTER ENERGY」をはじめ、「MONSTER」と他の語を結合した多数の異なる合成語をエナジードリンクの個別商品名として実際に使用し、これらは「MONSTER」の文字を共通にする「MONSTER」ファミリー商標を形成している。本件商標は、申立人の「MONSTER」ファミリー商標と同様にその構成中に「MONSTER」の文字を顕著に包含する。

本件商標が指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号について

申立人の「MONSTER」ファミリー商標は、本件商標の登録出願時には、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして日本国内及び外国で需要者の間で広く認識されていた商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その登録出願時には、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして日本国内及び米国等の外国で広く認識されていた「MONSTER ENERGY」ブランドの「MONSTER」ファミリー商標と類似するものであり、また、「MONSTER」と他の文字を結合させた構成を有する点でこれらのファミリー商標と一致する。

本件商標は、申立人の取り扱いに係るエナジードリンクと類似する第5類「サプリメント、食餌療法用飲料、食餌療法用食品、乳幼児用飲料、乳幼児用食品」を指定商品に含むものであるから、「MONSTER ENERGY」ブランドの周知性及び顧客吸引力にフリーライドする意図をもって採択されたものといわざるを得ない。

このような本件商標の登録出願の経緯には著しく社会的妥当性を欠くものがあり、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反することが明らかであるから、公序良俗を害するおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

2 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって、その登録を取り消されるべきである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号の該当性について

申立人が商標法第4条第1項第11号に該当すると主張する登録商標は、引用商標1と引用商標2である。

(1)本件商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり、「モンスターデラックス」、「MONSTER」及び「DX」の片仮名及び欧文字を三段に表した構成からなるところ、「MONSTER」及び「DX」の欧文字は、二段書きされているとしても、同じ書体でまとまりよく表されており、また、上段の「モンスターデラックス」の片仮名は、欧文字部分の読みを特定したものと認識し得るものであり、片仮名部分から生じる「モンスターデラックス」の称呼も格別冗長なものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

そうとすれば、本件商標は、「モンスターデラックス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない一体不可分の商標として認識されるものとみるのが自然である。

(2)引用商標について

引用商標1は、「MONSTER」の欧文字よりなるから、「モンスター」の称呼を生じ、「(想像上の)怪物,化け物」程の観念を生じるものである。

また、引用商標2は、「MONSTER DETOX」の欧文字よりなるところ、「MONSTER」と「DETOX」の間に1文字程度の間隔を有しているとしても、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表され、該文字全体から生じる「モンスターデトックス」の称呼も格別冗長なものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

そうとすれば、引用商標2は、「モンスターデトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

ア 本件商標と引用商標1は、それぞれ全体の構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。

次に、本件商標から生じる「モンスターデラックス」の称呼と、引用商標1から生じる「モンスター」の称呼とを対比すると、構成音数が10音と5音であって、相違する「デラックス」の音の有無に明らかな差異を有するものであるから、明確に聴別できるものである。

さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「(想像上の)怪物,化け物」程の観念を生じる引用商標1とは、観念においても相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても何ら相紛れるおそれのない非類似の商標として認識し把握されるものである。

イ 本件商標と引用商標2は、それぞれ全体の構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。

次に、本件商標から生じる「モンスターデラックス」の称呼と、引用商標2から生じる「モンスターデトックス」の称呼とを対比すると、両者は第7音において、「ラ」の音と「ト」の音に差異を有するところ、この差異音は、「舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音(r)と、母音(a)との結合した音節」である「ラ」の音と「舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させる無声子音(t)と母音(o)との結合した音節。」である「ト」の音の顕著な差異音であることに加え、いずれも促音を伴って強く発音されやすい音であるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が著しく相違し、容易に聴別することができるものである。

さらに、本件商標と引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても何ら相紛れるおそれのない非類似の商標として認識し把握されるものである。

ウ したがって、本件商標は、その指定商品について類似するものがあるとしても、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

2 商標法第4条第1項第15号の該当性について

申立人は、本件登録異議の申立ての理由において、33件の引用各商標をもって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張するが、商標法第4条第1項第15号は、いわゆる著名商標を保護するための規定であって、その保護の対象となる商標は、登録の有無に関わらず使用によって著名となっている商標に限られるものと解される。

そこで、引用各商標の使用状況をみると、申立人が提出した証拠によれば、申立人は、別掲(2)のとおりの構成からなる登録第5057229号及び国際登録第1048069号と同じ構成態様の商標を申立人の業務に係る「エネルギー補給・スポーツ用飲料」の缶に表示し使用していることが認められる。以下、申立人が使用している商標を「使用商標」という。

(1)使用商標の著名性について

使用商標を付した「エネルギー補給・スポーツ用飲料」は、2002年に米国で販売が開始され、2010年度時点で、米国をはじめ、北米、南米、欧州など57カ国で販売されていることが認められる(甲41)

しかしながら、使用商標を付した「エネルギー補給・スポーツ用飲料」の我が国における販売開始は、2012年5月8日であり(甲40及び甲41)、当該発売日から本件商標の登録出願時までは2か月ほどしか経過していないものである。

そして、申立人は、使用商標を付した「エネルギー補給・スポーツ用飲料」は、発売開始後、2012年9月に100万箱を突破し、同年に157万箱売上げを記録した旨主張するが、申立人からは本件商標の登録出願時における証拠の提出はなく、少なくとも使用商標が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。

また、使用商標以外の引用商標が使用され、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたことを立証する証左は見あたらない。

したがって、引用各商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。

(2)本件商標と使用商標との類似性について

本件商標は、上記1(1)のとおり、一体不可分の商標として認識されるものであるから、「モンスターデラックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

一方、使用商標は、別掲(2)のとおり、爪痕のような図形を表し、その下に「MONSTER」及び「ENERGY」の欧文字を二段書きした構成からなるところ、その文字部分から、「モンスターエナジー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

そこで、本件商標と使用商標を比較すると、両商標は、それぞれ全体の構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。

次に、本件商標から生じる「モンスターデラックス」の称呼と、使用商標から生じる「モンスターエナジー」の称呼とを対比すると、両者は、構成音数が異なるばかりでなく、語尾の「デラックス」と「エナジー」の音の差異という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が著しく相違し、容易に区別することができるものである。

また、本件商標と使用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。

したがって、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。

(3)出所の混同について

上記(1)及び(2)のとおり、引用各商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであり、また、本件商標は、使用商標とは相紛れるおそれないの非類似の商標である。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用各商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

3 商標法第4条第1項第19号の該当性について

申立人は、申立人の「MONSTER」ファミリー商標は、本件商標の登録出願時には、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして日本国内及び外国で需要者の間で広く認識されていたものである旨主張するが、引用各商標は、上記2(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。

また、引用各商標の外国における使用状況をみると、使用商標を付した「エネルギー補給・スポーツ用飲料」が2002年に米国で販売が開始され、少なくとも米国においては相当程度知られていることが推認し得るものの、使用商標以外の引用商標がその需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。

そして、上記2(2)のとおり、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。

加えて、商標権者が不正の目的をもって本件商標の使用をする意思があることを認め得る証拠の提出はない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。

4 商標法第4条第1項第7号の該当性について

本件商標は、上記2(3)のとおり、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用各商標を連想又は想起するようなことはないものである。

そうとすれば、本件商標は引用各商標の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものとはいえないばかりでなく、本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳観念に反し、公正な取引秩序を乱すものとはいえないし、国際信義に反するものともいえない。

もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。

したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。