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Trademark Appeal Case

複合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900022(T2014−900022/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5628406号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5628406号商標(以下「本件商標」という。)は,「ロジ・エース」の文字を標準文字で表してなり,平成25年5月23日に登録出願,同年10月8日に登録査定,第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険に関する助言,保険情報の提供」を指定役務として,同年11月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第3021549号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月9日に登録出願,第36類「生命保険の引受け」を指定役務とし,同法律附則第5条第3項の規定により登録第3025815号商標及び同第3026129号商標(存続期間満了により商標権抹消)と相互に重複する商標として,平成7年1月31日に設定登録され,その後,平成17年5月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第5364117号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ACE」の欧文字を標準文字で表してなり,平成22年1月22日に登録出願,第36類「災害保険契約及び責任保険契約その他の損害保険契約の締結の代理,災害保険契約及び責任保険契約その他の損害保険契約の損害の査定,災害保険契約及び責任保険契約その他の損害保険契約の引受け,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,生命保険保険料率の算出,医療保険の引受,医療保険契約の締結の媒介,医療保険保険料率の算出,海上保険の引受,海上保険契約の締結の媒介,海上保険にかかる損害の査定,個人年金保険の引受,個人年金保険契約の締結の媒介,個人年金保険料率の算出,自動車保険の引受,自動車保険契約の締結の媒介,自動車保険にかかる損害の査定,傷害保険の引受,傷害保険契約の締結の媒介,傷害保険料率の算出,生命保険情報の提供,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険に関する助言・情報の提供,旅行傷害保険契約の締結の媒介又は取次,旅行傷害保険契約にかかる損害の査定」を指定役務として,平成22年10月29日に設定登録されたものである。

上記(1)及び(2)の登録商標をまとめていうときは,以下,「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は,その構成中の「ロジ」が「物流」を意味する英単語「logistics」の略語であり,自他役務の識別力を有しない部分であるから,「エース」の文字部分より「エース」の称呼,観念が生ずる。

一方,引用商標は,その構成文字より,共に「エース」の称呼,観念が生ずる。

してみると,本件商標と引用商標は,「エース」の称呼,観念を共通にする類似の商標であり,指定役務も互いに抵触する。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は,申立人の業務に係る役務「損害保険・生命保険の引受け」等保険業務を表示するものとして,広く一般に知られているものであるから,これと類似する本件商標をその指定役務について使用するときは,役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は,前記1のとおり,「ロジ・エース」の文字を標準文字で表してなるところ,「ロジ」の文字と「エース」の文字の間に中黒が存在するとしても,同書,同大,等間隔で,構成全体として外観上まとまりよく一体的に表されているものである。

そして,本件商標から生ずる「ロジエース」の称呼も簡潔なものといえる。

また,「ロジ」の文字が,「物流」を意味する「logistics」の略語を表す場合があるとしても,保険業務を取り扱う分野において,「物流」,「運送」に関する保険を表すものとして,取引上,普通に使用されている事実は見あたらない。

してみると,本件商標は,上記のとおり,外観上及び称呼上の一体性からみて,これを「ロジ」の文字部分と「エース」の文字部分とに分離し,「エース」の文字部分のみを分離,抽出して把握,認識すべき格別の理由は見いだせない。

そうとすれば,本件商標は,構成全体をもって,一体不可分の造語を表したと理解されるとみるのが相当であって,その構成文字に相応して,「ロジエース」の一連の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

他方,引用商標1は,別掲のとおり,デザイン化した「エース」の片仮名を赤色で表し,引用商標2は,「ACE」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから,これらからは「エース」の称呼を生じ,「ACE」の欧文字は,「とてもよい,一流の,最高の」等の意味を有する親しまれた英語であって,「エース」の片仮名はその表音であるから,引用商標からは,「とてもよい,一流の,最高の」の観念を生ずるものである。

そこで,本件商標と引用商標の類否について検討するに,両商標の外観は,それぞれの構成態様に照らし,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。

そして,本件商標から生ずる「ロジエース」の称呼と,引用商標から生ずる「エース」の称呼とは,語頭における「ロジ」の音の有無の差異に加え,その構成音及び構成音数が明らかに相違するものであるから,称呼上,明確に区別できるものである。

また,本件商標は,特定の観念を生じないものであるから,引用商標と比較することができず,類似するとはいえないものである。

そうとすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)引用商標の周知性について

ア 本件商標の登録出願日(平成25年5月23日)前に発行又は掲載されたと認められる申立人提出の証拠によれば,以下のとおりである。

申立人は,1985年8月に設立された,スイス,チューリッヒを拠点に,世界53カ国でビジネスを展開する総合的な損害保険グループであって,我が国においては,グループの一つとして,申立人の100%子会社であるエース損害保険株式会社(以下「エース保険」という。)が,1996年1月に創立されたものである。

そして,「Business Report2013 エース保険の現状」の「会社概要」によれば,エース保険は,「損害保険・生命保険の引受け」等保険関連の役務を主たる業務とする会社であること,2013年3月期の「元受正味保険料(収入積立保険料を除く)」は,550億2400万円であり,正味収入保険料は,190億6800万円であること,国内に代理店が約2700店あること等が認められる(甲6及び甲7)。

また,エース保険は,2011年(平成23年)3月24日付け山梨日日新聞,2012年(平成24年)10月24日付け京都新聞,住まいの総合情報誌「福井・石川/住まいル」(2012年(平成24年)1月9日,レミット・グループ協同組合発行)に,「A」,「C」及び「E」のアルファベットをモノグラム化したもの,「エース保険」及び「エースの国内旅行損害保険」の文字を表示して広告をしたことが認められる(甲9の1,2,4)。

さらに,申立人及びエース保険は,「エース」の文字を含む「建設エース」(登録第4729955号),「マイホームエース」(登録第5009497号),「スクールエース」(登録第5083469号),「環境エース」(登録第5199281号)の登録商標を有しており(甲10の1ないし4),これらの登録商標を表示したパンフレット,インターネット上の画像,ニュースリリースが存在する(甲11の1ないし4)ものの,そのうちの「環境エース」に関するニュースリリースが2008年(平成20年)1月22日にされたものである。

しかしながら,それ以外のパンフレット,インターネット上の画像は,その作成日又は掲載日が明らかではない。

イ 前記アの事実によれば,エース保険は,申立人又は自身の業務に係る「損害保険・生命保険の引受け」等保険関連の役務を表示するものとして,「A」,「C」及び「E」のアルファベットをモノグラム化したもの,「エース保険」の文字及び「エース」の文字を含む「建設エース」等の文字を表示して広告しているものであり,また,本件商標の登録出願時においては,相当程度の売上があったものと認められる。

しかしながら,引用商標は,別掲のとおりの構成からなる「エース」の片仮名と,「ACE」の欧文字からなるものであるから,申立人の提出した上記証拠をもってしては,引用商標が,申立人又はエース保険の業務に係る「損害保険・生命保険の引受け」等保険関連の役務を表示するものとして使用され,本件商標の登録出願日(平成25年5月23日)の時点において,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人又はエース保険の業務に係る役務を表示する商標として,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができず,かつ,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であって,十分に区別し得る別異の商標というべきものであり,その他,申立人の主張及び提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標をその指定役務について使用した場合,役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせない。

そうとすれば,商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者が申立人の引用商標を想起,連想することはないというのが相当であるから,本件商標は,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。

なお,前記アのとおり,申立人及びエース保険が,「エース」の文字を含む登録商標を有しているとしても,「エース」の語は,「とてもよい,一流の,最高の」等の意味を有するよく知られた英語であり,他の語と結合した場合は,特に自他役務の識別機能が弱いものといえるばかりか,引用商標が著名性を獲得していない以上,上記登録商標の存在をもって,申立人の業務に係る役務と本件商標に係る役務との間に混同が生ずるおそれもないというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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