Trademark Appeal Case
パッシブアパートの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−19476(T2013−19476/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「パッシブアパート」の文字を標準文字で表してなり、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成24年12月18日に登録出願され、その後、指定役務については、当審における平成25年10月7日受付けの手続補正書により第42類「自然換気システムを活用した建築物の設計,自然換気システムを活用した建築物のリフォーム設計,自然換気システムを活用した建築物の設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,測量,自然換気システムを活用した建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,デザインの考案,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,地質の調査」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は『受け身の』等を意味する『パッシブ』の語とアパートメントハウスの略語の『アパート』を結合させ『パッシブアパート』と標準文字で表したものと認められる。そして、『パッシブ』の語は、建築分野においては、『機械の力に頼ることなく自然のエネルギーを利用すること』の意味合いで、例えば『パッシブハウス』(機械の力に頼ることなく自然のエネルギーを利用して快適な室温を維持できる家)や『パッシブデザイン』(建築の設計手法の一。特別な機械装置を使わずに、建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れを制御し、快適な室内環境をつくりだす手法)のように使用されている。してみると、本願商標は全体として、『特別な機械装置を使わずに建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れが制御された快適な室内環境のアパート』の意味合いを認識させるから、これをその指定役務中、『特別な機械装置を使わずに建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れが制御されたアパートの設計,特別な機械装置を使わずに建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れが制御されたアパートの設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,特別な機械装置を使わずに建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れが制御されたアパートに関する研究,特別な機械装置を使わずに建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れが制御されたアパートに関するデザインの考案』に使用しても、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「パッシブアパート」の片仮名よりなるところ、その構成中の「パッシブ」の文字は、「受身のさま、受動的、受身」(「広辞苑第六版」岩波書店)の意味を有し、また、「アパート」の文字は、「アパートメントハウス」の略語として一般によく知られているものである。
ところで、本願の指定役務を取り扱う建築関連の業界においては、太陽の光や熱、雨、地中の熱、風などの自然のエネルギーを「パッシブエネルギー」と呼んでいる場合があり、この自然のエネルギーを利用した省エネルギーを実現する建築物を「パッシブハウス」、あるいは「パッシブ住宅」と呼んで、この種の建築物にこれらの文字が普通に使用されているところである。
そして、上記した「パッシブエネルギー」、「パッシブハウス」及び「パッシブ住宅」の文字の使用については、別掲のインターネット情報から窺い知ることができる。
そうすると、本願商標の構成中、「パッシブ」の文字部分は、「パッシブエネルギー」の意味合いを想起させるものとして看取されるものといえる。
以上のことからすると、本願商標は、該「パッシブ」の文字と「アパート」の文字からなることが容易に理解され、上記した「パッシブハウス」あるいは「パッシブ住宅」と同様に、「パッシブエネルギーを利用した省エネルギーを実現するアパートメントハウス」程の意味合いの建築物として理解、認識されるものというのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定役務中、例えば、「自然換気システムを活用した建築物の設計,自然換気システムを活用した建築物のリフォーム設計,自然換気システムを活用した建築物の設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,自然換気システムを活用した建築又は都市計画に関する研究,デザインの考案」について使用しても、上記役務の対象となる建築物が、「パッシブエネルギーを利用した省エネルギーを実現するアパートメントハウス」であることを表すものとして理解されるものであるから、その役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「本願商標の指定役務を取り扱う業界において、『パッシブアパート』の文字が、役務の質、内容等を表示するものとして、取引上普通に採択、使用されている事実がないので、本願商標は、取引者、需要者をして、役務の質、内容等を、直接的かつ具体的に表示したものと理解されるとはいい難く、構成全体をもって一体不可分の一種の造語として認識されるものとみるのが相当である」旨を主張している。
しかしながら、「パッシブアパート」の文字が、取引上普通に使用されていないとしても、上記(1)のとおり、本願の指定役務を取り扱う建築関連の業界における実情を踏まえれば、本願商標を構成する「パッシブアパート」の文字は、「パッシブエネルギーを利用した省エネルギーを実現するアパートメントハウス」の意味合いの建築物として、理解、認識させるものというのが相当である。
そして、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の役務の質の表示に該当するというためには、取引者、需要者が役務の質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるのであって、実際に役務の質を表示するものとして使用されていることまでは必ずしも必要としないものである。(平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡参照)
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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