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Trademark Appeal Case

周知映画題号と商標の類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2013−890088(T2013−890088/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5320001号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5320001号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり,ややデザイン化した「マッドマックス」の片仮名を横書きしてなり,平成20年12月22日に登録出願,同22年3月15日に登録査定,第16類「雑誌,新聞,印刷物,写真,漫画,書籍,ムック,書画,ニューズレター,定期刊行物,小冊子」及び第41類「電子出版物の提供,インターネット又は移動体電話による通信若しくはその他の通信手段を用いて行うゲームの提供またはそれらに関する情報の提供,インターネット又は移動体電話による通信若しくはその他の通信手段による音楽の提供またはそれらに関する情報の提供,インターネット又は移動体電話による通信若しくはその他の通信手段による映像の提供またはそれらに関する情報の提供,ネットワークに対応したアプリケーションゲーム・コンピュータゲーム・インターネットゲーム・オンラインゲーム・オンデマンドゲームその他の電子計算機端末による通信を利用して行うゲームの提供,セミナーの企画・運営,映画の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真の撮影」を指定商品及び指定役務として,同年4月30日に設定登録されたものである。

第2 引用標章

請求人が,本件商標の登録の無効の理由として引用する標章は,請求人の配給に係る映画の題名「MAD MAX」及びその日本語表記「マッドマックス」である。

以下,「MAD MAX」及び「マッドマックス」をまとめて「引用標章」という。

第3 請求人の主張

請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

1 本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第10号,同第15号,同第19号及び同法第3条第1項柱書に違反して登録されたものであるから,その登録は,無効とされるべきものである。

2 請求人の引用標章について(商標法第4条第1項第10号及び同第15号)

(1)請求人とその引用標章の使用

「MAD MAX」は,監督のジョージ・ミラーと主演を務めたメル・ギブソンの1979年公開の出世作品であり,後にシリーズ化され,公開後に特に日本でブレイクした映画のタイトルであり,請求人が映画の配給について使用を継続してきた商標である(甲2)。

請求人は,映画の最初の公開以来,「MAD MAX2:THE ROADWARRIOR」(邦題:マッドマックス2),「MAD MAX Beyond THUNDERDOME」(邦題:マッドマックス/サンダードーム),「MAD MAX/FURY ROAD」(邦題:マッドマックス/フューリーロード)と,本作のシリーズ化を行い,その興行収入はいずれも好調であり,日本においてはテレビ放映もされており,2014年にはテレビゲーム「MAD MAX」のリリースを予定するなど,その商標「MAD MAX」を付した商品はいずれも世界各国で著名となり,このことは,日本においても,「MAD MAX」関連商品が多くの愛好者や顧客から高く評価され,待望されていることを示す証である。

(2)「MAD MAX」に対する高い評価の広がりとそのきっかけ

「MAD MAX」の映画は,1979年にオーストラリアにおいて制作され,請求人が配給して以来,世界各地において徐々に評価を得るようになり,自然にオーストラリアの内外での知名度が広がっていった。

公開当初においては興行成績が振るわなかったが,アメリカから始まり,そのうちに世界各地,とりわけ日本に広がって行った(甲2ないし5)。

(3)日本における周知性

日本では,ハードコアバイオレンスなどの嗜好を持つ観覧者が増え,観覧者による直接的な口コミやインターネット上のブログなど介して,「MAD MAX」は,日本の映画愛好家や一般需要者の間で著名・周知となっていたことが明らかである。

ア インターネット上のGoogle検索で,例えばキーワード「マッドマックス」によって抽出された情報の数は1,150,000件を数え,これらの内容の多くが請求人かその映画「MAD MAX」に関する情報についてであった。

これらによれば,映画「MAD MAX」のストーリーには先鋭性があること,映画「MAD MAX」は国籍に関係なく高い評価が与えられていること,主演のメル・ギブソンを始め,各演者の演技にも定評があること,「MAD MAX」は,一躍豪映画界を世界に知らしめた傑作アクションなどと位置づけられ,知名度の高い映画として知られていることなどのコメントが多く,映画評論家である的田也寸志氏のコメントには「主演メル・ギブソンとジョージ・ミラー監督の名前を一躍世界にとどろかせることになった,オーストラリア製作のバイオレンスアクション映画である。全編でくり広げられる壮絶なカーチェイスと時折映しだされる残酷描写により,甘いマスクのメルの個性が深い悲壮感を帯びて,観る者の胸を痛切に締めつける。本作の好評につき,結果として全3作のシリーズとなった」(甲6)と解説されている。

イ 請求人の「MAD MAX」シリーズのテレビゲームである「MAD MAX」は,ゲーム発表会であるE3において2013年6月に発表された。ゲーム情報誌の「ファミ通」のウェブサイトである「ファミ通.COM」においては,「今年のE3で,ワーナーは新作オープンワールドアクション『MAD MAX』を出展している。そう,あの映画「マッドマックス」のゲーム版である・・・。」と,日本の消費者・需要者間において映画「MAD MAX」が著名であることをうかがわせる記載がなされている(甲7)。

したがって,商標「MAD MAX」についての正しい認識は,日本の需要者,取引者の間にはすでに定着していると考えられるので,引用標章を付した全く異質の品質をもつ商品が日本市場に出現した場合は,善良なる需要者を欺くことになることは明白である。

以上の事実を考慮すれば,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。

3 被請求人の「不正の目的」について(商標法第4条第1項第19号)

(1)「マッドマックス」の語は,映画公開当初の日本人にとっては馴染みのない言葉であり,日本に存在する外国語の辞書にも収録されていないし,またありふれた造語でもない。

このような「マッドマックス」という語を,本件指定商品及び指定役務について,被請求人の商標として採択し,登録を得るに至った行為は,請求人の所有する映画作品「MAD MAX」に不正にただ乗り(フリーライド)する意思が看取される。

(2)わが国で出版業界において被請求人の親会社である白夜書房は,昭和50年(1975年)から書籍・雑誌の制作,販売を業としてきた(甲10)。

被請求人が,本件商標の出願前に請求人の映画「MAD MAX」の存在を全く知らなかったとは考えられないし,もし仮に知らなかったということであれば,到底これを理解することができない。

以上のとおり,被請求人による本件商標の出願にはじまり,登録を保持するに至った今日まで被請求人がとった一連の行動の軌跡を検証すると,随所に不正競争または不正の目的が散見される。これら被請求人の一連の行動は総じて極めてアンフェアといわなければならない。

4 「使用の意思」について(商標法第3条第1項柱書)

甲第8号証には,雑誌「実話マッドマックス」が2012年8月7日発売の9・10月合併号をもって最終号となり,『実話マッドマックス』は『実話レイジ』に雑誌名が変更になりました。」旨が記載されており,被請求人は最早,商標「マッドマックス」を使用しないことを意味している。

すなわち,商標法第3条第1項柱書に規定される使用の意思がないことを表している。

5 「公序良俗」違反について(商標法第4条第1項第7号)

前述のごとく,映画「MAD MAX」が我が国の国民の間で周知著名であることから,本件商標からは,前記映画作品を容易に認識させるものである。

このような商標を当該作品の著作権者・配給会社等の了解を得ることなく,商標権者が商標として登録することは,商取引の信義則及び国際信義上,穏当ではない。

また,請求人の映画「MAD MAX」が持つ顧客信用力にただ乗りしようとする意図が推認できる。このような行為は,公正な取引秩序を阻害し,ひいては公の秩序を乱すおそれがあるものであり,本件商標は,公序良俗に違反する。

第4 被請求人の答弁

被請求人は,請求人の主張に対して答弁していない。

第5 当審の判断

1 映画「MADMAX(マッドマックス)」の周知性について

請求人が提出した甲各号証によれば,以下の事実が認められる。

(1)「MAD MAX」(マッドマックス)は,請求人が配給する,1979年公開のオーストラリアのアクション映画作品のタイトルであって,監督のジョージ・ミラーと主演を務めたメル・ギブソンの出世作品であり,後にシリーズ化されたこと,日本での公開は,1979年12月15日であること,「マッドマックス」の初回テレビ放映は,1982年4月14日「水曜ロードショー」であること,日本語吹き替え版が,2013年8月7日発売のシリーズ三作が収録されるBlu−ray BOXに収録されたこと,「マッドマックス」は,Mindscape社がNintendo Entertainment System用ゲームソフトとして1990年に発売したマッドマックス2の世界を舞台にしたアクションゲームであることなどが認められる(甲2)。

(2)請求人の配給に係る同映画は,その後シリーズ化され,日本では,「マッドマックス2」(第2作)として1981年12月26日に,「マッドマックス/サンダードーム」(第3作)として1985年6月29日に,それぞれ公開され,その後,さらに,第2作は,1984年10月13日には,フジテレビ版「ゴールデン洋画劇場」で,1991年11月27日には,TBS版「水曜ロードショ−」で,1997年8月17日には,テレビ朝日版「日曜洋画劇場」で,テレビ放映されたものであり,また,第3作は,1988年4月16日にフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」で,テレビ放映がされたものである(甲3及び甲4)。

(3)「MAD MAX」の映画の興行収入は,1979年公開の作品が8,750,000$,1981年公開の作品映画が23,667,907$,及び1985年公開の作品が36,230,219$である(甲2ないし4)。

(4)同映画シリーズの第4作目である「マッドマックス/フューリーロード」は,監督であるジョージ・ミラーにより,2001年から企画が進められ,2003年に脚本化され,2005年の公開を目指して制作の準備がされていたところ,イラク戦争による世界情勢の不安等により撮影の準備が整わず,その公開は実現しなかったが,その後もジョージ・ミラーは,映画制作の努力を行い,2012年7月から12月の間にアフリカのナミビアで撮影が行われ,2015年5月に公開予定となっている旨の記載がされている(甲5)。

(5)「MAD MAX」のDVDは,2001年2月23日に発売され,印刷日である2013年12日4日においても,Amazon.co.jpにおいて販売されている(甲6)。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用標章の周知著名性について

前記1の事実を総合すれば,引用標章は,それを題名とする映画,テレビ放映及びゲームソフトについて使用された結果,本件商標の登録出願日前において,我が国の,映画・テレビ業界やテレビゲームを中心とするアミューズメント業界などの娯楽産業の分野における取引者・需要者間において周知著名性を獲得しており,これが現在も継続しているものと認められる。

(2)引用標章の独創性の程度について

「マッドマックス」及び「MAD MAX」の語は,既成語ではなく,請求人の配給に係る映画の題名として初めて採択され,使用されたというのが相当であるから,これらの語の独創性の程度は,極めて高いものと認められる。

(3)映画の配給及びゲームソフトと,本件商標の指定商品及び指定役務との関連性について

本件商標の指定商品及び指定役務は,前記第1のとおりであるところ,雑誌,新聞等の商品は,読者向けの各種情報を提供する媒体であって,映画の内容や配給に関する情報は,同媒体が提供する各種情報のうち,取り上げられることが比較的多いものである。

また,本件指定役務中には,「ネットワークに対応したアプリケーションゲーム・コンピュータゲーム・インターネットゲーム・オンラインゲーム・オンデマンドゲームその他の電子計算機端末による通信を利用して行うゲームの提供」があり,引用標章を題名とするゲームソフトが販売されていること,前記1(1)のとおりである。

そうとすれば,映画の配給は本件商標の指定商品と,ゲームソフトは本件商標の指定役務と,それぞれ関連性が高いものというべきである。

(4)小活

以上によれば,引用標章は,それを題名とする映画,テレビ放映及びゲームソフトについて使用された結果,本件商標の登録出願日前において,我が国において周知著名性を獲得しているものであって,引用標章の一つである「マッドマックス」と本件商標とは,同一の文字構成からなるものである。

そうとすれば,本件商標をその指定商品及び指定役務について使用するときは,これに接する取引者,需要者に,請求人の商品又は役務を連想させ,当該商品又は役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように,商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから,請求人のその余の主張について判断するまでもなく,同法第46条第1項により,無効とすべきである。

よって,結論のとおり審決する。

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